ページ

2016年12月28日水曜日

オンライン旅行取引

第22回インターネット消費者取引連絡会が平成28年9月30日に開かれて、「オンライン旅行取引」がテーマとして取り上げられていました。

消費者庁のサイトに、資料と議事要旨が掲載されています。
この分野では大手というか著名なサイトの事業者の資料も掲載されています。

また、「オンライン旅行取引の表示等に関する ガイドライン」というものが、2015年6月に観光庁から公表されています。
ガイドライン策定にあたっては、「OTAガイドライン策定検討委員会」が開催されていたので、その際の資料は見ることができます(議事要旨などは掲載されていないようです。)。


インターネット取引の増加を踏まえたガイドラインの作成等は、「旅行産業研究会」(平成25年9月30日から平成26年3月10日まで計8回。観光庁)が平成26年5月に公表した下記のとりまとめで既に触れられていたものです。

●観光庁報道発表(最終更新日:2014年5月21日)
「旅行産業の今後と旅行業法制度の見直しに係る方向性について」が取りまとめられました

PDF「旅行産業の今後と旅行業法制度の見直しに係る方向性について

この「とりまとめ」については、下記のコメントがわかりやすく触れたものだと思います。
なお、旅行産業研究会は、資料だけでなく、議事要旨も掲載されており、課題など議論の経緯を見ることができます。


旅行と消費生活相談、については、国民生活センターのウェブ版月刊国民生活の「誌上法学講座」に連載されていた

「消費生活相談に役立つ旅行の法律知識」

オンライン旅行取引の関係では、最終回

2016年3月号(No.44)

がコンパクトにまとまっていて概観するのにも有益です。



2016年12月18日日曜日

アダルトサイトとのトラブル解決をうたう探偵業と消費者トラブル

国民生活センターが、探偵業者に関する次の発表をしました。

[2016年12月15日:公表]
「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!


1.ツイート

日経電子版のツイートのほか、消費者支援機構関西をはじめ、いろいろとツイートでの反応がみられます。


この問題は、
①消費者側に対し、「探偵業者が法律上できること・できないこと」について正しい情報が伝わっていないこと、
②依頼をしてしまう人には「焦っている」ことが多く、情報が届いていないこと、
などが原因でもあり、そこの解消が必要でしょう。

個人的には、京都府消費生活安全センターの下記のツイートが、核心部分を突いたコメントだと思います。

京都府消費生活センターのツイートに記載されているハッシュタグにあるように、アダルトサイト、ワンクリック請求は、もう何年も前からありますが、なくならないです。
しかも、実際に見ている人もいれば、見てないけど、何かの弾みで広告をクリック(タップ)してしまい、当該サイトに飛んでしまうということはありますから、トラブルに遭遇した全員が後ろめたい背景を持っているわけでもありません。、

ある著名なニュースサイトをみていたら、そこで触れてしまった広告で「ウィルスに感染しています!」の表示されてしまう、「戻る」もうまく機能しない(実際には単なる広告)ことは、今でもかなり遭遇するところです。

「地雷踏んでもビビるな」というのは、その通りだなぁ、と。
そこで落ち着けるか否かで、その後に起きることを避けられるか否か、だいぶ違ってきます。


2.非弁の問題

国民生活センターの報告書では、法律的な点では探偵業法に触れた「注4」のほか、弁護士法72条に触れた「注6」の記載が重要です。

探偵業の広告宣伝と非弁の関係については、弁護士によるブログ記事を読むと、概ね問題点が掴めるでしょう。

(1)浅井淳子弁護士(2015年02月09日) 
探偵業者・調査会社の「被害回復」
(あおい法律事務所ブログ)

(2)井上伸弁護士(2011年3月17日)


3.特定商取引法関連

探偵業をめぐるトラブルは以前からあり、特定商取引法のクーリング・オフとの関係について触れた下記の資料があります。

経済産業省:消費者相談統計資料

平成24年度消費者相談報告書(経済産業省)

「Ⅳ.平成24年度消費者相談事例
 相談例C: 喫茶店で交わした調査契約のクーリング・オフについて(訪問販売)


4.探偵業法(「探偵業の業務の適正化に関する法律)

警視庁サイトに「探偵業」というサイトがあり、法令や手続の説明があります。
詐欺被害の解決・返金をうたう探偵業者について

法令関係で押さえておきたい資料は

●「探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準」(警視庁)
(平成28年3月15日)

●「探偵業法に基づく行政処分」(警視庁)
 営業停止命令が掲載されていますが、その該当事実が参考にはなります。

このほかに、他の県警サイトをみてみると「処分の基準」なども公開されています。
例:千葉県警察「 探偵業の業務の適正化に関する法律に基づく処分の公表基準


ちなみに、探偵業法の下記の条文を読むだけでも、公表されているトラブルがいかに問題なのかよくわかると思います。

●探偵業務の定義
(探偵業法2条1項)
 この法律において「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。

●探偵業務の実施の原則
(探偵業法6条)
 探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。

2016年12月2日金曜日

ドイツ取引所、ゲームアイテムの取引市場を設立へ

ロイターのツイートから。
ロイター(日本語)の記事によると、「オンラインゲームで使用される武器や仮想通貨などアイテムの取引市場」ということらしいです。

この領域は、日本の消費生活相談まわりでは、いろいろと問題がないわけではないので、どういう影響がでるか注視が必要でしょう。

2016年11月28日月曜日

携帯販売と覆面調査

記事によると、来年1月から、民間の調査員に委託して、調査を行うようです。

この記事が紹介している苦情の例は、以前から取り上げられているところです。
「身に覚えのないオプション」
「タダでもらったタブレットの通信料」(SIM対応のもの)

2016年11月16日水曜日

消費者の越境取引についての特集

越境取引についての特集

国民生活センターのサイトにある「Web版国民生活2016年11月号」の特集をみると、次のようになっていました。 PDFが誰でも閲覧可能です。

特集 越境取引と消費者問題

1 越境取引における紛争解決-国際的動向と今後の課題-
【執筆者】沢田 登志子(一般社団法人ECネットワーク理事)

2 国民生活センターCCJに寄せられた相談事例とアドバイス
【執筆者】独立行政法人国民生活センター

3 越境取引に関する法的な考え方
【執筆者】上沼 紫野(弁護士、ニューヨーク州弁護士)

この部分の現状、課題、事例、法的な知識、を簡潔に見渡せる内容になっています。 1の「課題」は「今後の可能性」を示しているのと、2の解決例からみえる課題と併せて読むと、方向性が見えてくる感じがしました。 ウェブ版の便利なところは、各執筆者が紹介しているリンク先が、PDFをクリックするだけでジャンプできる点です(特に1の沢田さんの部分は量が多いので)

2016年10月12日水曜日

消費者委員会「スマホゲームに関する消費者問題についての意見 ~注視すべき観点~」


意見書の本体は、内閣府消費者委員会のサイト(建議などの頁の2016年9月の項で既に公表されている。

内閣府消費者委員会
建議、提言、意見、答申
(2016年9月)

スマホゲームに関する消費者問題についての意見
 ~注視すべき観点~
平成28年9月20日
消費者委員会


オンラインゲームの高額課金問題にどう対処するかは、悩ましい問題です。
今回の意見を読んでみると、中でも特徴的な見出しがありました。

(電子くじの賭博罪該当可能性)

(スマホゲームの電子くじの射幸性)

ぱちんことの比較がなされています。

2016年9月6日火曜日

カウントフリーと通信の秘密

記事でとりあげられていますが、カウントフリーと通信の秘密について会見で触れていたようです。 各社も記事で、その点を紹介しているものが多いようです。
例えば、下記2つ。
LINEモバイルの嘉戸彩乃社長は会見で「(識別方法等を)利用規約に包括的に入れるよりも、あえて申し込み時に個別具体的に明確に同意をいただくことでカウントフリーサービスを提供する。同意をいただいた方のみ申し込みに進めるようにすることでユーザー保護を図る」と語った。
何も触れずにいても、ネット界隈で、必ず話題にされるでしょう(触れないことがマイナス視されかねない)し、中途半端な触れ方だとさらによくないでしょう。

ちょうど直前に、高齢者の期間拘束付サポートサービスと高額解約料の問題で炎上してしまった某社のことも視界に入っていたのかもしれません。

帯域制御ガイドライン運用基準検討協議会
➡「帯域制御の運用基準に関するガイドライン(改定) 本文(12/3月改定)」


全体を通した解説は、こちらの記事がタイムリーでよいかもしれません。

2016年9月3日土曜日

成年後見事務円滑化法の成立と施行

成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が、平成28年4月6日に成立(参議院:議案情報:第190回国会(常会))しました。

成立した法律(PDF)参議院サイト


施行は平成28年10月13日です(附則)。

この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。


この法律の逐条解説が「銀行法務21」に掲載されていました。


法務省民事局付 大塚 竜郎
「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の逐条解説」
 (上)  銀行法務21 No.803 (2016年8月号10頁)
 (下)  銀行法務21 No.804 (2016年9月号21頁)

(上)は、郵便物の回送嘱託、開披、交付などが中心です。

(下)は、主に「死後事務」に関する規定のほか、家事事件手続法の改正の解説です。

 (成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
民法 第873条の2
 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。 ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為 (前二号に掲げる行為を除く。)

逐条解説にも書かれているように、死後事務を行う要件は、各号に掲げられた「死後事務」の類型、許可の要否のほかに、柱書きにも書かれています。

1)必要性
   「必要があるとき」
2)時期
   「相続人が相続財産を管理することができるに至るまで」
3)相続人の意思
   「成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き」

そして、各号に掲げられた行為類型のうち「3号のみ許可が必要」ですが、いくつか論点はあります。

(1号)「相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

Q.1号の行為をするための費用を本人の預貯金口座から捻出する場合の許可の要否

Q.成年後見人の報酬(付与審判後)に充てるために預貯金口座から払戻を受けることの可否

Q.貸金庫の開披の可否

Q.価額低下中の投資信託の解約の可否


(2号)「相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

Q.2号の行為をするための費用を本人の預貯金口座から捻出する場合の許可の要否


(3号)「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為 (前二号に掲げる行為を除く。)

