ページ

ラベル 裁判 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 裁判 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年6月10日水曜日

発信者情報開示の在り方に関する研究会の開催

プロバイダ責任制限法の発信者情報開示についての研究会が開かれています。
中間報告の目標は夏頃だそうです。

発信者情報開示の在り方に関する研究会(2020/4/23~)

第1回(4/23) 議事概要
発信者情報開示の在り方に関する研究会(第1回)配布資料

第1回の資料1-3の清水陽平弁護士の資料は現状を把握するものとしてコンパクトでわかりやすい資料です。

第2回(6/4) 議事概要
発信者情報開示の在り方に関する研究会(第2回)配布資料

第2回の資料2-1で取り上げられているSMSアドレスとしての携帯電話番号の開示を認めた裁判例(東京地判令和元年12月11日)は下記です。
読売オンラインの記事自体は掲載期間経過となっていて現時点では閲覧できませんが、判決を報じる記事を紹介する同社のツイートを紹介。

この訴訟で代理人をされていた中澤佑一弁護士の論考は下記。
インターネット上の誹謗中傷で被害者ができること――法的対応策の課題
2020/6/3web論座


2019年9月20日金曜日

携帯電話サービスなどの契約に係る約款の変更と消費者契約法10条

2019年9月10日 消費者庁の公表
埼玉消費者被害をなくす会と株式会社NTTドコモとの間の訴訟に関する控訴審判決の確定について
消費者契約法第39条第1項に基づく公表 2019年度

消費者契約法第39条第1項
  内閣総理大臣は、消費者の被害の防止及び救済に資するため、適格消費者団体から第23条第4項第4号から第9号まで及び第11号の規定による報告を受けたときは、インターネットの利用その他適切な方法により、速やかに、差止請求に係る判決(確定判決と同一の効力を有するもの及び仮処分命令の申立てについての決定を含む。)又は裁判外の和解の概要、当該適格消費者団体の名称及び当該差止請求に係る相手方の氏名又は名称その他内閣府令で定める事項を公表するものとする。

(1)第一審判決(東京地裁平成30年4月19日)
下記で判決や解説を読むことができます。
①消費者庁の公表 2018年6月29日
埼玉消費者被害をなくす会と株式会社NTTドコモの判決について
消費者契約法第39条第1項に基づく公表 2018年度
銀行法務21 No.830(2018年7月号)12頁
「消費者契約法と約款変更における課題ー大手通信会社事件の分析」(鈴木正人弁護士)

(2)控訴審判決(東京高裁平成30年11月28日)
下記で判決を読むことができます。

2018年10月12日金曜日

漫画村関連

ブロッキング問題で前提として「(権利者側は)やれることをやりきって、それでも効果がなかったのか」という問題について、重要なニュースが立て続けに流れてきたので、メモ。

1.Buzzfeed Japan News 播磨谷拓巳氏の記事



山口貴士弁護士が獲得しました。


2.漫画村とは別の問題について東京地裁に仮処分申立をしていた件

弁護士ドットコムニュースより。

こちらは、山岡裕明弁護士が獲得したものです。

後者については、読売オンラインでも報じられています。


2018年5月9日水曜日

電気通信役務提供契約と説明に関連する裁判例

原告代理人のツイートですぐに告知されたのを発見して気がついたのですが、これまで問題があると指摘され改善がなかなかされずにいた「提供条件概要の説明」にも関連する重要な判断が、東京高裁で2018年4月18日にあった [1] とのことです。

ライブドアニュースの記事があります。

この記事でも紹介されているNHKニュースの報道ですが、同サイトの「NHK関西のニュース」には載っていました。
UQ「ギガ放題」広告で賠償命令」(現在は掲載が終わっていて、リンク切れになってますが。)

この判決はウェブでは報じていたところもいくつかみられました。

5月になって、弁護士ドットコムニュースに、原告代理人のインタビューした内容が掲載されています。
実際の判決文がみてみたい [1] [2]と思いますが、上記のインタビューにて判決内容がある程度詳しく説明されています。

