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2012年4月27日金曜日

携帯電話と無線LAN、フィルタリング規制の限界(メモ)

無線LAN経由でのインターネット接続した場合、フィルタリング規制の外側になるという話。


(1)条文解説

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律関係法令条文解説 平成21年3月(内閣府総務省経済産業省)10頁11頁

【参照】
内閣府(共生社会政策)
子どもや若者を「育てる」~ インターネット利用環境整備

(携帯電話インターネット接続役務)
○青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律第2条第7項
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律施行令1条

「専ら携帯電話端末に組み込まれたブラウザ(中略)を用いることにより閲覧することを可能とするために提供される電気通信役務

1)(中略)携帯電話・PHS事業者自らが提供する「i モード」(NTT ドコモ)、「EZ web」(KDDI)及び Yahoo!ケータイ(ソフトバンクモバイル)等により、利用者が携帯電話端末等からインターネット上の情報を閲覧する場合が該当する。
2) いわゆるスマートフォンのような高機能携帯電話端末等において、公衆無線LANを用いたインターネット接続を利用することも想定されるが、公衆無線 LAN は、携帯電話端末等以外にも利用されるものであるため、該当しない
3) なお、公衆無線LANを用いたインターネット接続及びノートパソコンなどに携帯電話端末等を接続して行うインターネット接続は、法第17条の対象となる携帯電話インターネット接続役務ではなくとも、法第18条の対象となるインターネット接続役務には該当するほか、インターネット接続機器については、携帯電話端末等を除いては、パーソナルコンピュータなどの機器メーカーにかかる法第19条の義務の対象となっている。
※ 赤字と下線は私が付しました。

(2)利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言~スマートフォン時代の青少年保護を目指して~平成23年10月」

提言51頁以下

6-1多様なインターネット接続可能機器、ネットワークの多様化への対応「問題の所在」
スマートフォン(携帯電話回線利用の場合)については、法第 17 条第1項が適用されると解されており、現状、原則として携帯電話インターネット接続役務提供事業者によってフィルタリングが確実に提供されている。一方、携帯電話端末から無線LANを通じてインターネットに接続する際には、法第17条第1項が適用されず、法第18条のインターネット接続役務提供事業者に義務が発生すると解釈されている。

6-2-2具体的な対応
【携帯電話端末(無線LAN利用)】
関係事業者(インターネット接続役務提供事業者及びインターネット接続可能機器製造事業者)に、フィルタリングの利用を条件として役務提供する義務を求めるかどうか問題となり得る。
この点、パーソナル性の高い携帯電話端末を利用したサービスであるものの、現時点では無線LANの青少年への普及度合いが高いとは必ずしも言えないため、役務提供の際にフィルタリングの利用を条件とする法改正を現時点で行う必要性は認められないと考えられる。
現状、一般の利用者や保護者に対して、そもそも無線LANに接続可能な携帯電話端末が存在することや、無線LANを通じて接続した際にフィルタリングがかからない場合が存在すること等の周知は進んでいない。普及度合いが高くないとはいえ、意図せざるフィルタリング無しでの接続が生じることを考えれば、少なくとも携帯電話事業者及び販売代理店には、無線LAN接続に係る説明を携帯電話端末販売時に行うことが求められると考えられる。
また、今後、無線LAN機能を標準搭載するスマートフォンの急速な普及が見込まれることを考えれば、無線LANを利用したインターネット接続にフィルタリングがかからない現在の状況は望ましいとはいえず、携帯電話端末製造事業者は、必要に応じフィルタリングソフトウェア開発事業者等の関係事業者と協力し、無線LAN接続の際にも機能するフィルタリング等の閲覧制限機能を携帯電話端末に搭載可能とする等して容易に利用できる措置を講じることについて検討を開始することが望ましい。
②携帯電話事業者及び販売代理店並びに携帯電話端末販売事業者
(i)無線LAN接続機能の有無、(ii)無線LAN接続時におけるフィルタリングの利用の可否(利用できる場合はその方法) 、(iii)無線LAN機能の制限の可否(制限できる場合はその方法)について、携帯電話端末販売時に保護者及び利用者に説明することが求められる。
※ 赤字と下線は私が付しました。

