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2012年11月7日水曜日

スマートフォン安心・安全利用促進プログラム

総務省平成24年9月10日
(報道資料)「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」の公表

「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」 (PDF)

総務省として取り組む事項、を取りまとめたものだそうです。
読んでみて、あんまりおもしろくはありませんでした。その先のさらに具体的なこと、実際には事業者がどう動くかということ、や法改正ではないから仕方ないのですけれども。
ただ、これまでもいくつか公表されてきたスマホ関連の資料を1箇所で参照するものとはなっているので、その辺りから、かいつまんで整理してみることにしました。

・  プライバシーに関して提供する情報
→「スマートフォンプライバシーガイド
  平成24年8月「スマートフォン  プライバシー  イニシアティブ」
  「利用者視点を踏まえた ICT サービスに係る諸問題に関する研究会」提言114頁「別紙」部分
・  情報セキュリティ対策
→「スマートフォン情報セキュリティ3か条
  総務省平成24年6月29日
  (報道資料)「スマートフォンを安心して利用するために実施されるべき方策
  平成24年6月「スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会」最終報告53頁「別添2」 部分

・高校生を対象とした重点的な周知啓発活動
・青少年のインターネットリテラシーに関する指標の作成・活用
 ~特に高校生におけるスマートフォンの普及が著しい状況
→総務省平成24年9月10日
 (報道資料)「青少年のインターネット・リテラシー指標」の公表-指標開発と実態調査-

・関係事業者の対応の促進

→「スマートフォン利用者情報取扱指針

 平成24年8月「スマートフォン  プライバシー  イニシアティブ」
  「利用者視点を踏まえた ICT サービスに係る諸問題に関する研究会」提言55頁

・青少年に対する利用環境整備
→「青少年保護・バイ・デザイン及び利用者のインターネット・リテラシー向上に向けて」
 安心ネットづくり促進協議会2012年6月8日
 (報道発表) スマートフォンにおける無線LAN及びアプリ経由のインターネット利用に関する作業部会報告書について


いろいろあって(テーマが異なるので乱立とは言いませんが)、それぞれを横のつながりをみていかないといけません。少し不便かなと思ったりします(面倒くさがりにはきついかもしれません)。

2012年10月16日火曜日

ビッグデータの取扱いに関する問題


(1)新保 史生 「ビッグデータの取り扱いをめぐる法的責任の”誤解”と”誤認”
 
※ エンタープライズ ジン IT Initiative 連載「ビッグデータ分析ビジネス―その可能性と課題」


(2)個人情報保護専門調査会報告書
  ~個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題~

  平成23年7月 消費者委員会 個人情報保護専門調査会 (PDF

  個人情報保護専門調査会

2012年10月3日水曜日

医療法に おける病院等の広告規制

厚生労働省 「医療法における病院等の広告規制について

平成19年4月1日施行の改正医療法における病院等の広告規制につき紹介している厚生労働省のページです。

この分野の規制に関する書籍やこのガイドラインなどを読んでいると、いろいろ尽きないものですが、ここではインターネットを使った広告に絞ってまとめてみました。


1.医療広告ガイドライン

●医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)について(平成19年3月30日付け医政発第0330014号)
●「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)の改定について」(平成20年11月4日付け医政発第0401040号)により一部変更。

全体版(PDF)
6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例
(1)学術論文,学術発表等
    (中略)
(2)新聞や雑誌等での記事
    (中略)
(3)体験談、手記等
    (中略)
(4)院内掲示、院内で配布するパンフレット等
    (中略)
(5)患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
    (中略)
(6)医療機関の職員募集に関する広告
    (中略)
(7)インターネット上のホームページ
 インターネット上の病院等のホームページは、当該病院等の情報を得ようとの目的を有する者が、URLを入力したり、検索サイトで検索した上で、閲覧するものであり、従来より情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告とは見なさないこととする。
 また、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にした場合などでは、バナーに表示される内容は検索結果として画面上に表示される内容等については、実質的に本指針第2の1に掲げた①~③のいずれの要件も満たす場合には、広告として取り扱うこと。
※赤字と下線は私が付しました。

本指針第2の1の①~③とは「広告」に該当する要件として記載されている下記の3つのことです。
①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
②医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
③一般人が認知できる状態にあること(認知性)


2.医療機関ホームページガイドライン

厚生労働省 平成24年9月28日
  報道発表資料「医療機関ホームページガイドラインを作成しました

医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針(医療機関ホームページガイドライン)について(依頼)(平成24年9月28日付け医政発0928第1号)

2 基本的な考え方

(中略)

 インターネット等を通じた情報の発信・入手が極めて一般的な手法となっている現状において、美容医療サービス等の自由診療を行う医療機関について、例えば、ホームページに掲載されている治療内容や費用と、受診時における医療機関からの説明・対応とが異なるなど、ホームページに掲載されている情報を契機として発生するトラブルに対して、適切な対応が求められる事態が生じている。
 このため、引き続き、原則としてホームページを法の規制対象と見なさないこととするものの、ホームページの内容の適切なあり方について、本指針を定めることとしたものである。
 具体的には、国民・患者にとって有用な情報源の一つとなっているホームページ特有の性格等も踏まえつつ、
 ・国民・患者の利用者保護の観点から、不当に国民・患者を誘引する虚偽又は誇大な内容等のホームページに掲載すべきでない事項
 ・国民・患者に正確な情報が提供され、その選択を支援する観点から、通常必要とされる治療内容、費用、治療のリスク等のホームページに掲載すべき事項
を示すこととした。
 なお、ホームページに掲載すべきでない事項については、平成19年3月30日付け医政発第0330014号厚生労働省医政局長通知「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン) についての別添(以下「医療広告ガイドライン」という 。)第四「禁止される広告について」等で示す内容に準じたものとなっている。