個人的には、
①説明義務を果たしたか否かの立証問題と裁判外での問題解決への影響可能性
②通信事業者と代理店の共同不法行為の成立を認めた点と電気通信事業法27条の3の「必要な措置」の実質化に影響する可能性
に関心を持ちました。

上記のインタビューにもあるように、高裁の判断を導いた重要な証拠は、説明の様子の録音だったとのことです。
やはり「実際の説明はどうだったか」が裁判の場では必要なので、録音が果たした役割は大きかったでしょう。
ただ、下記のホクネットのツイートにもあるように、実際の「説明」の態様に個別性があることは否めず、録音で明らかになったのは「当該事案における説明」にとどまり、他の案件に関する集団的処理に直結させるのは、別の工夫なりが必要だと思います。
また、インタビューには、解約手数料の問題にかなり踏み込んだ判示があったとの記載もあり、その内容をみると、たしかに重要だと思われます。

今後いろいろな論考がでると思うので、それを待ってみたいと思います。

[1] 2018.8.29.追記
 東京高判平成30.4.18.金融商事判例1546号15頁(原審判決も掲載されている)
[2] 2018.10.18.追記
 東京高判平成30.4.18.判例時報2379号28頁(原審判決も掲載されている)

2017年8月3日木曜日

電子マネーの不正利用

今年初めにNHKのニュースツイートにあった判決のニュースについて書いた「電子マネー関係の判決」に関して、「銀行法務21」に判例紹介に載っていたので、改めて関連するものをチェックしなおしてみました。

●プリペイド型電子マネーの発行業者の顧客に対する周知義務違反が認められた事例(確定)東京高裁平成29/1/18金融法務事情2069号74頁
(浅井弘章 銀行法務21 no.817-8月号66頁)


「おサイフケータイ」については、機種変更、解約時にICチップの記録を消さずに下取りに出してしまい、新所有者が旧所有者の記録を利用できてしまうという事例がありました。
この点に触れるものとして、

「おサイフケータイ方式」の 決済サービスに関する注意事項(山本正行「キャッシュレス決済入門 第7回 多様化する“キャッシュレス決済”(4) 携帯端末で決済ができる!?2016.2 ウェブ版月刊国民生活31頁
機種変更、解約などの手続きを行う際には、携帯端末の初期化に加え、ICチップ(FeliCa)に記録された内容を別途消去しなければならないので、注意が必要です。
これを行わない状態で携帯端末が下取りされるなどして別の利用者の手に渡った場合、IC チップ(FeliCa)内の残高情報がそのまま新しい利用者に継承されてしまいます。それを悪用し、 新しい利用者が以前の利用者になりすまして決済サービスを継続して利用するトラブルが報告されています。
平成22年3月と少し前のものですが、電気通信消費者支援連絡会でも議論がされていました。

第21回電気通信消費者支援連絡会 議事要旨(平成22年3月29日)
齋藤委員
 携帯電話の中に一財産入るということでしょうか。また、そのお金のデータは、SIMのチップに記録されるのでしょうか。
NTTドコモ
 SIMとは別に、FeliCa用のチップが入っています。
齋藤委員
 では、SIMフリーとなった場合、SIMを差し替えてもお金のデータは移行しないのですか。
NTTドコモ
 携帯電話にチップとして埋め込まれているものなので、SIMが変わっても携帯電話のみで利用することができます。ただし、NTTドコモでは、携帯電話を紛失した場合、ネットワークによりおサイフケータイのサービスを止めることができます。また、携帯電話を拾った人が、SIMを差し替えて利用することを防ぐため、SIMを差し替えた場合は利用できないようにしています。SIMフリーとなった場合は、このあたりの仕組みは見直しが必要かと思います。

2017年4月2日日曜日

債権譲渡、異議なき承諾、クーリング・オフ

民法改正案の採決のニュースが流れて、以前の記事ですが、廃止される異議なき承諾関係で、まとめていたものを載せ忘れていたことを思いだし・・・。



江木弁護士のブログが簡潔にまとめられており、わかりやすいです。

化粧品「解約」したのに高額請求 女性ら次々訴えられる」(弁護士江木大輔のブログ)

