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2013年3月28日木曜日

訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争


53 訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争 
平成25年2月4日付け東京都生活文化局
訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争
―東京都消費者被害救済委員会に付託― 
平成25年3月27日現在、まだ審議中という表示です。
公開されている概要(PDF)をみると、案件概要(紛争の概要)、付託理由、が記載されています。 

案件は、特段珍しいものではなく、「訪問販売で、モバイルWiFiルータの方が外出先でも使えて便利、光より速い、通信料金も安い、説明され、よくわからないが契約してしまった、回線品質が悪いので、9日後に解約したら 1 か月分の通信料金等と解約料金の合計で約4万5千円の請求された。」というもの。

注目したのは「付託理由」で 
通信契約は、特定商取引に関する法律(以下「特商法」という。)の適用除外となっているが、本件と同様の相談が多数寄せられている。相談の現場では解決困難な状況にあり、相談の解決指針が求められていることから、付託した。  
というところ。

通信契約と特商法適用除外に関する問題は、相談の現場で応対される相談員の人たちからも「どうしたらいいのか」と必ず受けるもの。

例えば
●「電気通信サービスの電話勧誘」(2012年7月4日)
 (岩手県民生活センター消費生活情報での紹介事例)
Q:インターネット回線(光ファイバーなど)の勧誘を受けた時はどんな点に注意したらよいのでしょうか。
 (相談の事例)
① 電話会社の代理店からプロバイダや光回線の利用を勧める電話が頻繁にかかってきて迷惑しています。どうにかできないでしょうか。(年代不明 男性)
② 現在利用している電話会社の光回線を「当社に乗り換えると料金が安くなります」という勧誘電話を受け応じました。その後家族から反対されたので翌日すぐに断りの電話を入れましたが、「電話で契約は成立しているので、キャンセルするならキャンセル料金が数万円かかります」と言われました。勧誘の電話に応じただけで、利用もしてないので納得いきません。クーリング・オフはできないのでしょうか。(40代 男性)

電気通信サービスにおける販売勧誘局面での消費者トラブルについては、内閣府消費者委員会でもヒアリングと議論がされていました。

 議事録は HTML版とPDF版が公開されています。


福岡市消費生活センターの説明には、電気通信関連での、あっせん率の高さと相談員の負担増、の指摘があります。
「本市においては、消費者に助言をして、消費者が自ら解決するための支援をするということを基本の解決方法としておりますが、消費者と事業者の間で交渉がうまくいかない場合、相談員が事業者との交渉を行う「あっせん」をしております。通常あっせんは相談全体の9%程度になっていますが、この分野に関しましては、あっせん率が20%前後と通常の倍以上となっており、消費者だけでは解決がつかないケースが増えておりまして、消費生活センターにとっても、相談員にとっても大変負担のかかる分野になっています。」

※ 赤字と下線は私が付しました。


 議事録は HTML版とPDF版が公開されています。


山口委員長代理の発言
~「代理店」に対する厳しい指摘が何ヵ所かあります。
「自主基準をつくられて、それの遵守を努力されようとしているのはよくわかりますけれども、第1次、第2次、第3次と代理店の末端まで行きますと、ほとんど電気通信事業者としてのセンスがない、ほかの事業をやっている事業者が、代理店としてついでにこの事業も行うというようなことになると、自主基準をきちんと守らせるということがどこまで徹底されているのか。そこが非常に疑問です。ことしの4月から自主基準を実施しているとおっしゃいますが、どこまでその効果が上がっているのか。代理店に対する周知徹底について、どういうふうにお考えなのか。」
「これは福岡市の消費生活センターから指摘があったのですが、代理店の紛争トラブルについての対応が悪いそうです。つまり、通常のあっせんになかなか代理店が応じていただけない。恐らく特商法の適用除外ということがあるものだから、通常の事業者の対応よりも紛争解決が難しいそうです。この辺は事業者を通して、代理店の紛争処理について、できるだけ消費生活センターなり、その他のあっせんに円満に応じて、リーズナブルな解決に努めるような実務上の御指導、これはお願いしたいと思います。あしたからの問題なので、是非お願いします。」
※ 赤字と下線は私が付しました。


