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2013年6月30日日曜日

クレジットカードのセキュリティコードの流出

1.エクスコムグローバル社の事件

一月ほど前のニュースですが、いろいろな問題が指摘されていた件です。
まだ中間も含めた報告はアップされてないようです。

http://news.mynavi.jp/news/2013/05/27/212/index.html


エクスコムゴローバル社の発表した「流出したお客様情報」が、サラッと書かれているものの、サラッとは済まされない、想像を超えるものだったことから、厳しい指摘が随所でなされていました。

●エクスコムグローバル(2013年5月27日)
不正アクセスによるお客様情報流出に関するお知らせとお詫び
2)流出したお客様情報
お客様情報を保持していたサーバーには、最大146,701件のクレジットカード情報があり、同件数のお客様情報(①カード名義人名、②カード番号、③カード有効期限、④セキュリティコード、⑤お申込者住所)がありました。不正取得により流出しました件数はうち109,112件になり当該情報は、平成23年3月7日~平成25年4月23日にお申し込み頂きました、お客様の情報が対象となります。
(1)報道

これらがどんな情報なのかを「見出し」で示していたのが下記でした。

●Gigazine(2013年05月27日)

「フルセット」という見出しが、問題の大きさ、深刻さを、一言で表現していると言ってもよいでしょう。

その「問題」の内容を手早く把握するには、下記の記事は便利かと思います。

●読売オンライン「サイバー護身術}2013年5月31日
グローバルデータの情報流出に、深刻な三つの問題点

上記の記事にあるように、セキュリティコードを保持していたことについては、驚きました。

(2)セキュリティコードを加盟店が保持すること

セキュリティコードを加盟店が保持することに関し、記事では日本クレジットカード協会のガイドラインが紹介されています。
これは日本クレジット協会と共同で制定されたものです。

●平成22年12月
「新規インターネット加盟店におけるクレジットカード決済に係る本人認証導入による不正使用防止のためのガイドライン」の制定について
2.本人認証の実施
会員会社は、インターネット上でクレジットカード決済を行おうとする事業者と新規加盟店契約を締結する場合には、当該事業者が次の本人認証の両方を実施することを原則とする。
・セキュリティコード
・3Dセキュア等の本人認証(※)
なお、当該事業者が加盟店契約を締結した場合、加盟店にてセキュリティコードを保存することは、禁止する。
たしかに「保存は禁止」となっています。

そもそも、セキュリティコードは、Payment Card Industryデータセキュリティ基準(PCI-DSS)にて、保存してはいけない対象とされています。

このPCI-DSSは、下記のサイトでみることができます。

PCI Security Standards Council(日本語サイト)

そこにあったPCI-DSS「要件とセキュリティ評価手順 バージョン 2.0  2010年10月」には、次のように書いてありました。
3.2.2.
カードを提示しない取引を検証するために使用された、カード検証コードまたは値(ペイメントカードの前面または背面に印字されている3桁または4桁の数字)を保存しない。
今回の件は、この観点からも問題がおおいにあったということです。


2.JINSの事件

今年3月、JINSのオンラインショップでカード情報の流出があり、セキュリティコードが流出項目に含まれている可能性があるとされた事件(3/15付け発表)がありました。

中間報告
当社オンラインショップは、サーバ内にお客様のクレジットカード情報を保有しないシステムで運用しておりました。PCF 社の最終調査報告書によりますと、同社による当社サーバのログ解析により、平成 25 年3月6日にバックドアプログラムが設置された痕跡、および第三者のサーバにクレジットカード情報が転送されるようにアプリケーションプログラムの改ざんが行われた痕跡が確認されました。
最終報告
PCF社の調査によると、本件不正アクセスの原因は、第三者が当社オンラインショップのシステムに使用されていたミドルウェア(※)「Apache Struts2(以下、「Struts」といいます。)」の脆弱性を利用してシステムに不正に侵入し、ファイルの変更権限を不正に取得したことによるものであること、および当該システムに使用されていたStrutsが、すでに過去に脆弱性が指摘されていた古いバージョンのものであったことによることが報告されております。
このJINSのケースでは、クレジットカード情報はもともと保持しておらず、第三者がプログラムを勝手に設置・改ざんすることで、情報が転送されるようになっていた、ということで、エクスコムグローバル社の一件とは、流出の原因が違っていました。


3.過去における対応

過去において、セキュリティコードを加盟店が保有することについて、カード会社などの対応はどうだったかについては、下記の記事が参考になりました。

●ソフトバンク ビジネス+IT 2009年04月07日
PCI DSSから学ぶグローバルセキュリティ標準(6)PCI DSSに関する国内外の最新動向

次の記載がありました。
VISAが昨年11月13日にPCI DSSの普及プログラムを全世界共通とすることを発表したことである。「PCI DSS遵守の国際的な義務化に向けたタイムライン」と題された発表は、2009年9月30日までにアクワイアラに対して、すべての、レベル1、レベル2加盟店が全磁気ストライプデータ、セキュリティコードまたはPINデータを含むセンシティブなカード関連情報を取引認証後に保管していないことを確認、報告することを求めた上で、すべてのレベル1、レベル2加盟店が保管禁止データを保管していないことの証明書の提出を義務付けるものだ。
紹介されていたVISAのプレスリリース(「PCI データセキュリティ基準(PCI DSS)遵守に期限を設定」東京, 2008年11月13日)には、次のようなことが書いてありました。
レベル1/2の加盟店向け保管禁止データの廃棄期限
–2009年9月30日