掲載すべきでない事項として例示されているものをみていると、興味深いです。

(例)の一部を紹介します(ガイドラインはかなり多くの例が掲載されているので、そちらを直接見ることを強くお勧めします。

  • 「○%の満足度 (根拠・調査方法の提示がないもの) 」
  • 「○○の治療では、日本有数の実績を有する病院です」
  • 「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」
  • 「○○治療し放題プラン」
  • 「こんな症状が出ていれば命にかかわりますので、今すぐ受診ください」


どこかで見たようなものがたくさんある・・・のは気のせいではないですよね・・・。



2012年9月7日金曜日

通信障害、スマートフォン(データ通信)と制御信号

時折発生する「通信障害」が起きる要因がはじめてよくわかりました。

2012年1月25日のFOMA音声・パケット通信サービスがご利用しづらい状況について
 (ドコモ報道発表資料)

 上記のPDF資料

このPDF資料にある「4.制御信号増加の要因」の図解はわかりやすいです。
移動通信では、通信を行っていない場合、周波数有効利用のために無線リソースを解放するが、コミュニケーションアプリ(VoIP/Chat等)の普及により、端末がデータ送受信することによる、端末~交換機間で接続・解放のための制御信号が急増している。

コミュニケーションアプリをご利用されていない場合
端末を操作していない状態でも、AndroidOS機能により28分毎に制御信号が発生

コミュニケーションアプリをご利用されている場合
OS機能に加えてアプリケーション毎に断続的に制御信号が発生
比較的短時間に制御信号が発生(3~5分に1回)

ただ、上記資料は、通信事業者の報道発表資料で、説明がやや省略されていた基本的な部分もあります。

この点についての解説として、下記のものをみつけました。
図解がとてもわかりやすかったです。

●「連載 最新のネットワーク技術」日本データ通信機関誌186号26頁
 井上伸雄:
 「スマートフォン時代の携帯電話ネットワーク  …データ通信量が大きいのが特徴
 
一般社団法人日本データ通信協会のサイトで、同機関誌のバックナンバーのPDFが掲載されています。

【追記】
 ただ、掲載するバックナンバーの対象が少なく、どんどん古いものから消されていくようなので、186号のPDFは、現在はみられないようです。

この解説では、無線チャネルの解放も、次のチャネル確立という動作との連続でみた場合、制御信号の増加原因となることが記されている。
 スマートフォンが従来の携帯電話と異なるもう1つの点は、複数のアプリがバックグラウンドで頻繁に通信を繰り返すなど、通信の頻度が高いことで、そのため制御信号が増大してしまうことだ。制御信号とは「通信の開始・終了」「端末の現在位置」「端末の基地局間の移動」などの情報をネットワーク側に通知する信号で、この制御機能を処理できないと正常な通信ができなくなってしまう。
      ・・・(中略)・・・
 スマートフォンの場合は無線通信特有の問題がある。無線通信では1ユーザが電波を占有してしまうことがないように、データを送信し終わると無線チャネルを解放し、次のデータを送信するときに再びチャネルを確立する、という動作を繰り返している。
      ・・・(中略)・・・
 この無線チャネルの状態が変わるときに端末とネットワークの間で制御信号がやりとりされるが、制御信号は1個ではなく、例えば通信の開始時にはおよそ30個もの制御信号がやりとりされる。データ通信では、短いデータを間隔を空けて何回も送ることが多く、無線チャネルの確立と解放を短時間のうちに何回も繰り返すため制御信号が増えてしまう傾向がある。
※(一般社団法人日本データ通信協会のサイト

ユーザが全く意識していないところ、意識していない通信を、たくさん繰り返し行っている、ということですね。。。
しかもユーザが増えれば増えるだけ、信号が増える・・・。


2つの資料を併せて読むと、全体がスッキリわかりました。



2012年9月6日木曜日

オンラインゲームと課金

ゲームにおける「課金」の持つ意味などを理解する上で役立ったと最近感じた資料。


1.日本デジタルゲーム学会2012夏季研究発表大会

(1)大会公式サイト

(2)アフタヌーンセッション
小山友介(芝浦工業大学)「ソーシャルゲームの行動経済学的解釈」講演

動画

何となく感覚で受け止めていたところ(自分で勝手に思っていたところ)が明示されて、スッキリした。とても参考になるものだった。



2.「ゲームの売上の最大化」 (遠藤雅伸公式blog「ゲームの神様」)

 上記1の講演内容の紹介をしている記事。

 動画をみられない場合でも、この記事で講演の内容は、かなり把握できます。

 上記1の講演でも紹介されていた図表は、やはり、わかりやすいです。

 オンラインゲームに関する問題は、やる人とやらない人のギャップが大きく、ともすると噛み合わない感覚的な意見のぶつけ合い(互いに「お前が悪い」的なもの)になりがちかと思います。

 ただ、小山先生の講演資料などを基礎にして、ユーザ(消費者)側からだけではなく、事業者側からの「売上をどう獲得するか」という視点が持てれば、単なる感覚としてではなく、複眼的に問題を捉え、解決策を探ることができるように思います。
 特に、このブログの末尾にある、次の部分は、考えるヒントになりそうです。
ゲーム販売の方向の変化は、ゲーム制作が完成に向かって収束するものではなく、サービスを継続するために作り続けるようにシフトさせています。そんな中でも、ゲームメカニクスの面白さで支持されるゲームが育っているのも事実です。ゲームは常に技術の進歩に従ってパラダイムシフトしてきましたが、ビジネスとして成り立たせるためには、手間が掛からず、余計に払うことのない優れた課金システムが必須なんでしょうね。
なぜゲームの課金に関する問題が生じるのか、なぜ課金問題が大きくなっていくのか、なぜ課金問題がなかなか止められないのか、を考えるヒントになるものです。


3.中嶋謙互「オンラインゲームを支える技術」(技術評論社2011年)

