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2017年12月13日水曜日

サクラサイト

この種の妙に特定のジャンルに絞った題名の書籍は、意外と単なる一般論に終始していたり、分野に関連した特徴的事項に触れた記載が少なすぎてガッカリすることも珍しくないのですが、この書籍は読んでみると、そんな私の身勝手な予想に反して、よい書籍だと思いました。
町村先生がブログで書評を書いていますが、その書評に書かれているとおりです。
サクラサイトにかぎらず、こうした業者は「収益」を得ることが目的ですが、収益は決済に関する様々な仕組みを利用することで獲得されています。
もっとも、決済に関する仕組み自体を悪いと決めつけたり表現することは正しくなく(いわば価値中立的なので)、仕組みが悪徳商法などに利用されてしまっていること、それが問題です。
そのため、悪徳商法や消費者を騙す収益をあげられないようにするには、決済関係者がそうした悪徳商法を排除する、被害者の救済手段を提供するということが必要です。
この本は、サクラサイトなどで利用されている決済関係の仕組みを横断的に、かつ、わかりやすく説明しており、決済一般で説明する本よりも「サクラサイト」を意識しているせいか、何を理解しておくべきかが把握しやすいです。
(カードの仕組みを理解するものとしても、わかりやすい書籍だと思いました)

また、当たり前ですが「これで解決!」という解決策を出している書籍ではありません。
ただし、裁判例などで明らかになってきている問題解決の際の課題(検討項目)を具体的に示している点で、主に相談の現場などで対処する人が聴取して整理すべきことは何かを把握するには便利だと思いました。

書籍では、サクラサイトのほか占いサイトのことや、被害救済を謳う業者による二次被害の問題にも触れている点は特徴的です。

探偵については問題が多く指摘されているところです。弁護士法72条違反との関係も出ています。
上記の報道以前から国民生活センターでも啓発しています。

国民生活センター
2016年12月15日
アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!
日弁連2017年(平成29年)6月15日
探偵業の業務の適正化に関する法律等の改正を求める意見書

警察庁「探偵業について」

2017年12月3日日曜日

「フレッツ光提供エリアにおけるフレッツ・ADSLの提供終了」の発表

いろいろなニュースツイートがありましたが、NHKニュースのツイートから。
今回のNTT東西のリリースは下記(2017年11月30日)付けのもの。

「フレッツ光」提供エリアにおける「フレッツ・ADSL」の提供終了等について(NTT東日本)
「フレッツ光」提供エリアにおける「フレッツ・ADSL」の提供終了について(NTT西日本)

もともとNTT東西は、ADSLの新規受付を2016年6月30日に終了することを2015年7月31日に発表しています。
(プレスリリース)
「フレッツ・ADSL」の新規申込受付終了について(NTT東日本)
「フレッツ・ADSL」の新規申込受付終了について(NTT西日本)

この「ADSLの終了」に関しては、以前、「回線契約の「のりかえ」を巡る問題」(2015年8月20日木曜日)という記事を投稿しました。
2年前ですが、上記の投稿記事で紹介した Sankei Biz の記事は参考になります。

懸念されるのは、やはりADSL終了にまつわ「乗り換え」問題(勧誘など)でしょう。
注意が必要だと思われます。

2017年11月30日木曜日

インターネット環境整備法の改正

取り急ぎメモ。

2017年11月24日金曜日

いまだけではない「今だけ無料」の表示

朝日新聞のツイートから
電気通信サービス向上推進協議会のリリースは下記。

平成29年11月24日
「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」の一部改訂案に係る意見募集

ガイドラインに追記されるそうです。
リリースにも載っているPDFには旧9条も掲載されています。

この手のキャンペーンは、以前より指摘があり、電気通信サービス分野でも、今年はじめに景品表示法に基づく措置命令が出ている事例もあります。
消費者庁 平成29年3月22日付け(PDF

★消費者庁
「テーマ別メニュー」
→「事業者の方」
→「行政処分の状況について知りたい」
→「法令に基づく行政処分」
→「景品表示法に基づく措置等」

で辿り着けます。

2017年11月17日金曜日

「現金」の出品(売買)と出資法違反

ライブドアニュース(読売)、朝新聞のツイートから。

今年の春頃、メルカリに、現金をはじめとする奇妙なものが出品されて、違法性について話題になっていましたが、刑事事件になったようです。 朝日新聞のサイトには、現金販売の図が掲載されています。

2017年11月13日月曜日

定額制と従量制

ITProの記事から。

この記事で紹介されている総務省の有識者会議は
接続料の算定に関する研究会

記事にもありますが、ユーザ(特にごくごく一般の利用者)からすると、「説明」が問題になりますね。。。
定額制を維持しつつ、品質に応じて料金に差を設ける案もある。ただ、品質の違いは説明が難しく、設備に相当の自信があるプロバイダーでなければ詳細を開示できない。やはり従量制が本命となる。

2017年11月11日土曜日

美容医療の誇大広告

広告、表示については、幅広いので、ついていくだけでも大変だけれども、美容医療については、以前から消費者委員会などでも議論されていました。
後でまたまとめてみたいところです。

2017年8月3日木曜日

電子マネーの不正利用

今年初めにNHKのニュースツイートにあった判決のニュースについて書いた「電子マネー関係の判決」に関して、「銀行法務21」に判例紹介に載っていたので、改めて関連するものをチェックしなおしてみました。

●プリペイド型電子マネーの発行業者の顧客に対する周知義務違反が認められた事例(確定)東京高裁平成29/1/18金融法務事情2069号74頁
(浅井弘章 銀行法務21 no.817-8月号66頁)


「おサイフケータイ」については、機種変更、解約時にICチップの記録を消さずに下取りに出してしまい、新所有者が旧所有者の記録を利用できてしまうという事例がありました。
この点に触れるものとして、

「おサイフケータイ方式」の 決済サービスに関する注意事項(山本正行「キャッシュレス決済入門 第7回 多様化する“キャッシュレス決済”(4) 携帯端末で決済ができる!?2016.2 ウェブ版月刊国民生活31頁
機種変更、解約などの手続きを行う際には、携帯端末の初期化に加え、ICチップ(FeliCa)に記録された内容を別途消去しなければならないので、注意が必要です。
これを行わない状態で携帯端末が下取りされるなどして別の利用者の手に渡った場合、IC チップ(FeliCa)内の残高情報がそのまま新しい利用者に継承されてしまいます。それを悪用し、 新しい利用者が以前の利用者になりすまして決済サービスを継続して利用するトラブルが報告されています。
平成22年3月と少し前のものですが、電気通信消費者支援連絡会でも議論がされていました。