Q.火葬等の費用を本人の預貯金口座から捻出する場合の許可の要否

Q.墓地、埋葬などに関する法律9条との関係

1 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
2 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

Q.市町村長は、成年後見人が3号に基づき火葬ができることを理由にして、遺体の引取や火葬等を拒めるか。

Q.「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に、納骨に関する契約は含まれるか。

Q.「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に、葬儀は含まれるか。


以上の論点については、上記の「逐条解説」(上下)のほか、同じ号(銀行法務21 No.804)に計されている下記のものも触れており、参考になります。

●浦山慎介「成年後見関連法の施行と金融実務に与える影響」
 (銀行法務21 No.804(2016号9月号)32頁)


2016年8月18日木曜日

月々サポートと高額の契約解除料

メモ。

この問題、かなり最初の段階でツイッターでみかけた。フォローしている人の大量の関連リツイートが流れてきたから。

そのときに、「お?」と思っていたら、その後の拡がりが結構早く、かつ、広かった。

普通のニュースにも取り上げられたのは、飛びつきやすい(わかりやすい、感情などで判断しやすい)話だったこともあるのかもしれない。

ただ、何が問題なのか、どうすれば良かったか、は、きちんと整理しておかないと、似たようなサービスや料金設定は他にもたくさんあるだけに、いつものように「叩きやすいところを、盛り上がった一時的な雰囲気だけで、叩いて終わり」という「いつもの現象」になりかねない。

【H28.8.19追記】
この番組は未見だが、取り上げているテーマ、視点で、表題の問題も眺めてみたい。

2016年8月11日木曜日

「パスワードの定期的な変更」に関する問題

日経電子版のツイートから。 パスワードの変更については、こうした指摘に耳を傾ける必要があると考えます。
このテーマに関しては、いろいろな記事がありますので、それらをたくさん目を通すと、「定期的な変更」に関する問題点がわかるようになってきますし、盲目的にどちらかの見解に立つということもなくなります。

2016年8月4日木曜日

携帯電話市場における競争政策上の課題について(公正取引委員会)

平成28年8月2日、公正取引委員会が「携帯電話市場における競争政策上の課題について」を発表されました。

報告書の本体はPDFで公開されており、全19ページ。

競争政策上の課題として、取り上げられているテーマは下記(1)(2)(3)の3点です。

(1)通信役務市場

細目としては、
①通信契約と端末の一体的な販売
②SIMロック
③期間拘束・自動更新付契約(いわゆる「2年縛り」)
④MNOの通信網等に対するアクセス

(2)端末市場

細目としては
①端末購入に係る割賦契約
②中古端末の流通促進

(3)アプリケーション市場における課題(端末のOSとアプリケーション)


ちなみに、この報告書でも触れられているガイドラインをいくつか。

(公正取引委員会 報道発表)
平成28年5月20日改定
「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」の改定について

(総務省)
●平成27年12月17日
 携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース取りまとめ

●平成27年12月18日
 「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」の策定及び携帯電話事業者への要請

2016年7月8日金曜日

架空請求(コンビニ支払指示型)

このような速報の告知がありました。 
メモしておきます。

また春先には、月刊「国民生活」4月号に特集が組まれていたことを紹介する下記もあります。
悪い手口は、日々、変化していきます。
もともとは消費者の利便性を高める手法が悪い手口に活用されることは、以前からもありましたが、今日では開発される手法が多様であり、かつ、流行廃りも早いため、悪用に関する情報が流れるのが遅かったりします。

できるだけ早く注意喚起して、被害を予防していくことが、より一層求められているところです。

2016年6月22日水曜日

「AIネットワーク化検討会議 報告書2016

ツイートから存在を認識しました。
大部なのと、いろいろなことが詰まったものなので、斜め読みして目にとまった点をメモ。

まず「智連社会」という言葉。。。
・13頁に説明。
 中間報告書も読まないと、よくわからない。造語は慣れるまで、中身を理解するまでが難しい。

その他、これから(今すでに、でもあるが)考えることが、本当にいろいろとあるものだと思う。


・30頁以下「豊かさや幸せに関する評価指標」という部分
 哲学的なところもある。深く考えていかないと。

・33頁以下「第4章 リスク・シナリオ分析(ロボットを題材にして)
・36頁以下「3.シナリオの具体例」
 生起確率、リスク評価、などがリスクの種類に応じて掲載されています。


・40頁以降の「今後の課題」の部分
 全部で18項目上がっていますが、どれもこれも検討課題になるだろうと思えるもの。

・57頁「10.社会の基本ルールに関する検討」
・61頁「14.人間の在り方に関する検討」



2016年6月19日日曜日

電子マネーの決済キャンセルを巡る動画

「ねとらぼ」の記事を、備忘としてメモ。 

注目したのは、動画に写っている方の言動ではなく、記事で紹介されている「『解約しても決済できてしまう』といううわさ」の部分です。


中古携帯などでは、前の登録情報が残っているという事例もあるようです。

記事で取り上げられている電子マネーのサイトをみると、機種変更や譲渡時には、アプリの削除だけではダメで、アプリの削除前にアプリ上から登録しているカード情報を全て削除することが必要だと書かれています。

楽天Edy
 「おサイフケータイの機種変更・譲渡時に必要なお手続き

iD
機種変更をしたらどうすればいい?


2016年4月12日火曜日

電気通信事業の利用者保護規律に関する報告規則改正案及び監督の基本方針案についての意見募集

施行が来月22日に迫っている改正電気通信事業法ですが、「電気通信事業報告規則の改正」と「電気通信事業の利用者保護規律に関する監督の基本方針」の「案」が公表されました。

これは上記のリリースによれば、情報通信行政・郵政行政審議会等の指摘をうけて、
施行以後に遵守状況の調査、苦情等の収集・分析及び制度実施状況の評価等のモニタリングの事務を適切に実施する目的で、利用者からの苦情等の情報を活用するために必要な事項や代理店への委託状況等の事項を定期的に報告することを電気通信事業者に義務づける省令案(電気通信事業報告規則の一部改正)を作成するとともに、モニタリングの基本的な方法を定め明らかにする基本方針の案を作成した
とされています。
電気通信事業報告規則の改正案では、初期契約解除や確認措置に関する契約状況が報告対象とされていて、様式の記載もありました。
具体的には
(1)初期契約解除の①対象となる新規契約の締結数と②解除された契約数、
(2)確認措置の適用のある新規契約の締結数、②申出がなされた契約数、③解除された契約数
が報告対象になっていました。


2016年4月5日火曜日

スマホ購入補助に関する総務省の要請

総務省のツイート、NHK生活・防災のツイート


ここで記載されている、「スマートフォンの料金及び端末販売に関して講ずべき措置について(要請)」(平成27年12月18日付け総基料第234号)は、下記の「別紙2」にあります。

総務省報道発表平成27年12月18日
「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」の策定及び携帯電話事業者への要請



平成28年3月25日
「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」等に関する意見募集の結果

この中の28ページに載っている個人の方の意見、そのまま載せているのでしょうが、ちょっとなぁ、と思ってしまう「表現」が使われています。

2016年3月31日木曜日

電気通信事業法の消費者保護ルールに関する新しいガイドライン

パブコメの結果と、これを踏まえた新しいガイドラインが3月29日付けで公表されていました。
総務省のツイートは下記。

意見提出総数は18件とありますが、個々の項目は多く、また、これらを踏まえて、いくつかの修正が施されていました。

2016年3月2日水曜日

サクラサイトと電子マネー発行会社の責任(裁判例)

サクラサイトの違法性は、東京高判平成25年6月19日(判例時報2206号(平成26年2月11日号)83頁)で認定されたことが記憶に新しく、判例時報のほか、下記の判例紹介でも概略を詳しく知ることができます。

消費生活相談員のための判例紹介(瀬戸和宏 弁護士)

全相協つうしん『JACAS JOURNL』153号 13.09.15掲載
公益社団法人 全国消費生活相談員協会 JACAS判例紹介


このサクラサイトを経済的に支えるというか、仕組みの一つになってしまっているのが、決済代行だったり、電子マネー(サーバー型プリペイド)だったりする現実は存在します。

サクラサイトに対する賠償請求が被害回復に実効性を持たない場合や、そもそも違法なサービスの対価支払に利用させないようにできないか、電子マネー業者はこうした違法なサービスに使われることについて何ら責任を負わないのか、という点が常々問題とされています。
特に消費生活相談の現場では、この点を電子マネー発行会社に対し、申し入れなどをしていたりする部分で、注目の多い点です。

この点の責任を問うた裁判の判決が、判例時報に掲載されていました。


●東京地裁平成27年6月25日判例時報2280号104頁

サクラサイトの利用代金(ポイントの購入)の支払に電子マネーを利用し、かつ、電子マネー発行会社とサクラサイト運営会社の間に決済代行業者が介在していた事例
請求棄却

ここでは「電子マネー発行会社の責任」に関する判断に絞ってまとめてみました。

※電子マネー発行会社が電子マネーを利用した代金決済について「包括加盟店契約」を締結した相手先会社がサクラサイト運営会社との間で電子マネーによる決済の「加盟店契約」をしていた。



原告は「加盟店調査・管理義務違反」を主張し、債務不履行責任又は不法行為に基づく損害賠償の請求をしていました。
判決文で整理されている原告の主張(法的構成)は次のようなものです。

本件電子マネーに関する契約は、利用者が後日、被告の加盟店から商品を購入し、又は役務の提供を受ける等の場合に、利用者が被告に支払った対価の範囲内で、被告が当該加盟店にその物品又は役務の対価の弁済を行うことを被告に委託する旨の契約と解され、その性質は委任ないし準委任契約である。
そうすると、本件電子マネーの発行会社である被告は、利用者である原告に対して、善管注意義務を負っている。


