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2015年8月26日水曜日

2015年8月23日日曜日

固定電話を巡る問題(ユニバーサルサービス制度)

ロイターの記事をメモ。
(同社のツイートは下記)
政策的な問題とは全く別に「●●●が終了する」「●●は廃止」「のりかえ」「きりかえ」ということは、詐欺的な集団や、トラブルになりやすい勧誘と結びつくので、要注意でしょう。

この記事で紹介されたり、取り上げられているもので、ウェブ上でみられるものをメモ。


(1)電話網移行円滑化委員会(総務省情報通信審議会)

委員会のサイトの下部に「関連資料等」として公開されているものは、急いで全体を眺めるのにはよいかも。

電話網(PSTN)からIP網への円滑な移行(マイグレーション)について (個別サービスの契約数の推移、具体的移行策)(2014年4月)

マイグレーションについて説明しています。

定義については、
「電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)からIP網へのマイグレーションとは、加入電話やISD Nといった既存の基幹的なサービスの基盤であるコアネットワークをIP網へ移行すること」
とされています。


(2)ユニバーサルサービス制度(総務省の解説)

「ユニバーサルサービス制度」についての解説サイト。

上記の解説サイトの中に、ユニバーサルサービス制度に関する過去の報道資料が一覧できるページが設けられています。

過去の報道発表資料
・ユニバーサルサービス制度の在り方・見直しに関する報道発表
・ユニバーサルサービス制度の関係法令等の制定・改正に関する報道発表

第1章 ユニバーサルサービス制度の見直しの背景」の「第1節 今回の検討の趣旨」(5頁)は、比較的長文ですが、わかりやすく、なかでも、「イ 「光の道」構想とユニバーサルサービス制度」(6頁)は、背景がよくつかめるのではないかと思われます。
   「光の道」構想とユニバーサルサービス制度の関係については、加入電話をユニバーサルサービスとする現行制度のもとでは、FTTH の公設民営地域等において加入電話に相当する光IP電話が提供される場合においても、当該地域において、NTT東・西は引き続き、加入電話の提供を維持することが必要となる点が、まず問題となるものである。

   早期に「光の道」を実現するためには、メタルの加入電話の提供義務が「光の道」の中心的技術となる光ファイバの整備に抑制的な影響を与える可能性を回避することが必要であり、ユニバーサルサービスの対象を「加入電話又は加入電話に相当する光 IP 電話」と変更することにより、NTT東・西に自由度を付与し、二重投資を回避できるようにすることが適当と考えられる。

   今回の制度見直しにおいて、こうした変更を行うことにより、具体的には、加入電話に相当する光IP電話の提供地域では、宅地開発の際のメタルの整備の回避、将来的なメタル撤去の準備等が可能となり、光ファイバの整備を促進することが期待されるものである。
※ 赤い色は私が付したものです。

上記にある「加入電話に相当する光IP電話の範囲」については、ユニバーサルサービス制度の解説サイトに記載があります。

「加入電話に相当する」というくくりを全く知らなかったので、メモ。


(3)通信量から見た我が国の音声通信利用状況(年度)(総務省)

固定電話相互の音声通信の割合の小ささ、を示しています。


(4)2020-ICT基盤政策特別部会(総務省情報通信審議会)

情報通信審議会 答申(2014年12月18日)
 「2020年代に向けた情報通信政策の在り方
 -世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けて-」

答申40頁以降は「便利で安心して利用できるICT環境の整備」と題する章となっており、その中の「ICT基盤の整備推進による地方の創生」の中に「ユニバーサルサービス制度の在り方」という次の記載があります(46頁)。

5.2.2. 政策の具体的方向性

(3) ユニバーサルサービス制度の在り方
  音声通信サービスについては、その利用が減少しているものの高齢者等のライフラインとして、また、災害時等の非常時の通信手段として重要であることから、現在、基礎的な音声通信サービスとして位置付けられている固定電話を、当分の間、ユニバーサルサービス制度により維持していくことが適当である。