第21回電気通信消費者支援連絡会 議事要旨(平成22年3月29日)
齋藤委員
 携帯電話の中に一財産入るということでしょうか。また、そのお金のデータは、SIMのチップに記録されるのでしょうか。
NTTドコモ
 SIMとは別に、FeliCa用のチップが入っています。
齋藤委員
 では、SIMフリーとなった場合、SIMを差し替えてもお金のデータは移行しないのですか。
NTTドコモ
 携帯電話にチップとして埋め込まれているものなので、SIMが変わっても携帯電話のみで利用することができます。ただし、NTTドコモでは、携帯電話を紛失した場合、ネットワークによりおサイフケータイのサービスを止めることができます。また、携帯電話を拾った人が、SIMを差し替えて利用することを防ぐため、SIMを差し替えた場合は利用できないようにしています。SIMフリーとなった場合は、このあたりの仕組みは見直しが必要かと思います。

2017年7月19日水曜日

確認措置の遡及適用

ドコモのリリースには
昨年5月の改正電気通信事業法施行以降[2016年5月18日(水曜)から2017年7月2日(日曜)]に、対象のお手続きを行われたお客さまで
とあるので、確認措置解除の期間を形式的には経過している場合でも対象になることが注目点でしょう。

でも、詳細を全部見切るのが厳しく、記事をフォローが精一杯。
後で読み直すべく、記事を見失わないためのメモも兼ねて、3つのツイートをチェック。



ドコモのリリースは下記。
「確認措置(8日以内キャンセル)」について

解除後の効果、としては、細かいことでも留意しておくことがあります。

「全部が元に戻る」という意識だと、それは違う、ということです(これは解除の効果として当然ですが)。

例えば、MNPの場合、以前の携帯会社への復帰とはならないし、回収された端末も返還されない。

上記のリリースに注意点として記載があります。


2017年6月28日水曜日

ネット社会で取り残されるアメリカの田舎(WSJ日本の記事)

光回線の契約をめぐる消費者トラブルは、大都市だけでなく、地方にも多いですが、光回線が多く整備されているという言い方もできる面もあります。

アメリカの場合は少しというか、かなり違うようです。
ウォールストリートジャーナル日本版のツイートをメモ。
アメリカのテレビドラマや映画では、高速回線つかいまくりとしか言えないシーンばかりですが、地方部はそうではないということが、記事を読んで伝わってきます。

2017年6月27日火曜日

携帯電話不正利用防止法に基づく是正命令

いろいろ報じられていますが、元が共同通信のようなので、共同通信のツイートから。
 見出しとしては「代理店も」入れている毎日新聞のツイートが正確な感じを受けます。。
1.
携帯電話不正利用防止法(正式名称:携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)に違反する事実があったとして、是正命令がされたというものです。

この法律の概要や簡単な解説は、総務省の「電気通信消費者情報コーナー」内にある「携帯電話の犯罪利用の防止」に資料等とともに掲載されています。

さて、総務省の報道資料には平成29年6月27日付けで、2つありました。
事業者のみ、代理店+事業者、の各1です。
対象期間や対象行為の数も異なり別のものですが、いずれも代理人による契約における。

(1)ソフトバンク株式会社による携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令(平成29年6月27日)

携帯電話不正利用防止法第3条第2項の規定に違反した事実が認められたとして、同法15条1項にもとづく是正を命じたもの。
これは事業者自身の本人確認義務違反ですね。

携帯電話不正利用防止法
第3条2項
  携帯音声通信事業者は、相手方の本人確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために役務提供契約を締結するときその他の当該携帯音声通信事業者との間で現に役務提供契約の締結の任に当たっている自然人が当該相手方と異なるとき(次項に規定する場合を除く。)は、当該相手方の本人確認に加え、当該役務提供契約の締結の任に当たっている自然人(第四項及び第十一条第一号において「代表者等」という。)についても、本人確認を行わなければならない。
第15条1項
  総務大臣は、携帯音声通信事業者が、その業務に関して第3条第1項、同条第2項若しくは第3項(第5条第2項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第4条第1項(第5条第2項並びに第6条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)若しくは第2項(第5条第2項及び第6条第4項において準用する場合を含む。)、第5条第1項、第7条第2項又は第12条の規定に違反していると認めるときは、当該携帯音声通信事業者に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(2)株式会社ラネットによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(平成29年6月27日)

携帯電話不正利用防止法第6条第3項において読み替えて準用する法第3条第2項の規定に違反した事実が認められたとして、同法第15条第2項の規定にもとづく是正を命じたもの。
同時に、「同社の代理店において法令違反が発生したことに鑑み、媒介業者等に対する監督を徹底するよう指導しました。」とのこと。
携帯電話不正利用防止法
第6条3項
 第3条及び第4条第1項の規定は、第1項の規定により媒介業者等が本人確認を行う場合について準用する。この場合において、第3条中「携帯音声通信事業者」とあるのは「媒介業者等」と、第4条第1項中「本人確認を行ったとき」とあるのは「第6条第1項の規定により媒介業者等が本人確認を行ったとき」と読み替えるものとする。
第15条2項
 総務大臣は、媒介業者等が、その業務に関して第6条第3項において準用する第3条第1項から第3項までの規定又は第6条第4項において準用する第3条第2項若しくは第3項若しくは第5条第1項の規定に違反していると認めるときは、当該媒介業者等に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第12条
 携帯音声通信事業者は、第6条第1項の規定により本人確認又は譲渡時本人確認を媒介業者等に行わせることとした場合には、当該本人確認又は当該譲渡時本人確認が確実に行われるよう、総務省令で定めるところにより、当該媒介業者等に対し必要かつ適切な監督を行わなければならない。

会社名義での契約の場合、代理人による契約の場合、現に契約の締結手続を担っている自然人の本人確認を怠ると、「本人確認」の抜け道を大きく開くこととなってしまい、同法が目指す「携帯電話の不正な利用の防止」は全く実現しなくなります。
代理店の活動にマイナス評価をすべき事象があったときに、事業者が「代理店のことは知らない」で通ってしまうならが、代理店の問題行為は是正されません。
しかし、監督官庁が代理店の全てを直接監督することは非現実的です。
代理店の活動により事業者は契約獲得などの利益を得ているのですから、利益を受ける事業者に監督義務を負わせて代理店の適正な活動へ導くことが必要です。
実際のところ、代理店に対する関与は事業者自身も行っているものであり、昨年施行された電気通信事業法でもみられるところです。