裁判所は、電子マネーに関する契約上ないしこれに付随する信義則上の義務として、加盟店管理義務が認められるかの判断に先立ち、次の事項を認定しています。

①電子マネーの利用形態、処理手続の具体的態様
②電子マネーの利用規約
③資金決済法のサーバー型の第三者型支払手段
  同法上の義務として、購入等できる物品や役務が考慮良俗に違反するおそれでないものを確保するための必要な措置を講じていない法人でないと制約する書面を提出すること
④金融庁ガイドラインⅡー3-3加盟店の管理
⑤電子マネー発行会社が決済代行に関する(包括)加盟店契約の審査にあたってチェックしている点
⑥加盟店契約は、包括加盟店契約をした会社が行うが、電子マネー発行会社は、サクラサイトの運営について、運営会社が行うことを了承し、同様の審査を行っていたこと。
⑦加盟店に対して、苦情の取次などを行い、消費生活センターからの問合せを早期に円満解決するよう求めていたが、即時決済停止や契約解除を行わないでいたものの、高額の苦情案件があったことから、加盟店契約を解除した。

これらの点を踏まえて、原告が主張する加盟店管理義務に沿う事実の存在を認定してはいます。

しかし、原告の主張する電子マネーの法的構成は採用していません

それに関わる次の点を指摘しています。

①利用者は、自らの意思で、本件電子マネーによる支払を選択肢、コンビニエンスストアで本件電子マネーの対価を支払って、被告の定める利用規約に従い、決済システムを利用しているに過ぎない。
前払式支払手段の発行者は、個々の利用者から金銭の預託を受けて具体的な決済代行事務の受任をしているというのではなく、自ら構築した決済システムを利用させて、支払の手段(支払方法の多様化)を提供しているにとどまる。
③前払式支払手段の発行者が得る利益は、電子マネーによる決済システムによる利用料の対価であり、利用料自体の実質は、決済システムの維持管理にかかる事務手数料といえる。

※ 下線は私が付しました。

これらは被告が主張している内容を近接しています。

また、電子マネー発行会社の事情として

①コンビニエンスストアで購入できるような本件電子マネーのような場合にまで、電子マネーの発行者において、加盟店が提供する商品を全て把握することを義務づけることとなれば、資金決済法のもう一つの趣旨である、前払式支払手段の普及、利便性をかえって阻害することにもなりかねない。
②電子マネーの発行者が、日々入れ替わる多種多様な商品を事前にチェックすることは事実上不可能である。
③加盟店に対し契約上、代金決済義務を負っているから、客観的事情を考慮して公序良俗に照らして問題があることが判明した場合か、これに相当すると客観的かつ合理的に判断可能でなければ、加盟店契約を解除することは期待できない。

を挙げて(③の部分は要約しました)、

以上のイで指摘してきたところによれば、前記アで説示したところから、直ちに、本件電子マネーの利用者保護の観点等から、前払式支払手段の発行会社である被告が本件電子マネーの利用者に対し、契約上ないし信義則上、原告主張の加盟店管理義務を負うと解することはできない

としました。

※ 下線は私が付しました。

電子マネー発行会社と加盟店の関係について、クレジット会社と加盟店の関係に類似している点については、

①電子マネー発行会社が信用を供与して取引を拡大させているのではなく、決済システムを利用させて支払手段を提供しているにすぎない。
②電子マネー発行会社が得る利益は決済システムの利用の対価(その実質はシステムの維持管理にかかる事務手数料)であって、クレジット会社が顧客に信用を供与してその対価=利息を得ることとは本質を異にする。

旨を述べて原告の主張は前提を書いていると判断しました。

電子マネー発行会社がサクラサイトのような違法性の高い業務を認識し、または認識し得たにもかかわらず、加盟店契約を解除しなかったという主張についても、
①加盟店管理義務を否定
②電子マネー発行会社がサクラサイトの運営に関与ないし関係していたなどの特段の事情は認められない
としてやはり否定しました。


消費者には厳しい判断だったと思います。


なお、判例時報のコメントには、電子マネーによる決済代行についての法律構成に関して、増田晋『電子マネーをめぐる私法上の諸問題』 金融法務事情1503号45頁が紹介されています。

控訴されているようですので、地裁の単独部の判断のほか、高裁の判断もみてみたいところです。


2016年3月1日火曜日

携帯端末修理業者に関するメモ

電波法の改正による登録修理業者制度

登録修理業者制度についての説明は、

  「ケータイ用語の基礎知識 第701回:登録修理業者制度とは」
(ケータイ Watch 2015/3/24 12:55)

 に詳しいです。

「登録修理業者」

●電波法第三章の二第三節(第38条の39以下)
登録修理業者規則


<総務省のリリース>

平成26年11月25日
登録修理業者規則の制定案等についての意見募集

(パブコメと意見の結果)
平成27年2月10日
登録修理業者規則の制定案等についての意見募集の結果

2016年2月25日木曜日

健康増進法の虚偽誇大広告等の禁止

消費者庁が、健康増進法の虚偽誇大広告等の禁止、広告等適正化のための監視指導等に関するガイドラインを改正する案の意見を募集しています(消費者庁)。

(誇大表示の禁止)
第31条1項
 何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
特徴は「何人も」禁止されている点です。

表示規制については、主体が限定されているものが大半ですが、この法律や医薬品に関する規制では「何人も」とされているものもあります。
誰がやってもいけないというものです。

2016年2月24日水曜日

「確認措置」関連の告示案

1.確認措置において解除の対象となる「関連契約

(告示案)
 改正電気通信事業法の施行日(平成28年5月21日)の施行が予定されています。

規則第22条の2の7第5号ロ
 当該利用場所状況について十分でないことが判明したときは、関連契約(確認措置契約及び当該電気通信事業者が当該確認措置契約の締結に付随して有償継続役務の提供に関する契約を締結又はその媒介等をした場合における当該契約その他の当該電気通信役務の提供に付随して締結された契約であつて総務大臣が別に告示するものをいう。以下この号において同じ。)を解除できること。

 (告示案第2項、ガイドライン案61頁

 ア)確認措置契約(電気通信役務提供の契約)、
 イ)ア)の締結に付随して締結(媒介等)した有償継続役務の契約
 ウ)ア)の役務提供に付随して締結された契約で、告示されたもの

告示案第2項

① 施行規則第22条の2の7第1項第5号に規定する確認措置契約の締結に付随して、電気通信事業者又は当該締結の媒介等をした媒介等業務受託者により締結された移動端末設備(当該確認措置契約を締結した利用者のものに限る。)に係る売買契約(割賦販売(割賦販売法(昭和三十六年法律第五百九号)第二条第一項に規定するものをいう。)の方法により販売する契約及び個別信用購入あつせん関係販売契約(同法第三十五条の三の五第一項に規定するものをいう。)を含む。)であって、次のいずれかの要件を満たすもの。
イ 当該移動端末設備が当該確認措置契約に係る電気通信役務の提供に用いられる端末系伝送路設備の一端に接続されること。
ロ 当該売買契約の締結が当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件と関連すること。

② 前号の売買契約の締結に伴い締結される個別信用購入あつせん関係受領契約(割賦販売法第三十五条の三の三に規定するものをいう。)その他の契約の代金に相当する額の支払に関す契約

③ 当該確認措置契約又は前二号の契約のいずれかの解除に伴いその提供が中止される有償継続役務に関する契約であって、当該確認措置契約の締結に付随して電気通信事業者が締結又はその媒介等をしたもの

1号は、その電気通信役務提供に使われる端末の売買契約です。

2号は、端末の売買に伴い締結される個別クレジット契約です。


2.事業者が予め基準定める条件(遵守状況の適合判断基準)

(告示案)
 改正電気通信事業法の施行日(平成28年5月21日)の施行が予定されています。

規則第22条の2の7第5号ハ
 総務大臣が別に告示するところにより当該電気通信事業者があらかじめ定めた基準に当該遵守状況が適合しないときは、当該利用者が関連契約を解除できること。

告示案第3項
 施行規則第22条の2の7第1項第5号ハの規定により電気通信事業者があらかじめ基準を定める条件は、次に掲げる規定について、その遵守状況を検証等することができる基準を定めること とする。
一 法第26条
二 法第26条の2

電気通信事業法関係審査基準11条の2(4)では、この「事業者があらかじめ定める基準」を「適合基準」と表記しています。

適合基準の条件として、検証等を行う「遵守状況」の対象に、「法26条(提供条件の説明) 」と「法26条の2(契約書面の交付)」の2つの規定を含むこととしています。

同じく新設された法27条の2(禁止行為)、30条2項などは対象とされていません。

ただ、法26条の説明の「方法」は、施行規則22条の2の3第3項や4項(適合性原則)に規定されていますから、その点の検証ができる基準となっているか、そのあたりが「遵守」の判断をみるうえで重要な点になりそうです。


3.確認措置の審査基準案

(1)利用場所状況

①確認の方法(ア・イを充たすこと)

ア 契約した利用者の住所地等において提供を受ける認定対象役務の品質(基地局が送受信する電波の伝搬に関する状況により影響を受けるもの)に関する状況の確認をすることができること。

11条の2(1)ア
 申請者と認定対象役務契約(当該認定を受けようとする電気通信役務(以下この条において「認定対象役務」という。)の提供に関する契約をいう。以下この条において同じ。)を締結した利用者が、認定対象役務の提供が開始された日(契約書面を受領した日(記載事項等が情報通信の技術を利用する方法(施行規則第22条の2の5第1項の方法をいう。以下この条において同じ。)により提供された場合にあっては、その提供を受けた日)が認定対象役務の提供が開始された日より遅いときは、当該契約書面を受領した日。以下この条において「開始日」という。)を起算日とする八日以上の期間において、当該認定対象役務契約に基づき、当該認定対象役務の提供を受けることにより、当該利用者の住所地等において提供を受ける認定対象役務の品質(当該認定対象役務の提供に用いられる基地局が送受信する電波の伝搬に関する状況により影響を受けるものに限る。)に関する状況の確認をすることができること。

イ 期間になされた、品質に関する状況が不十分だという申出に対して、事業者が適切な対応を行うこと。

11条の2(1)イ
アによる利用者の確認の結果、当該期間を経過するまで当該利用者が当該申請者又はその媒介等業務受託者(以下この条において「提供電気通信事業者等」と総称する。)にアの品質に関する状況が不十分である旨を申し出た場合にあっては、提供電気通信事業者等は適切な対応を行うこと。