Visaは、アクワイアラに対し、レベル1/2加盟店が全磁気ストライプデータ(別名:トラックデータ)、セキュリティコード又はPINデータを含むセンシティブなカード関連情報を取引認証後に保管していないことを確認、報告する期限を2009年9月30日としています。

「ハッカーが、カード偽造のためにこれらの情報を探しています。Visaが同情報の保管を禁止するのはこのためです。」(マイク・スミス)
期限経過後、Visaは必要なリスク管理施策を実施します。例えば、レベル1/2加盟店が保管禁止データを保管していないことの証明書をアクワイアラがVisaに対し提出しなかった場合、罰金が科されることもあります。

このようにセキュリティコードは、だいぶ前から保持しないことがハッキリしていたのに、なぜかエクスコムグローバル社は保持していたこと、これは単に問題視されるだけでなく、保持していた背景も早く公表しないといけないでしょう。

「フルセット」で流出したとなると、記事にも懸念が示されていましたが、ひも付け、の危険は払拭できません。


4.対象者(可能性のあった者も含む)に対する対応

ところで、この件で、エクスコムグローバル社から、ユーザに対して示されたお詫びの措置の内容についても、厳しい批判がなされています。

●ITジャーナリスト・三上洋 「グローバルデータの情報流出に、深刻な三つの問題点
 (上記読売オンラインの記事)
もう一点、ユーザーへのおわびにも問題がある。今回の流出のおわびとして、エクスコムグローバル社では「3000円の割引クーポン」をメールで送付した。私見になるが、自社でしか使えないクーポンを出すことが、おわびになるのだろうか? クレジットカードデータを流出させた企業のサービスを、もう一度使おうとするユーザーは少ないだろう。おわびの方法にも問題があると筆者は考えている。
●柳谷智宣 「気になるITトレンドの“裏”を読む」(第5回)-2013.06.19
 「ネットでカード決済はやっぱり危険?情報漏洩事故で露呈…対処法と便利なサービス
 (Business Journal
そして、エクスコムグローバルから届いたのは、お詫びとして自社サービスの割引クーポン3000円だった。2014年5月31日までの有効期限が切られており、お釣りも出ないし、繰り越しもできない。最悪クラスの個人情報漏洩事件を起こしたサービスを、また使う人は少ないのではないだろうか。
あまりにもどうかと思ったので、問い合わせしたところ、お詫びはこのクーポンのみ、これで納得していただきたい、という返答。情報流出によるリスクにとどまらず、クレジットカードの交換というとてつもない無駄な手間が発生しているのに、これはない。とはいえ、集団訴訟を起こしても、儲かるのは弁護士ばかり。泣き寝入りするしかないのだろうか。様子を見たい。
最後の「儲かるのは弁護士ばかり」という点は疑問ですが、おわびの方法や内容に対する厳しい批判は、その内容において、至極まっとうだと思います。

ちなみに、JINSの事件では、1000円のQuoカードが送付されました(JINSの最終報告書)。
これなら、どこでもとはいかないにしても、使える場所や対象が、とても広いですから,
自社サービス専用かつ短期間有効よりは、ずっとよいでしょう。


2013年6月28日金曜日

情報漏えいコストの調査結果

マイナビニュースに、シマンテックが情報漏えいに関するコストの調査結果を公表したというニュースが載っていました。
http://news.mynavi.jp/news/2013/06/26/170/index.html

このニュースに
「同調査によると、漏えいしたレコード(1人の個人を特定できる情報)1件あたりの平均コストは、昨年の1万1011円から1万2263円に上昇した。コスト上昇に合わせ、情報漏えいにより企業が負担した総コストも約2億100万円から2億2400万円に増加している。」
とあったのをみて、「そういえばセキュリティのコストに関する資料の参照先をメモしたなぁ」と思い出しました。

それは、JNSA(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)の「情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」です。

下記のものがJNSAのサイトでみることができます。
●「2011年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書

・一人あたりの平均想定損害賠償額
・一件あたりの平均想定損害賠償額
・個人情報漏えいにおける想定損害賠償額の算出モデル

などが掲載されています。
賠償額を考える際に、裁判例とはまた別の参考資料として、みておいて損はないものだと思います。

このJNSAの資料は、

田島正広編「インターネット新時代の法律実務Q&A
「第3章 2 個人情報漏えい時の損害賠償額、日常起こる事故と免責条項」

で具体的な数字を挙げている資料として紹介されていたのをみて、以前メモしていたはずなのですが、肝心の慈雨分のメモがどこへいったかわからなくなってしまい、この本を再度開いて、確認、忘れないようにメモします。

2013年6月27日木曜日

サクラサイトに関する裁判(追記:判例時報2206号83頁)

1.サクラサイトに関する裁判についての最近の報道

(1)「サクラサイト:「詐欺にあたる」と賠償命令…東京高裁
  (毎日新聞 2013年06月19日)

この問題では、業者が「サクラ」であることの立証が最大の課題ですが、原審判決後から高裁判決に至る過程では、弁護団の工夫と努力が積み重ねられ、この結果に結びついたようです。
下記の方々のブログで、その点が紹介されていました。