 この中の次の項目

  • 「2.4 オンラインゲームのビジネスとしての側面」にある「多くの課金オプションを提供したい~課金決済の変化 ゲームポイントの登場-課金細分化 リアルタイム化の実現」
  • 「6.5 課金決済関連の補助的システム」


偶々目に留まった書籍だったが、前から気になっていた点に関する説明があったので。


4.事業者の対応の例など

(1)原田由里「事例で学ぶインターネット取引 第1回 オンラインゲーム」
      (ウェブ版月刊国民生活 創刊準備号No.2(2012年6月号


(2)一般社団法人オンラインゲーム協会(JOGA)
   ●「オンラインゲーム安心安全宣言
      課金に関しては1(3)で次の記載があります。
未成年者の利用者については、意図しない過度な課金を未然に防ぐべく、コンテンツの特性に基づき利用料金の上限を設定しています。 
【追記】

(3)一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)
   ●コンプリートガチャ トガチャ トガチャ トガチャ等に関するガイドライン
   ●ゲーム内表示等に関するガイドライン
   ●リアルマネートレード対策ガイドライン

2012年9月5日水曜日

DPI(ディープ・パケット・インスペクション)

DPIについて整理するためのメモ。

以前も高木浩光氏の記事(「DPI行動ターゲティング広告の実施に対するパブリックコメント提出意見」)をみつけたりして、2年前に、備忘録「DPI技術を活用した行動ターゲティング広告」(2010年6月4日)にしていたが、忘れていた・・・

少し整理して、いくつかウェブ上の情報を追加してみた。


1.総務省の報道発表(平成22年5月26日)

●総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」第二次提言」(平成22年5月)
 ・提言のPDF

 この提言54頁以下(違法性阻却は57頁以下)に詳細が記されています。
6.ディープ・パケット・インスペクション技術(DPI 技術:Deep Packet Inspection)を活用した行動ターゲティング広告について

(中略)

④違法性阻却が認められるか
 電気通信事業者による通信の秘密の侵害行為が正当業務行為となる場合については、実務上の運用事例を通じて一定の考え方が整理されてきている。これまでに正当業務行為が認められた事例は、ア.通信事業者が課金・料金請求目的で顧客の通信履歴を利用する行為イ.ISP がルータで通信のヘッダ情報を用いて経路を制御する行為等の通信事業を維持・継続する上で必要な行為に加え、ウ.ネットワークの安定的運用に必要な措置であって、目的の正当性や行為の必要性、手段の相当性から相当と認められる行為(大量通信に対する帯域制御等)といったものが挙げられる。こうした事例の根底にある基本的な考え方は、国民全体が共有する社会インフラとしての通信サービスの特質を踏まえ、利用者である国民全体にとっての電気通信役務の円滑な提供という見地から正当・必要と考えられる措置を正当業務行為として認めるものである。

 こうした基本的な考え方に立って検討すると、ISP による DPI 技術を活用した行動ターゲティング広告の実施は、パフォーマンスの高い広告を配信することや、そのために利用者の嗜好を把握することを目的としておりISP による電気通信役務(電気通信設備を用いて利用者をインターネットに接続させる役務)にとって、必ずしも正当・必要なものとは言い難く、正当業務行為とみることは困難である。
※赤字と下線は私が付しました。


2.夏井高人先生のブログ

世界ではディープパケットインスペクション(DPI)が日常的に実施されている
例えば,通信会社AがDPIを実施しているとして,その通信会社Aが通信当事者となっている通信もまたどこかの通信会社Xが実施しているDPIで完全解析されている可能性が高いことから,自分だけが例外的に傍受されていないということは基本的にあり得ないことになるだろう。
この夏井先生の指摘は留意しておきたいと思った。
よく考えてみると、全くそのとおりではないかと思う。


3.山根義則弁護士の記事

DPI技術による行動ターゲティング広告


●山根義則弁護士
帯域制御(通信データの取扱い)
ディープパケットインスペクション(DPI)による帯域制御のことが書かれている。


2012年9月4日火曜日

「スマートフォン プライバシー イニシアティブ -利用者情報の適正な取扱いとリテラシー向上による新時代イノベーション-」

とりあえずメモ。
適宜、書き足していく予定。

●総務省 平成24年8月7日
報道発表

スマートフォン プライバシー イニシアティブ -利用者情報の適正な取扱いとリテラシー向上による新時代イノベーション-」(PDF)

総務省「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」



パブコメの中でBYODについて触れたものがあり、それに対する回答では
「企業における従業員の私物スマートフォンの業務利用(いわゆる BYOD)における諸課題については、今後の普及動向や実態を見つつ必要性に応じて検討していく予定です。」
となっていました。
BYODは今回の対象外ということです。

2012年9月2日日曜日

サイバー刑法

1.サイバー刑法の名称

 「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」が正式な名称なのですが、法務省の「Q&A」の中で、「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(サイバー刑法)」と、括弧書きながら「サイバー刑法」としっかり書かれています。

このサイバー刑法について、いくつかメモ。

(1)成立 平成23年6月17日

(2)法文
  ●法務省:国会提出主要法案第177回国会(常会)
   「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」のページ
   このページで、Q&A、新旧対照一覧、等々が一覧できます。

  また、「いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪について」(PDF)も公開されています。

(3)石井徹哉「サイバー犯罪に関する法整備」<第161号コラム>
  (デジタルフォレンジング研究会サイト内)

(4)夏井高人「刑法175条の改正」(Cyberlaw)

(5)川井信之「改正刑法、成立」(弁護士川井信之のビジネス・ロー・ノート)


2.参考資料【追記あり】 

(1)吉田雅之「法改正の経緯及び概要」(ジュリスト1431号58頁)

(2)今井猛嘉「実体法の視点から」(同66頁)

(3)池田公博「電磁的記録を含む記録の収集・保全に向けた手続の整備」(同78頁)