ここで問題になっている「異議なき承諾」(民法468条1項)は、民法(債権法)改正により廃止されます。

(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
第468条
 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

民法改正案では
 「第468条及び第469条を次のように改める。」
として
 (債権の譲渡における債務者の抗弁)
第468条
1 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
2 第466条第4項の場合における前項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466条第4項の相当の期間を経過した時」とし、第466条の3の場合における同項の規定の適用については、同項中「対抗要件具備時」とあるのは、「第466の3の規定により同条の譲受人から供託の請求を受けた時」とする。
(以下略)
とされています。

2017年4月1日土曜日

NHK受信料訴訟

つい先日、ビジネスホテルチェーンに対する大変高額(巨額と表現してもいいでしょう)の支払を命じる判決があり、検討課題が多いと思われるこの分野の訴訟ですが、こんなニュースがありました。
この記事で紹介されている「法務省訟務局」は法務省サイトにページがあります。

また、意見照会についても、上記の「訟務制度とその役割」のページ中に内容は短いですが、
「紛争の予防(法律意見照会制度)」
という項目があります。
訟務を取り巻く最近の情勢」「訟務事務の内容」にも紹介や位置づけの図があります。

大法廷回付のニュース(東京新聞2016年11月3日)
この係争に関する裁判所の判断に関する、まとめの記事がありました(2017年1月17日朝日新聞)。
町村教授のコメント(ブログ)がありました。

2017年2月27日月曜日

詐欺利用のIP電話停止

読売新聞のツイートから。
東京新聞のツイートから。

東京新聞の記事には図も掲載されています。

この問題は昨年、刑事事件として起訴された際に、ニュースになりました。
携帯電話不正利用防止法の
すぐに判決も出て、判決も「全国初」ということでニュースになりました。
判決は、東京地方裁判所立川支部平成28年6月17日で、判例秘書には掲載されていました。
この件は、貸与業者の事案で本人確認をしなかったとのころでしたが、音声がやりとりされている仕組みと携帯電話不正利用防止法にいう「携帯音声通信」該当性については争われなかったようで、裁判所の判断は記載されていませんでした。


昨年末には固定電話の強制解約のニュースもありました。
詐欺などでは電話による直接の接触がきっかけになっていることが多いだけに、不正の手段を詐欺者に使わせない、使っていたら奪う、ことがより重要なテーマになっています。

2017年2月2日木曜日

検索結果の削除請求

24時間も経ってないのに、もうたくさんの報道記事や弁護士による解説・コメントが出ているので、備忘のため、いくつかメモ。

決定は既に裁判所のサイトにてアップされていた。
決定文PDF

報道機関のツイートから。
時事ドットコムのツイートに貼られているリンクつまり本家のサイトには「検索結果削除請求の流れ」という図もついた記事が掲載されている。
この朝日新聞の記事も同様に詳しい。
実紙面では1面と2面の双方にスペースが多く割かれていた。
Buzzfeed に載っていた、神田弁護士や清水弁護士などのコメントを集めた記事。
これが今のところ全体を把握する上でもよいものと思う。

2017年1月25日水曜日

約款(通話通信契約)と消費者契約法

NHK、時事ドットコム、弁護士ドットコムニュースのツイートから。
訴え提起の記者会見に関するニュース。
その他もいくつか報道はあります。



今回原告となった「埼玉消費者被害をなくす会」のサイトには、訴訟に関する記事が掲載されています。

2017年1月25日

この記事には、今回の訴状のほか、これまでの同会の申入書・差止請求書、ドコモ側の回答書がそれぞれ掲載されています。
掲載されている訴状をはじめとする資料を読めば、訴訟提起に至る(原告側からみた)経緯や、論点も読み取れると思います。

原告代理人がコメントしているように、約款は携帯電話の通話等の契約に限らず、いろいろなものにあるため、「知らないうちに変更」は、ある意味で、ごく普通に存在し、生じていたわけですが、今回の最終的な結論は、それなりに影響が大きくなるとは思います。