出会い系サイトで2千万円払った男性が逆転勝訴
 (札幌弁護士会所属 弁護士森越壮史郎のブログ

また、判決内容の特徴として、被害者の過失相殺が認められなかったことを挙げていたブログもありました。

サクラサイト運営業者に対し東京高裁で逆転全面勝訴判決
 (つきのみや法律事務所のブログ)

対象が対象であることからか、過失相殺を安易に肯定しがちな領域ですが、それを否定したことは重要だと思います。




【H26.8.8.追記】

上記東京高判平成25年6月19日の判決文が判例時報に載りましたので、その点の補充と、同裁判例の紹介をするサイトなどを補充します。


判例時報2206号(平成26年2月11日号)83頁
   判決文が掲載されているので、詳細な事実認定と判断を読むことができます。全部を読むべきなのですが、「サクラ」という言葉を使っていたので、そこだけ紹介します。
 したがって、控訴人が本件各サイトにおいてメール交換した本件各相手方等は、一般の会員ではなく、被控訴人が組織的に使用している者(サクラ)であるとみるほかない。


消費生活相談員のための判例紹介(瀬戸和宏 弁護士)

全相協つうしん『JACAS JOURNL』153号 13.09.15掲載
公益社団法人 全国消費生活相談員協会 JACAS判例紹介


(2)サクラサイト:出会い系に賠償請求、一斉提訴
  (毎日新聞 2013年06月24日)

高裁判決後の一斉提訴のニュースです。


2.これまでよく紹介された裁判例

 サクラサイトに対する賠償を認めたものとして、よく紹介されていたのは、下記の裁判例でした。

●さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決 消費者法ニュース89号231頁

これについてウェブでみられるものは下記のものです。

消費生活相談員のための判例紹介(土屋文博 弁護士)
全相協つうしん『JACAS JOURNL』142号 11.11.15掲載

そこで紹介されているように、立証として、当該業者に関するPIO-NETの情報が使われ、判決の事実認定においても重視されたとのことです。



3.サクラサイトに関しての資料

(1)市民と法No.79(民事法研究会)
  【特集】消費者・個人事業主の被害の現状と最新実務2
   1 インターネット消費者取引被害の現状と課題──サクラサイト商法(詐欺)を中心に──
     司法書士 山田茂樹

(2)原田由里「事例で学ぶインターネット取引 第3回 サクラサイト」(pdf

 ※ 上記②は、消費者庁が調査機関(公益財団法人 日本生産性本部)へ依頼して別途、事例を精査したもので、PIO-NETの記載とは異なるのだそうです。

この(4)②82頁以下には、サクラサイト関係の訴訟事例がいくつか紹介されています。
ただ、そのうち「東京地裁(2010 年提訴)」として掲載されているものは、立証らしい立証をほとんどしてないようで、考察対象から外してよい事例のようです(ちなみに、調べていくと、同じ代理人の担当で、半年後には同じような裁判で、裁判所の再三の釈明に応じず、請求原因が特定されていないとして却下されているものもあります。東京地裁H24.6.18.)。


2013年6月24日月曜日

スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会最終報告のフォローアップ

「フォローアップ」というものが公表されています。


総務省平成25年3月29日
報道資料) スマートフォンの情報セキュリティに関する最新動向と今後の方向性
        -スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会最終報告のフォローアップ-
 スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会(以下、「本研究会」という。)は、最終報告(平成24年6月公表。以下、「本最終報告」という。)において、事業者における具体的な情報セキュリティ対策や利用者への普及啓発策のほか、関係事業者や政府等が当面、重点的に実施すべき事項を「スマートフォン情報セキュリティ行動計画」(以下、「本行動計画」という。)として示した。以下では、本最終報告で掲げられた事項の中から、特に重要と考えられるものについて、各節において最新の動向のフォローアップを行い、今後の方向性を提示する。
スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会の最終報告(平成24年6月公表)は、下記でみられます。
総務省平成24年6月29日
(報道資料) スマートフォンを安心して利用するために実施されるべき方策
        -「スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会」の最終報告の公表-


1.「第2節  利用者に対する普及啓発の取組」の部分

 このフォローアップで、最初に気になった事項は7頁以下「第2節  利用者に対する普及啓発の取組」の部分です。

7頁「(1)総務省の取組」には次の記載がありました。
【最新動向】
    総務省では、スマートフォンの特性及び利用上の注意点・対策のポイントについて、「スマートフォン情報セキュリティ3か条」(平成23年12月)及び「スマートフォン  プライバシー  ガイド」(平成24年4月)をとりまとめ、政府広報やウェブサイトへのコンテンツ掲載等を通じた啓発を開始している。
 総務省では、スマートフォンの特性及び利用上の注意点・対策のポイントについて、「スマートフォン情報セキュリティ3か条」(平成23年12月)及び「スマートフォン  プライバシー  ガイド」(平成24年4月)をとりまとめ、政府広報やウェブサイトへのコンテンツ掲載等を通じた啓発を開始している。
 無線LANに関しては、利用者が安全に無線LANを利用するための手引書を改訂し、平成24年11月「一般利用者が安心して無線LANを利用するために」として公表した。
ここに記されている3つのものは下記です。

●「スマートフォン情報セキュリティ3か条」(平成23年12月)
 総務省(平成23年12月19日)発表
 「スマートフォン・クラウドセキュリティ研究会」の中間報告の公表
   