  次に、携帯電話やブロードバンドについては、今後、国民生活や経済・社会活動の基盤としての重要性がさらに増す可能性が高い。しかし、今後我が国が人口急減・超高齢化に直面していくことを踏まえれば、これまでのように基本的に民間事業者の競争に委ねることで条件不利地域等における提供が確保されるかは不透明である。

  したがって、固定電話の維持に特化した現行のユニバーサルサービス制度については、携帯電話やブロードバンドの未整備地域の解消やサービスの提供状況等を踏まえて、見直しの検討を行うことが適当である

  なお、ユニバーサルサービス制度の対象となるサービス、地域、サービス提供のための技術、費用負担等の在り方の検討に当たっては、我が国の人口急減・超高齢化に直面していることを踏まえ、負担と受益の関係に留意する必要がある。
※ 赤い色は私が付したものです。

2015年8月20日木曜日

回線契約の「のりかえ」を巡る問題

回線契約の「のりかえ」をめぐるトラブルは、法改正の経緯になっていましたが、光卸の関係で現在進行形でまだまだ続く見込があります。
そこへ、このADSLの事態が確定したら、「使えなくなる」ので、大規模になるのではないかなぁ、と嫌な予感を生じさせたニュースです。

SankeiBizのツイートから。

予感を感じさせたのは、上記の記事の中にある「ADSLユーザの誘導」という点です。
いくつか拾ってみると、
「・・・保守コストも増大。サービス停止と利用者のFTTHへの誘導が大きな課題となっている。NTT東西、ソフトバンクともADSLサービスを容易にやめられないのは「利用者を(FTTHの)フレッツ光に取り込みたくてもなかなか移行してくれない」(NTT東幹部)という事情もある。」

「・・・ADSL契約数150万件をそのまま吸収できればソフトバンク光の契約増に結びつくが、「ADSLで十分という利用者も少なくないので動きが鈍い」(ソフトバンク幹部)ようだ。」
平成27年の電気通信事業法の改正(初期契約解除ルールの導入など)の背景には、携帯電話契約の問題だけでなく、電話勧誘を中心にしたプロバイダの乗り換えをめぐる強引な勧誘の問題、長年にわたって消費者団体から要望が出ていたのに事態が改まらなかったこと、がありました。

光卸の開始に加えて、「ADSLはなくなったから、のりかえが不可避だ」というようなトークを利用した、かなりの消費者問題を引き起こしそうです。
間違いないとってもいいでしょうね。

ツイッターでも、同様の指摘がされています。



ユーザ側の動きの「鈍さ」は、事業者側からみた表現になります。
例えば、記事にあるような
  しかし、ADSLとソフトバンク光の契約者当たり月間収入は、2680円と4270円で大きな差があり、ソフトバンク光への移行が喫緊の経営課題でもある。
ことは「ユーザの動きが鈍い」という評価につながるでしょう。

他方、ユーザ側からみたら「料金が高くなっても切り替えるだけの必要がない」ということで説明できるでしょう。

例えば、
①実際も上記の料金差は大きい。
②早さの差を感じる必要のないユーザには乗り換えのメリットがない。
③ADSLで享受できた無料通話が、ひかり電話では享受できない。
という点は直ぐに挙げられます、

記事にあるような事業者側の事情は、ユーザの事情と表裏をなすものですから、これらの差が小さくならない限り、円滑に移行することは無理があると思います。

地上波テレビ放送の地デジ移行に似た感じがします。
ただ、これは端末の買い換えですから、月々の料金が発生するものとは違います。

あと、とにかく回線「のりかえ」に関する勧誘にみられる問題のある手法は、現状でも跋扈していると言えます。
この点が一番気がかりです。







2015年8月19日水曜日

ウェブ版「国民生活」2015年8月号

壇俊光先生が執筆された下記の論文は、「現状と課題」が一読して大変よくわかるものとなっています。


●「インターネット取引における消費者保護法制度の現状と課題
壇 俊光(弁護士)