ちなみに、ラネットは、ドコモの契約に関して、契約締結等の業務を再委託していたラネットコミュニケーションズにおいて本人確認義務違反(3条1項違反)があったとして、指導を受けています(ラネットコミュニケーションズに対しては是正命令)。次項参照。
ラネットは同社の会社概要によると、ビックカメラが100%株主とのことですが、こうした大手の量販店は多数の来客があり契約窓口として重要な役割を果たしているので、本人確認義務を果たすことは、その地位と役割からも当然に求められるでしょう。

2.直近の事例

総務省のサイトで「携帯電話不正利用防止法違反」「携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令」というキーワードで検索して、昨年の改正電気通信事業法施行後のリリースを調べてみると、次のようなものが表示されました。

(1)平成29年3月23日
アイ・ティ-・エックス株式会社による携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等
(2)平成29年6月6日
(3)平成28年10月21日
株式会社ピーアップによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(ドコモ)
(4)平成28年10月21日(東北総合通信局)
(5)平成28年10月21日(近畿総合通信局)
株式会社オオサワによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(ドコモ)
(9)平成28年6月10日
株式会社ジェイズによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(KDDI)
(10)平成28年5月27日(東海総合通信局)
株式会社エディオンコミュニケーションズによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令(ドコモ)
(11)平成28年5月27日(九州総合通信局)
(12)平成28年5月27日(近畿総合通信局)
株式会社関西情報サービスによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等について(ドコモ)
(13)平成28年5月27日(近畿総合通信局)
株式会社カナデンテレシスによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等について(ドコモ)

2017年6月26日月曜日

『法のデザイン』水野祐氏インタビュー記事

水野弁護士のインタビュー記事、取り上げられているテーマが多岐にわたっているほか、内容がおもしろいです。
電ファミニコゲーマーのツイートから。

「法のデザイン」もすぐ買って読みましたが、2月出版で6月までにもう4刷だとか。

2017年6月25日日曜日

メルカリ社長のインタビュー記事

現金が出品されて、それらが一般メディアでも報じられたこともあって、注目を浴びたメルカリですが、その後も議決権行使書が出品されるなど、出品物をめぐる問題がこのところ注目されています。 ただ、これは他のサービスでも昔通った道のようにも思います。
変な出品については、下記のツイートで紹介されている「現金、妊娠菌…謎の出品相次ぐメルカリ」という楽天 infoseek ニュースが、いろいろなツイートのほか、一連の問題に対するメルカリ側の対応などを整理してとりまとめています。
紹介されている出品物はネタだなと思いつつ、領収書はちょっとなぁとも。

2017年6月24日土曜日

FinTech時代のオンライン取引研究会(金融庁など)


このニュースにある研究会のリリースは下記。

平成29年6月21日
「FinTech時代のオンライン取引研究会」の設置について

このテーマはメモとしての記録のみ(後日のリンク探しのため)

こんなニュースもありましたが、同じくメモのみ。
公益財団法人金融情報システムセンターの報道発表です。

2017年6月23日金曜日

消費者保護ルールの実施状況に関する資料

各社が報じていますが、産経ニュースのツイートから。
報じられている会合と資料は、下記のもので、公表されています。

総務省
消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合(第3回)

報じられている問題は、「消費者保護ルールの実施状況に関する定期調査及び苦情等傾向分析の実施方法」(平成28年10月21日)に基づく調査の結果で、上記会合の配付資料公開されています。

★資料3-6 実地調査(覆面調査・利用者アンケート)の主な結果(事務局)

「覆面調査結果の分布について」(28ページ)には
全体としてみれば、特定の事業者又は代理店に良い結果又は悪い結果が偏在していることはない。
とありますが、当該ページの下部は「構成員限り」として非公開になっています。
また、ごく一部にしか問題がないという意味ではない、特定の事業者などに偏在しているのではなく全体に問題が存在していることには注意が必要でしょう。
期間拘束、費用、解約、追加端末等々細かく分けられた項目ごとにみていくと「説明が十分になされてない」との報告がほぼ全ての項目にあてはまっています(例外は「適切な通信容量の料金プランの紹介」(20ページ)くらいでしょうか)。

他方で、説明が増えると手続を含めた全体の所要時間も要しますが、その点に関しては「所要時間の状況」(25ページ以下)で記載されています。
全体として30分から90分の間に収まっているようですが、利用者アンケートでは「とても長かった又は長かったという回答が44%」とあります。

こうしたバランスをうまくとることの難しさが示されています。

★資料3-7 「確認措置の運用状況に関する検証結果について」(事務局)

資料3-7では、ドコモにつき確認措置の運用状況に関して次の点が指摘されています。
(1) 新規契約のうち確認措置適用の申出が利用者からあった比率でみると、(株)NTTドコモのみ、他2社の1/100~1/60程度。
(2) 申出を受けてどの程度が実際に契約解除に至ったかの比率(解約比率)でみると、(株)NTTドコモの解約比率が他2社の半分以下。 (他2社は申出の大半が契約解除に至っている)。
(3) 契約初期に契約解除を要望する苦情等は他2社に限らず同社についても一定比率(他2社より高い比率)で生じているにもかかわらず、 同社が確認措置により契約解除に応じた数が、著しく少ない(他2社に比べても著しく少ない)。
ドコモだけ少ないという点を踏まえて同社から確認したところ下記の2点を確認、「抜本的な改善が必要」と厳しい指摘がなされています。
① 8日間以内に、帳票(契約書面)に記載された確認措置の記載に基づき申し出る旨利用者から表明があった場合に、確認措置の申出として把握。 (単に説明不足等を理由に解約したいと申し出た場合は、確認措置の申出としては取り扱っていない。)
    (中略)
② 確認措置の申出として受け付けても解約に応じない場合があるが、その判断は本社で策定した基準に基づき店舗で行っており、 クレームになった場合は、本社で事実確認の上、解約を判断。
報道で大きく取り上げられているのは2番目の点ですね。。。