●「スマートフォン プライバシー ガイド(平成24年4月)
 パンフレットスマートフォン  プライバシー  ガイド

上記の中にある「スマートフォンサービスの構造」という図はわかりやすいです。

●「一般利用者が安心して無線LANを利用するために」(平成24年11月

上記の10頁にある下記のテザリング機能に関する注意点は目をひきました。
<スマートフォンのテザリング機能での注意点>
 スマートフォンのテザリング機能を利用するときには、家庭の無線LANの親機やモバイル Wi-Fi ルータと比較して、以下のように利用できる情報セキュリティ機能に違いがあることに注意してください。
・ 初期設定が暗号化を利用しない設定となっている場合があります。
・ WPS 17 やメーカ独自の自動設定機能が利用できない場合があります。
・ SSID 18 のステルス機能 19 に対応していない場合があります。
・ MACアドレス 20 フィルタリング機能に対応していない場合があります。

17 WPS(Wi-Fi Protected Setup)は、無線LAN機器の情報セキュリティに関する設定を自動で行う機能のことです。

18 SSID(Service Set Identifier)は、無線LANのアクセスポイントを識別する名称です。
19 無線LANのアクセスポイントは自身の存在を端末側に知らせるために、SSIDを周囲に発信しています。ステルス機能とはこのSSIDの発信を停止し、無線LANのアクセスポイントの存在を隠蔽する機能のことです。
20 MAC(Media Access Control)のアドレスは、端末に一意に割り振られた番号のことです。正規のMACアドレスに同じ番号は存在しません。
「Ⅱ 無線LANを適切に利用しないと生じる危険性の具体例と解決策」は、自宅で無線LANを使っている方には大切な記載だと思います。


政府広報は下記です。

平成24年7月27日掲載

総務省の告知は特設サイトのリニューアルで。
●「安心してインターネットを使うために国民のための情報セキュリティサイト


フォローアップ8頁「(2)携帯電話事業者等の取組」には、次の記載がありました。
【最新動向】
平成 24 年 11 月には、社団法人電気通信事業者協会(TCA)の移動電話委員会にて、携帯電話事業者の連携による統一的啓発資料が作成され 14、携帯電話事業者のアプリケーション提供サイト等からリンクを掲載して周知が行われている。
ほかに、契約時配布資料の中に「スマートフォンセキュリティ3か条」を掲載したり、ウイルス対策サービスの照会など、事業者の取り組みも紹介しています。

●社団法人電気通信事業者協会 2012 年 11 月 2 日付プレスリリース
「~安心・安全なスマートフォンのご利用への取り組み~  『スマートフォン(スマホ)ご利用にあたっての注意事項』の作成について」


2.「第3節  「スマートフォン情報セキュリティ行動計画」に基づく取組」の部分

次に気になった事項は「第3節  「スマートフォン情報セキュリティ行動計画」に基づく取組」の部分です。

もともと最終報告45頁には、
(5)スマートフォン利用者への総合的な普及啓発の実施
 スマートフォンにおける情報セキュリティや利用者情報等に関する対策等について、利用者に必要な情報を総合的に提供するため、総務省は、「スマートフォン安心安全プログラム(仮称)」を早急にとりまとめ、関係事業者や事業者団体等と協力して継続的に推進する。また、その内容については、取組の進捗や状況の変化等を踏まえ、必要に応じて見直しを行う。
とありました。
 フォローアップ13頁では
【最新動向】
 関係者間の連携を確保し、総合的な啓発を行う観点から、総務省は、本行動計画及び「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」(以下、「諸問題研究会」という。)の提言である「スマートフォン  プライバシー  イニシアティブ」(平成24年8月公表)を踏まえ、平成24年9月に「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」を策定し、公表した。
 各主体ごとの普及啓発の取組状況については、第2節で詳細を取り上げた通りである。
【今後の方向性】
 引き続き、各主体における普及啓発の取組が継続されることが期待されるとともに、普及啓発の効果及び利用者の意識の現状を捉えるため、スマートフォン利用者を対象とした意識調査を行うことが有効である。
 また、スマートフォンからの無線LANの適切な使用方法や情報セキュリティ対策等についても、周知・広報していくことが必要である。
とありました。

●総務省平成24年9月10日
 「スマートフォン安心・安全利用促進プログラム」の公表

このプログラムについては、このブログの別記事で触れたことがあります。





2013年6月22日土曜日

民法9条但書(民法改正での議論)

一ヶ月ほど前に書いた「日用品の購入その他日常生活に関する行為(民法9条但書)」という小さいな備忘録の記事に、キーワード検索が数件あったようなので、こんな記事にアクセスするキーワードってなんだろう、と参照元の検索エンジンをつらつら見てみていたら、債権法改正に関する議論で、意思能力のことが取り上げられていて、その過程で「民法9条但書」の問題の議論をみつけたので、メモします。

ついでに、中間試案もメモしました。

1.設定されていた問題点と議論
 ~意思無能力と民法9条但書

法制審議会民法(債権関係)部会第10回会議(平成22年6月8日開催)