消費者だけでは解決がつかないケースが増え、センターや相談員の双方に大きな負担となっている、しかし、「あっせん」に付される率も高いのに「あっせん」に応じないというのでは、解決に至るのはとても困難だと思われます。
発言に「恐らく特商法の適用除外ということがあるものだから」とあるように、この点を棚上げしていくのは限界に来ているのかもしれないと感じさせるやりとりです。

 議事録は HTML版とPDF版が公開されています。


・細川委員の発言
~「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」に関しての発言
 「きょう、御説明したとおり、25年3月末時点までは様子を見て、そこで明確な改善が見られない場合は直ちに法改正も含めて対応することという、消費者委員会のかなり強い意思表示であります。きょうは、事業者あるいは事業者団体の方もお越しかもしれませんけれども、本当にひどすぎるというふうに多くの国民が思っていますから、ここでしっかりやるならやる。やれないのだったら法規制できっぱりやる。それについて、消費者委員会は明確な意思表示をしている、そういうふうに理解いただければと思います。」


●「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言

消費者委員会の発言にあった「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」は2012年12月11日に公表されました。

「2.とられるべき対策」として、次の記載があります。
 総務省は、代理店を含む電気通信事業者による自主基準等の遵守の徹底を図るとともに、前述のクーリング・オフや自動更新の問題についても改善を促すこと。また、その改善状況の検証を行い、平成25年3月末時点での状況について、データを含む詳細がとりまとまり次第、速やかに当委員会へ報告すること。
 同検証において、相談件数が明確な減少傾向になる等の一定の改善が見られない場合には、総務省及び消費者庁は協議を行ったうえで、以下の(1)又は(2)いずれかにより、消費者が契約内容を十分理解して利用できる環境の実現を図るための法的措置を講じることを含め、必要な措置を検討し確実に実施すること

(1)電気通信事業法及び電気通信事業法施行令(昭和60年政令第75号)等を改正し、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売において特定商取引法と同レベルの消費者保護規定を導入するとともに、店舗販売の場面においても契約者の年齢や知識を踏まえた説明を行うべきこと等の消費者保護に配慮した規定を設けることを含め、必要な措置を検討し確実に実施する。

(2)電気通信事業者の役務提供契約について、特定商取引法の適用除外を廃止するとともに、店舗販売においても(1)同様の消費者保護に配慮した規定を設けるべく電気通信事業法等を改正することを含め、必要な措置を検討し確実に実施する。
※ 赤字と下線は私が付しました。


電気通信事業法、特商法などの法改正を「含め、必要な措置を」とするにとどまっているので、消費者側が求めている法改正へすぐ結びつくものではありません。

ただ、解決の指針がないまま、相談を含む現場での、個別対応・解決だけに頼っている現状は、すでに担当する人たちが対応できる能力というかキャパシティの限界を超えつつあることは、上記の議事録や資料を見る限り、みてとれると思います。

今回の付託案件の結果を含め、今後、提言のいう「一定の改善」がみられるか(指針が打ち出せるか)、引き続きみていかないといけないですね。


【追記】

国民生活センターからもモバイルデータ通信絡みの発表がありました。

[2013年4月4日:公表]
モバイルデータ通信の相談が増加



2013年3月26日火曜日

権利侵害の明白性と発信者情報開示請求 (メモ)

神田知宏弁護士が、ご自身のブログ(下記)で、発信者情報開示請求において、「東京地裁平成25年1月17日判決で・・・真実と信じるにつき相当な理由の不存在は,権利侵害の明白性の要件でないと判示してもらうことができました」と報告しています。

「真実と信じるについて相当な理由」と発信者情報開示請求(IT弁護士カンダのメモ)