2012年4月22日日曜日

発信者情報の範囲(メモ)

最近の記事等々。

(1)発信者情報とiモードID追記あり

(読売オンライン2012年4月13日)

「発信者情報開示を命令」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20120413-OYT8T00092.htm

男性の代理人弁護士やドコモによると、ドコモのiモードサービスの契約者に与えられる「iモードID」により、特定した情報を「発信者情報」として開示を認めた判決は国内で初めてという。
判決は3月27日。双方が控訴せず、12日に確定した。

追記
金沢地判平成24年3月27日:判例時報2152号62頁に掲載)

iモードIDによって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所が「発信者情報」に該当するかにつき、肯定した。
主文で開示を命じられた部分は
「投稿に使用された電気通信回線にかかる識別番号(iモードID:●●)によって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所」
とされている。


(2) 開示する発信者情報の範囲(省令の改正)

●平成23年7月
  総務省 「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」

 「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」(報道資料)

 提言本体→(PDF)  同30頁「(2)開示する発信者情報の範囲」以下
ア 概要
 開示する発信者情報の範囲については、現在、総務省令により 5 点の発信者情報が限定列挙されているところ、このような限定列挙とする方式ではなく、包括的に規定すべきとの主張や、現在列挙されている発信者情報以外にも盛り込むべき発信者情報があるのではないかとの主張がある。
イ 包括的な規定の是非

 まず、開示する発信者情報について、そもそも総務省令で限定列挙するのではなく、包括的に規定すべきとの主張について検討する。

(~中略~)

 このような観点から、プロバイダ責任制限法は、総務省令で発信者情報を限定列挙することとしたのであり、総務省令により柔軟に対応することが不可能であるという状況も認められないことから、開示の対象となる発信者情報について、総務省令で限定列挙することには、現在においても合理的理由がある。よって包括的に規定することは適当ではないと考えられる。
ウ 個別の情報の追加の是非
 次に、総務省令に現在規定されている 5 点の発信者情報に加え、新たに規定するものがあるかについて、検討する。
(~中略~)
 個体識別番号は、当該情報の流通に関与したプロバイダ等である携帯電話事業者が発信者を特定するための情報である。
 また、個体識別番号は、氏名や住所と比較して、それ自体が秘匿性の高い情報とまではいえないため、発信者情報として開示することが一般的に相当ではないとまではいえない。
 そして、携帯電話による通信の場合、IP アドレスは極めて短時間(秒よりも短い時間)のうちに次々に異なる携帯電話に用いられるため、IP アドレスとタイムスタンプによる発信者の特定が困難な場合がある。その場合であっても、携帯電話による通信においては、個体識別番号があれば発信者を特定できる場合がある。
 以上の理由から、これらの個体識別番号について、開示の対象となる発信者情報に追加することを検討すべきである

※ 赤字と下線は私が付しました。


●平成23年7月25日
 省令の一部を改正する省令案に対するパブコメ募集(報道資料)

※上記提言を踏まえたもの。
【Ⅱ 概要】
 プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報の開示請求の対象を追加
 携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号(改正省令案第5号)、SIMカード識別番号(改正省令案第6号)及びそれらのタイムスタンプ(改正省令案第7号)を、開示の対象となる発信者情報に追加する。

※ 赤字、下線、文字強調は私が付しました。

●平成23年9月2日
 パブコメの結果の公表(報道資料)




 この提言には、プロバイダ責任制限法に関する個々の論点につき、現場で悩ましいことなど、検討が加えられているので、別途整理してみようと思います。



2012年4月10日火曜日

オンラインゲームに関する問題(資料)

(1)「特集オンラインゲーム」 月刊国民生活2011年11月号

オンラインゲームの現状
オンラインゲームをめぐる相談等の概要
オンラインゲームに係るトラブル対応
ゲーム業界の対策と課題
ふえるゲーム依存症


(2)「特集ネットコミュニケーション-仕組みと危険」 月刊消費者情報2012年4月号

「オンラインゲームの仕組み」(高橋誠)
「オンラインゲームと法規制」(吉井和明
「オンラインゲームトラブル!その現状と対処法」(黒川龍)