第2 意思能力
 1 要件(意思能力の定義)
(関連論点)
 日常生活に関する行為の特則
 現行民法は,成年被後見人及び被保佐人がした行為のうち,日常生活に関するものについては,例外的に,行為能力の制限を理由として取り消すことができないとしている(同法第9条,第13条参照)。他方で,現行民法の解釈上,「日常生活に関する行為」であっても意思無能力を理由とする無効主張は可能であるという立場が有力である。
 しかし,意思能力を欠いた状態でされた意思表示であっても,「日常生活に関する行為」に当たる場合には,当該行為を確定的に有効とすべきであり,そのことを明文化すべきあるという考え方がある(参考資料1[検討委員会試案]・25頁)。この考え方は,「日常生活に関する行為」について,意思無能力を理由として法律行為の効力を否定することができるとすると,特に成年被後見人の行為については,意思能力を欠いた状態で行われた行為かどうかが常に問題となるため,取引の相手方にとっては法律行為の効力が不安定になり,成年被後見人自身が日常生活に関する行為を行う必要性に対応できなくなるおそれがあることを理由とする。
 もっとも,この考え方に対しては,意思能力を欠く状態で行われた意思表示の効力を確定的に有効とすると,表意者の保護が十分に図れなくなるおそれがあると指摘されている。例えば,日常生活に必要な物品の売買契約を,不必要であるのに異なる相手方との間で繰り返すような場合には,個々の売買契約はそれぞれ日常生活に関する行為に当たると考えられるため,表意者の保護が図られないことになってしまうという指摘である。
 以上を踏まえ,前記のような考え方について,どのように考えるか。
※ 赤字と下線は、私が付しました。

間引くと、どうもわかりにくくなってしまうので、少々長いですが、設定された問題の中身を正しく理解するため、全文引用しました。


・第10回会議の議事録(PDF版)17頁以下

いくつも発言があり、しかも、どれも重要だと感じてしまって、絞ることにに躊躇も覚えましたが、次の4つに絞ってメモすることにしました。
●岡田委員
日常生活に関する行為について先ほどパンを買うとかいうお話が出ましたが,毎日毎日の食料品を買うだけなのか,それ以外の日常生活に関する行為,例えば実際には布団だとか浄水器だとか,そういう契約のトラブルがとても多いのですが,そういうのは含まないのかによって,全然違ってくるかと思いますが,成年後見制の中で日常生活に関する行為については,被後見人も単独でできることになっていますが,現場では大変苦労されていると聞いています。また消費者問題でいいますと成年後見人が付く割合が大変少なく,明らかに付かなければいけないレベルなのに,一人で生活しているという人が多いものですから提案にあるように確定的に有効というのは是非やめていただきたいと思います。
●潮見幹事
それから,四点目は,日常生活に関する行為の特則の部分なのですが,一点だけ気になりますのは,検討委員会試案のコメントに付いていたと思いますが,日常の生活に関する行為を当事者を別として数々繰り返して行うといった場合に,日常生活に関する行為の特則という形でこの規定を設けたとき,もちろん,これは別の制度,ルールで対処するという可能性はあるのでしょうけれども,果たしてそういうのでいいのかということが,問題としては残っているのではないかと思います。その部分は,少し慎重に検討をされたほうがよいと思います。
●道垣内幹事
岡田委員がおっしゃったことは何か少し分かるような気がしまして,それというのは,成年後見制度が発動されている場合の9条ただし書それ自体にも問題があるとお考えでしょうが,成年後見人がついているという場合には,一定のコントロールをしているということが考えられるので,9条ただし書の規律でもよいかもしれないのに対して,成年後見の発動がされていないで,意思無能力状態にある場合にはそういうコントロールもないので,日常生活に関する行為というものに関して,特則を認めるのはよくないだろうということだろうと思って伺いました。
●松本委員
この問題を考えるときに,成年後見制度と意思無能力制度をどう関係させるのかという部分を少し考えておく必要があるのではないか。つまり,成年後見に早く移行すべきなんだけれども,時間的に間に合わない人を意思無能力という形で救済をするというつなぎの制度として考えるのか,それとも,鹿野委員がはっきりおっしゃっていたと思うんですが,現在の制度はかなり問題がある,特に日常生活に関する行為は問題があるんだという認識のもとに,意思無能力のほうをうんと拡張していく形で,制限行為能力との重畳適用も構わないとして,意思無能力でもっと処理しようという方向なのかという話ですね。そこをどちらで考えるかによって,効果にしろ,要件にしろ,少し違った位置付けが出てくるのではないかと思います
※ 赤字は、私が付しました。

ここでの議論は、あくまでも意思無能力を無効としつつ、「日常生活に関する行為」に当たる場合には,確定的に有効として、明文化すべきか、という点でした。

前回の記事で取り上げた、現在進行形の成年後見事務にとっての課題である、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」(民法9条但書)とは何か?に対する答えを議論するものではありませんでした。
その点は、少々期待しながら読んでいたので、(メインテーマではないので仕方のないことですが)残念ではあります。

ただ、「現行の民法9条但書は、そもそも問題のある規定なのだ」という見解があることを知ることができました。

部会の議事録を読んで、なかなか議論を頭の中で整理できないでいたところ、最後に松本委員の発言をみて、少しスッキリしたところです。


2.中間試案

「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」(平成25年2月26日決定)

 ・ 【参考】民法(債権関係)の改正に関する中間試案(平成25年5月2日補訂)

 ・ 【参考】民法(債権関係)の改正に関する中間試案(概要付き)(平成25年5月2日補訂)