結構大事な論点なので、後々の備忘としてメモするとともに、整理してメモしておこうと思います。

プロバイダ責任制限法4条1項は、発信者情報開示請求の要件として次の2点いずれも充たすことを挙げています(便宜的に法文の表現より短くしています)。
① 権利侵害の明白性
② 損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

①権利侵害の明白性を不要とすべき見解(プロバイダ責任制限法検証WG(第4回会合)資料4の4頁)は、ここでは触れないことにします。

次の点を整理してみようと思います。
~「権利侵害の明白性」の要件として『阻却事由の不存在』を必要とするのか


平成23年7月に公表された総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」27頁「4(1)権利侵害の明白性」以下に、次の指摘があります。

提言本体→(PDF
イ 「権利侵害の明白性」と違法性阻却事由不存在の関係
 (中略)
「・・・「権利侵害の明白性」に関し、違法性阻却事由の不存在を含むべきではないと考えることは適当ではないと考えられる(ただし、真に権利侵害がなされたか否かについては、発信者の主張立証を確認しなければ判断できないことからすると、プロバイダ等と被害を被ったと主張する者との間において要求される「権利侵害の明白性」については、損害賠償請求等で求められる「権利侵害」があったことと同程度の立証まで求められるわけではないと考えることもできる。)。
なんだか突っ込み不足のような不思議な印象を受けました。 ただ、この提言の末尾には、発信者情報開示請求に関する裁判例を網羅的に紹介する資料がついていて(これは大変便利)、裁判例の中には、もう少し突っ込んだ点まで争点になっていたものがあります。

例えば東京地判平成17年8月29日(判タ1200号286頁)は、名誉毀損事案において
「被害者は、この権利侵害要件につき,当該侵害情報によりその社会的評価が低下した等の権利侵害に係る客観的事実はもとより、その侵害行為の違法性を阻却する事由が存在しないことについても主張、立証する必要があると解するのが相当である。」
とする一方で
「名誉毀損行為についてみれば、・・・その事実を真実と信じるについて相当の理由があるときは、故意又は過失がなく、不法行為の成立が否定されると解されるところ、被害者は・・・上記のような主観的要件に係る阻却事由の不存在についてまでのの主張、立証責任を負担するものではないと解するのが相当である。」
としていますが、この点は「提言」で触れられていませんでした。


神田弁護士が紹介されているように、法4条1項2号の「正当な理由」は、例えば請求権発生要件として主観的要件を不要とする場合の権利行使にも肯定され、そのことに異論は出ないはずなので、それを踏まえて1号と2号とを整合的、統一的に説明しようと試みるならば、神田弁護士のブログでの指摘の方が問題点の把握がしやすいです。

神田弁護士が獲得された裁判例が公刊物に載ったときは、ぜひ拝見したいですね。




2013年3月25日月曜日

オンラインゲームに関する問題(資料)

インターネット消費者取引連絡会の公開資料の中に、オンラインゲームに関する新しい資料があったので、メモ。



(第7回) 平成24年12月5日
議事要旨(PDF)

(資料1)  独立行政法人国民生活センター「オンラインゲームに関する相談の状況」
(資料2-1)一般社団法人ソーシャルゲーム協会「一般社団法人ソーシャルゲーム協
会(JASGA)の発足について」
(資料2-2)同「一般社団法人ソーシャルゲーム協会の概要」
(資料3)  一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会「『第7回インターネット消費者取引連絡会』発表資料(CESA)」
(資料4) 一般社団法人日本オンラインゲーム協会「一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)の消費者対策」
(参考1)「オンラインゲーム安心安全宣言」
(参考2)「オンラインゲームにおけるビジネスモデルの企画設計および運用ガイドライン」
(参考3)「ランダム型アイテム提供方式における表示および運営ガイドライン」