ちなみに、資料3-8 平成28年度消費者保護ルール実施状況のモニタリング(評価・総括)(案)(事務局)をみていると、「優良な点」も紹介されています。

説明をめぐる問題を解消する簡単な決め手はないだけに、どういう施策がとられ、また、効果をあげ、あるいは効果が期待できるのか、それを検証し参考にしていくことも重要です。
資料にあるように苦情の絶対数は高い水準にある以上、問題をどう改善・解消していくかの知恵を共有することは大事です。

「優良な事例」としてMNOの運用面で下記が掲げられています。
・動画による事前説明(NTTドコモ)、
・簡易な帳票の交付(ソフトバンク)、
・販売員に対する毎日のテスト(ソフトバンク)
また、MNOに関する覆面調査では、説明が分かりやすかった、応対態度に好感が持てた等の肯定的なコメント(調査員の自由記述)が付された例が4~5割、利用者アンケートでも応対態度がとても親切又は親切だったという回答が約半数(あまり親切ではない/不親切合計で約1割) という紹介もあります。

FTTHの運用面では下記が掲げられています。
・利用者との対応における特記事項について履歴を残し、再度の対応においては、当該履歴を基に個々の利用者に合わせた対応を実施。(NTTコミュニケーションズ)
・代理店が電話勧誘を行うにあたり、まず電話で利用者の関心度合いを見た上で、関心を持った利用者に対し説明書面を郵送して(又はダウンロードさせて)、日をおいて、再度、説明書面を手元に置いた状態で電話説明を行う。(昨年11月より 開始)(Hi-Bit)
FTTHの販売現場での説明・応対の実態に関する覆面調査では、MNOと同じような結果が出ています。
しかし、従前から課題の多かった電話勧誘・訪問販売での契約者に絞ると、「あまり分かりやすくない説明だった又は分かりにくい説明だったという回答の比率が とても分かりやすい説明だった又は分かりやすい説明だったという回答の比率を上回っており、こうした販売形態については、良好な印象を得ているとは必ずしも評価できない部分がある。」との指摘があります。


2017年6月19日月曜日

光回線の代理店による電話勧誘に対する指導

●総務省


総務省の発表には、PDFで代理店の電話勧誘において確認された不適切な事例などが記載されていますが、それによると「NTT東西であると消費者に誤認させる」ものや、そのおそれのある表現が多々行われていたようです。
NTT東西であると誤認させるようなものは、以前からあり、書類が届いたりしてから、あるいはやめたいと思って問い合わせてから初めてわかるというケースは以前からありませいた。

光回線の契約は書面行為ではなく口頭でも成立することや、電話勧誘は電話による説明を利用者が了解すれば書面によらない説明が可能であることから、光回線の電話勧誘において、問題のある手法は以前から何度も指摘されてきました。
総務省の注意喚起もつい最近また行われたばかりです。

私自身も、あたかも契約中のプロバイダからの問合せであるかのように装う勧誘を受けたことはあります。
誰かによる不正使用を疑われる事象があり確認のために折り返しを求めるというような手法でした。

行政指導を受けて、当該会社はリリースを出していますが、NTT東西も、行政指導を受けた会社の販売勧誘の改善が確認できるまでは、同社からの新規及び転用に関する申込受付を停止する、と発表しています。


光回線契約に関するトラブルとしては、東京都消費者被害救済委員会の公表事例(心当たりのないオプションサービス)があります。

東京都消費者被害救済委員会の事業実績(紛争処理)
72
光回線契約に伴う心当たりのないオプションサービスに係る紛争案件
概要
●報告書(PDF)
(東京都消費者被害救済委員会) 平成28年11月 東京都生活文化局

2017年6月10日土曜日

H29消費者白書(第3章【特集】若者の消費)

2016年の消費者白書が公表され、ニュースでも報じられています。
消費者庁のツイートにもあるように「第3章」で「若者の消費」が取り上げられています。この特集をみてみました。
第1節 若者の消費行動」に書かれていた消費支出の推移や傾向に関しては、これまでも指摘されてきた内容と重複することが多いですが、いろいろな調査を踏まえた記載になっているので、それらをまとめたものとして読むには便利だと感じました。

第2節 若者の消費者トラブル」が本体部分で、若者の相談件数が減少しているという統計上の数字の要因について触れている部分(147ページ以下)で、消費者庁「消費生活に関する意識調査」(2016年度)から、
①トラブルに遭ったとし ても、他の年齢層に比べ、若者にとっては消費生活センター等への相談が解決の選択肢となっていないこと
②商品の購入やサービス利用でトラブルに遭った際、最初にとる行動として「インターネットを検索して参考になる情報を探す」と回答した割合が10歳代後半では70.0%、20歳代前半では63.2%(全体平均では49.0%)となっていること
が挙げられています。

これは別の意味で考えさせられます。
ネット上に氾濫する情報のうち、正しい情報(機関等の紹介も含む)にアクセスできているのか、適切な選択肢を選んで解決に至っているのかは、全世代で既に問題になっています(97ページ)。
検証が必要があるでしょう(法律相談を受けた時に「ネットには●●と書いてあった」と言われることが珍しくないですが、「●●」がそもそも間違っていることも同じ程度ある。)。
実際に、白書でも、ネット検索してトラブル解決をうたう探偵業者等へ慌てて連絡してしまった相談が他の年齢層より比較的多いこと、サイト検索で画面の上位に表示された内容をう呑みにしてしまう傾向が強いこともうかがわれること、が指摘されています(161ページ)。
探偵への依頼を巡るトラブルは二次被害なので、情報にたどりつくための方策が重要です。


また、未成年と成年の境界面つまり成人直後の世代にトラブルが多いという統計と分析は「成人年齢の引き下げ」の議論(消費者保護、未成年取消権等)を考える上で、大変重要で見過ごせないことだと思います。

白書では「自分自身で判断して契約や購入する機会が 増えることに比例して、件数が増加している傾向」があるとして、次の指摘がされています(149ページ)。
①「店舗購入」に関する相談で成年と未成年とでは相談件数に大きな差がある
②成人直後に当たる20歳代前半は前後の年齢層と比べ、 キャッチセールス等の「訪問販売」や、「マルチ取引」に関する相談が多い
③ネット通販に関する相談は、10歳代後半は約9,500件(58.4%)、20歳代前半は約1.3万件(32.7%) と最も多くなっている


SNSでの広告をきっかけにお試し購入したら定期購入になっていた点も紹介されています。
定期購入は、若者特集ではないところでも「最近注目される消費者問題」として取り上げられています(48ページ以下)。