 ・ 【参考】民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明(平成25年5月2日補訂)

本年公表された中間試案では、次のように整理されていました。
第2  意思能力
 法律行為の当事者が,法律行為の時に,その法律行為をすることの意味を理解する能力を有していなかったときは,その法律行為は,無効とするものとする。
 (注1) 意思能力の定義について,「事理弁識能力」とする考え方や,特に定義を設けず,意思能力を欠く状態でされた法律行為を無効とすることのみを規定するという考え方がある。
 (注2) 意思能力を欠く状態でされた法律行為の効力について,本文の規定に加えて日常生活に関する行為についてはこの限りでない(無効とならない)旨の規定を設けるという考え方がある。
この点に関する「補足説明」10頁。
反対の多かった意思無能力でも日常生活に関する行為は有効とする特例は設けないということに、中間試案では落ち着いたようです。
5 意思能力を欠く状態にある者が日常生活を営むことができようにするため,民法第9条ただし書,第13条第2項ただし書と同様に,日常生活に関する行為は意思能力を欠く状態でされても有効とする旨の規定を設けるという考え方があり,これを(注2)で取り上げている。民法第9条ただし書等は,制限行為能力者の行為について,自己決定の尊重及びノーマライゼーションの理念(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)に基づき,制限行為能力者が日常生活を送ることができるように設けられた規定であるが,日常生活に関する行為を自ら行う必要性は意思能力を欠く者についても同様にあてはまるという考え方である。
 しかし,民法第9条ただし書等は,平成11年改正の立案担当者によれば,成年被後見人が日常生活に関する行為をした場合でも,意思能力がなかった場合はその行為は無効であるという理解を前提に立案されており,学説も同様の理解に立つ見解が有力である。また,意思能力を法律行為ごとにその意味を理解する能力と捉えるのであれば,現に日常生活に関する行為を行った者がその意味すら理解する能力を欠いていたと言える場合は稀であると考えられる。
 このように,日常生活に関する行為であっても意思能力すら欠く状態で行われた場合は無効であると考えられていること,日常生活に関する行為が意思能力を欠く状態で行われることは現実にはまれであると考えられることから,意思能力については民法第9条ただし書のような規定を設けないという立場を本文に記載し,日常生活に関する行為の特例を認めるという考え方は,注記するにとどめている。
※ 赤字と下線は、私が付しました。



(参考)
・民法(債権法)改正検討委員会編
  「詳解 債権法改正の基本方針Ⅰ序論・総則」(商事法務)号86頁以下。

2013年6月19日水曜日

バーチャルオフィスの機能と法規制、電話受付代行業者及び電話転送サービス事業者における疑わしい取引の参考事例(総務省)

犯罪や悪徳商法にとっての「三種の神器」に関わる部分に関する法規制としての犯罪収益移転防止法に関して、総務省と警察庁の公表資料をメモ。


(1)警察庁生活安全局生活経済対策管理官
(平成25年2月)
平成24年中における生活経済事犯の検挙状況等について

「第1 概要」の「生活経済事犯の現状」の項目(上記1頁)では、未公開株商法やこうした商法の被害者救済を装った2次詐欺をはじめとした犯罪を「利殖勧誘事犯」とし、特定商取引法違反やヤミ金事案をともに、「犯行助長サービス」の提供停止を講じていく必要性、に触れられている。
そして、預貯金口座のほかに、「利殖勧誘事犯」ではバーチャルオフィス、レンタルオフィスが悪用される事例が目立つとされている。
第1 概要
 1 生活経済事犯の現状
  生活経済事犯のうち、利殖勧誘事犯(※1)及び特定商取引等事犯(※2)は、被害が減少しているものの、被害者中、高齢者の割合が非常に高い。
  ヤミ金融事犯(※3)の被害も減少しているが、いまだ暴力団の資金源の一部になっている状況がうかがわれ、被害が再び増加に転ずる懸念が完全に払拭できているわけではない。
  これらの生活経済事犯に対しては、これまで早期事件化に加え、犯罪利用口座凍結のための金融機関への情報提供を始めとした犯行助長サービス対策を推進してきたところ、昨今では、預貯金口座(以下「口座」という。)のほか、利殖勧誘事犯においてはバーチャルオフィス(※4)及びレンタルオフィス(※5)(以下「バーチャルオフィス」という。)に係るサービスが、ヤミ金融事犯においては携帯電話等に係るサービスがそれぞれ悪用される事例が目立つことから、犯罪の予防及び被害拡大防止を図るため、これら犯行助長サービスの提供停止に向けた対策を講じていく必要がある。

※1 未公開株、社債、外国通貨の取引、ファンドへの投資勧誘、投資被害の救済を仮装し、金を集める悪質商法。無登録金融商品取引業、預り金の禁止違反、無限連鎖講が典型。詐欺に当たるものも少なくない。
※2 訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引等で不実を告知するなどして商品や役務を販売する悪質商法。
※3 出資法違反(高金利等)及び貸金業法違反並びに貸金業に関連した詐欺、恐喝、暴行等に係る事犯。
※4 犯罪による収益の移転防止に関する法律第2条第2項第 38 号に規定するいわゆる郵便物受取サービス及び電話受付代行サービスを始め、いわゆる電話転送サービス等専用スペースを持たずに対外的な事務所機能を持つことができるサービスを提供するものをいう。
※5 通常の不動産賃貸物件と同様に郵便物の受取が可能であって、必要最低限のじゅう器等の設備が整っていることや狭小であること等から低い初期費用で直ちに利用が可能な個室型等の賃貸スペースを提供するものをいう。