(3)消費者庁「インターネット消費者取引連絡会第4回(平成24年2月16日)
議事要旨
「ガチャ」ついて触れている。

•資料1 オンラインゲームの消費者トラブルについて(ECネットワーク
•資料2-1 オンラインゲームに関する相談事例(東京都消費生活総合センター)
•資料2-2 特別相談「インターネット取引トラブル110番」の実施結果について(東京都消費生活総合センター)
•資料3 事業概要および消費者対応に関する取組み(グリー株式会社)
•資料4 DeNAのサービス概要と消費者対応について(株式会社ディー・エヌ・エー)
•資料5 オンラインゲーム消費者トラブルの法律問題(英知法律事務所弁護士 森亮二)


【追記】

①日経サイト(2012年1月25日7:00)
ソーシャルゲームが抱える潜在リスク 「射幸心」あおる仕組みとは」(新 清士)
 ユーザーが納得して支払っているとはいえ、一人のユーザーから月にいくらまでなら、課金することが妥当なのか、社会的なコンセンサスができているとは言い難い。ソーシャルゲーム各社にとって、ユーザーがどの程度の料金を支払い、年齢や性別、職業など、どのような分布になっているかという情報は、最大の企業秘密だ。表に出てくることはまずない。
パチンコとの比較をしながら「確率」の問題について触れています。


②読売オンライン
睡眠2時間、百万円使う…重症ネットゲーム依存
(2012年10月10日16時00分 読売新聞)

2012年4月5日木曜日

「インターネット上の著作権侵害に関する各国の法制度」

カレントウェアネスポータル(2012年4月5日)から。

国立国会図書館調査局、調査リポート「インターネット上の著作権侵害に関する各国の法制度」を刊行


PDFで公開されていました。


調査と情報-ISSUE BRIEF-No.747
インターネット上の著作権侵害に関する各国の法制度



調査と文教科学技術課 (前橋奈保子)



国立国会図書館
『調査と情報-ISSUE BRIEF-』 (一覧







通話料等に関する裁判例(メモ)


(1)通信料金返還請求事件

  • 京都地判平成24年1月12日 一部認容 判決文(-裁判所のサイト)
携帯電話の端末とパソコンを直接接続し、携帯電話端末をモデムとして用いることによってパソ

コンでインターネット通信をするサービスで、パケット通信料金が高額化した事例での判決。
後記解約金条項の問題とは異なります。


【参考】
  • 川村哲二弁護士のブログ

通信料金高額化に対する注意喚起・情報提供義務違反を認めた京都地裁判決(ソフトバンクモバイル)

  • 夏井高人教授のブログ(Cyberlaw)

京都地裁:パケット料金が高額である場合に警告を与えるべき義務を怠ったとして,ソフトバンクに対し,パケット料金の一部返還を命ずる判決



(2)解約違約金条項使用差止請求事件

  • 京都地判平成24年3月28日 請求棄却 判決文-裁判所のサイト)



過去の紹介記事




(3)ダイヤルQ2通話料金請求事件


  • 最三判平成13年3月27日 判決文(-裁判所サイト)



【追記】


●月刊国民生活2013年4月号(No.9)「暮らしの判例」


●国民生活センター2013年4月:公表
携帯電話利用契約における通信料金に関する事業者の説明義務

2012年4月3日火曜日

通信サービスと「セット販売」



「電気通信サービスに関する相談事例からみたトラブルの実態」という議題に惹かれて、第4回の議事録を読み始めましたが、「セット販売」を考える上で、いろいろと役立つ内容が満載でした。


●平成22年12月22日(水) 電気通信サービス利用者WG(第4回会合)