国民生活センターが平成28年6月にも報道発表していた問題です。


白書49ページに掲載されている棒グラフが、ここ1~2年での定期購入トラブルの急激な増加を示しています。




2017年4月12日水曜日

後払いと未成年による利用など

TLに流れてきた下記のライブドアニュースのリツイートの「未成年者でも簡単に利用できる『ツケ払い』のリスク」という部分が目にとまり、検索してみると少し話題になっていたので、調べてみました。

ライブドアニュースの記事は「デイリー新潮」のものでした。
デイリー新潮のツイートの方には「未成年者でも簡単に利用できる」の文字はなく、単に「肝心の消費者が恐ろしいリスクを背負いかねない」とだけありました。

デイリー新潮のサイトにある記事はこちら↓。
ZOZOTOWNの広報、渥美陽子弁護士、アナリストの森永卓郎氏の各コメントが紹介されています。

記事の見出しは少々煽った感じもしたので、まずは私自身が知らない「仕組み」を調べてみようと思い、規約などを整理してみました。

1.仕組み

「ツケ払い」ができることは、各商品のページの値段の横に「ツケ払いできます」と表示されることでわかり、かつ、「詳細」を押すと「ツケ払い」の説明(「ツケ払いによる代金の請求、並びに請求に関してご連絡が必要となる場合、GMOペイメントサービスがおこないます。」)も表示されました。

もっとも、ショッピングカートには「ツケ払いをご利用いただくには会員登録が必要となります」と記載されていました。

「ツケ払い」の詳細は、ZOZOTOWN内ではなく、GMOペイメントサービス株式会社のサイト内の下記ページに記載がありました。

このページは、ZOZOTOWNからだと、「ヘルプ」「お問合せの多いご質問」内にある「ツケ払いの請求書を紛失したのですが、どうしたらいいですか?」にリンクが貼ってありました。

上記のページ下方にある「注意事項」にツケ払いの説明詳細がありました。
■【ツケ払い(GMO後払い)】について
【ツケ払い(GMO後払い)】サービスは、GMOペイメントサービスがご購入店からご注文毎に売買代金の債権譲渡を受けて、請求書の発行と代金の回収を行います。サービスの提供に必要な個人情報(氏名・住所・メールアドレス等)は、ご購入店と弊社間で相互に提供するものとします。また、業務の範囲内で委託先に提供するものとします。弊社の個人情報の利用および取り扱いにつきましては、「個人情報保護方針」及び「個人情報の取扱について」をご確認ください。
以上の事項に承諾の上、【ツケ払い(GMO後払い)】をご利用ください。
とあります。
概ね記事に紹介されていたものと同じでしたが、特徴を整理すると次の3点でしょうか。
①売買代金の債権譲渡であること
②注文ごとも①が行われること
③購入者は規約を承諾して利用すること(債権譲渡の事前承諾となる)

検討を要するとしたら③の点で、異議をとどめない承諾(異議なき承諾)をすることになる点です。
もっとも「異議をとどめた承諾」とはどういうものか、はハッキリとしていない面はあります。
通信販売にはクーリング・オフがありませんので、テーマ外ですが、この異議なき承諾によりクーリング・オフが切断されることがありえます。

※東京地裁平26.10.3判決(判例タイムズ1413号279頁)
 債務者が異議をとどめない承諾をした場合であっても,債権の譲渡人に対抗することができた事由を債権の譲渡人に対抗することができるかどうかにつき個別に判断した事例

その事例の紹介を江木弁護士がブログにまとめています。
化粧品「解約」したのに高額請求 女性ら次々訴えられる
(弁護士江木大輔のブログ)


2.未成年の利用
ZOZOTOWNサービス利用規約
第2条 本サービスの利用
1. (略)
2. 未成年の会員は、適格な法定代理人の事前の同意を得なければ、本サービスを利用することができません。
第5条 会員登録
1. (略)
2. 未成年者は、適格な法定代理人の事前の同意がなければ、会員登録申請をすることができないものとします。

一見したところ、よくある利用規約と同じ書きぶりに思われます。
会員登録をする際には、年齢の入力が(共通サービス利用規約第5条)にて求められているのですが、法定代理人の事前の同意をどのように確認するかは、結局、登録画面の作り方やオンライン内外での同意の確認方法によるようです。
現実に同意がなくても登録して使えてしまう余地はあるかもしれません。
その意味では「問題性」も同じでしょう(問題性を解消する特別な仕組みは見当たらない印象)。

*)未成年者の利用に関する具体的な事案での解決の困難さについては、森亮二弁護士が書かれている「オンラインゲームをめぐる近時の法的問題点」(特集 オンラインゲームと消費者トラブル 月刊国民生活ウェブ版2017年1月号(No.54))が参考になります。

「ツケ払い」の利用限度額は5万4000円のようです。
金額の面で、いわゆる処分を許した財産(お小遣い。これも法定代理人の同意)の範囲での買い物と言える場合もあるとは思いますが、お小遣いとは?とか、未成年者の年齢・成熟性に応じた議論や検討はより深く求められるでしょう。

また、単純な後払いとも異なる「使いやすい」仕組みであり、そうした決済方法の利用による売買まで法定代理人が同意していたか(利用可能な金額面で、成年と未成年との間に違いが設けられているわけではなさそうです。)、は慎重な検討を要すると思います。

**)「金額」の問題については、紀藤正樹弁護士がツイート(追記しました)で「大人の小遣い統計」「子どもの小遣い統計」を示して「大人も子ども一律5万4000円」という利用限度額がもつ問題性の指摘が参考になります。

「ツケ払い」は、下記のように与信審査をしているようですが、クレジットカードと同等の審査なのかは、審査基準を開示していないので、画面上からはわかりません。
ZOZOTOWN ツケ払い ご利用の購入者様へ 注意事項
■ご利用に際して、所定の審査がございます。
ご注文毎に与信審査をさせていただき、結果によっては、【ツケ払い(GMO後払い)】のご利用をお断りすることがございます。
※与信審査の基準につきましては、開示しておりません。また、審査結果の理由の開示はいたしかねますので、予めご了承ください。
 高額のご注文や短期間に複数のご注文をされた場合などに、不正利用防止のためご本人確認をさせていただくことがございます。審査結果をご購入店に開示する場合がございますので、予めご了承ください。審査後であっても不正利用等が発覚した際は、必要に応じて荷物の受取人様へご連絡をさせていただくことがございます。