(4)加藤敏幸「改正刑法175条とサイバーポルノについて


3.メモ

 夏井先生のブログでも紹介されていますが、この「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」では、刑法175条の改正も行われています。
第175条
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
(1)頒布

 今井猛嘉「実体法の視点から」(ジュリスト1431号71頁)
「電磁的記録その他の記録〔の〕頒布」とは,不特定又は多数の者の記録媒体にこれらの記録を存在するに至らしめる行為であると解される。すなわち「頒布」とは,この種の記録を不特定又は多数の人に対して拡散させ,その相手方をして,これをある程度継続的に保存させる行為を意味し,記録「物」の所有権の移転を伴わなくとも,頒布に該当することになる。
この伝統的な「頒布」概念は,(わいせつな有体物を対象とする)改正後の 175条 1項前段では維持されている。しかし,同条 1項後段では,わいせつな電磁的記録という無体物を対象とするため,その「頒布」の意義は,前段のそれとは異なって理解されることになる。すなわち,わいせつな有体物については,その譲渡,賃貸等が「頒布」であり,電磁的記録等については,当該電磁的記録等を,相手方の記録媒体等に出現せしめることが「頒布」に該当することになる
もっとも,電磁的記録の「頒布」においても,当該電磁的記録を不特定又は多数の者の下で記録させる意図で,これを送信等する必要がある。このような意図を欠く単純な送信は,「頒布」に該当しないのである。また,わいせつな電磁的記録を電気送信するが,これが受信先の記録媒体において,ある程度永続的に記録ないし管理されない場合には,やはり「頒布」には該当しないことになる 26)

26) したがって,例えば,わいせつな映像をライブで電気送信したが,受信先ではこれを保存することができない場合には,わいせつな電磁的記録の「頒布」には該当せず,公然わいせつ罪(刑 174条)が成立しうるにとどまる。また,送信情報が,受信先のコンピュータのキャッシュ・メモリ等に短時間,保管される場合は,この種の記録も一定の間,保存されうる以上,電磁的記録(刑 7条の 2)に該当しうるが,コンピュータの電源を切断すると同時にこの記録も消去される以上,当該わいせつな電磁的記録の「頒布」があったと見るのは困難であろう(林陽一「わいせつ情報と刑法 175条」現代刑事法 57号〔2004年〕12頁をも参照)。
※赤字と下線は私が付しました。

【追記】
 「頒布」について、奥村弁護士のブログ記事(2013.6.22付け)を目にしました。
 「不特定又は多数」や「受信元でのある程度永続的な記録・管理」を具体的に考える事例として、大変参考になります。
 奥村弁護士のブログを読んだ後で、ジュリストの解説を改めて読み直したのですが、最初に読んだときにわからなかった意味が今回はわかりました。

(2)併科

 「わいせつ物」と電磁的記録の問題の解決という点は当然押さえなければならないところですが、注意すべき特徴は、①客体(「電磁的記録」)、②対象行為(「頒布」「電気通信の送信」)、のほか、③罰金刑の創設(懲役刑との選択のみならず併科も可能)というところ、です。

 これは「本条所定の犯罪が、利益獲得目的でなされることが多いという実態に鑑みた改正である」(上記今井72頁)とされます。

 実際、わいせつDVDなどの販売により、行為者は相当な利益を得ている事例も多く(報道)、そのためか、罰金の金額もかなり高めな事例(共犯の場合は全員につき)を数件みたことがあります。



2012年8月27日月曜日

東京都による平成23年度インターネット広告2万4000件の監視結果

東京都が
「平成23年度インターネット広告・表示(24,000件)の監視結果
 インターネット上の不当表示582件に改善指導
 前年度比で約2倍の431事業者を指導」
を公表していました。

昨年もあったのでブログにて、クリップしてました。
その時の東京都の発表はこの「報道発表資料」ページです。

増えたというより、全く減ってない(むしろ調べれば調べるほど次々と発見されていくという感じではないかと思ったりしています。)

下記の報道発表資料の中で、「不当表示の例」が紹介されていますが、ネットだけではなく、いろんな媒体でよくみるものばかり、と言っても過言ではないでしょう。



平成24年6月21日
生活文化局
報道発表資料 [2012年6月掲載]



2012年6月25日月曜日

携帯電話の未成年者契約と法定代理人の同意

携帯電話の未成年者契約につき、法定代理人の同意に錯誤があったとして未成年者取消しを認めた事例

国民生活センターのサイト「消費者問題の判例集」に掲載)

 (札幌地裁平成20年8月28日判決

未成年者自身を契約当事者としていた事例。
未成年者が、友達から、自分自身で親が設定した上限額を増額変更できる方法を教わり、親に断りなく、自分で電話して上限額の増額を繰り返した、というもの。

上記国民生活センターのサイトで詳細に紹介されているが、そこに記載のあるように「取消後の現存利益」の捉え方には疑問が残る裁判例ではないかと思われる。

なお、控訴後に和解したとの記載がある。


2012年6月21日木曜日

電気通信サービスの営業活動

社団法人電気通信事業者協会のサイトから。

販売店に関する自主的な規律。
販売店での説明は、消費者トラブルの起点になっている場合が多いということは決して過言ではないでしょう。

(1)利用者視点を踏まえた電気通信サービスの営業活動に関する取組みについて(トピックス2012年1月31日)

(2)代理店の営業活動に対する倫理要綱(平成24年1月31日改正)










2012年4月27日金曜日

携帯電話と無線LAN、フィルタリング規制の限界(メモ)

無線LAN経由でのインターネット接続した場合、フィルタリング規制の外側になるという話。


(1)条文解説

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律関係法令条文解説 平成21年3月(内閣府総務省経済産業省)10頁11頁

【参照】
内閣府(共生社会政策)
子どもや若者を「育てる」~ インターネット利用環境整備

(携帯電話インターネット接続役務)
○青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律第2条第7項
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律施行令1条