②解除の方法

事業者適切な対応をした結果、品質が当該利用者にとって不十分だとわかって、利用者が関連契約の解除を求めたときに、解除に応じること

11条の2(2)
(2)利用場所状況に関する確認に伴う認定対象役務契約の解除の方法が、次の要件を満たすこと。
 (1)アの品質が当該利用者にとって不十分であることが(1)イの対応の実施により明らかとなり、かつ、当該利用者が認定対象役務契約の解除を含む関連契約の解除を求めたときは、提供電気通信事業者等は当該関連契約の解除に応じること。

(2)遵守状況

①確認の方法

(3) 遵守状況に関する確認の方法が、次の要件ア・イを満たすこと。

ア 利用者において遵守状況の確認ができること

11条の2(3)ア
 申請者と認定対象役務契約を締結した利用者が、開始日を起算日とする八日以上の期間において、遵守状況の確認をすることができること。

イ 期間になされた、遵守状況が不十分だという申出に対して、事業者が遵守状況の検証を含む適切な対応を行うこと。

11条の2(3)イ
アによる利用者の確認の結果、アの期間を経過するまでの間に当該利用者が提供電気通信事業者等に遵守状況が不十分である旨を申し出た場合は、当該提供電気通信事業者等は適切な対応(遵守状況の適切な検証等を含む。)を行うこと。

②解除の方法

事業者の検証により、適合基準に適合しないことが明らかとなって、利用者が関連契約の解除を求めた時に、解除に応じること。
「明らか」という文言が入っていますから、「適合しないことが明らか」と言えるか否か、その判断が実際の現場では判断が割れて問題になりそうです。
適合性原則との関係などでは、個別事案によることになり、この規定だけでは解決できないでしょうから、事例の蓄積をはかるしかないのでしょう。

11条の2(4)
(3)アの遵守状況が、施行規則第22条の2の7第1項第5号ハの申請者が定める基準(以下この条において「適合基準」とい う。)に適合しないことが(3)イの対応の実施により明らかとなり、かつ、当該利用者が認定対象役務契約を含む関連契約の解除を求めたときは、提供電気通信事業者等は当該関連契約の解除に応じること。。

(3)手順の明確化、円滑実施の体制の整備

11条の2(5)
 (1)から(4)までの要件を満たす方法(適合基準を含む。)に関する手順が明確に定められていることその他の当該方法が円滑に実施されるための体制が整備されていること。

(4)解除に伴い利用者が支払う額の合理的算定方法の適正・明確化

11条の2(6)
 (2)及び(4)による契約の解除に伴い利用者が支払うべき額の合理的な算定方法が適正かつ明確に定められていること。

(5)提供条件概要説明による説明

下記ア・イの説明をすること。

11条の2(7)ア
 確認措置により、その利用者に係る利用場所状況又は遵守状況に関する当該利用者からの申出を受けて関連契約の解除が可能な場合がある旨

11条の2(7)イ
 利用場所状況又は遵守状況が不十分と認める場合の申出の方法及び申し出ることのできる期間 ウ 確認措置に関する内容が契約書面に記載され、又は情報通信の技術を利用する方法により提供される旨

(6)契約書面への記載

解除の条件、関連契約の範囲、解除できる旨、確認措置を利用するために明らかにしておくことが必要だと考えられる事項

11条の2(8)
 契約の解除の条件その他(1)から(4)までの要件を満たす方法の内容、関連契約その他の解除される契約の範囲(以下「関連契約等」という。)、(2)又は(4)による認定対象役務契約の解除に当たっては、当該関連契約等の解除することができる旨、(6)の額の算定方法その他利用者が確認措置を利用するために明らかにしておくことが必要と考えられる事項が契約書面に記載され、又は記載事項の一部として情報通信の技術を利用する方法により提供されることが明確に定められていること。


(7)訪問販売、電話勧誘販売が行われないこと

確認措置の対象から「訪問販売」と「電話勧誘販売」が除かれ、それらについては初期契約解除の対象となるという説明が、これまでも各所でなされてきました。
しかし、その「根拠」がハッキリしませんでした。
法律にも、省令にも書いてなくて、確認措置の「認定」の審査基準にのみ書いてあるとは意外です。。。

11条の2(9)
(9) 認定対象役務契約の締結又はその媒介等をしようとする際に特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第2条第1項に規定する訪問販売又は同条第3項に規定する電話勧誘販売が行われないこと。

なお、先に公表されていたガイドライン案59頁では、この趣旨に触れています。

 訪問販売や電話勧誘販売は、店舗販売や通信販売とは異なり不意打ち性が高く、また、付随する端末の販売については、特定商取引法等によりクーリング・オフが可能と通常考えられることから、確認措置ではなく、原則どおりの初期契約解除制度を適用することが想定されている。

もっとも、「想定されている」とは何だろう?法文の根拠じゃないのか?と感じていたのですが、ここの審査基準案をみて、ようやくわかりました。


(8)確認措置を講じることが利用者の利益保護のため適切か否か

11条の2(10)
(10) 確認措置を講じることが利用者の利益の保護のために適切となること。


初期契約解除と対価請求額

(規則第22条の2の9)

法第26条の3第3項ただし書の総務省令で定める額は、次に掲げる額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を限度とする。
① 書面解除までに提供された電気通信役務及び当該電気通信役務の提供に関する契約の締結に付随して締結された有償継続役務であつて書面解除に伴いその提供が中止されたものの対価に相当する額(次号及び第3号に規定する費用に係るものを除く。)
② 電気通信役務の提供に必要な工事のために通常要する費用(当該費用として通常請求されるものに限る。次号において同じ。)の額として総務大臣が別に告示する額(当該工事が行われた場合に限る。)
③ 前号に掲げるもののほか、電気通信役務の提供に関する契約の締結のために通常要する費用として総務大臣が別に告示する額

(告示案)
 改正電気通信事業法の施行日(平成28年5月21日)の施行が予定されています。

電気通信役務の提供に必要な工事のために通常要する費用(当該費用として通常請求されるものに限る。)の額2号

<原則>告示2
2 施行規則第22条の2の9第2号の規定により総務大臣が別に告示する額(以下「工事費用額」という。)は、次の各号に掲げる工事の区分に応じ、当該各号に定める額に消費税額を加算した額 とする。
一 FTTHアクセスサービスの提供に関する通常契約に係る全ての必要な工事であって、一戸建ての住宅に対するもの
   2万5000円
二 FTTHアクセスサービスの提供に関する通常契約に係る全ての必要な工事であって、共同住宅等に対するもの
   2万3000円
三 FTTHアクセスサービスの提供に関する特定契約に係る全ての必要な工事
   2000円
四 CATVアクセスサービスの提供に関する通常契約に係る全ての必要な工事であって、一戸建ての住宅に対するもの一万八千円
五 CATVアクセスサービスの提供に関する通常契約に係る全ての必要な工事であって、共同住宅等に対するもの
   1万7000円
六 CATVアクセスサービスに関する特定契約に係る全ての必要な工事
   2000円

上限の金額が細かく設定されています。


<FTTHアクセスサービスの提供に関する通常契約(戸建、共同住宅とも)及び特定契約の特則>

<利用者の申出により行う休日FTTH工事告示3
3 前項の規定にかかわらず、利用者からの申出により同項第1号から第3号までに掲げる工事を休日等に行う場合に加算される額の定めがある場合にあっては、同項第1号から第3号までに定める額に3000円及び消費税額を加算した額を工事費用額とする。

<利用者の申出により行う夜間FTTH工事告示4
4 前2項の規定にかかわらず、利用者からの申出により第2項第1号から第3号までに掲げる工事を夜間に行う場合に加算される額の定めがある場合にあっては、同項第1号から第3号までに定める額に1万200円及び消費税額を加算した額を工事費用額とする。

<利用者の申出により行う休日夜間FTTH工事告示5
5 前3項の規定にかかわらず、前2項の規定する場合のいずれにも該当する場合にあっては、第2項第1号から第3号までに定める額に1万3200円及び消費税額を加算した額を工事費用額とする。

<基準を下回る費用のとき~FTTH、CATV共通告示6
6 前各項の規定にかかわらず、第2項各号に掲げる工事に係る電気通信役務を提供する電気通信事業者から通常請求される額が同項から前項までの規定により算定される額より低いときは、当該通 常請求される額を当該工事に係る工事費用額とする。

この規制は「上限規制」なので、下回る限りは、それに従うというものです。

FTTHアクセスサービス、CATVアクセスサービスとも「通常契約」と「特定契約」によって区別が設けられています。
この区別に対応した設定になっているかも、チェックしないといけないでしょう。

ちなみに、通常契約、特定契約の定義は、告示案1項に示されています。

「通常契約」
 法第26条第1項第2号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約(次号におい て「二号契約」という。)であって、電気通信役務の提供を受ける場所に電気通信事業者の職員 その他これに類する者を派遣して工事を行うことが必要なもの

「二号契約」(法第26条第1項第2号)
 その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供される電気通信役務以外の電気通信役務であつて、その内容、料金その他の提供条件、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務大臣が指定するもの

「特定契約」
 通常契約以外の二号契約


● 電気通信役務の提供に関する契約の締結のために通常要する費用(3号)

<工事費用以外の費用告示7
施行規則第22条の2の9第3号の規定により告示する額は、3000円に消費税額を加算した額 (電気通信事業者から通常請求される額が当該加算した額より低い場合にあっては、当該通常請求 される額)とする。

2016年2月23日火曜日

相続と預金をめぐる問題

遺産分割に関する相談を受けて、相談者の方に、理解や納得をしていただくことが大変難しい点に「預金債権等の可分債権は,相続によって当然に分割され,原則 として遺産分割の対象にはならない」というものがあります。
話し合いが煮詰まった時など、「この話を出されても、理解や納得できない」と言われることも珍しくなく、私自身もそういう感じ方は無理のないところだと思いますので、本当に頭の痛いところです。