こうした「利殖勧誘事犯」に対するバーチャルオフィスの悪用の実態と対策の状況については、「第2 検挙事件の事犯別状況」の「1 利殖勧誘事犯」(上記3頁以下)に統計を示しながら触れられている。
なかでもバーチャルオフィスについては、下記のような記載がある。
(2)対策の状況

イ 犯行助長サービス対策

(ウ)バーチャルオフィスサービス等の悪用実態の把握
利殖勧誘事犯では、バーチャルオフィスが被害者の取引の相手方となる法人の所在地として、又は郵便、電話等による連絡先として悪用されていることに鑑み、13 都道県警察において警察安全相談等で認知した利殖勧誘事犯を行っている業者(以下「業者」という。)(50 業者)と所在地・電話番号等が同一のバーチャルオフィス事業者(52 店舗)に対し、業者との利用契約実態を調べたところ、47 店舗で利用契約が確認できた。このうち、東京都内に所在するものが 45 店舗(95.7%)、東京都港区、中央区、新宿区及び千代田区内に所在するものが 33 店舗(70.2%)であった。
利用契約が確認できた上記 47 店舗のうち、契約時に本人確認をしていないものが4店舗(8.5%)、法人契約を締結していた 37 店舗のうち、15 店舗(40.5%)が法人自体の本人確認を行っていなかった。
また、47 店舗のうち、「犯罪に利用されていると思ったことがある」と答えたものが 23 店舗(48.9%)、うち「警察に届けたことがある」と答えたものは7店舗(30.4%)であった。また、この 47 店舗のうち、契約書や利用規約等に、犯罪に利用されていることが判明した際に解約するとの規定を整備していないものは6店舗(12.8%)であった。
 さらに、50 業者のうち、バーチャルオフィスを本店所在場所として商業登記していたものは 31 業者(62.0%)であり、うち当該バーチャルオフィスを本店所在場所として銀行等で口座開設していることが確認できたものが、27 業者(87.1%)であった。
以上のことから、業者は、契約時本人確認等犯罪悪用防止措置が不十分であるバーチャルオフィス事業者と契約を結ぶことによって、被害者や金融機関を信用させるため都心の一等地に事務所があるように装い、さらに同所を本店所在場所として商業登記した上で口座を開設しており、バーチャルオフィス、商業登記及び口座に係るサービスを複合的に悪用していることが判明した。
せっかく対策を講じても、確認義務が講じられていないのでは規制の効果が期待できなくなるところ、こうした実態は残念だと言える。

ヤミ金関係では、レンタル携帯が取り上げられている(上記14頁以下)。
3 ヤミ金融事犯
(2)対策の状況

イ 犯行助長サービス対策

(イ)悪用されたレンタル携帯電話の契約実態の把握
ヤミ金融業者その他の生活経済事犯を敢行する者には、自己への捜査を免れるためにレンタル携帯電話を悪用する状況が、また、レンタル携帯電話事業者の中には、法で定められた本人確認を履行することなく漫然と携帯電話を貸与している事業者が存在する状況が、それぞれ認められることに鑑み、平成 24 年中にヤミ金融事犯に悪用され、各都道府県警察において解約要請を行ったレンタル携帯電話 2,763 台のうち、追跡調査が可能な 91 台を選定し、契約実態について調査を行った。
そのうち、レンタル携帯電話事業者が本人確認記録として保管していた自動車運転免許証の写しに偽変造が認められたものは 39 台(42.9%)であり、また、携帯電話端末の受け渡し方法が手交であったもの 63 台のうち、契約・手交場所が路上等店舗でなかったものは 26 台(41.3%)、さらに、契約・手交場所が店頭であったもの 15 台のうち、法で定められた本人確認を履行しなかったものは5台(33.3%)であった。
以上のことから、レンタル携帯電話の契約実態に関しては、必ずしも契約時本人確認等犯罪悪用防止措置を十分に行っていないレンタル携帯電話事業者が存在することが判明した。

携帯電話契約に関しては、本人確認義務の徹底がなかなか実現せず、刑事事件とされるケースの報道も珍しくないところ。

●MSN産経ニュース(2013.5.15 )
(平成25年3月5日 報道資料)

別紙1
○電話受付代行業者及び電話転送サービス事業者における疑わしい取引の参考事例
別紙2
○犯罪収益移転防止法に関する留意事項について(電話受付代行業者及び電話転送サービス事業者)


バーチャルオフィスについては、犯罪収益移転防止法を念頭におくことが必要で、俗にいう「飛ばし」の携帯のほかにも、私設秘書箱や、電話転送サービスを使っている場合も比較的多い。
こうした事業者向けの規制で、効果があげていってもらい、「三種の神器」の有効性を低下、できれば根絶してもらいたいところである。







SIMフリー端末の購入を巡るトラブル

SIMロック解除については、3年前、平成22年6月に総務省から「SIMロック解除に関するガイドライン」が公表されています(ブログでも2010年8月20日記事で触れました)が、
本ガイドラインは、事業者に対し、SIMロック解除を強制するものではないが、事業者は、SIMロック解除について、本ガイドラインに沿って、利用者の立場に立った取組に努めるものとする。
とあるように全機種のSIMフリー化が義務づけられているものではありません。