「専ら携帯電話端末に組み込まれたブラウザ(中略)を用いることにより閲覧することを可能とするために提供される電気通信役務

1)(中略)携帯電話・PHS事業者自らが提供する「i モード」(NTT ドコモ)、「EZ web」(KDDI)及び Yahoo!ケータイ(ソフトバンクモバイル)等により、利用者が携帯電話端末等からインターネット上の情報を閲覧する場合が該当する。
2) いわゆるスマートフォンのような高機能携帯電話端末等において、公衆無線LANを用いたインターネット接続を利用することも想定されるが、公衆無線 LAN は、携帯電話端末等以外にも利用されるものであるため、該当しない
3) なお、公衆無線LANを用いたインターネット接続及びノートパソコンなどに携帯電話端末等を接続して行うインターネット接続は、法第17条の対象となる携帯電話インターネット接続役務ではなくとも、法第18条の対象となるインターネット接続役務には該当するほか、インターネット接続機器については、携帯電話端末等を除いては、パーソナルコンピュータなどの機器メーカーにかかる法第19条の義務の対象となっている。
※ 赤字と下線は私が付しました。

(2)利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会

「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言~スマートフォン時代の青少年保護を目指して~平成23年10月」

提言51頁以下

6-1多様なインターネット接続可能機器、ネットワークの多様化への対応「問題の所在」
スマートフォン(携帯電話回線利用の場合)については、法第 17 条第1項が適用されると解されており、現状、原則として携帯電話インターネット接続役務提供事業者によってフィルタリングが確実に提供されている。一方、携帯電話端末から無線LANを通じてインターネットに接続する際には、法第17条第1項が適用されず、法第18条のインターネット接続役務提供事業者に義務が発生すると解釈されている。

6-2-2具体的な対応
【携帯電話端末(無線LAN利用)】
関係事業者(インターネット接続役務提供事業者及びインターネット接続可能機器製造事業者)に、フィルタリングの利用を条件として役務提供する義務を求めるかどうか問題となり得る。
この点、パーソナル性の高い携帯電話端末を利用したサービスであるものの、現時点では無線LANの青少年への普及度合いが高いとは必ずしも言えないため、役務提供の際にフィルタリングの利用を条件とする法改正を現時点で行う必要性は認められないと考えられる。
現状、一般の利用者や保護者に対して、そもそも無線LANに接続可能な携帯電話端末が存在することや、無線LANを通じて接続した際にフィルタリングがかからない場合が存在すること等の周知は進んでいない。普及度合いが高くないとはいえ、意図せざるフィルタリング無しでの接続が生じることを考えれば、少なくとも携帯電話事業者及び販売代理店には、無線LAN接続に係る説明を携帯電話端末販売時に行うことが求められると考えられる。
また、今後、無線LAN機能を標準搭載するスマートフォンの急速な普及が見込まれることを考えれば、無線LANを利用したインターネット接続にフィルタリングがかからない現在の状況は望ましいとはいえず、携帯電話端末製造事業者は、必要に応じフィルタリングソフトウェア開発事業者等の関係事業者と協力し、無線LAN接続の際にも機能するフィルタリング等の閲覧制限機能を携帯電話端末に搭載可能とする等して容易に利用できる措置を講じることについて検討を開始することが望ましい。
②携帯電話事業者及び販売代理店並びに携帯電話端末販売事業者
(i)無線LAN接続機能の有無、(ii)無線LAN接続時におけるフィルタリングの利用の可否(利用できる場合はその方法) 、(iii)無線LAN機能の制限の可否(制限できる場合はその方法)について、携帯電話端末販売時に保護者及び利用者に説明することが求められる。
※ 赤字と下線は私が付しました。

2012年4月22日日曜日

発信者情報の範囲(メモ)

最近の記事等々。

(1)発信者情報とiモードID追記あり

(読売オンライン2012年4月13日)

「発信者情報開示を命令」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20120413-OYT8T00092.htm

男性の代理人弁護士やドコモによると、ドコモのiモードサービスの契約者に与えられる「iモードID」により、特定した情報を「発信者情報」として開示を認めた判決は国内で初めてという。
判決は3月27日。双方が控訴せず、12日に確定した。

追記
金沢地判平成24年3月27日:判例時報2152号62頁に掲載)

iモードIDによって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所が「発信者情報」に該当するかにつき、肯定した。
主文で開示を命じられた部分は
「投稿に使用された電気通信回線にかかる識別番号(iモードID:●●)によって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所」
とされている。


(2) 開示する発信者情報の範囲(省令の改正)

●平成23年7月
  総務省 「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」

 「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」(報道資料)

 提言本体→(PDF)  同30頁「(2)開示する発信者情報の範囲」以下
ア 概要
 開示する発信者情報の範囲については、現在、総務省令により 5 点の発信者情報が限定列挙されているところ、このような限定列挙とする方式ではなく、包括的に規定すべきとの主張や、現在列挙されている発信者情報以外にも盛り込むべき発信者情報があるのではないかとの主張がある。
イ 包括的な規定の是非

 まず、開示する発信者情報について、そもそも総務省令で限定列挙するのではなく、包括的に規定すべきとの主張について検討する。

(~中略~)

 このような観点から、プロバイダ責任制限法は、総務省令で発信者情報を限定列挙することとしたのであり、総務省令により柔軟に対応することが不可能であるという状況も認められないことから、開示の対象となる発信者情報について、総務省令で限定列挙することには、現在においても合理的理由がある。よって包括的に規定することは適当ではないと考えられる。
ウ 個別の情報の追加の是非
 次に、総務省令に現在規定されている 5 点の発信者情報に加え、新たに規定するものがあるかについて、検討する。
(~中略~)
 個体識別番号は、当該情報の流通に関与したプロバイダ等である携帯電話事業者が発信者を特定するための情報である。
 また、個体識別番号は、氏名や住所と比較して、それ自体が秘匿性の高い情報とまではいえないため、発信者情報として開示することが一般的に相当ではないとまではいえない。
 そして、携帯電話による通信の場合、IP アドレスは極めて短時間(秒よりも短い時間)のうちに次々に異なる携帯電話に用いられるため、IP アドレスとタイムスタンプによる発信者の特定が困難な場合がある。その場合であっても、携帯電話による通信においては、個体識別番号があれば発信者を特定できる場合がある。
 以上の理由から、これらの個体識別番号について、開示の対象となる発信者情報に追加することを検討すべきである