平成27年4月1日に開催された、法制審議会 民法(相続関係)部会 第1回会議の配付資料になっている「相続法制の見直しに当たっての検討課題」の中に、預金関係として、次の項目があります。
第2 考えられる検討項目
 6 預貯金等の可分債権の取扱い
○ 現行法上,預金債権等の可分債権は,相続によって当然に分割され,原則 として遺産分割の対象にはならないと解されているが,可分債権は,各自の 相続分に応じて遺産を分配する際の調整手段として有用であり,これを遺産 分割の対象から除外するのは相当でないとの指摘もされている。この点につ いて,どのように考えるか。
実際の議論は、次の回で紹介されています。
預金の扱いは、全体の中では「その他の検討項目」という中での位置づけのようです。

(1)第5回会議(平成27年9月8日)

議事録がまだアップされていないのですが・・・、資料は掲載されています。

●部会資料5

この資料の「第1 可分債権の遺産分割における取扱いについて」の項に詳しい内容が記されています。

●委員等提供資料
浅田隆委員「預金債権の可分性の見直しに関する銀行実務の観点からの検討」

この資料は、上記の部会資料5の検討項目などに対応させた表形式になっています。
この部会の委員の中で、唯一、金融機関の方です。ただ、この方も仰っているように他に経済界の人がいないのも特徴です。

(2)第9回会議(平成28年1月19日)

議事録がまだアップされていないのですが・・・、資料は掲載されています。

●部会資料9

この中で「甲案」「乙案」の整理とまとめがされています。
第5回会議での議論が紹介されて、参考にした趣旨の記載があるのですが、第5回の議事録がアップされてないので、どういう議論だったのか、わからないのが残念です。


この資料には、いろいろ考えさせるもの(簡単に是非を決められないもの)が多々ありますが、その中でも(7頁)に次の記載があります次の点は、どういう仕組みをとっても解決しなければならない課題だろうと思います。
当然分割としない預金を代表とする可分債権について、遺産分割を経ずに、各相続人が法定相続分で権 利行使できるという意識が国民にどれほど広まっているか。遺産分割を経て具体的相続 分にしたがった適切な配分がされるよう誘導し、一方で困窮する相続人に負担をかけな い仮払い制度を設けるほうが国民一般の意識に適うという考え方もあろう。
サッサと法定相続分だけでも払出を受けたいということもあります。
預金を調整弁として使う必要がないときだけではなく、単に相続人が行方不明・連絡を無視する・応対しない、という「全員の署名押印、印鑑証明が揃えられない」事態もあり、その場合には、銀行の所定の書類を揃えるが実際には無理だからです。

例えば、成年・未成年を問わず「後見」事案などで、そういった非協力的な相続人がいると、被後見人の生活資金(現金)が足りなくなることもあり、早く払い出ししておきたいと思います。
そういう時には、金融機関の対応は(対応する余地はあるようですが)「杓子定規だなぁ」と思います。

しかしながら、上記のような指摘は無視はできないし、切り捨てられないとも思います。

どちらにしても、相続開始後、遺産分割までの取扱いが、課題になっているので、その部分の仕組みというか手当をどう行うか、が注目されます。



少し前の雑誌の記事をメモしていたので。

金融法務最前線
「親族による預金の無断引出への対応」(濱田広道)
金融法務事情1999号(2014.8.10)4頁)


金融判例に学ぶ営業店OJT預金業務編
「共同相続人の1人からの取引明細開示請求」(須藤克己)
金融法務事情1999号(2014.8.10)148頁)

2016年2月22日月曜日

空き部屋を使ったネット通販の詐欺

「部屋を借りる」のではなく、「部屋を勝手に使っている」=「侵入」です。
「借りる」のだとレンタルオフィス(バーチャルオフィス)とか、名義貸しとか、犯罪収益移転防止法その他の本人確認規制などが関わってきますが、「侵入」は単なる犯罪です。
サーバー型プリペイド(ID)詐欺の際にも紹介した上記資料には、
○ 被害金送付先における被疑者の検挙を大幅に強化。227箇所(+195箇所)に おいて244人(+207人)を検挙。送付先のうち、空き室が96箇所、私設私書箱 (自称を含む。)が65箇所。
とあります。

不動産業界団体にも要請が出ています。

○ 送付先として、集合住宅の空き室が悪用される事案が多発していることから、 警察庁では、国土交通省とも連携し、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連 合会(ちんたい協会)等の不動産関係団体に対し、空き室の鍵の管理の徹底、 集合ポストへの投函防止等の対策について協力を依頼。

例えば
公益社団法人全日本不動産協会
空き部屋詐欺に関するお知らせ

2016年2月21日日曜日

改正された電気通信事業法等の施行期日

施行期日が

「平成28年5月21日」

となりました。
(政令の公布日:平成28年2月3日)

官報平成28年2月3日付(号外第24号)

(総務省・所管法令)

政令第三十九号
 電気通信事業法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令

 内閣は、電気通信事業法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第二十六号)附則第一条の規 定に基づき、この政令を制定する。
 電気通信事業法等の一部を改正する法律の施行期日は、平成二十八年五月二十一日とする。


2016年2月14日日曜日

食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会

食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会

平成27年12月4日に第1回が開催されていますが、スケジュール案をみると、全部で9回くらい開催し、今年の秋に報告書をまとめる予定とのことです。

既に2回開催されて、第1回の議事録、第2回の議事録が公開されています。

第2回の件には、ツイッター上に、こんなコメントもありました。




(1)懇談会の目的

その開催要領に記載があります。
食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会開催要領

第1 趣旨
 容器包装入りの食品については、平成27年4月1日に食品表示法(平成25年法律第70号)が施行され、表示内容の量・質ともにこれまで以上に充実した食品表示制度が始まったところであるが、購入時に食品自体が遠隔地にある場合、消費者は当該食品を手に取って、その表示を確認することができない。
 しかし、食品表示法は、その目的である食品を摂取する際の安全性の確保及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保を実現するための施策として食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)を定めて食品関連事業者等に表示義務を課しているため、その趣旨を踏まえれば、食品に表示されている情報が購入時に消費者に提供されることが望ましい。このような、購入時に食品自体が遠隔地にある業態の中で、インターネット販売は、近年急成長してきた業態であり、今後も成長が見込まれる。
 そこで、これらを踏まえ、インターネット販売における情報提供の促進を図っていく観点から、消費者庁において「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催し、消費者に必要な情報の内容及びその提供方法並びに事業者にとって実行可能性のある情報提供の促進のための方策について、幅広く検討することとする。
委員が発言して紹介していますが、もともとは「食品表示一元化検討会」の報告書に基づいています。
食品表示一元化検討会情報(消費者庁)
  「食品表示一元化検討会報告書(平成24年8月9日)

この報告書には次の記載があります(15頁以下)。
3 新たな食品表示制度における適用範囲の考え方
(2)インターネット販売等の取扱い

 食品表示の観点から見れば、インターネットにより販売される食品については、その商品自体にはJAS法等に基づき表示が行われているものの、画面上で同様の表示が行われているわけでは必ずしもない。
(中略)
 インターネット販売における食品の情報提供の在り方については、専門的な検討の場を別途設け、消費者のニーズを踏まえつつ、専門家を交えて検討を重ねることが必要である。
また、第1回懇談会の配付資料【資料2】では「ネットショッピングの支出額に占める食品の支出額の割合」が高いことが示されています。
その数字の参照元が、「家計消費状況調査」(総務省統計局)となっていましたので、参照してみると、ネットショッピングだけでなく、その内訳の調査も開始したとありました。
※ 2015年(平成27年)1月以降の結果を見る際の注意点
 家計消費状況調査では、2014年(平成26年)12月までは「インターネットを利用して購入した財(商品)・サービスの支出総額」を調査していましたが、ネットショッピングによる消費をより詳しく把握するために、2015年(平成27年)1月から、内訳となる22区分の財(商品)・サービスについても調査を開始したところです。
ちなみに、12月の数値をみると、時節柄「贈答品」の比率が高くなっていますね。


(2)懇談会の検討項目

開催要領では淡泊な項目でしたが、第1回の議事録には、その意味するところが記されていました。
 続きまして、第2の検討項目でございます。
 まず、インターネット販売を利用する際に、消費者の方たちがどのような情報を求めているか、必要な情報の内容を検討いただきたいと思っております。
 それから、どのように情報提供いただけば必要な情報が他の情報に埋もれずに消費者の方たちに分かりやすく届くのかという必要な情報についての提供の方法を御議論いただきたいと思っております。
 さらに、情報提供を事業者の方々に進めていただくための方策について御検討いただきたいと思っております。
 この3本柱で議論を進めていただきたいと考えているところでございます。
※赤い色は私が付しました。


(3)懇談会の検討対象・枠組み・進め方

はっきりと打ち出されています(議事録9頁)。
 ただ、本懇談会では、この広告規制の枠組みの中でいかにして食品ラベルに表示された情報を提供いただくかというところを議論していただきたいと考えており、現在の広告規制の枠組みを変えるといった議論をするということではございませんので、この点を御留意いただきたいと思います。
ここは誤解せずに、今後の議論をみていきたいと思います。


(4)その他

第1回の議事録をみていると、各委員からの一言というか、問題意識の開示があって、この分野を考える上で、おそらく先鋭的な対立にはならない大事な点であると同時に、かといって、きれいに解決する「落着点」のなさ、難しさを示していると思いました。

