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2017年1月25日水曜日

約款(通話通信契約)と消費者契約法

NHK、時事ドットコム、弁護士ドットコムニュースのツイートから。
訴え提起の記者会見に関するニュース。
その他もいくつか報道はあります。



今回原告となった「埼玉消費者被害をなくす会」のサイトには、訴訟に関する記事が掲載されています。

2017年1月25日

この記事には、今回の訴状のほか、これまでの同会の申入書・差止請求書、ドコモ側の回答書がそれぞれ掲載されています。
掲載されている訴状をはじめとする資料を読めば、訴訟提起に至る(原告側からみた)経緯や、論点も読み取れると思います。

原告代理人がコメントしているように、約款は携帯電話の通話等の契約に限らず、いろいろなものにあるため、「知らないうちに変更」は、ある意味で、ごく普通に存在し、生じていたわけですが、今回の最終的な結論は、それなりに影響が大きくなるとは思います。

今後の推移を見ていこうと思います。

【2018.10.4.追記】
平成30年4月19日に東京地裁で判決があったようです。
埼玉消費者被害をなくす会のサイトでも紹介されているほか、銀行法務21(2018年7月号)830号12頁にもも紹介記事があります。
なお、控訴審判決は、平成30年11月28日に予定されているとのことです。



固定電話網の円滑な移行の在り方

2017年1月24日火曜日

消費者契約法12条の「勧誘」と広告(最判H29.1.24)

消費者委員会の一昨年のとりまとめでも紛糾していた、重要論点について、平成29年1月24日、最高裁判決がありました。

ヤフーニュースのツイート(時事通信)

反応も早く結構出ていました。 もう少し待つと、たくさん出てくるはずです。 ホクネット(適格消費者団体 認定NPO法人 消費者支援ネット北海道)のツイート

京都府消費生活安全センターのツイート

判決文も裁判所のサイトにアップされていました。
PDF

この訴訟の経過については、京都消費者契約ネットワークのサイトで、訴状、判決などが公開されていて、また、代理人の解説も別のサイトに載っています(長野浩三「差止請求訴訟における「おそれ」の有無止請求訴訟における「おそれ」の有無」御池ライブラリー44号32頁)いますので、そちらで参照することができます。

【追記】
川村哲二弁護士のブログ記事(2017年1月24日)も参考になります。


(参考)
●第1審 京都地判 H27.1.21. PDF(裁判所サイト)
 景表法の有料誤認表示を認定して、原告が勝訴していますので、消費者契約法の判断はされていませんでした。

●控訴審 大阪高判 H28.2.25.判例時報2296-81
 第1審を取消し、景表法の有料誤認表示も、消費者契約法の勧誘該当性も否定しました。


上記のツイート等でも紹介されているように、判決文では、該当性を否定した原審(大阪高裁)の判断について
本件チラシの配布が不特定多数の消費者に向けて行う働きか けであることを理由に法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たるとは認められ ないとした原審の判断には,法令の解釈適用を誤った違法がある。 
としています。

その理由として、
 ところで,上記各規定にいう「勧誘」について法に定義規定は置かれていないところ,例えば,事業者が,その記載内容全体から判断して消費者が当該事業者の商品等の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項を具体的に認識し得るような新聞広告により不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは,当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから,事業者等が不特定多数の消費者に向けて働きかけを行う場合を上記各規定にいう「勧誘」に当たらないとしてその適用対象から一律に除外することは,上記の法の趣旨目的に照らし相当とはいい難い。
 したがって,事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても,そのことから直ちにその働きかけが法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないというべきである。
としています。

訴訟そのものは
 しかしながら,前記事実関係等によれば,本件チラシの配布について上記各項にいう「現に行い又は行うおそれがある」ということはできないから,上告人の上記各項に基づく請求を棄却した原審の判断は,結論において是認することができる。
論旨は,原判決の結論に影響を及ぼさない事項についての違法をいうものにすぎず,採用することができない。
として棄却していますが、これまでの「勧誘」と「広告」の関係については、内閣府の逐条解説で示されていた解釈が(異論も激しく存在していましたが)当然のもののように扱われていて、今回の判決で示された考え方は、一昨年の消費者委員会のとりまとめの際にも物凄く紛糾していたところです。

その意味でとても重要な判断で、今後の論考や影響をよくみていく必要があります。


2017年1月19日木曜日

電子マネー関係の判決

NHKのニュースから。
電子マネーの利用先が提供する商品や役務の不正さ(出会えない出会い系など)の問題ではなく、次の特徴がある案件であったようです。
1)スマートフォンを紛失した
2)通信契約を停止
3)電子マネーの利用停止は講じなかった
4)電子マネーを不正に使われた

上記ニュースによると、原審が利用者の敗訴だったのに対し、控訴審〔1〕 では注意義務違反を認めて利用者の勝訴となったようです。
注意義務の内容、発生原因などを、もう少し詳しく知りたいところです。 分かり次第、適宜、補充していこうと思います。

〔1〕 東京高判平成29.1.18.判例時報2356号121頁