※ 赤字と下線は私が付しました。


●平成23年7月25日
 省令の一部を改正する省令案に対するパブコメ募集(報道資料)

※上記提言を踏まえたもの。
【Ⅱ 概要】
 プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報の開示請求の対象を追加
 携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号(改正省令案第5号)、SIMカード識別番号(改正省令案第6号)及びそれらのタイムスタンプ(改正省令案第7号)を、開示の対象となる発信者情報に追加する。

※ 赤字、下線、文字強調は私が付しました。

●平成23年9月2日
 パブコメの結果の公表(報道資料)




 この提言には、プロバイダ責任制限法に関する個々の論点につき、現場で悩ましいことなど、検討が加えられているので、別途整理してみようと思います。



2012年4月10日火曜日

オンラインゲームに関する問題(資料)

(1)「特集オンラインゲーム」 月刊国民生活2011年11月号

オンラインゲームの現状
オンラインゲームをめぐる相談等の概要
オンラインゲームに係るトラブル対応
ゲーム業界の対策と課題
ふえるゲーム依存症


(2)「特集ネットコミュニケーション-仕組みと危険」 月刊消費者情報2012年4月号

「オンラインゲームの仕組み」(高橋誠)
「オンラインゲームと法規制」(吉井和明
「オンラインゲームトラブル!その現状と対処法」(黒川龍)


(3)消費者庁「インターネット消費者取引連絡会第4回(平成24年2月16日)
議事要旨
「ガチャ」ついて触れている。

•資料1 オンラインゲームの消費者トラブルについて(ECネットワーク
•資料2-1 オンラインゲームに関する相談事例(東京都消費生活総合センター)
•資料2-2 特別相談「インターネット取引トラブル110番」の実施結果について(東京都消費生活総合センター)
•資料3 事業概要および消費者対応に関する取組み(グリー株式会社)
•資料4 DeNAのサービス概要と消費者対応について(株式会社ディー・エヌ・エー)
•資料5 オンラインゲーム消費者トラブルの法律問題(英知法律事務所弁護士 森亮二)


【追記】

①日経サイト(2012年1月25日7:00)
ソーシャルゲームが抱える潜在リスク 「射幸心」あおる仕組みとは」(新 清士)
 ユーザーが納得して支払っているとはいえ、一人のユーザーから月にいくらまでなら、課金することが妥当なのか、社会的なコンセンサスができているとは言い難い。ソーシャルゲーム各社にとって、ユーザーがどの程度の料金を支払い、年齢や性別、職業など、どのような分布になっているかという情報は、最大の企業秘密だ。表に出てくることはまずない。
パチンコとの比較をしながら「確率」の問題について触れています。


②読売オンライン
睡眠2時間、百万円使う…重症ネットゲーム依存
(2012年10月10日16時00分 読売新聞)

2012年4月5日木曜日

「インターネット上の著作権侵害に関する各国の法制度」

カレントウェアネスポータル(2012年4月5日)から。

国立国会図書館調査局、調査リポート「インターネット上の著作権侵害に関する各国の法制度」を刊行


PDFで公開されていました。


調査と情報-ISSUE BRIEF-No.747
インターネット上の著作権侵害に関する各国の法制度



調査と文教科学技術課 (前橋奈保子)



国立国会図書館
『調査と情報-ISSUE BRIEF-』 (一覧







通話料等に関する裁判例(メモ)


(1)通信料金返還請求事件

  • 京都地判平成24年1月12日 一部認容 判決文(-裁判所のサイト)
携帯電話の端末とパソコンを直接接続し、携帯電話端末をモデムとして用いることによってパソ

コンでインターネット通信をするサービスで、パケット通信料金が高額化した事例での判決。
後記解約金条項の問題とは異なります。


【参考】
  • 川村哲二弁護士のブログ

通信料金高額化に対する注意喚起・情報提供義務違反を認めた京都地裁判決(ソフトバンクモバイル)

  • 夏井高人教授のブログ(Cyberlaw)

京都地裁:パケット料金が高額である場合に警告を与えるべき義務を怠ったとして,ソフトバンクに対し,パケット料金の一部返還を命ずる判決



(2)解約違約金条項使用差止請求事件

  • 京都地判平成24年3月28日 請求棄却 判決文-裁判所のサイト)



過去の紹介記事




(3)ダイヤルQ2通話料金請求事件


  • 最三判平成13年3月27日 判決文(-裁判所サイト)



【追記】


●月刊国民生活2013年4月号(No.9)「暮らしの判例」


●国民生活センター2013年4月:公表
携帯電話利用契約における通信料金に関する事業者の説明義務

2012年4月3日火曜日

通信サービスと「セット販売」



「電気通信サービスに関する相談事例からみたトラブルの実態」という議題に惹かれて、第4回の議事録を読み始めましたが、「セット販売」を考える上で、いろいろと役立つ内容が満載でした。


●平成22年12月22日(水) 電気通信サービス利用者WG(第4回会合)

