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2014年6月26日木曜日

未成年者のネット取引とカード利用

未成年者の取消権(民法5条2項)については、オンラインゲームなどで、子どもが利用した場合の高額請求(親名義のクレジットカード)をめぐって議論がなされています。
現場では、消費者と事業者の双方が、それぞれの立場で、解決の難しい課題を抱えて、頭を悩ませているようです。
ネットでみられる議論や論文などをまとめてみました。

(1)ブログ等

弁護士山下敏雅
親のクレジットカードを無断で使ったら
どうなってるんだろう? 子どもの法律
弁護士山下敏雅から子どものみなさんへ (毎月1日に更新します)
2014年3月 1日 (土)

 柔らかい感じで書かれていますが、関連項目も含め、内容は詳しいです(ブラウザの関係かもしれませんが、少しフォントが読みにくいものとなっているのが勿体ないです。)。
 関連する項目を知ったり、調べたりするきっかけとして、とても読みやすいと思いました。

(2)記事

弁護士蒲俊郎
ネットでなりすまし被害 カード利用の代金を支払わなければならない?
ヨミウリオンライン 2012年11月28日 09時00分


(3)論文(ウェブでみられるもの)


 オンラインゲームでのアイテム購入などについて触れられています。副題にあるように、インターネット取引に関する未成年者取消の問題、特にゲーム関係、会社側の対応、解決の方向性、といった点に触れられているのが特徴です。
 裁判例や文献も広く取り上げられています。

②岡林伸幸
カードの会員外利用と会員の保護
千葉大学法学論集 第25巻第4号1頁 (2011-03)
千葉大学学術成果リポジトリ

 長崎地方裁判所佐世保支部平成20年4月24日判決(金商1300号71頁)の紹介と検討をしているものです。


 長崎地方裁判所佐世保支部平成20年4月24日判決(金商1300号71頁)については「脱稿後に出たので別稿で触れる」とされておられますが、それを抜きにしても、「家族とクレジットカード利用」という点では、詳細に触れられていて参考になります。


 民法の立法当初の未成年者に関する規定の立法経過や議論、学説を紹介しているものです。起草の当初は「未成年者にとって必要な行為については法定代理人の同意を不要とすべきである」との意見が採用されたものの、その範囲の確定・認定の困難さ、立法主義の相違などから、削除されたのだそうです。
 この論文を読んでみると、立法当時はもちろん、論文が書かれたのも20年前ですから、時代の違いは感じるものの、「生活に必要不可欠とは言えないものに関する未成年者の契約と代金の支払」をめぐる問題を考えていく上で参考になる記述があるとは思いました。
 論文の末尾でも「以上の他にも様々な問題が考えられるが、民法典制定過程の議論をふりかえってみると、当時とは大きく社会・経済状況が異なっているにもかかわらず、そこで論じられたことはかなりの程度まで現在についても妥当すると言えるのではないだろうか。」と記されています。


未成年者については取消権(民法5条)の行使の可否、効果につき、具体的な状況において、様々な問題があります。
悩ましい問題です。