発信者情報開示請求などをめぐり、壇先生がよく表記される「通信の秘密教団」ならぬ「通信の秘密教条主義」という言葉など、問題点の特徴をよく捉えるなぁといつも感じている表現(他にも「サクラ」など)も使われて、読みやすいものとなっています。

ただ、現状の問題点(表示と勧誘の関係など)は、問題点のまま改善される見込がないことや、それに対する憤りも伝わってきます。

ウェブ版になっていからのよいところは、総務省の報告書や日弁連の意見書など、ウェブ上で公開されているPDFへのリンクが表示されるだけでなく、クリックするとジャンプできる点です。
紙ベースではできなかったことです。

壇先生が紹介している、各種の報告書、意見書がすぐ参照できるのが大変便利です。


2015年8月18日火曜日

解約金に関するメモ

「解約金」について、後で見直すかもしれない備忘メモ

1.文献

情報通信政策レビュー第9号(平成26年11月19日)(総務省サイト)

携帯電話役務提供の定期契約にともなう「早期解約金」(ETFs:early termination fees)が無効とされたカリフォルニア州判例―「In re Cellphone Termination Fee Cases」
著者:平野 晋(中央大学教授/大学院総合政策研究科委員長)

第1回(平成27年5月20日)議事概要

事業者との質疑が少しだけまとめられている。
全て興味深いが、プランに関する提示に関して次の点をメモ
(構成員)パンフレットにおいて期間拘束のない契約の説明を見つけられない事業者のものがある。どこに書いてあるのか。
(事業者)当社はパンフレットでは2年契約でない契約の案内はしていない。店頭端末で案内している。
第2回(平成27年5月27日)議事概要

このときの、更新したくないという意思表示の時期や予約などの取り扱いについての質疑。
(構成員)自動更新の説明として、契約更新手続きの手間の削減や契約更新漏れの防止が 挙げられている場合がある。だとすると、更新月よりも前に、更新月になったら更新を拒否するとの意思表示がなされた場合は、受け付けることとなるのか。受け付けない場合、約款等に根拠規定はあるのか。
(事業者)更新月より相当前のタイミングでお客様から解約予約のご相談があった場合には、(お客様に気変わり等があった場合、却ってお客様にご迷惑をおかけすることになる ため)改めて解約の申込みを行って頂きたい旨をお伝えし、その旨をご了解して頂けるよう対応している。
第3回(平成27年6月17日)議事概要

違約金の額の根拠となっている逸失利益、解約の事前申込み、解約金の根拠などについて事業者側の回答が記載。

2015年8月4日火曜日

被後見人の資金を用いた後見人名義の金融取引

以前、金融法務事情1975号の記事を紹介しながら「成年後見人と投資信託」という記事を書きました。
被後見人(未成年も含む)の財産を運用して増やしたいとか、被後見人の将来の活動の幅を狭めないために資金的手当を用意してあげたいという要望は、ある意味では自然なものと言えるでしょう。
成年後見であれば、良い施設に入ったときにかかる施設利用料であったり、未成年後見であれば生活費はもちろんのこと、高校や大学に進学するための「学費その他もろもろ」ということが気になるところだからです。

ただ成年後見であろうと、未成年後見であろうと、あくまでも他人の財産を管理するものですから、いくら裁量とはいえ、後見人の好き勝手に運用したり、目減りさせたり、自己の運用の手段として使ったり、自己資金と混同させてしまったり、してはいけません。
横領として解任事由にとなるだけでなく、刑事事件となることがあります。

また、被後見人や未成年の資金の扱い方次第では、仮名借名口座となり、さらに大きな問題になることがあります。
特に、被後見人や未成年の資産を、後見人名義の口座で運用したりすると、非常に問題です。

こうした口座開設や運用について、証券会社側はどう対応するか、そのあたり下記のSBI証券の解説がわかりやすいと思いましたので、紹介しておきます。

SBI証券の解説
仮名・借名取引とは