議題は下記でした。、

1.電話勧誘及びセット販売に関する電気通信事業者の取組状況

2.電気通信サービスに関する相談事例からみたトラブルの実態



議事要旨及び配付資料(資料1 電話勧誘・セット販売について)を読んでいて「セット販売」に関する一覧表は、非常に有益な資料だと感じました。

巷でもよくみる「セット販売」は、何と何の組合せ、結局いくらかかるのか、やめたらどうなるのか、そこにどんな事業者が関わっているのか、などが、すっと頭に入ることはなく(わざとそうしてるのかと思う)、前提情報を頭の中で整理してからでないと思考も混乱するだけです。
その頭の中の整理を容易にするものだと思います。


齋藤先生の発言にも
「TCA資料(資料1)6~9ページにあるような、セット販売図など資料として利用出来るような形に公にしていただけないか。頭の整理として良い。」
「また、消費生活センターの相談員は一番ニーズは高いかと思う。」
「また、消費者が契約する際もこういうものが頭に入っているのとないのとでは大分違うかと思う。」
そのとおりだと思う。


ちなみに齋藤先生も指摘されているが、第3回の議事録に次のような松本先生の発言もある。
「資料2-1(補足資料) 別紙3-1の4つの層の問題は非常に重要。どこで起こっているのかが分からない状態で解約時にトラブルになり、相談時もどの部分が問題なのかを解きほぐして対応しなければならないのが現状。」
「そこで、2点提案したい。
① 1つの事業者がサービスをセット販売する場合に、4つの層のサービスのどれを組み合わせて提供して、それぞれの対価はどのようになっているのかが分かるような表示を標準化するなどすれば、誤解が解かれるのでは。例えば、サービスの組み合わせ(A 型、A+B 型など)を作り、表示を見ればわかるというような仕組みを総務省において行ってはどうか。
② 相談対応の際に、相談員が対応しやすいように、この場合にはこう答えれば良いとか、こういうことを聞けばよい、書類のどこを見れば良いかなどが分かるような手引きを作成されたら良いのはないか。 」
※ 第3回の資料2-1(補足資料) 別紙3-1



第3回の議事録をみていると、「セット販売」の問題の所在や考える視点を掴むために、大事な発言が多くあります。

例えば、次の3つなど。
角田構成員:
資料2-1(補足資料) 別紙1の相談事例の概括について。事例別に柔軟な対応をとっているとのことであるが、量販店の場合、量販店の社員以外の人がけっこう入っていて、勧誘する人と販売店の関係などが複雑化しており、クレームを言ってもどこに責任の所在があるのかがわかりにくく、それがトラブルの原因になることもある。このような場合の体制について検討されていたりするのか。
濱谷構成員:
事業者側から量販店等に対して説明の分かりやすさを向上するようには依頼してはいない。セット販売は量販店や代理店の施策であり、人員の調達も量販店等の判断において行っているもの。現状としては、事業者側からモノ申すという体制にはなっていない。 」
若林構成員:
最終的には水平分離が進み、誰と契約しているのかが分かるような状況になっていくかと思うが、そこまで行くには何年もかかり、また、色々なユーザーが存在する。PC 的な世界になれば、自ずと「自分は誰と契約しているのか」も分かり、責任分担も明確になるはずである。しかし、プレゼンテーションにもあったように、業として行っている代理店の担当者でさえ難解になっているサービスを、利用者においては尚更分からない訳で、消費者の立場からすれば、それに至るまでの移行期の在り方を考えていって欲しい。 

※赤色と下線部は私が付したものです。


これに限らず、販売の現場(消費者が実際に相対する人)でのやりとり、が課題で、そこを巡ってはある意味で、堂々巡りというか、噛み合わない話が続いているように思います。



パケット通信料金の高額利用防止(事業者対応策)(メモ)