議題は下記でした。、

1.電話勧誘及びセット販売に関する電気通信事業者の取組状況

2.電気通信サービスに関する相談事例からみたトラブルの実態



議事要旨及び配付資料(資料1 電話勧誘・セット販売について)を読んでいて「セット販売」に関する一覧表は、非常に有益な資料だと感じました。

巷でもよくみる「セット販売」は、何と何の組合せ、結局いくらかかるのか、やめたらどうなるのか、そこにどんな事業者が関わっているのか、などが、すっと頭に入ることはなく(わざとそうしてるのかと思う)、前提情報を頭の中で整理してからでないと思考も混乱するだけです。
その頭の中の整理を容易にするものだと思います。


齋藤先生の発言にも
「TCA資料(資料1)6~9ページにあるような、セット販売図など資料として利用出来るような形に公にしていただけないか。頭の整理として良い。」
「また、消費生活センターの相談員は一番ニーズは高いかと思う。」
「また、消費者が契約する際もこういうものが頭に入っているのとないのとでは大分違うかと思う。」
そのとおりだと思う。


ちなみに齋藤先生も指摘されているが、第3回の議事録に次のような松本先生の発言もある。
「資料2-1(補足資料) 別紙3-1の4つの層の問題は非常に重要。どこで起こっているのかが分からない状態で解約時にトラブルになり、相談時もどの部分が問題なのかを解きほぐして対応しなければならないのが現状。」
「そこで、2点提案したい。
① 1つの事業者がサービスをセット販売する場合に、4つの層のサービスのどれを組み合わせて提供して、それぞれの対価はどのようになっているのかが分かるような表示を標準化するなどすれば、誤解が解かれるのでは。例えば、サービスの組み合わせ(A 型、A+B 型など)を作り、表示を見ればわかるというような仕組みを総務省において行ってはどうか。
② 相談対応の際に、相談員が対応しやすいように、この場合にはこう答えれば良いとか、こういうことを聞けばよい、書類のどこを見れば良いかなどが分かるような手引きを作成されたら良いのはないか。 」
※ 第3回の資料2-1(補足資料) 別紙3-1



第3回の議事録をみていると、「セット販売」の問題の所在や考える視点を掴むために、大事な発言が多くあります。

例えば、次の3つなど。
角田構成員:
資料2-1(補足資料) 別紙1の相談事例の概括について。事例別に柔軟な対応をとっているとのことであるが、量販店の場合、量販店の社員以外の人がけっこう入っていて、勧誘する人と販売店の関係などが複雑化しており、クレームを言ってもどこに責任の所在があるのかがわかりにくく、それがトラブルの原因になることもある。このような場合の体制について検討されていたりするのか。
濱谷構成員:
事業者側から量販店等に対して説明の分かりやすさを向上するようには依頼してはいない。セット販売は量販店や代理店の施策であり、人員の調達も量販店等の判断において行っているもの。現状としては、事業者側からモノ申すという体制にはなっていない。 」
若林構成員:
最終的には水平分離が進み、誰と契約しているのかが分かるような状況になっていくかと思うが、そこまで行くには何年もかかり、また、色々なユーザーが存在する。PC 的な世界になれば、自ずと「自分は誰と契約しているのか」も分かり、責任分担も明確になるはずである。しかし、プレゼンテーションにもあったように、業として行っている代理店の担当者でさえ難解になっているサービスを、利用者においては尚更分からない訳で、消費者の立場からすれば、それに至るまでの移行期の在り方を考えていって欲しい。 

※赤色と下線部は私が付したものです。


これに限らず、販売の現場(消費者が実際に相対する人)でのやりとり、が課題で、そこを巡ってはある意味で、堂々巡りというか、噛み合わない話が続いているように思います。



パケット通信料金の高額利用防止(事業者対応策)(メモ)

1.社団法人電気通信事業者協会サイト内での紹介

(1)「パケット通信料金の高額利用防止について

(2)「高額なパケットが発生する事例


2.電気通信サービス利用者WG(第2回会合

(資料5) 「TCAに於ける消費者支援の取組みについて」(PDF
       社団法人電気通信事業者協会 消費者支援委員会 2010年10月21日

上記PDF13ページにある下記をみると、柔軟な対応をしているようにみられる(事例数は不明だが)。
<参考:移動体通信におけるパケット料金高額請求への取組み>

  • 業界全体のデータでは無いが、或る会社に於けるパケット高額請求に関する入電が前年同月比3割減、といった例をはじめ、かなりの減少が見られる。
  •  これらは、パケット定額サービス加入が浸透して来たほか、次のような取組みを行った関係もあると考えている。
  • パケット定額サービス非加入のお客様からの利用額が高額になった旨の申告につき、お客様からのご要望に合わせ契約当たり1度に限り、前月に遡って定額サービスを適用する運用
  • ご利用料金がお客様の設定額を超えると、eメールで通知するサービス提供
  • お客様が設定した上限額を超えると、一部機能(着信・緊急通報発信等)を除いて利用を停止するサービスの提供


3.事業者

(1)パケット通信の高額利用に関するご注意(NTTドコモ)


(2)その他、上記(資料5)の別紙PDFでは各事業者ごとの工夫が一覧できる。


2012年4月2日月曜日

電気通信サービスと民事効

電気通信サービスと民事効について議論されているもの。

電気通信サービス利用者WG(第2回会合)

  議事要旨~平成22年10月21日(木) 

(1)特商法の適用除外問題

 出席していた消費者団体(独立行政法人国民生活センター、東京都消費生活総合センター、社団法人全国消費生活相談員協会)は、特商法を適用すべき、という意見


(2)適合性の原則

   ●新美先生の発言
金商法の場合、金融サービスは一種の博打に近いものなのだから、それにふさわしい人に行わせるという意味合いもある。それと同じかどうかを議論していく必要はある。
また、適合性の原則は、説明義務を尽くして理解して貰ったとしても、なおかつ「あなたはふさわしくないから駄目だ」ということを電気通信分野でもいえるのかどうかというもので、その辺の議論も必要。
消費者の立場からすれば、当然そうあるべきだとは思うが、電気通信サービスにおいても同様のことがいえるのかどうかはきちんと議論していくべき。
※ 赤字と下線は私が付しました。