(資料1)11頁に「パッケージガチャ」「ボックスガチャ」という新しいガチャについての相談事例が紹介されていました。

上記の資料によれば「パッケージガチャ」「ボックスガチャ」とは
例: 大きなボックス(ガチャ)にアイテムが300個入っている。その中に欲しいアイテムがあり手に入れたければ、すべて購入すれば確実に手に入れられる。ただし、ガチャ1回300円とすると合計9万円必要となる。 
だそうです。

議事要旨にも次の記載があります。
【いわゆる「パッケージガチャ」】
・  相談事例として、いわゆる「パッケージガチャ」についての紹介があったが、この仕組は、何個のくじの中にどのようなアイテムが何個入っているかが明示されており、従来のガチャのように欲しいアイテムがどのような確率で出てくるのか分からない仕組に比べれば、消費者が合理的な判断が可能となるので良いのではないか。
・  「パッケージガチャ」は、「確率が事業者によって操作され、一定ではなく、最後までガチャを回さないと当たりが出ないのではないか」と消費者が疑心暗鬼になるとの話を聞いたことがある。
個人的には、一部の事業者がそのようなことをしているのではないかと思っており、業界団体には、一定の確率で当たりが出るよう事業者に徹底していただきたい。
・  業界団体としては、指摘のようなことをしている事業者がいるとすれば、ビジネスをする資格はなく、この場で議論する以前の問題ではないかと考える。 



自分が小学生のころ、駄菓子屋や文房具屋の軒先にあったガチャガチャで「アタリ」が出ると当時流行していた「ゲームウォッチ」がもらえるということがありました(今リバイバルされているらしい。)
友達が「絶対にアタリが入っているんだから、ガチャガチャをアタリが出るまで全部出しちゃえばいいんだ。買うよりも安いよ」と言って本当にガチャガチャをアタリが出るまで出していました(1回20円だったが、私はガチャガチャを全部出し切る小遣いは持っていなかったから出来ないし、してない)。

資料で定義づけられた「パッケージガチャ」「ボックスガチャ」は、これに近い行動動機を生み出す感覚がします。
(上記の小学生の時の昔話でさえ、そのガチャガチャだってアタリが「絶対に」入っているとは本当はわからなかったし、疑心暗鬼になるのも不自然ではなく、確率操作が入っているなら欺瞞性が高いからビジネスをする資格がないという意見もよくわかります。)




オンラインゲームについては、過去にもメモをしました。

<ブログの過去記事>
オンラインゲームに関する問題(資料)(2012年4月10日付け記事)
 「インターネット消費者取引連絡会」第4回(平成24年2月16日)の資料をメモ

オンラインゲームと課金(2012年9月6日付け記事)

2013年3月24日日曜日

ブログを引越

3月に、ブログを、ココログから blogger に引っ越ししました。

少し前から、blogger でも記事の公開を始めていたのですが、データコンバートの状態を確認しながら、乱れた箇所は直したり、リンク切れも整理したりしていたので、一時期「移行期間」にしていました。
そのうち、全体が整ってきたので、ココログ上に置いていたデータは完全に消し、少し前に、移行期間をやめて、本稼働にしました。

引っ越しにあたっては、どうやらデータ形式が違う、「単なるエクスポート→インポートじゃない」「一手間必要らしい」とわかり、ネットで調べなら作業しました。
次の記事は大変参考になりました。

ココログからBloggerにエクスポート」(J's Garage


ココログに関しては、使い勝手がよくないなぁとフラストレーションを感じていなかったので、以前から引っ越しをしたいと思っていました。
ただ、そもそもブログの更新頻度が極めて低く、結局のところ作業する機会(ログイン)すらあまりなくて、のびのびになっていました。

他方で、備忘のため、目に付いたものをメモしておき、後から参照したり、メモを横断的に整理してまとめ直したり、といった作業は、いろいろなツールで試してきました。

ただ、いずれのツールも、最初は便利だなぁと思っても、メモの数が溜まってくると、なんかメンドクサイというか、パッと直感的に整理できない、必要なものだけを選び出して使うことができないので、イライラして、メモだけが溜まる、最後はメモすらしなくなる(後で見ておくべきと思える情報もすらも)という悪い状態でした。