今後の推移を見ていこうと思います。

【2018.10.4.追記】
平成30年4月19日に東京地裁で判決があったようです。
埼玉消費者被害をなくす会のサイトでも紹介されているほか、銀行法務21(2018年7月号)830号12頁にもも紹介記事があります。
なお、控訴審判決は、平成30年11月28日に予定されているとのことです。



2017年1月19日木曜日

電子マネー関係の判決

NHKのニュースから。
電子マネーの利用先が提供する商品や役務の不正さ(出会えない出会い系など)の問題ではなく、次の特徴がある案件であったようです。
1)スマートフォンを紛失した
2)通信契約を停止
3)電子マネーの利用停止は講じなかった
4)電子マネーを不正に使われた

上記ニュースによると、原審が利用者の敗訴だったのに対し、控訴審〔1〕 では注意義務違反を認めて利用者の勝訴となったようです。
注意義務の内容、発生原因などを、もう少し詳しく知りたいところです。 分かり次第、適宜、補充していこうと思います。

〔1〕 東京高判平成29.1.18.判例時報2356号121頁

2015年7月21日火曜日

クラウドサービスとデータ差押

上沼弁護士の講演

2015年3月21日土曜日

利用規約の模倣に関する裁判例

裁判所の判例情報に掲載されたこともあって、話題になっていたものを、メモ。

東京地裁 平成26年7月30日判決

 平成25年(ワ)28434号
 著作権侵害差止等請求事件



これについて紹介、コメントしているもの。

利用規約の模倣につき著作権侵害が肯定された事例
 (高瀬亜富弁護士の解説)

「規約」の著作権侵害が認められてしまった驚くべき事例
 (企業法務戦士の雑感

2015年1月25日日曜日

成年後見と記録の閲覧謄写

後で整理して追記するためにメモだけ。

●東京地判26.3.11(金法2010号(2015.1.25)72頁)

家事審判官の成年後見人に対する監督ないし記録の閲覧・謄写申請を却下した処分の違法を理由とする国家賠償請求に理由がないとされた事例(確定)



2013年4月1日月曜日

携帯中途解約金(KDDI控訴審)

1.対NTTドコモの訴訟(①)
 昨年末に、大阪高裁で控訴棄却判決が出ています。
 ただし、下記のように上告されています。

●「携帯電話の解約金訴訟、原告が上告 ドコモのプラン巡り
 (朝日新聞デジタル2012年12月21日)


2.対KDDIの訴訟(②)
 原告が一部勝訴していたものについて、控訴審判決が出ました。
 原審を取り消して、KDDIの勝訴となったようです。


3.対ソフトバンクの訴訟(③)
 現在、高裁に係属中とのこと。
 現時点では、判決文がまだウェブ上ではみられないので、ニュース報道で判示部分とみられる部分をメモとして記録。
 後で適宜、修正していくつもりです。

過去の記事
解約違約金条項に関する裁判例(3社分)


4.今回の判決(上記2)に関する報道
(YOL関西発の記事が詳しいです)

携帯の中途解約金訴訟、KDDI側が逆転勝訴
2013年3月29日20時08分  読売新聞)

au解約金「適法」…大阪高裁逆転判決
(2013年3月30日 読売新聞)YOL関西発ニュースのページ
 判決はまず、各契約者の解約時期がまちまちであるため、解約後の残り期間を全解約者の平均でとらえ、この間に同社が得るはずだった利益が「平均的損害」にあたると判断。そのうえで残り期間の平均月数を12・41か月、同社が得られたはずの月あたりの平均利益を4000円とし、これを掛け合わせて4万9640円と算出した。
 1審判決は、平均的損害の月額は高裁と同じ4000円と認定したが、残り期間が1か月の場合、同社の損害は4000円、2か月だと8000円で、解約金の方が高くなるとして条項を無効としていた。

「KDDI解約金の額は妥当」2審判決
(3月29日 22時11分 NHK NEWSWEB)
  29日の2審の判決で大阪高等裁判所の小島浩裁判長は「1審は解約によるKDDIの損害を1か月当たり4000円として解約の時期ごとに比較したが、解約されたケース全体の平均値で検討すべきだ」と述べました。
  そのうえで、「平均的な損害額は4万9000円余りで解約金の方が安く、利用者に不合理な条件とは言えない」と判断し、1審判決を取り消して利用者側の訴えを退けました。