例えば、情報の量。
(13頁・百貨店)
インターネットの特徴としましては、情報量の掲載の制約につきましては際限がございませんが、一方で、受け取る側は際限のない情報を全て受け取るのかということについては、先ほど来、各委員の方、皆さんがおっしゃっていたとおりかと認識をしております。 つまり、載せておけばいいのか、それとも見ていただくためにどうするのかということの両面のバランスをとっていくことが必要かと考えております。
そして、情報の優先順位(重要性の大小、強弱)と見せ方
(11頁・モール)
今回の検討項目で、必要な情報とか、その方法というものがありますけれども、必要なのか、重要なのかというところも結構大きな違いでして、必要、必ずなければいけないというのであれば、インターネットに限らずいろいろな販売方法でそれは見せなければいけないだろうし、重要というのであれば、やはりその重要度が高いものを優先的に見せていく工夫が必要であろうと思いますので、そこの情報の重みといったところも慎重に考えていく必要があると思っています。
(12頁・モール)
知りたいことであったりとか、必要であることを知ることは当然必要であると思っておりますので、それらのさまざまにあるような消費者の皆様のニーズについて、いかにバランスをとって、どう優先順位をつけて、どう満たしていくのかということについて、本懇談会の諸先生方の御意見を伺いながら、私も考えていきたいと思っております。
情報量と優先順位の必要性
(15頁・生協)
 先ほども委員の方からありましたけれども、有用な情報だからといって、何でもぐっしゃり表示されていても、それを丁寧に一つ一つ全部見ろと言われても、なかなか消費者としては厳しい部分がございますので、そういう意味では、必要なもの、重要なものから整理されて表示されることもまた重要かと思っています。
情報を受け取る側の事情
(17頁・学者)
 例えば、パッケージとか今回のインターネット販売における情報ということで考えますと、ポジティブな効果としては、販売促進、これを狙っているだろうと思いますが、ネガティブな効果としては、例えば、何度も買っているものだからということで、余り情報処理しなくなる、情報に対して飽きてしまう、広告分野ではウェアアウトと言うのですが、こんな現象もあるだろうと思っています。
受け取る側の多様性
(14頁・委員)
若年層から高齢者まで、さまざまな年代が利用していくときに、その利用のしやすさと 表示、広告のありようをきちんと考えていくべきではないかと思っております。

どれも重要な点で、決して無視はできないのですが、落としどころとなると、見つからないのが実情でしょう。特に、表示を求める側が「飽きてしまう」ことで、表示がみられていないけど文句は出ない=表示に工夫が施されなくなるという感じがします。

2016年2月13日土曜日

処方箋の電子化

e-文書法ができたときに、電子処方箋が話題になりましたが、結局見送られ、ファックスで薬局に先に送って、後で処方箋の原本と引換、というスタイルはあっただけで、その後すっかり忘れていました。
報道をみて、急だなぁ、と思いましたが、調べてみると、ずっと動いてたようです。

日経産業新聞のツイート
記事によれば
「近く省令を改正して4月に施行する。」
とのことです。
関係法令などを整理してみました。


(1)医療情報ネットワーク基盤検討会(第24回以降、厚生労働省)

第29回2016年2月10日(平成28年2月10日)

第29回医療情報ネットワーク基盤検討会 資料
←「電子処方せんの運用ガイドライン(案)」が掲載されています。

「ポイント」には、イメージ図が掲載されています。


電子処方箋の実現について(平成25年3月医療情報ネットワーク基盤検討会)
  PDF 2013年3月8日(平成25年3月8日)

この点を報じて紹介するツイート

電子処方箋の実現に向けた工程表 2013年9月30日(平成25年9月30日)

●ゆけむり医療ネット(別府市医師会)


(2)現行法令(処方せんが外れている根拠)

①e-文書法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)
(電磁的記録による作成)
第4条
1 民間事業者等は、作成のうち当該作成に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(当該作成に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の作成に代えて当該書面に係る電磁的記録の作成を行うことができる。
2 前項の規定により行われた作成については、当該作成を書面により行わなければならないとした作成に関する法令の規定に規定する書面により行われたものとみなして、当該作成に関する法令の規定を適用する。
3 第一項の場合において、民間事業者等は、当該作成に関する他の法令の規定により署名等をしなければならないとされているものについては、当該法令の規定にかかわらず、氏名又は名称を明らかにする措置であって主務省令で定めるものをもって当該署名等に代えることができる。

②厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令

※ 処方せんに関する医師法20条、22条は対象に掲げられていない。

第5条
  法第4条第1項の主務省令で定める作成は、別表第二の上欄に掲げる法令の同表の下欄に掲げる書面の作成とする。

別表第二 (第5条、第6条及び第7条関係)
  医師法 第24条第1項の規定による診療録の記載

(医師法第24条1項)
 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う省令の整備について(平成17年3月厚生労働省)

「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」の概要

ここに処方箋が外されていることと、その理由が載っています。

(2)  電磁的記録による作成について【e-文書法第4条関係】
 (1)対象
  厚生労働省の所管する法令により、書面による保存及び作成を義務づけている書類等
※  処方せんについては、無診察治療の防止をする必要があること等から対象としない。

この点が改正される、ということですね。

2016年2月12日金曜日

固定電話網の円滑な移行の在り方

総務省が固定電話網の円滑な移行の在り方に関する提案を募集している。

報道資料
平成28年2月9日 固定電話網の円滑な移行の在り方に関する提案募集

パブリックコメント:意見募集中案件詳細

これを紹介する記者のツイート

紹介している記者のツイートにあるとおり、総務省発表の別紙1は、項目が整理されていて、どんな問題があるのか把握することに役立ちます。
ただ「利用者の保護」という部分は、事業者からみた利用者の保護という感じの書き方なので、利用者からみて、どこをどう押さえておく必要があるか、一度整理してみたいと思います(そうしないと頭に入ってこなくて)。


2010年にNTT東西が発表したものは、下記。

★NTT東日本(平成22年11月2日)
PSTNのマイグレーションに関する概括的展望について
★NTT西日本(平成22年11月2日)

2016年2月11日木曜日

確認措置契約の解除(まだ整理中)

H27電気通信事業法改正(H28.5施行)の目玉の一つ、初期契約解除の例外。
まだ関係する告示等の全てが公表、確定されているわけではありません(2/23現在)ので、不明朗な部分もあるのですが、随時直していくことを前提に、政省令を一箇所にまとめるながら読み直すことも想定して、頭の整理のためのメモとします。

【H28.2.23加除訂正】


電気通信事業法施行規則22条の2の7第1項第5号及び第2項から第6項

1.確認措置契約



 法26条1項1号(移動電気通信サービス)に掲げる電気通信役務のうち、確認措置を電気通信事業者が講じているものであって、その利用者の利益が保護されているものとして、当該電気通信事業者の申請により総務大臣が認定したものの提供に関する契約(施行規則22条の2の7第1項第5号柱書


2.確認措置


(1)定義

 初期契約解除の対象として指定された移動通信役務のうち、契約初期の一定の場合に、端末等の関連契約も含めて契約を解除することができる措置

(2)要件(①~⑤)

★施行規則22条の2の7第1項第5号

①法26条1項1号に掲げる電気通信役務であること

 その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供される電気通信役務であって、その内容、料金その他の提供条件、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務大臣が指定するもの

告示(案~パブコメ後の修正)

※次に掲げるもの(その提供に先立って対価の全部を受領するものを除く。)
① 仮想移動電気通信サービス以外の携帯電話端末サービスの役務
② 仮想移動電気通信サービス以外の無線インターネット専用サービスの役務
③ 仮想移動電気通信サービス以外である無線インターネット専用サービスであって、その提供に関する契約に、その変更又は解除することができる期間の制限及びそれに反した場合の違約金(その額がその利用の程度にかかわらず支払を要する一月当たりの料金(付加的な機能の提供に係るものを除く。)の定めがあるもの 

②そもそも初期契約解除が適用されない契約ではないこと
 (法26条の3第1項施行規則22条の2の7第1項第1号乃至4号

規則22条の2の7第1項
  法26条の3第1項の総務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

第22条の2の4第3項各号に掲げる場合
ⅰ 軽微変更のみがされた場合
ⅱ 電気通信事業者からの申出により利用者に不利でない変更のみがされた場合
ⅲ 付加的な機能の提供に係る役務に係る変更のみがされた場合
ⅳ 前3号のいずれかに掲げる変更のみがされた場合

第22条の2の4第6項第1号に掲げる場合
ⅰ 前条第6項第1号から第3号までに掲げる対象契約が成立した場合
規則22条の2の3第6項
(法人契約)
  法人その他の団体である利用者とその営業のために又はその営業として締結する契約(営利を目的としない法人その他の団体にあっては、その事業のために又はその事業として締結する契約)
(自動締結契約)
  他の電気通信事業者との間に電気通信役務の提供に関する契約が締結されたときは自らが提供する電気通信役務についても契約を締結したこととなる旨の契約約款の規定に基づいて締結する契約
(都度契約)
  公衆電話その他その他の電気通信役務の提供を受けようとする都度、契約を締結することとなる電気通信役務の提供に関する契約

③次の2つの事項を双方とも確認できる措置であること

①その提供を受けることができる場所に関する状況利用場所状況

②利用者利益の保護のための法令等の遵守の状況に関する状況遵守状況 

]乃至[ホ全ての要件を満たす措置であること

[イ] 当該電気通信役務提供開始日(=起算日)から8日以上の間当該確認が可能であること

[ロ] 確認の結果、利用場所状況について十分でないことが判明したときは、関連契約を解除可能であること

【2.23追記】
※「関連契約」(告示案第2項
 ①確認措置契約(電気通信役務提供の契約)、
 ②①の締結に付随して締結(媒介等)した有償継続役務の契約
 ③①の役務提供に付随して締結された契約で、告示されたもの(端末の売買、個別クレジット)

※「有償継続役務(22条の2の4第1項5号)」
   電気通信事業者が有償で継続して提供する役務
 <a>付加的な機能の提供
 <b>対象契約の締結に付随して締結し提供する有償継続役務(商品の継続供給を含む)。

[ハ]総務大臣が別に告示するところにより事業者があらかじめ定めた基準に遵守状況が適合しないときは、利用者が関連契約を解除可能

【2.23追記】
※(告示案第3項
 施行規則第22条の2の7第1項第5号ハの規定により電気通信事業者があらかじめ基準を定める条件は、次に掲げる規定について、その遵守状況を検証等することができる基準を定めること とする。
一 法第26条
二 法第26条の2 

[ニ]上記[ロ][ハ]の解除に伴い、利用者が支払うべき金額が、関連契約により提供された役務の対価及びこれに対する法定利率による遅延損害金を加えた額を超えないこと

  ※「対価
   ⇒ 「通信サービス利用料」+「付随有償継続役務」
   <a> 「工事費用」は請求できない
   <b> 「事務手数料」も請求できない。

  ※「端末」の扱い
   <a> 返還義務
    関連契約としての端末の貸借契約または売買契約の契約解除により利用者には当該端末を返品する義務が通常生じる。
   <b> 価格相当額の弁償
    返品しなかった場合は、事業者は端末の販売価格に相当する額を請求することができる。