そんなとき、何をみてかは全く思い出せないのですが、Google+ だと検索が容易であるという記事をみて、自分のイライラの原因が「後からパッと参照することができないこと」なんだ、と気がつきました。

そこで、後から検索する、つまり検索なら、Google の blogger かな?と思い立ち、引っ越しした次第です。

幸いなことに、写真などのデータはなく、テキストだけだったので、引っ越しは簡単に終わりました。
ココログからの引っ越しで一番苦労するのは、写真などのデータ移行(ココログは一発でできない)なだけに、結果的に助かりました。

しばらくメモしたりクリップしては、後から整理していくことをしてみようと思います。

2013年3月22日金曜日

インターネットと選挙運動

(1)法案・審議経過

公職選挙法の一部を改正する法律案(第183回国会)
これが選挙運動をインターネットを通じて行うことを明示するための改正案です。

衆議院のサイトで下記の資料がみられます。

第183回国会 衆法(衆議院議員提出法律案)

1号(民) 要綱  提出時法律案

3号(自) 要綱  提出時法律案

(追記)
●会議録議事情報(政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
  平成25年3月22日 第4号 提出者による趣旨説明 があります。


両者の違いは、各種の報道にあるように、142条の4(電子メールを利用する方法による文書図画の頒布)における「主体」にみられます。

前者は「何人も」としています。

後者は「次の各号に掲げる選挙においては、それぞれ当該各号に定めるものは」としています。
簡単にいえば、候補者、候補者届出政党、名簿搭載者などに絞られ、一般有権者は含まれていません。

今後、審議が進み、どう変更されていくのか、されないのかわかりませんが、今夏の参院選からという予定のようなので(各法律案とも「公布日から1ヵ月経過した日から施行」を予定)、時間的に残されたものは多くないでしょう。

(2)プロバイダ責任制限法の改正案部分

なお、注目しておきたいのは、プロバイダ責任制限法の一部改正も含まれている点で、内容は両法案とも全く同じでした。
内容は、送信防止措置について選挙運動部分の特則を設けることですが、意見照会期間を2日に大幅短縮するほか、表示義務に関する違反があると送信防止措置を講じても免責されるというものを想定しているようです。
実際に応対するプロバイダ側の負担は、それなりにありそうです(どちらの法案であっても、数は増えるでしょうし)。

(3)各党の見解・想定される論点などの紹介

●新経済連盟のシンポジウム

上記シンポジウムの内容を紹介したもの。

この改正があったからといって、プロバイダが楽になるわけではなく(削除の見極めが楽になるわけではない)、問題があることが示されています。
特に、鈴木議員、遠山議員の発言として紹介されている部分は、参考になるでしょう。


(4)過去の資料

●三輪和宏「調査と情報我が国のインターネット選挙運動 ―その規制と改革―
 国立国会図書館 調査と情報第517号 ISSUE BRIEF  NUMBER 517(MAR.6.2006)

 2006年時点での、過去の動きがまとめられたもの。


2013年3月21日木曜日

スポーツ団体の運営・倫理

ここ数年、明らかにされてきている、各種の競技団体の抱える問題点について考える材料。


●一般財団法人日本スポーツ仲裁機構
  「トラブルのないスポーツ団体運営のためにガバナンスガイドブック
  PDFとウェブ版と双方あります。


基礎から学びたい
  「ガバナンスはなぜ必要?」
  「ガバナンス」とは何?
  「ガバナンス」への取り組み
具体的に現状を把握したい
  「ガバナンスチェックリスト」
事例から学びたい
  「理事の改選時期なのですが。どのような点を考慮すべきでしょうか。」
  「競技者が選考結果に納得しません。選考はどのように行うべきでしょうか。」
  「ドーピング防止を徹底したいのですが。どのようなドーピング防止体制を整備すればよいでしょうか。」
  「スポーツ団体の役員による不正経理が発覚しました。どのように対処すべきでしょうか。」
  「スポーツ団体で不祥事が発覚しました。どのように対応すべきでしょうか。」
もっと知りたい
  「紛争を解決するために~JSAAのご案内」