【追記】

1.判決文

 (京都消費者契約ネットワーク)内で紹介されています。

2.上告受理申立について

 京都消費者契約ネットワークが上告受理の申立てをしたそうです。

●「携帯解約金めぐるau訴訟 京都の消費者団体が上告申し立て
(2013.4.11 16:03 MSN産経ニュース)


ドコモ関係も上告されているので、この件は最高裁の判断待ちとなりますね。

2013年3月26日火曜日

権利侵害の明白性と発信者情報開示請求 (メモ)

神田知宏弁護士が、ご自身のブログ(下記)で、発信者情報開示請求において、「東京地裁平成25年1月17日判決で・・・真実と信じるにつき相当な理由の不存在は,権利侵害の明白性の要件でないと判示してもらうことができました」と報告しています。

「真実と信じるについて相当な理由」と発信者情報開示請求(IT弁護士カンダのメモ)

結構大事な論点なので、後々の備忘としてメモするとともに、整理してメモしておこうと思います。

プロバイダ責任制限法4条1項は、発信者情報開示請求の要件として次の2点いずれも充たすことを挙げています(便宜的に法文の表現より短くしています)。
① 権利侵害の明白性
② 損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

①権利侵害の明白性を不要とすべき見解(プロバイダ責任制限法検証WG(第4回会合)資料4の4頁)は、ここでは触れないことにします。

次の点を整理してみようと思います。
~「権利侵害の明白性」の要件として『阻却事由の不存在』を必要とするのか


平成23年7月に公表された総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」27頁「4(1)権利侵害の明白性」以下に、次の指摘があります。

提言本体→(PDF
イ 「権利侵害の明白性」と違法性阻却事由不存在の関係
 (中略)
「・・・「権利侵害の明白性」に関し、違法性阻却事由の不存在を含むべきではないと考えることは適当ではないと考えられる(ただし、真に権利侵害がなされたか否かについては、発信者の主張立証を確認しなければ判断できないことからすると、プロバイダ等と被害を被ったと主張する者との間において要求される「権利侵害の明白性」については、損害賠償請求等で求められる「権利侵害」があったことと同程度の立証まで求められるわけではないと考えることもできる。)。
なんだか突っ込み不足のような不思議な印象を受けました。 ただ、この提言の末尾には、発信者情報開示請求に関する裁判例を網羅的に紹介する資料がついていて(これは大変便利)、裁判例の中には、もう少し突っ込んだ点まで争点になっていたものがあります。

例えば東京地判平成17年8月29日(判タ1200号286頁)は、名誉毀損事案において
「被害者は、この権利侵害要件につき,当該侵害情報によりその社会的評価が低下した等の権利侵害に係る客観的事実はもとより、その侵害行為の違法性を阻却する事由が存在しないことについても主張、立証する必要があると解するのが相当である。」
とする一方で
「名誉毀損行為についてみれば、・・・その事実を真実と信じるについて相当の理由があるときは、故意又は過失がなく、不法行為の成立が否定されると解されるところ、被害者は・・・上記のような主観的要件に係る阻却事由の不存在についてまでのの主張、立証責任を負担するものではないと解するのが相当である。」
としていますが、この点は「提言」で触れられていませんでした。


神田弁護士が紹介されているように、法4条1項2号の「正当な理由」は、例えば請求権発生要件として主観的要件を不要とする場合の権利行使にも肯定され、そのことに異論は出ないはずなので、それを踏まえて1号と2号とを整合的、統一的に説明しようと試みるならば、神田弁護士のブログでの指摘の方が問題点の把握がしやすいです。

神田弁護士が獲得された裁判例が公刊物に載ったときは、ぜひ拝見したいですね。




2013年2月26日火曜日

解約違約金条項に関する裁判例(3社分)

前回の記事(「通話料等に関する裁判例(メモ)」2012年4月5日)以降に、他の通信事業者2社に対する判決が出て、主要3社分がそろっていました。
うち1つは、控訴審判決も出ていました(記事作成時)。