(3)その他

   ●齋藤先生の発言
 消費者団体から説明のあった具体的事例をみると、代理店・(量販店などの)取次店の現場レベルでの説明や勧誘が問題のような印象を受ける。
 事業者は色々と努力されておいることは分かった
 しかし、もしそうなのであればトラブルはすんなり解決していくはず。消費者団体の説明を聞くとギャップがある。これはなぜなのか。柔軟な対応をしているというが、なぜ消費者団体から問題視されているのか。
※ 赤字と下線は私が付しました。

※ 「事業者の努力」に関するものとして、下記の資料がありました。

   第2回会合配付資料 資料5

   本体 TCAに於ける消費者支援の取組みについて
        2010年10月21日
        社団法人電気通信事業者協会消費者支援委員会


 この資料は、「事業者がどのように問題点を把握し、体系立てて対応しようとしているか」、を理解するために有効な資料と思います。
 項目だけ拾ってまとめると、大事な論点がたくさん出てきて、それぞれに対応しようとしていることがわかります。
(1) 契約締結前の利用者向け情報提供の在り方
  ア 広告表示への取組み
  イ 分かりやすい料金体系の策定
(2) 契約締結時の説明義務等の在り方
  ウ  分かりやすい説明
  エ 契約解除手続きについて契約締結時の説明へ追加
  オ 適合性の原則を踏まえた勧誘
(3) 契約締結後の対応の在り方
  カ 複数契約解除に際しての注意喚起
  キ 契約解除等の民事効について
(4) 苦情処理・相談体制の在り方
  ク  電子メールのみならず電話にて受付を行う
  ケ 入電問合せの改善及び開示
  コ 各地方に於ける関係者情報交換

 事業者の取組内容がわかってくると、齋藤先生が指摘されているように、「なぜトラブルは解消しないのか」、ということが、より鮮明に課題として残ることになります。
 こういった委員会などでの議論が、いつも事業者と消費者との間で噛み合っていないのはなぜか、そこが問題です。


2012年3月21日水曜日

インターネットトラブルを動画で疑似体験

●神奈川県 県民局くらし文化部 消費生活課

「インターネットの危ない世界」を体験しよう!(2012年2月21日)



次の5つのインターネットトラブルを、動画で疑似体験できるサイトが設けられています。

1.占いサイト
2.ワンクリック請求
3.出会い系サイト
4.ネットショッピング
5.オンラインゲーム


この手の相談は、何が起きたと説明された側が全くイメージを掴むことすらできなかったり、相談者とイメージを共有できなかったりという課題がありますが、それを克服する一つの道具になりそうです。

2012年3月7日水曜日

増大するトラヒック(メモ)

岡村弁護士のツイッター(@Lawcojp)で紹介されていたので、少し調べてみました。

スマホの普及によって、ドコモ報告書によれば、2015年度におけるケータイの通信量は、2011年度と比べて、なんと約12倍に達する見込み。これでは設備を増強しても対策は難しい。まいった。「中期ビジョン2015~スマートライフの実現に向けて~」

1.株式会社NTTドコモ 報道発表資料 2011年11月2日
 「中期ビジョン2015-スマートライフの実現に向けて-

 ●PDF

  ~上記PDF16ページ
11.増大するトラヒックへの対応」にある「トラヒックの推移(予想)」の図
2010→2011(約2倍)→2015(約12倍)



2.InfoComモバイル通信ニューズレター2011年12月号(通巻273号)
~「InfoComモバイル通信ニューズレター」の一部が無料で公開されているものです。

  「4G World 2011:「データトラヒック急増」が話題の中心に

●データトラヒック爆発に対する「危機感」
 通常、今回参加したような会議では、LTEの将来性や発展など、その魅力を前面に出した内容の発表が多い。その中で、今回の4G Worldでは、LTEの魅力を発表の内容で語りつつも、「データトラヒックが急増」といった課題が発表の中心となった。スマートフォンの普及によってデータトラヒックが急増している現状は、日本でも、報道記事等で広く知られるようになった。ただし、今回の会議で各社が課題に挙げた「データトラヒックの急増」は、非常に「緊張感」、「危機感」に満ちたものが多かった。その象徴ともいうべき発表が、KDDIの沖中氏の発表であった。沖中氏は、発表のなかで2015年までにデータ・トラフィックが「52倍」になるとKDDIが予測していることを公表し、増加するデータトラヒックに対する危機感をあらわにした。

●データトラヒックへの対応
 この急増するデータトラヒックへの対応策として、(1)LTEなどの「次世代技術の導入」、(2)データトラヒックの容量を拡張する「新たな周波数の獲得」、(3)従量制や速度制限などに代表される「サービス規約の変更」、(4)固定網へデートトラヒックをオフロードする「スモールセル・ソリューション」がある。本来的には、これらの全てのソリューションを活用することが最適であると考えられているが、今回の会議で重要視されたのがデータトラヒック増加と合った「スピード感」、そして、「ユーザー・エクスペリエンス」を阻害しない対策であった。まず、(1)に関しては、前述の通り世界各国で既にLTEの導入が進められている。では、(2)~(4)に関して、4G Worldに参加したモバイル・キャリアがどの様に考えているかを次節で紹介する。

【追記】
 総務省のサイトにも下記のものが発表されていました。
●平成23年9月30日
我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算 2011年5月時点の集計結果の公表
(報道資料)


2012年2月2日木曜日

ネット関連の日弁連シンポ2つ

(1)シンポジウム「表示規制と消費者被害の事前抑止について」

2012年2月18日(土) 17時30分~20時 (開場 17時)
弁護士会館17階 1701会議室

(2)シンポジウム「ネット消費者被害を考える」

2012年3月3日(土)13時~17時 (開場12時30分)
弁護士会館17階 1701会議室

こちらについては、USTREAMにて生配信されるようです。