3.補足①~商品の所有権
■商品の所有権について
 本サービスはご購入店から弊社が売買代金の債権譲渡を受け、ご購入店に代わりましてお客様へ売買代金の請求をさせていただきます。お客様のお支払が完了するまでは、商品の所有権は弊社にございますので、予めご了承ください。
GMOペイメントサービス株式会社のサイト内の「ZOZOTOWN ツケ払い ご利用の購入者様へ(はがきタイプ請求書)」には、上記の条項がありました。

「商品の所有権は弊社にございます」という点ですが、GMOペイメントサービス社は商品の売主ではないし、契約締結上の地位の移転ではないので、代金支払が完了するまで売主たるZOZOTOWNに留保された所有権が、GMOペイメントサービス社からZOZOTOWNに対して債権譲渡の対価が支払われた時に、一緒に移転するという構成なのでしょう。
もっとも、この移転を、法的にどう説明するかは、かなり難しい・・・。

例えば、立替払することにより、弁済による代位が生ずる結果、販売社が代金債権を担保するために留保していた所有権は、販売会社の買主に対する代金債権とともに法律上当然に移転し、立替払によって取得した留保所有権(法定代位的構成)。
もっとも、この点は、平成22年の最高裁で、販売社から移転を受けて留保する所有権が、立替金等債権を担保するためのものであることは明らかである。立替払の結果、販売社が留保していた所有権が代位により移転するというのみでは、残代金相当額の限度で債権が担保されるにすぎないことになり、本件三者契約における当事者の合理的意思に反するものといわざるを得ない、と述べていて、必ずしも代位的構成とも言えないようです。

この点については、下記の文献がネットでも参照できて役立つと思います。
石口 修
千葉大学法学論集 第28巻第1・2号(2013)


4.補足②~ツケ払いの期間(2ヶ月払)

「ツケ払い」では、商品の購入には「カード等」の提示を要しないので、「個別信用購入あつせん」(割賦販売法2条4項)に該当するか?ですが、GMOペイメントサービス社が購入者から代金相当額を受領する時期として定められたのは「2ヶ月先」とされているので「個別信用購入あっせん」に該当しません。
「2ヶ月先」は「売買契約が締結した時から二月を超えない範囲内」である必要があります。

ツケ払いについてコメントしているツイートは結構ありましたが、そのうち次を紹介しておきます。別のツイートでは代位的構成での説明もされていました。

5.補足③(追記)

【2017.4.13.追記】
山本一郎氏の記事が文春オンラインに掲載されていました。

【2017.4.18.追記】
池本誠司弁護士のコメントが紹介されている記事がありました。
記者のまとめではありますが、割賦販売法、貸金業法を含めた、池本先生の整理は、わかりやすいと思います。
この他に、ツケ払が遅れたということで弁護士名での督促状が来たという写真付きのツイートもありました(封筒に記載された事務所は実在する事務所ですが、本当にツケ払の関係なのか真偽不明なのでツイートの紹介は控えました)

【2017.5.5.追記】
紀藤正樹弁護士がツイートでコメントされていました。
連続ツイートですが、わかりやすく整理されています。
大人と子どもの利用制限額が同じというのは重要な指摘だと感じます。
上記の続きはこの3つ。
(4)https://twitter.com/masaki_kito/status/860423940644130817
(5)https://twitter.com/masaki_kito/status/860425088792788992
(6)https://twitter.com/masaki_kito/status/860427894048161792

2017年4月2日日曜日

債権譲渡、異議なき承諾、クーリング・オフ

民法改正案の採決のニュースが流れて、以前の記事ですが、廃止される異議なき承諾関係で、まとめていたものを載せ忘れていたことを思いだし・・・。



江木弁護士のブログが簡潔にまとめられており、わかりやすいです。

化粧品「解約」したのに高額請求 女性ら次々訴えられる」(弁護士江木大輔のブログ)

ここで問題になっている「異議なき承諾」(民法468条1項)は、民法(債権法)改正により廃止されます。

(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
第468条
 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

民法改正案では
 「第468条及び第469条を次のように改める。」
として
 (債権の譲渡における債務者の抗弁)
第468条
1 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
2 第466条第4項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第466条の3の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466の3の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
(以下略)
とされています。

2017年4月1日土曜日

NHK受信料訴訟

つい先日、ビジネスホテルチェーンに対する大変高額(巨額と表現してもいいでしょう)の支払を命じる判決があり、検討課題が多いと思われるこの分野の訴訟ですが、こんなニュースがありました。
この記事で紹介されている「法務省訟務局」は法務省サイトにページがあります。

また、意見照会についても、上記の「訟務制度とその役割」のページ中に内容は短いですが、
「紛争の予防(法律意見照会制度)」
という項目があります。
訟務を取り巻く最近の情勢」「訟務事務の内容」にも紹介や位置づけの図があります。

大法廷回付のニュース(東京新聞2016年11月3日)
この係争に関する裁判所の判断に関する、まとめの記事がありました(2017年1月17日朝日新聞)。
町村教授のコメント(ブログ)がありました。

2017年3月31日金曜日

ネットで作れる合鍵の問題事例

下記の福岡県警の告知が少し話題になっていました。
もともとは、昨年10月に事件の報道があり、年末には、地方の簡裁で判決も出ていたようです。
番号だけで作れる手法の可否や課題については、下記の記事がまとめています。
(元記事)
ネットで合鍵 身分証明不要、匿名注文が増加
毎日新聞2016年10月4日 22時54分(最終更新 10月4日 23時39分)

この記事に
全国の鍵取扱業者でつくる日本ロックセキュリティ協同組合(東京)などによると、鍵に刻印された番号は種類や形状を表す個別情報で、製造会社が合鍵を作る際に使う。合鍵を求める客は、身分証などを提示する法的義務がないため、匿名で合鍵が作れるのが実態だ。
と載っており、これが冒頭の告知背景でしょう。
ショルダーハッキングも含め、気をつけないといけないですが・・・

2017年3月18日土曜日

モバイルフォーラム2017(一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会)

3月16日開催された「モバイルフォーラム2017」(一般社団法人テレコムサービス協会主催)のメモ。
なお、MVNO委員会
上記の内容をまとめた三上洋氏の記事。
読売オンラインの記事は下記
格安スマホの消費者問題とは?」2017年03月17日 18時42分