[ホ]提供条件の説明(説明義務)により、次の点の説明がされること。
   <a> 当該確認措置を講じていること。
   <b> 当該確認措置の適用条件その他必要な事項。

⑤認定
  当該電気通信事業者の申請により利用者の利益が保護されているとして総務大臣の認定を受けたもの役務であること

 ア)申請 ⇒総務大臣に対する申請書の提出

規則22条の2の7第2項
① 認定を受けようとする電気通信役務の名称及び内容
② 確認措置に関する内容
③ その他その電気通信役務の認定の申請に関し特に必要な事項

規則22条の2の7第6項
 前各項に規定するもののほか、第二項の申請書の様式その他認定に関し必要な事項については、総務大臣が別に告示するところによるものとする。

【2.23追記】
告示案第4項
 施行規則第22条の2の7第6項の規定により告示する申請の様式その他認定に関し必要な事項は、次のとおりとする。
一 施行規則第22条の2の7第1項第5号の規定に基づく申請の様式は、様式第一によること。
二 施行規則第22条の2の7第3項の規定に基づく届出の様式は、様式第二によること。

 イ)認定の基準ガイドライン案62ページ

①確認措置告示(告示案は2/12公表、パブコメ募集中
   「認定に必要な事項については、総務大臣が別に告示するところによる」
    (規則22条の2の7第6項)


電気通信事業法関係審査基準(平成13年総務省訓令第75号の改正案、2/12公表

【2.23追記】
審査基準改正案第11条の2
 施行規則第22条の2の7第1項第5号の規定による確認措置に係る認定は、同条第2項の申請書及び添付書類に記載された 事項について審査し、次の要件に適合していると認める場合に行う。
 (1)から(10)まで


(3)確認措置の確認方法

①認定の有無
  告示規則22条の2の7第5項
  ⇒官報掲載、総務省ウェブサイト掲載(ガイドライン案

 総務大臣は、認定をした時は、その認定を受けた電気通信役務を提供する電気通信事業者の指名又は名称並びに当該電気通信役務の名称及び内容を、第三項の規定による届出(第2項第2号に係るものを除く。)があったとき又は前項の規定により認定を取り消したときはその旨を、それぞれ告示するものとする。

②説明(基本的説明事項
 (規則22条の2の3第1項第12号

12 対象契約が第22条の2の7第1項5号に規定する確認措置契約であるときは、同号に規定する確認措置に関する事項

契約書面の記載事項
 (規則22条の2の4第2項第3号

2 前項各号に掲げる事項の記載は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。

三 対象契約に係る電気通信役務の提供について第22条の2の7第1項5号に規定する確認措置を講じている場合
   次に掲げる事項が明らかにされていること。
 イ 当該確認措置を講じている旨
 ロ 当該確認措置の適用に関する条件
 ハ 第22条の2の7第1項5号ロ又はハの解除に伴い利用者が支払うべき金額の算定の方法
 ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該確認措置の内容

※実際の対応(予想)
 利用者が交付を受けた契約書面をみて、契約した電気通信役務の種類を特定し、書面解除(初期契約解除)なのか、確認措置による解除なのか、どちらの場合でも(特に確認措置の場合は)解除する場合の条件などを、記載内容から判断していくことになるでしょう。
 その上で、記載内容の不備や漏れがあれば、遵守状況の判断に大きく影響するでしょうし、確認措置そのものや、その後の監督官庁による処分にも影響があるでしょう。


3.確認措置による解除

(1)利用者からの申し出

利用者自身は、解除の申出をする前に、次の確認をした上で意思表示をする、となるでしょう。
交付された「契約書面」をまず読むことから始まると言えます。

①確認措置の存在の確認(⇒契約書面、告示)

契約書面に記載された「確認措置を講じている旨」(規則22条の2の4第2項3号イ)を読む。
・確認措置の認定が実際にされているか否か「告示」を確認(ウェブサイト等?)

②確認措置の適用条件の確認(⇒契約書面)

契約書面に記載された「確認措置の適用に関する条件」(22条の2の4第2項3号ロ)を読む。
・支払うべき金銭についても、契約書面に記載されている「第22条の2の7第1項5号ロ又はハの解除に伴い利用者が支払うべき金額の算定の方法」22条の2の4第2項3号ハ)を読む。

③利用場所状況の確認

その提供を受けることができる場所に関する状況が十分でないことの確認、なのですが、実際に、誰が、どんな方法で、どんな基準に基づき判断するのかは、まだわかりません。

 パブリックコメントに寄せられた意見(公益社団法人全国消費生活相談員協会等)に次のようなものがありました。

・・・利用できる場所状況が十分でないときについて、具体的に示していただきたい。
また、契約解除に伴い付随する有償継続役務の契約と端末の契約も解除となりますが、有償継続役務と端末についても事例を挙げて説明していただきたい。

 ただ、これに対する「総務省の考え方」は、

別途告示又は審査基準により定めることとなるため、今後の参考として承ります

とされ、今後の確認措置の告示及び審査基準の公表待ち、となっていました。

④遵守状況の確認

 事業者があらかじめ定めた基準に当該遵守状況が適合しないことの確認

※ この点に関しては、解除の申出をうけた事業者側の対応と共通する疑問点があります

(2)事業者側の対応

①申出事項(解除要件の具備)の審査

(ア)利用場所状況の確認

(イ)自らが予め定めた基準と申し出のあった法令遵守状況との適合、不適合の調査

②判断(対応の決定)

【2.23追記】
検証すべき遵守状況の対象は、「法26条(提供条件の説明) 」と「法26条の2(契約書面の交付)」となっています。
法27条の2(禁止行為)、30条2項などは対象とされていません。

告示案第3項
 法26条(提供条件の説明) 施行規則第22条の2の7第1項第5号ハの規定により電気通信事業者があらかじめ基準を定める条件は、次に掲げる規定について、その遵守状況を検証等することができる基準を定めること とする。
一 法第26条
二 法第26条の2

ただ、法26条の説明の「方法」は、施行規則22条の2の3第3項や4項(適合性原則)に規定されていますから、その点の検証ができる基準となっているか、そのあたりが重要な点になりそうです。


想定される課題については、パブリックコメントに寄せられた意見とそれに対する考え方が参考になると思います。

※ 平成28年1月26日電気通信事業法等の一部を改正する法律の施行等に伴う電気通信事業の利用者保護に関する省令等の整備案に係る意見募集の結果及び情報通信行政・郵政行政審議会からの答申(総務省)

(その1)
「自らが作った基準で判断するから、解除の認められる余地が狭くできるのではないか?」

 同じような疑問は、パブリックコメントに寄せられた意見(個人)に次のようなものがありました。

「確認措置」における「遵守状況が適合しなかった」という理由について、遵守状況が適合しなかったかどうかは,事業者があらかじめ定めた基準と照合して判断するにすぎない。すなわち,事業者の自主性に任されているのであり,国ないし監督官庁が一定の基準を定めてその基準を満たしているかを判定するといったような外部のコントロールが及んでおらず,抑止力として極めて不十分である。

 これに対する「総務省の考え方」は、

・・・改正後の施行規則の規定に基づき確認措置の認定の申請を受けた際には、その内容について厳正に審査していくことが重要である・・・

とされています。

この考え方にあるとおり、そもそも確認措置は、事業者からの申請(規則22条の2の7第2項)と総務大臣の認定を必要としますし、その認定は「利用者の利益が保護されている」ことを要する(規則22条の2の7第1項5号柱書)ので、単純な届出制のように、自主的に決めた基準がそのまま認定されるわけではありません。

ただ、現時点では、認定基準が明らかではないので、そういった疑問が出るのは致し方ないと思います。

(その2)
「事業者が自らが作った基準を判断基準にするから、「法令遵守」の基準について事業者ごとにバラツキがでてしまうのではないか?」

 パブリックコメントに寄せられた意見(公益社団法人全国消費生活相談員協会等)に次のようなものがありました。

②事業者が定めた基準の遵守状況が適合しないときは、関連契約を解除とありますが、事業者が定めるべき基準については、事業者により違いが生じないよう一定の基準を示していただきたい。 携帯電話・スマートフォン等の店舗販売については、抱き合わせによる無理な販売や高齢者等に必要のないセット販売が行われる等の問題があります。これらは適合性の原則を遵守することで解決できると思われますので、遵守すべき基準に含めていただきたい。

 これに対する「総務省の考え方」は、

②の御指摘については、別途告示又は審査基準により定めることとなるため、今後の参考として承ります。

とされています。

少し期待してしまうのは、認定・審査の基準作成にあたって、適合性原則(規則22条の2の3第4項)に違反する具体的で細目的な要素を示した基準ができるのかな?という点です。
適合性原則は、個別的・具体的事案ごとに判断される性格のものですから、具体的であれば使いやすいかと言われると、必ずしもそうではないでしょう。
むしろ「関連契約」など、解除の効果の及ぶ範囲や内容に関しては、具体的で明確である(そしてわかりやすい)ものをクリアしなければ、認定されないという仕組みが望ましいと思います。

ただ、現時点では、認定基準が明らかではないので、それを待つほかありません。

(3)解除の効力


①対象=「関連契約」(総務大臣に申請して認定を受け告示されたもの)

 (規則22条の2の7第1項5号ロ・ハ、告示案第2項、ガイドライン案61頁

 ア)確認措置契約(電気通信役務提供の契約)

 イ)ア)の締結に付随して締結(媒介等)した有償継続役務の契約
 ウ)ア)の役務提供に付随して締結された契約で、告示されたもの

【2.23追記】

告示案第2項
① 施行規則第22条の2の7第1項第5号に規定する確認措置契約の締結に付随して、電気通信事業者又は当該締結の媒介等をした媒介等業務受託者により締結された移動端末設備(当該確認措置契約を締結した利用者のものに限る。)に係る売買契約(割賦販売(割賦販売法(昭和三十六年法律第五百九号)第二条第一項に規定するものをいう。)の方法により販売する契約及び個別信用購入あつせん関係販売契約(同法第三十五条の三の五第一項に規定するものをいう。)を含む。)であって、次のいずれかの要件を満たすもの。
イ 当該移動端末設備が当該確認措置契約に係る電気通信役務の提供に用いられる端末系伝送路設備の一端に接続されること。
ロ 当該売買契約の締結が当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件と関連すること。

② 前号の売買契約の締結に伴い締結される個別信用購入あつせん関係受領契約(割賦販売法第三十五条の三の三に規定するものをいう。)その他の契約の代金に相当する額の支払に関す契約

③ 当該確認措置契約又は前二号の契約のいずれかの解除に伴いその提供が中止される有償継続役務に関する契約であって、当該確認措置契約の締結に付随して電気通信事業者が締結又はその媒介等をしたもの

1号と2号は、端末の売買契約とその代金の支払に関する契約(割賦販売、個別クレジット契約)のことです。


②金銭支払債務(総務大臣に申請して認定を受け告示されたもの)

⇒ 「通信サービス利用料」+「付随有償継続役務」
   <a> 「工事費用」は支払不要
   <b> 「事務手数料」も支払不要

  ※「端末」の扱い
   <a> 返還義務
    関連契約としての端末の貸借契約または売買契約の契約解除により利用者には当該端末を返品する義務が通常生じる。
   <b> 価格相当額の弁償
    返品しなかった場合は、事業者は端末の販売価格に相当する額を請求することができる。

2016年2月6日土曜日

サーバー型プリペイドカード(ID詐取等)の問題

1.電子マネーの詐取、プリカ詐欺

(1)国民生活センターが紹介するプリカ詐欺の事例

[2015年4月15日:公表]
プリカ詐欺に注意!



