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2016年9月6日火曜日

カウントフリーと通信の秘密

記事でとりあげられていますが、カウントフリーと通信の秘密について会見で触れていたようです。 各社も記事で、その点を紹介しているものが多いようです。
例えば、下記2つ。
LINEモバイルの嘉戸彩乃社長は会見で「(識別方法等を)利用規約に包括的に入れるよりも、あえて申し込み時に個別具体的に明確に同意をいただくことでカウントフリーサービスを提供する。同意をいただいた方のみ申し込みに進めるようにすることでユーザー保護を図る」と語った。
何も触れずにいても、ネット界隈で、必ず話題にされるでしょう(触れないことがマイナス視されかねない)し、中途半端な触れ方だとさらによくないでしょう。

ちょうど直前に、高齢者の期間拘束付サポートサービスと高額解約料の問題で炎上してしまった某社のことも視界に入っていたのかもしれません。

帯域制御ガイドライン運用基準検討協議会
➡「帯域制御の運用基準に関するガイドライン(改定) 本文(12/3月改定)」


全体を通した解説は、こちらの記事がタイムリーでよいかもしれません。

2016年9月3日土曜日

成年後見事務円滑化法の成立と施行

成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が、平成28年4月6日に成立(参議院:議案情報:第190回国会(常会))しました。

成立した法律(PDF)参議院サイト


施行は平成28年10月13日です(附則)。

この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。


この法律の逐条解説が「銀行法務21」に掲載されていました。


法務省民事局付 大塚 竜郎
「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律の逐条解説」
 (上)  銀行法務21 No.803 (2016年8月号10頁)
 (下)  銀行法務21 No.804 (2016年9月号21頁)

(上)は、郵便物の回送嘱託、開披、交付などが中心です。

(下)は、主に「死後事務」に関する規定のほか、家事事件手続法の改正の解説です。

 (成年被後見人の死亡後の成年後見人の権限)
民法 第873条の2
 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。 ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為 (前二号に掲げる行為を除く。)

逐条解説にも書かれているように、死後事務を行う要件は、各号に掲げられた「死後事務」の類型、許可の要否のほかに、柱書きにも書かれています。

1)必要性
   「必要があるとき」
2)時期
   「相続人が相続財産を管理することができるに至るまで」
3)相続人の意思
   「成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き」

そして、各号に掲げられた行為類型のうち「3号のみ許可が必要」ですが、いくつか論点はあります。

(1号)「相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為

Q.1号の行為をするための費用を本人の預貯金口座から捻出する場合の許可の要否

Q.成年後見人の報酬(付与審判後)に充てるために預貯金口座から払戻を受けることの可否

Q.貸金庫の開披の可否

Q.価額低下中の投資信託の解約の可否


(2号)「相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済

Q.2号の行為をするための費用を本人の預貯金口座から捻出する場合の許可の要否


(3号)「その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為 (前二号に掲げる行為を除く。)

Q.火葬等の費用を本人の預貯金口座から捻出する場合の許可の要否

Q.墓地、埋葬などに関する法律9条との関係

1 死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
2 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)の規定を準用する。

Q.市町村長は、成年後見人が3号に基づき火葬ができることを理由にして、遺体の引取や火葬等を拒めるか。

Q.「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に、納骨に関する契約は含まれるか。

Q.「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に、葬儀は含まれるか。


以上の論点については、上記の「逐条解説」(上下)のほか、同じ号(銀行法務21 No.804)に計されている下記のものも触れており、参考になります。

●浦山慎介「成年後見関連法の施行と金融実務に与える影響」
 (銀行法務21 No.804(2016号9月号)32頁)