1.(対 NTTドコモ)


 ①解約違約金条項使用差止請求事件
 ②不当利得返還請求事件
  • 第一審) いずれも請求棄却 京都地判平成24年3月28日
~ 判決文(-裁判所のサイト)

  • 控訴審) 控訴棄却 大阪高判平成24年12月7日
~ 判決文(-京都消費者契約ネットワーク内で紹介)


●過去の紹介記事(1)携帯電話と解約違約金条項(消費者団体訴訟)2010年7月8日
●過去の紹介記事(2)通話料等に関する裁判例(メモ)2012年4月5日

2.(対 KDDI)


 ①解約違約金条項使用差止請求事件
 ②不当利得返還請求事件
  • 第一審) ①請求認容、②一部認容 京都地判平成24年7月19日
~ 判決文(別紙1・2あり)(-裁判所のサイト)


【追記】

控訴審判決が出ました。
別記事にてまとめています。:「携帯中途解約金(KDDI控訴審)


●過去の紹介記事(1)携帯電話と解約違約金条項(消費者団体訴訟)2010年7月8日


3.(対 ソフトバンクモバイル)


  解除料条項使用差止請求事件
  • 第一審) 請求棄却 京都地判平成24年11月20日
~ 判決文(-裁判所のサイト)



2012年4月22日日曜日

発信者情報の範囲(メモ)

最近の記事等々。

(1)発信者情報とiモードID追記あり

(読売オンライン2012年4月13日)

「発信者情報開示を命令」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20120413-OYT8T00092.htm

男性の代理人弁護士やドコモによると、ドコモのiモードサービスの契約者に与えられる「iモードID」により、特定した情報を「発信者情報」として開示を認めた判決は国内で初めてという。
判決は3月27日。双方が控訴せず、12日に確定した。

追記
金沢地判平成24年3月27日:判例時報2152号62頁に掲載)

iモードIDによって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所が「発信者情報」に該当するかにつき、肯定した。
主文で開示を命じられた部分は
「投稿に使用された電気通信回線にかかる識別番号(iモードID:●●)によって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所」
とされている。


(2) 開示する発信者情報の範囲(省令の改正)

●平成23年7月
  総務省 「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」

 「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」(報道資料)

 提言本体→(PDF)  同30頁「(2)開示する発信者情報の範囲」以下
ア 概要
 開示する発信者情報の範囲については、現在、総務省令により 5 点の発信者情報が限定列挙されているところ、このような限定列挙とする方式ではなく、包括的に規定すべきとの主張や、現在列挙されている発信者情報以外にも盛り込むべき発信者情報があるのではないかとの主張がある。
イ 包括的な規定の是非

 まず、開示する発信者情報について、そもそも総務省令で限定列挙するのではなく、包括的に規定すべきとの主張について検討する。

(~中略~)

 このような観点から、プロバイダ責任制限法は、総務省令で発信者情報を限定列挙することとしたのであり、総務省令により柔軟に対応することが不可能であるという状況も認められないことから、開示の対象となる発信者情報について、総務省令で限定列挙することには、現在においても合理的理由がある。よって包括的に規定することは適当ではないと考えられる。
ウ 個別の情報の追加の是非
 次に、総務省令に現在規定されている 5 点の発信者情報に加え、新たに規定するものがあるかについて、検討する。
(~中略~)
 個体識別番号は、当該情報の流通に関与したプロバイダ等である携帯電話事業者が発信者を特定するための情報である。
 また、個体識別番号は、氏名や住所と比較して、それ自体が秘匿性の高い情報とまではいえないため、発信者情報として開示することが一般的に相当ではないとまではいえない。
 そして、携帯電話による通信の場合、IP アドレスは極めて短時間(秒よりも短い時間)のうちに次々に異なる携帯電話に用いられるため、IP アドレスとタイムスタンプによる発信者の特定が困難な場合がある。その場合であっても、携帯電話による通信においては、個体識別番号があれば発信者を特定できる場合がある。
 以上の理由から、これらの個体識別番号について、開示の対象となる発信者情報に追加することを検討すべきである