問題の具体例として、①フィルタリング(青少年インターネット環境整備法)、②通信速度、③本人確認、の3つが紹介されています。

上記と直接関係ないけれども、ケータイWatchの別記事に下記があったので、読んでみました。
この記事は興味を惹かれる内容が多かったです。
例えば、チャットによるサポートについて、
 チャットサポートって、即時性が期待されるのできちんと対応できなければいけません。しかもユーザーからの質問文はとても短い文章であることが多い。電話やメールのほうがユーザーの意図を読み取りやすいんです。そういう意味で熟練というか時間がかかるのです。
また、店舗展開における留意点として
 (端末価格を割り引く代わりに有料オプションの契約を迫る)いわゆるレ点商法はしませんし、ミニマムな説明に留めています。シンプルなサービス内容にするということは、待ち時間の短縮に繋がる、店舗での生産性が上がるんですよね。
 そうなるとカスタマーサービスのクレームも少なくなります。「シンプルな企画」→「接客時間(待ち時間)が短くなる」→「従業員もハッピー」→「クレームも少ない」と。
等の部分は、課題を認識した上での改善(解消)に向けた考え方の一例として 参考になります。

2017年2月27日月曜日

詐欺利用のIP電話停止

読売新聞のツイートから。
東京新聞のツイートから。

東京新聞の記事には図も掲載されています。

この問題は昨年、刑事事件として起訴された際に、ニュースになりました。
携帯電話不正利用防止法の
すぐに判決も出て、判決も「全国初」ということでニュースになりました。
判決は、東京地方裁判所立川支部平成28年6月17日で、判例秘書には掲載されていました。
この件は、貸与業者の事案で本人確認をしなかったとのころでしたが、音声がやりとりされている仕組みと携帯電話不正利用防止法にいう「携帯音声通信」該当性については争われなかったようで、裁判所の判断は記載されていませんでした。


昨年末には固定電話の強制解約のニュースもありました。
詐欺などでは電話による直接の接触がきっかけになっていることが多いだけに、不正の手段を詐欺者に使わせない、使っていたら奪う、ことがより重要なテーマになっています。

2017年2月21日火曜日

消費者契約法逐条解説(H29年2月)

消費者契約法の逐条解説が改訂されて公表されていました。
消費者庁のツイートからリンクをたどって見ることができます。
第4条の「勧誘」のところで、つい先日出たばかりの最三判平成29年1月24日(クロレラ判決)も紹介されています。

ちなみに、逐条解説はPDFで紹介されていて、章ごとにファイルがわかれています。


2017年2月14日火曜日

論究ジュリスト特集「相続法制の見直しに向けた課題」

有斐閣のツイートから。
相続法改正の議論は、不定期に眺めてきましたが、昨年末に預貯金と相続に関する最高裁判決も出ましたし、また、それだけでなく、人の死亡は、生前の契約関係をはじめとする関係者の法律上の地位にどんな影響を及ぼすか、という大きく広いテーマを抱えるので、一見して無関係な領域でも影響があり、相続に関する理解や知識はおさえておくべき重要な事柄になるので、今後もちゃんとみていこうと思います。

2017年2月10日金曜日

「三種の神器」に対する対策

詐欺などにおける「三種の神器」に関しては、ここで以前も書きました。

2013年7月2日火曜日
詐欺等の犯罪と「三種の神器」

その後に対策がいろいろと講じられ、成果が出たものもあったようです。
もっとも、本人確認措置の義務化・厳格化が導入された携帯電話との対比において、固定電話の回線については、対策が遅れていた(放置されていた?)感がありました。

そんな中で昨年秋に読売オンラインで特集記事(解説スペシャル)が、そして年末には強制解約のニュースが、それぞれありました。
読売の特集は京都府消費生活安全センターのツイートで紹介されてました。

この読売の「解説スペシャル」では「三種の神器」も紹介され、その対策と課題がコンパクトにまとめられており、かつ、わかりやすいです。
特に最後のところで触れている、1回線の細分化、再販、停止と影響、という部分は重要です。
強制解約のニュースは、各社ありましたが、産経のツイートから。
これらの記事で取り上げられている電気通信事業法の関連条文と「正当な理由」はこちら。
電気通信事業法25条1項
 基礎的電気通信役務を提供する電気通信事業者は、正当な理由がなければ、その業務区域における基礎的電気通信役務の提供を拒んではならない。
電気通信事業法7条
 基礎的電気通信役務(国民生活に不可欠であるためあまねく日本全国における提供が確保されるべきものとして総務省令で定める電気通信役務をいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者は、その適切、公平かつ安定的な提供に努めなければならない。
電気通信事業法14条1項
 法7条の総務省令で定める電気通信役務は、次に掲げる電気通信役務(卸電気通信役務を含む。)とする。
 (以下略)

2017年2月8日水曜日

読み放題サービス

朝日新聞の経済面「けいざい+新話」で「変わる出版ビジネス」という連載が2月8日から始まりました。
冒頭で、昨年、始まったばかりのアマゾンの読み放題サービスの対象から、人気の書籍が大量に外れ、講談社という大手出版社が抗議を公開するという出来事を紹介しています。その時のニュースは各社いろいろありましたが、朝日のツイートから。
抗議を公開した講談社のリリースは下記PDF。
2016年10月3日
アマゾン「キンドル アンリミテッド」サービスにおける講談社作品の配信停止につきまして

2月8日に連載開始した記事は、朝日新聞デジタルでも読めます。
ただ、朝日新聞の紙面には載ってませんが、朝日新聞デジタルには、アマゾンのキンドルコンテンツ事業本部長に対するインタビューが掲載されています。
下記のツイートから。
契約内容等は言えないのはやむを得ないところですが、出版に関する課題を違った観点から眺めるには参考になるものもありました。

2017年2月3日金曜日

不正注文と送付先対策

時事ドットコムのツイートから。
記事によると
「複数のIDで同時に大量に商品が購入され、送り先が同じ場合の配送先住所などが対象となる。」
とされています。

同一商品や大量注文が同じ送付先の場合、ごく普通の事業者が仕入として行っていることもあります。
しかし、送付先が単なる普通のマンションの一室や廃屋、または現在更地で倉庫もなにもないなど、およそ事業者の本拠とは言えない外形だったりした場合は、詐欺、の疑いは濃厚すぎるほど濃厚です。
これらは、普通の地図(衛星写真も含む)や、ストリートビューで比較的簡単にチェックできるはずです。
でも送付してしまった後では、動産の場合は特に商品の追跡も困難です。