●公益財団法人日本体育協会
  「公益財団法人日本体育協会及び加盟団体における倫理に関するガイドライン
  平成16年4月1日制定
  平成23年4月1日改定

 近年、加盟団体及び所属関係団体において、人道的問題(指導者の競技選手に対する暴力やセクシュアル・ハラスメントなど)あるいは補助金などの不適切な処理又は横領など、訴訟にも及ぶ問題が発生していることは、誠に憂えるべき事態であるとともに、自らの組織団体においても十分な留意が必要である。
 このような状況をも十分に考慮し、本会及び加盟団体においては、常に公明正大でかつ健全化を目指した組織体制の整備と健全な組織運営を図っていく必要があり、そのために必要な倫理に関する諸事項をガイドラインとしてまとめたものである。

項目をみていくと、現実の方はかなり乖離しているのかなと感じる。

ガイドライン自体も、特に2(4)の注釈は、理解できなくないが、そういう苦情を面と向かって言えない現実があることが正に問題であり、そちらの方が重視されるべきで、「イヤなら言えよ」的になって選手に押しつけているところは問題だと思う。

ただ作っただけなのかもしれないと感じてしまう。

Ⅰ.人道的行為に起因する事項
 1. 身体的・精神的暴力(バイオレンス)行為等について
   (中略)
  (1)組織の運営又はスポーツを指導する際に意見の相違などが生じた場合は、互    いに話し合い、相手の人格を尊重して相互理解に努めること。
    特に監督・コーチ等の指導的立場にある者は、競技者等への指導の際、暴力     行為と受け取られるような行いには十分留意すること。

  (2)スポーツを行う際又は指導する際に問題解決の手段として、暴力行為(直接的    暴力、暴言、脅迫、威圧等)を行うことは、厳に禁ずる。

 2.身体的及び精神的セクシュアル・ハラスメントについて
   (中略)
  (2)親しみの言動、表現であっても、個人によって受け止め方に違いがあることを     認識すること。
  (3)本人に悪意がない場合でも、その言動によって相手が不快に感じた場合は、     セクシュアル・ハラスメントになることを認識すること。
  (4)性的言動、表現を受けて不快に感じた場合は、無視せずに相手に対して「不快    である」旨を、はっきりと意思表示をすること。
    (注意…無視した場合は、「受け容れている」と相手に誤解される恐れがある。)

   (中略)
4.役員及び監督・コーチ・審判員等の指導的立場にある者並びに競技者等の関係の在り方について
 相手の立場を尊重するとともに、自分の置かれている立場を自覚して責任ある行動に努めること。

  (1)役員及び監督・コーチ・審判員等の指導的立場にある者並びに競技者等は、     上司と部下、先輩と後輩などの上下関係を利用し、立場の弱い者に対して、人    道的に反する行動や強要をしないこと。

  (2)役員及び監督・コーチ・審判員等の指導的立場にある者は、その立場、役割、    権限等の範囲を超えた精神的・身体的暴力行為等をスポーツ競技会・行事など    に携わる関係者及び競技者等に与えないこと。

  (3)プライバシー(個人的人権)の問題については、役員・監督・コーチ・審判員等     指導的立場にある者及び競技者等がそれぞれ十分配慮すること。 

2013年3月19日火曜日

増大するトラヒック(メモ)

以前「増大するトラヒック(メモ)」で触れた統計が更新されて、総務省サイトで公表されていた。


●平成24年3月16日 総務省
我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算 2011年11月時点の集計結果の公表

 「我が国のインターネットにおけるトラヒック総量の把握」というPDFの中にある「3.我が国のインターネットトラヒックの現状」をみると、増加していることが明白です。
 平成23年(2011年)は大きくダウンロードトラヒックが伸びています。