1.社団法人電気通信事業者協会サイト内での紹介

(1)「パケット通信料金の高額利用防止について

(2)「高額なパケットが発生する事例


2.電気通信サービス利用者WG(第2回会合

(資料5) 「TCAに於ける消費者支援の取組みについて」(PDF
       社団法人電気通信事業者協会 消費者支援委員会 2010年10月21日

上記PDF13ページにある下記をみると、柔軟な対応をしているようにみられる(事例数は不明だが)。
<参考:移動体通信におけるパケット料金高額請求への取組み>

  • 業界全体のデータでは無いが、或る会社に於けるパケット高額請求に関する入電が前年同月比3割減、といった例をはじめ、かなりの減少が見られる。
  •  これらは、パケット定額サービス加入が浸透して来たほか、次のような取組みを行った関係もあると考えている。
  • パケット定額サービス非加入のお客様からの利用額が高額になった旨の申告につき、お客様からのご要望に合わせ契約当たり1度に限り、前月に遡って定額サービスを適用する運用
  • ご利用料金がお客様の設定額を超えると、eメールで通知するサービス提供
  • お客様が設定した上限額を超えると、一部機能(着信・緊急通報発信等)を除いて利用を停止するサービスの提供


3.事業者

(1)パケット通信の高額利用に関するご注意(NTTドコモ)


(2)その他、上記(資料5)の別紙PDFでは各事業者ごとの工夫が一覧できる。


2012年4月2日月曜日

電気通信サービスと民事効

電気通信サービスと民事効について議論されているもの。

電気通信サービス利用者WG(第2回会合)

  議事要旨~平成22年10月21日(木) 

(1)特商法の適用除外問題

 出席していた消費者団体(独立行政法人国民生活センター、東京都消費生活総合センター、社団法人全国消費生活相談員協会)は、特商法を適用すべき、という意見


(2)適合性の原則

   ●新美先生の発言
金商法の場合、金融サービスは一種の博打に近いものなのだから、それにふさわしい人に行わせるという意味合いもある。それと同じかどうかを議論していく必要はある。
また、適合性の原則は、説明義務を尽くして理解して貰ったとしても、なおかつ「あなたはふさわしくないから駄目だ」ということを電気通信分野でもいえるのかどうかというもので、その辺の議論も必要。
消費者の立場からすれば、当然そうあるべきだとは思うが、電気通信サービスにおいても同様のことがいえるのかどうかはきちんと議論していくべき。
※ 赤字と下線は私が付しました。

(3)その他

   ●齋藤先生の発言
 消費者団体から説明のあった具体的事例をみると、代理店・(量販店などの)取次店の現場レベルでの説明や勧誘が問題のような印象を受ける。
 事業者は色々と努力されておいることは分かった
 しかし、もしそうなのであればトラブルはすんなり解決していくはず。消費者団体の説明を聞くとギャップがある。これはなぜなのか。柔軟な対応をしているというが、なぜ消費者団体から問題視されているのか。
※ 赤字と下線は私が付しました。

※ 「事業者の努力」に関するものとして、下記の資料がありました。

   第2回会合配付資料 資料5

   本体 TCAに於ける消費者支援の取組みについて
        2010年10月21日
        社団法人電気通信事業者協会消費者支援委員会


 この資料は、「事業者がどのように問題点を把握し、体系立てて対応しようとしているか」、を理解するために有効な資料と思います。
 項目だけ拾ってまとめると、大事な論点がたくさん出てきて、それぞれに対応しようとしていることがわかります。
(1) 契約締結前の利用者向け情報提供の在り方
  ア 広告表示への取組み
  イ 分かりやすい料金体系の策定
(2) 契約締結時の説明義務等の在り方
  ウ  分かりやすい説明
  エ 契約解除手続きについて契約締結時の説明へ追加
  オ 適合性の原則を踏まえた勧誘
(3) 契約締結後の対応の在り方
  カ 複数契約解除に際しての注意喚起
  キ 契約解除等の民事効について
(4) 苦情処理・相談体制の在り方
  ク  電子メールのみならず電話にて受付を行う
  ケ 入電問合せの改善及び開示
  コ 各地方に於ける関係者情報交換

 事業者の取組内容がわかってくると、齋藤先生が指摘されているように、「なぜトラブルは解消しないのか」、ということが、より鮮明に課題として残ることになります。
 こういった委員会などでの議論が、いつも事業者と消費者との間で噛み合っていないのはなぜか、そこが問題です。