※ 赤字と下線は私が付しました。


●平成23年7月25日
 省令の一部を改正する省令案に対するパブコメ募集(報道資料)

※上記提言を踏まえたもの。
【Ⅱ 概要】
 プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報の開示請求の対象を追加
 携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号(改正省令案第5号)、SIMカード識別番号(改正省令案第6号)及びそれらのタイムスタンプ(改正省令案第7号)を、開示の対象となる発信者情報に追加する。

※ 赤字、下線、文字強調は私が付しました。

●平成23年9月2日
 パブコメの結果の公表(報道資料)




 この提言には、プロバイダ責任制限法に関する個々の論点につき、現場で悩ましいことなど、検討が加えられているので、別途整理してみようと思います。



2012年4月5日木曜日

通話料等に関する裁判例(メモ)


(1)通信料金返還請求事件

  • 京都地判平成24年1月12日 一部認容 判決文(-裁判所のサイト)
携帯電話の端末とパソコンを直接接続し、携帯電話端末をモデムとして用いることによってパソ

コンでインターネット通信をするサービスで、パケット通信料金が高額化した事例での判決。
後記解約金条項の問題とは異なります。


【参考】
  • 川村哲二弁護士のブログ

通信料金高額化に対する注意喚起・情報提供義務違反を認めた京都地裁判決(ソフトバンクモバイル)

  • 夏井高人教授のブログ(Cyberlaw)

京都地裁:パケット料金が高額である場合に警告を与えるべき義務を怠ったとして,ソフトバンクに対し,パケット料金の一部返還を命ずる判決



(2)解約違約金条項使用差止請求事件

  • 京都地判平成24年3月28日 請求棄却 判決文-裁判所のサイト)



過去の紹介記事




(3)ダイヤルQ2通話料金請求事件


  • 最三判平成13年3月27日 判決文(-裁判所サイト)



【追記】


●月刊国民生活2013年4月号(No.9)「暮らしの判例」


●国民生活センター2013年4月:公表
携帯電話利用契約における通信料金に関する事業者の説明義務

2010年7月8日木曜日

携帯電話と解約違約金条項(消費者団体訴訟)

川村哲二弁護士のブログで、携帯電話事業者に対する消費者団体訴訟、を知りました。

ドコモ、KDDIに対する消費者団体訴訟(京都地裁)(::::弁護士 川村哲二::::〈覚え書き〉::::)

上記の川村弁護士のブログで紹介されているように、NPO法人京都消費者契約ネットワークのサイト(京都消費者契約ネットワークの「取り組み」のページにて)で、この訴訟の訴状が公開されています。

この訴訟については、全く違う観点につき触れておられる「福岡若手弁護士のblog」の記事もおもしろいです。
携帯電話の割引サービスと消費者契約法


携帯電話の利用契約をめぐる問題は、上記の解約違約金だけでなく、そのほかにも、いろいろと指摘されています。
日弁連も、以前、携帯電話事業者を招いてのシンポジウムを開いていました。

シンポジウム「携帯電話と消費者 -適正な携帯電話サービスのあり方を考える-」
 (2008年7月5日開催)

このシンポジウムは聞きに行ったのですが、携帯電話事業者の担当者が出席していて、完全アウェー(袋だたきにあうかも?)ということを承知して来た旨仰りながら、立場上できうる限りの説明をしていたことが思い出されます。
全く角度は異なりますが、携帯電話事業者は、消費者問題とは別に、偽名による契約、名義貸し、当初から払う意思のない契約、犯罪への利用等々、様々な対応を迫られていて、大変だなとは思います。

また、このシンポジウムで何度か触れられていた「民事効」の問題は、まだ議論がまとまっていないようです。
「民事効」の問題は、別記事で触れようと思います。


携帯電話と消費者というテーマでは、最近では、総務省と消費者庁が

平成22年3月18日
携帯電話の契約時のトラブルと消費者へのアドバイス
○(別紙PDF

というものを公表しています。
そこでも、解約違約金以外の問題(相談例)が複数紹介されています。