●平成24年9月28日 総務省
我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算 2012年5月時点の集計結果の公表

 上記から半年後のものですが、同じく「我が国のインターネットにおけるトラヒック総量の把握」というPDFの中にある「2.我が国のインターネットトラヒックの現状」をみると、過去数年間の増加の割合を一目で把握する統計が記載されています。

2013年3月13日水曜日

小型家電リサイクル法


●使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律


1.施行期日  平成25年4月1日

2.経済産業省3R政策のページ

上記にある「法律原文と参照資料」で関係法令がまとめられている。
  ただし、現在、上記でみられる法文のPDFは縦書きで、また横書きを縦書きに変換したようでカッコだけが横向きになって見た目も変で読みにくく、テキストを使おうと選択すると文章どおりにクリップできなくて、すごい不便・・・。

  成立法文をみるなら、衆議院のサイトにある制定法律のページから「第180回国会 制定法律の一覧」で
「57 法律第五十七号(平成二四・八・一〇)
    ◎使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律
の方を参照する方法が、横書きで、見やすいし、クリップしても乱れない。

基本的な用語の定義(第2条)だけ拾ってみた。
(※ 赤青色と下線は私が付しました。)

●「小型電子機器等
→ 
一般消費者が通常生活の用に供する電子機器その他の電気機械器具(特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)第二条第四項に規定する特定家庭用機器を除く。)であって、次の各号のいずれにも該当するものとして政令で定めるものをいう。

 1 当該電気機械器具が廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。次号及び第十条第三項第一号において同じ。)となった場合において、その効率的な収集及び運搬が可能であると認められるもの
 2 当該電気機械器具が廃棄物となった場合におけるその再資源化が廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用を図る上で特に必要なもののうち、当該再資源化に係る経済性の面における制約が著しくないと認められるもの

●「使用済小型電子機器等
→ 小型電子機器等のうち、その使用を終了したもの

 ※使用を終了していないものはこの法律の対象外→古物営業法などの規制あり

●「再資源化
→ 使用済小型電子機器等の全部又は一部を原材料又は部品その他製品の一部として利用することができる状態にすること

3.環境省小型家電リサイクル法関連のページ

上記の「関連情報」に、ガイドラインがまとめられている。

 ●「再資源化事業計画の申請に関するQ&A

  これは事業者向けではあるが、消費者側からみても参考になるものが多い。
  
Q&Aを見ながら、後で役立つかもしれないと気になった思った点を少し整理してみた。
(※ 赤青の色は私が付しました。)

(1)認定
(第10条)
 使用済小型電子機器等の再資源化のための使用済小型電子機器等の収集、運搬及び処分(再生を含む。以下同じ。)の事業(以下「再資源化事業」という。)を行おうとする者当該収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託して当該再資源化事業を行おうとする者を含む。)は、主務省令で定めるところにより、使用済小型電子機器等の再資源化事業の実施に関する計画(以下この条及び次条第四項第一号において「再資源化事業計画」という。)を作成し、主務大臣の認定を申請することができる
(2)廃棄物処理の許可との関係
(法第13条1項)
 認定事業者は、廃棄物処理法第7条第1項若しくは第6項又は第14条第1項若しくは第6項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る使用済小型電子機器等の再資源化に必要な行為一般廃棄物(廃棄物処理法第2条第2項に規定する一般廃棄物をいう。第7項において同じ。)又は産業廃棄物(廃棄物処理法第二条第四項に規定する産業廃棄物をいう。次項及び次条第1項において同じ。)の収集若しくは運搬又は処分に該当するものに限る。第3項において同じ。)を業として実施することができる。
※ 廃棄物処理法第7条第1項若しくは第6項
    →「一般廃棄物の収集・運搬・処分の許可」
※ 同法第14条第1項若しくは第6項
    →「産業廃棄物のの収集・運搬・処分の許可」
①「一般廃棄物処理施設」を「設置」 → 特例対象外 → 許可が必要
②「産業廃棄物処理施設」を「設置」 → 特例対象外 → 許可が必要
(3)委託 
(法第13条2項)
 認定事業者は、前項に規定する行為(産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分に該当するものに限る。)を認定計画に記載された第10条第2項第6号に規定する者に委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
(法第13条3項)
 認定事業者の委託を受けて使用済小型電子機器等の再資源化に必要な行為を業として実施する者認定計画に記載された第10条第2項第6号に規定する者に限る。)は、廃棄物処理法第7条第1項若しくは第6項又は第14条第1項若しくは第6項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、認定計画に従って行う使用済小型電子機器等の再資源化に必要な行為を業として行うことができる
(4)自治体からの引取要請
(法12条)
 認定事業者は、第10条第2項第4号に掲げる区域内の市町村から、当該市町村が分別して収集した使用済小型電子機器等の引取りを求められたときは、主務省令で定める正当な理由がある場合を除き、当該使用済小型電子機器等を引き取らなければならない。