詐欺や悪徳商法の「三種の神器」の一つに「他人名義の携帯電話」がありますが、こうした道具を取得不能(著しく困難にする)ことが重要です。
商品を騙取するためには「受領」が不可欠で、そのための場所が不可欠でです。

「送付先がおかしい」との問題は以前からも「空き室のはずなのに、誰かが勝手に使っている」などが報道などでも指摘されていました。
レンタルオフィスやバーチャルオフィスは犯収法の本人確認がかかってきましたが、口座の売買がどんどん巧妙化したのと同じく、送付先の確保も巧妙化していくだけに情報の共有による予防は重要だと思います。

ちなみに、上記記事で同じく紹介されている空き室情報の提供については

楽天と公益財団法人日本賃貸住宅管理協会との3者共同で不正注文防止・おとり物件対策を目的とした取組み開始について、下記のリリースがあります。

2016年11月18日

2017年2月2日木曜日

検索結果の削除請求

24時間も経ってないのに、もうたくさんの報道記事や弁護士による解説・コメントが出ているので、備忘のため、いくつかメモ。

決定は既に裁判所のサイトにてアップされていた。
決定文PDF

報道機関のツイートから。
時事ドットコムのツイートに貼られているリンクつまり本家のサイトには「検索結果削除請求の流れ」という図もついた記事が掲載されている。
この朝日新聞の記事も同様に詳しい。
実紙面では1面と2面の双方にスペースが多く割かれていた。
Buzzfeed に載っていた、神田弁護士や清水弁護士などのコメントを集めた記事。
これが今のところ全体を把握する上でもよいものと思う。

2017年1月25日水曜日

約款(通話通信契約)と消費者契約法

NHK、時事ドットコム、弁護士ドットコムニュースのツイートから。
訴え提起の記者会見に関するニュース。
その他もいくつか報道はあります。



今回原告となった「埼玉消費者被害をなくす会」のサイトには、訴訟に関する記事が掲載されています。

2017年1月25日

この記事には、今回の訴状のほか、これまでの同会の申入書・差止請求書、ドコモ側の回答書がそれぞれ掲載されています。
掲載されている訴状をはじめとする資料を読めば、訴訟提起に至る(原告側からみた)経緯や、論点も読み取れると思います。

原告代理人がコメントしているように、約款は携帯電話の通話等の契約に限らず、いろいろなものにあるため、「知らないうちに変更」は、ある意味で、ごく普通に存在し、生じていたわけですが、今回の最終的な結論は、それなりに影響が大きくなるとは思います。

今後の推移を見ていこうと思います。

【2018.10.4.追記】
平成30年4月19日に東京地裁で判決があったようです。
埼玉消費者被害をなくす会のサイトでも紹介されているほか、銀行法務21(2018年7月号)830号12頁にもも紹介記事があります。
なお、控訴審判決は、平成30年11月28日に予定されているとのことです。



固定電話網の円滑な移行の在り方

2017年1月24日火曜日

消費者契約法12条の「勧誘」と広告(最判H29.1.24)

消費者委員会の一昨年のとりまとめでも紛糾していた、重要論点について、平成29年1月24日、最高裁判決がありました。

ヤフーニュースのツイート(時事通信)

反応も早く結構出ていました。 もう少し待つと、たくさん出てくるはずです。 ホクネット(適格消費者団体 認定NPO法人 消費者支援ネット北海道)のツイート

京都府消費生活安全センターのツイート

判決文も裁判所のサイトにアップされていました。
PDF

この訴訟の経過については、京都消費者契約ネットワークのサイトで、訴状、判決などが公開されていて、また、代理人の解説も別のサイトに載っています(長野浩三「差止請求訴訟における「おそれ」の有無止請求訴訟における「おそれ」の有無」御池ライブラリー44号32頁)いますので、そちらで参照することができます。

【追記】
川村哲二弁護士のブログ記事(2017年1月24日)も参考になります。


(参考)
●第1審 京都地判 H27.1.21. PDF(裁判所サイト)
 景表法の有料誤認表示を認定して、原告が勝訴していますので、消費者契約法の判断はされていませんでした。

●控訴審 大阪高判 H28.2.25.判例時報2296-81
 第1審を取消し、景表法の有料誤認表示も、消費者契約法の勧誘該当性も否定しました。


上記のツイート等でも紹介されているように、判決文では、該当性を否定した原審(大阪高裁)の判断について
本件チラシの配布が不特定多数の消費者に向けて行う働きか けであることを理由に法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たるとは認められ ないとした原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法がある。 
としています。

その理由として、
 ところで,上記各規定にいう「勧誘」について法に定義規定は置かれていないところ,例えば,事業者が,その記載内容全体から判断して消費者が当該事業者の商品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るような新聞広告により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは,当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから,事業者等が不特定多数の消費者に向けて働きかけを行う場合を上記各規定にいう「勧誘」に当たらないとしてその適用対象から一律に除外することは,上記の法の趣旨目的に照らし相当とはいい難い。
 したがって,事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても,そのことから直ちにその働きかけが法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないというべきである。
としています。

訴訟そのものは
 しかしながら,前記事実関係等によれば,本件チラシの配布について上記各項にいう「現に行い又は行うおそれがある」ということはできないから,上告人の上記各項に基づく請求を棄却した原審の判断は,結論において是認することができる。
論旨は,原判決の結論に影響を及ぼさない事項についての違法をいうものにすぎず,採用することができない。
として棄却していますが、これまでの「勧誘」と「広告」の関係については、内閣府の逐条解説で示されていた解釈が(異論も激しく存在していましたが)当然のもののように扱われていて、今回の判決で示された考え方は、一昨年の消費者委員会のとりまとめの際にも物凄く紛糾していたところです。

その意味でとても重要な判断で、今後の論考や影響をよくみていく必要があります。


2017年1月19日木曜日

電子マネー関係の判決

NHKのニュースから。
電子マネーの利用先が提供する商品や役務の不正さ(出会えない出会い系など)の問題ではなく、次の特徴がある案件であったようです。
1)スマートフォンを紛失した
2)通信契約を停止
3)電子マネーの利用停止は講じなかった
4)電子マネーを不正に使われた

上記ニュースによると、原審が利用者の敗訴だったのに対し、控訴審〔1〕 では注意義務違反を認めて利用者の勝訴となったようです。
注意義務の内容、発生原因などを、もう少し詳しく知りたいところです。 分かり次第、適宜、補充していこうと思います。

〔1〕 東京高判平成29.1.18.判例時報2356号121頁