(2)警察庁の発表資料

特殊詐欺
 平成27年度の認知・検挙件数が警察庁から発表されて、報道でも取り上げられています。
これを伝えるニュースの「見出し」をみると、この統計の「数字」の紹介の仕方に結構な違いが出ている感じです。
たとえば「特殊詐欺全体」の「特殊詐欺の認知状況」でも、次の数字を取り上げるニュースサイト(ツイート)の表現は分かれていました。
整理してみると、こんな感じでしょうか。

(増加)とした部分
認知件数 436件  +3.3%
大阪、岡山、福岡 認知件数
被害額


(減少)とした部分
被害額 総額476.8億円  ▲88.7億円
既遂1件あたりの被害額 273.4万円 ▲81万円
首都圏1都3県 認知件数
被害額



電子マネーのID詐取
 このほか「電子マネーで支払わせる手口への対策」で示された数字も特徴的でした。

警察庁の公表資料では
「有料サイト利用料金等名目の架空請求詐欺等において、コンビニエンスストア等で電子マネー(プリペイドカード)を購入させ、そのIDを教えるよう要求して、カ ードの額面分の金額(利用権)をだまし取る手口」
とされています。

平成26年上半期 平成27年下半期
認知件数 11件 550件
被害額 6600万円 38億9700万円

認知件数、被害額とも、わずか2年の間における跳ね上がり方がすごいです。


2.消費者委員会の建議


★「電子マネーに関する消費者問題についての建議
2015年8月18日
消費者委員会

★「電子マネーに関する消費者問題についての調査報告」2015年8月18日
消費者委員会

※ 電子マネー契約の法的な性質
 上記「調査報告」10頁にて、現在係属中の訴訟における当事者の主張とともに少し紹介されている。

 法的性質についてウェブ上で読める他の資料は下記のものがあった。

(1)「電子マネーの将来とその法的基盤」杉浦 宣彦・片岡 義広(PDF
   金融庁金融研究センター
   「15年度ディスカッションペーパー
   2003年8月28日
  
  この「2-2-4. 前払式証票及び電子マネーの法的性質等」(22頁)にて詳しく紹介されている。

(2)民法(債権関係)の改正に関する論点の検討(12)
   民法(債権関係)部会資料 40
    三面更改について触れている(12頁以下に紹介がある。)。

  ●法制審議会民法(債権関係)部会第48回会議(平成24年6月5日開催)
    上記部会資料40に基づき審議された。


3.金融庁

金融庁 金融審議会

(1)決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ

ア)討議資料(4)(「仮想通貨」に関する論点
イ)討議資料(5)(リテール分野の決済を巡る論点)

●平成27年12月22日 金融庁
 金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」報告の公表について

【追記】
 この報告そのものについては、増島雅和弁護士による解説が始まっている。
よく分かる決済WG報告書(1)


上記の報告には、サーバ型プリペイドカードに関して、「消費者被害」との関係に触れた、下記の記載がある。
第2章 リテール分野 - 金融・IT 融合に対応した決済サービスのイノベーション
4.IT の進展等を踏まえた現行制度の見直し
(1)プリペイドカード関係
 (ホ)サーバ型プリペイドカード発行者の加盟店管理義務等

 本問題については、割賦販売法の見直しの動きも踏まえつつ、消費者被害の実 効的な防止・解決策を講じるとの要請に的確に応えていく必要があるものと考え られる。同時に、イノベーションを徒に阻害しないとの要請にも十分留意してい くことが適切である。

(2)決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ

上記(1)に先だって行われた検討(上記消費者委員会の建議を踏まえている。)は下記

●平成27年4月28日 金融庁
 金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」中間整理の公表について
第7章 法制面に関する課題

法制度のあり方は、それぞれの国・地域の経済状況等を踏まえて考える必要があるが、決済を取り巻く環境が変化する中、我が国においても、以下のような観点に立っての検討が必要と考えられる。

・IT分野の技術革新等の成果を取り込み、決済サービスの高度化を進めるとの要請に応えていくためには、ノンバンク・プレーヤーも含めた多様な主体の事業展開を促していくことは重要な課題である。他方、各種サービスのリスクに応じた適切なルールのあり方を検討することも重要である。

(中略)

・また、銀行その他の業者と利用者等を取り次ぐ窓口機能を提供するサービスや決済に関する情報処理サービスなどが登場しているが、こうした中間的業者にトラブルが生じ、利用者保護上の問題につながることもありうることから、利用者保護上のリスクに応じた適切なルールのあり方を検討することも重要な課題となっている。

(中略)

また、これまで記述した論点に加えて、本スタディ・グループ審議の過程においては、資金決済法に関連して、各種サービスに対する適用関係や資金移動業者の送金限度額、プリペイドカード発行業者の表示義務、供託負担及び事業譲渡手続等、その他 CMS に関連した法制面の適用関係等についても問題提起があった。

第7回 平成26年12月8日(月)の議事録は、参考になる記載が多々あった。 

第9回 平成27年1月21日(水)の議事録は、消費者保護に関する金融庁及び各業界団体の取り組みについての回答と自由討議となっている。

日本代理収納サービス協会の二重払い、不正請求の防止に関わる取り組みなどが報告されている。



【注】
産業構造審議会 商務流通情報分科会 割賦販売小委員会‐報告書
平成27年7月3日
報告書 ~クレジットカード取引システムの健全な発展を通じた消費者利益の向上に向けて~


2016年2月3日水曜日

スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)

★読売オンライン「経済コーナー」のツイートから。
「罰金」という言葉が目立ちますが、報道で使われる「罰金」という言葉と法律的に用いられる用語の間には差があるのが普通(本当は一致して欲しいところ)なのと、合っていても罰金刑が科されるためのハードルについて詳しい説明が省略されていることも多いので、注意。
総務省の発表(パブコメ募集)

これに伴い、先行して現在意見募集中の「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン案」にも、さらに追記・変更がありました。
改正案の改正・・・せわしない・・・。
今回のガイドライン案をみると、利用者の公平性、を重視する体裁ですが、ここでの「公平」は「スマートフォンを購入する利用者」と「端末を購入しない利用者」との 間で公平性を指しています。
そして「著しい不公平」を生じているか否かをチェックするポイントにするようです。
長期契約者とMNPでの契約者との間の公平性、ではないことに注意が必要です。

また、事業者がかねてから主張していた点(端末在庫の販売に必要など)に配慮した例外の存在も認めています。

適用の時期は4月1日を予定しているようですが、経過措置についても、現在各社がよく打ち出している「学割」などは、進学や入学シーズンなどを控えているせいか「事業者が平成28年1月31日までに公表している、事業者が利用者に対して提供する端末購入補助であって一定の年齢以上又は以下のいずれ かを条件とするものについては、同年5月31日までの間、適用しない。」という経過措置が記載されております。

この発表では、電気通信事業報告規則の改正案も掲載されています。

スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」(平成28年12月18日)に基づき実施されるものです。
目的は、「事業者に対し、これまで報告を求めている販売奨励金の総額に加えて、 端末購入を条件に端末購入代金を一括又は分割で補填する割引の総額について定期的に報告することを求める」(上記取組方針)にあります。

改正第4条の3として(移動端末設備の購入を条件とした割引等の提供状況報告)が新設されて、次の事項の四半期ごとに書面報告を義務づけることになっています。

第4条の3(改正による追加)
 電気通信回線設備を設置して携帯電話の電気通信役務を提供する電気通信事業者は、利用者 に対する 当該電気通信役務に係る移動端末設備の購入を条件とした当該電気通信役務の料金 又は当該移動端末設備の購入代金の割引及び金銭その他の物品又は役務の代価とすることができる経済上の利益 の提供 状況について、様式第二十三の三により、毎四半期経過後一月以内に、書面等により総務大臣に提出しなければならない。

なお、モバイル関係の代理店に関わるお金の報告事項として、現在の電気通信事業報告規則には、契約代理業者への支払金支出状況報告の規定(平成27年に規則改正で追加された条項)があります。
・総務省サイトの「新規制定・改正法令・告示 省令」に掲載されています。
平成27年3月25日公布。
 ・概要
 ・省令
 ・新旧対照表

第4条の2(現行)
 電気通信回線設備を設置して携帯電話又はPHSの電気通信役務を提供する電気通信事業者は、契約代理業者への支払金(電気通信事業者が当該電気通信事業者の電気通信役務の提供に関する契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を業として行う者に対して支払う金銭をいう。以下同じ。)の支出状況について、様式第二十三の二により、毎四半期経過後一月以内に、書面等により総務大臣に提出しなければならない。


★日経MJのツイートから。
総務省の発表(調査実施)
スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」(平成28年12月18日)に基づいて実施されるものです。