4.その他

環境省平成25年3月6日

2013年3月7日木曜日

ビッグデータの取扱いに関する問題

岡村久道弁護士のインタビュー記事「ビッグデータで日本のITは活性化するか」が、ITProで連載されていた(全3回)。

(1)[岡村弁護士に聞く] ビッグデータの法的論点とは 2013/01/16


※触れられている資料
情報通信審議会  ICT基本戦略ボード ビッグデータの活用に関するアドホックグループ
  「取りまとめ」 2012/5/17


(2)[岡村弁護士に聞く] ライフデータを取得するときの注意点 2013/02/04

(3)[岡村弁護士に聞く] 個人情報、プライバシー、通信の秘密それぞれに配慮せよ 2013/03/07

※触れられている資料

・「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」
・「スマートフォン プライバシー イニシアティブ
「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」第二次提言

2013年3月4日月曜日

「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を全面改正

平成25年4月1日施行、ということで、一応メモ。

●経済産業省ニュースリリース(平成25年2月8日)
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を全面改正しました
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(1)既存試料・情報の外部提供
 長期的な追跡研究を適正に実施するため、外部の機関が保存している既存試料・情報を、連結可能匿名化の状態で提供する場合の要件・手続等を整備しました。
(2)インフォームド・コンセント
 試料・情報の提供を受ける場合であって、将来的に他のヒトゲノム・遺伝子解析研究への利用や他の研究機関への提供が想定されるときは、その可能性や利用手続等について、試料・情報の提供者に十分な説明をした上で、インフォームド・コンセントを受けるものとするよう規定を改正しま
した。
(3)遺伝情報の開示
 ヒトゲノム・遺伝子解析研究により得られる遺伝情報については、試料・情報の提供者の健康状態等を評価するための情報として精度や確実性が十分でない場合があること等から、遺伝情報の開示に係る要件・手続等の規定を改正しました。 
(4)安全管理に配慮した遺伝情報の取扱い等
 遺伝情報の取扱いに係る安全管理措置の明確化や、研究者及び倫理審査委員会の委員に対する教育・研修に係る規定の整備等をおこないました。 

※赤字と下線は私が付しました。


また「改正の概要」(「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針の改正について(参考)」というPDF)は、図表が改正のイメージを掴む上で、わかりやすいと思います。
そこに書かれた改正案の次の点がポイントでしょうか。
1.コホート研究における長期的な追跡を可能とするため、匿名化に関する規定を改正
(現行指針)
情報等を提供する場合には、匿名化し、かつ、提供元の対応表を破棄することを原則とする。
(改正案)
匿名化の方法を見直し、長期的な追跡研究が実施できるよう、対応表は別途厳重に管理した上で、情報等を提供できるように見直し。

●経済産業省ニュースリリース(平成25年3月4日)
ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」説明会を開催します


経済産業省、文部科学省、厚生労働省の合同開催
平成25年3月18日(月)  14:00~15:00