特に、人気機種はSIMフリー端末ではない傾向があり、新しい端末が欲しいけれど別の通信事業者と契約している(2年縛りなどで移れない)人や、かといって回線を増やすとコストが2倍になるので別契約したくないような人にとって、SIMフリー端末の存在は、重宝するもののようです。
ただ、SIMフリー端末の購入に関しては、いろいろ課題もあり、海外サイトなどで購入して失敗するケースがあるようです。

SIMフリー端末の勧誘に関して、リリースが消費者庁から昨年末に出ていました。

●消費者庁(平成24年12月14日)
通信販売を装った「SIMフリースマートフォン」の勧誘に関する注意喚起
 消費者庁が調査したところ、特定の法人の事例について、不当な勧誘行為(事実と異なることを告げる行為)を確認しました。
 このため、当庁は、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規程に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。

このリリースは「消費者安全法38条1項に基づく」とあるので、下記に関連する法令をまとめてみました。

消費者安全法第38条第1項
  内閣総理大臣は、第12条第1項若しくは第2項又は第29条第1項若しくは第2項の規定による通知を受けた場合その他消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、当該消費者事故等による被害の拡大又は当該消費者事故等と同種若しくは類似の消費者事故等の発生(以下「消費者被害の発生又は拡大」という。)の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、当該消費者事故等の態様、当該消費者事故等による被害の状況その他の消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとする。

消費者安全法第2条第5項
 この法律において「消費者事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
一 事業者がその事業として供給する商品若しくは製品、事業者がその事業のために提供し若しくは利用に供する物品、施設若しくは工作物又は事業者がその事業として若しくはその事業のために提供する役務の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、消費者の生命又は身体について政令で定める程度の被害が発生したもの(その事故に係る商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く。)
二 消費安全性を欠く商品等又は役務の消費者による使用等が行われた事態であって、前号に掲げる事故が発生するおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するもの
三 前二号に掲げるもののほか、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態

消費者安全法施行令第3条
 法第二条第五項第三号の政令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一  商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告又は表示をすること。
二  消費者との間の契約(事業として締結するものに限る。以下この条において同じ。)に関し、その締結について消費者を勧誘するに際して、又は消費者による当該契約の申込みの撤回、解除若しくは解約を妨げるため、次のイからニまでのいずれかに該当する行為をすること。
 イ 当該契約に関する事項であって、消費者の当該契約を締結するかどうか又は当該契約の解除若しくは解約をするかどうかについての判断に通常影響を及ぼすものについて、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げること。
 ロ 当該契約の目的となる商品、製品、役務、権利その他のものに関し、将来におけるその価額、将来において消費者が受け取る金額、その使用等により将来において生ずる効用その他の事項であって将来における変動が不確実なものについて断定的判断を提供すること。
 ハ 消費者が事業者に対し、消費者の住居又は消費者が業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
 ニ 消費者が事業者に対し、当該契約の締結について勧誘し、又は消費者が当該契約の申込みの撤回、解除若しくは解約をしようとしている場所から退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から消費者を退去させないこと。
三  前号に掲げるもののほか、消費者との間の契約の締結若しくは履行又は消費者による当該契約の申込みの撤回、解除若しくは解約に関し、消費者を欺き、又は威迫して困惑させること。
四  次のイ又はロのいずれかに該当する契約を締結し、又は当該契約の締結について消費者を勧誘すること。
 イ 消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第四条第一項 から第三項 までの規定その他の消費者と事業者との間の契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しに関する法律の規定であって消費者の利益の保護に係るものとして内閣府令で定めるものによって消費者が当該契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとされる契約
 ロ 消費者契約法第八条第一項 、第九条又は第十条の規定その他の消費者と事業者との間の契約の条項の効力に関する法律の規定であって消費者の利益の保護に係るものとして内閣府令で定めるものによって無効とされる契約の条項を含む契約
五  消費者との間の契約に基づく債務又は当該契約の解除若しくは解約によって生ずる債務の全部又は一部の履行を正当な理由なく、拒否し、又は著しく遅延させること。
六  不当景品類及び不当表示防止法 (昭和三十七年法律第百三十四号)第三条 の規定に違反して景品類を提供すること。
七  前各号に掲げるもののほか、消費者との間の契約の締結若しくは履行又は消費者による当該契約の申込みの撤回、解除若しくは解約に係る事業者の行為の規制に関する法律の規定であって、消費者の利益の保護に係るものとして内閣府令で定めるものに違反する行為をすること。


なお、SIMフリー携帯端末は、日本では販売されていない海外端末も含まれまるものです。著名モールを含む通販サイトでも販売されています。
ただ、その場合は、電波法の問題(技適マークなど)も検討する必要がありますが、それは別途機会があれば書いてみたいと思います。
ここでは技適マークに関しても触れる総務省のサイトを記しておくにとどめます。

電波の利用ルール(総務省 電波利用ホームページ内)

 ◆「技適マークのQ&A 携帯電話に関すること


ちなみに、上記の消費者庁のリリースでも「SIMフリー」の定義については、しっかりと次のように注記があります。
※ なお、この文書中、「SIMフリー」とは、電気通信事業者が自社の販売する端末等について、販売時点から特定の電気通信事業者に対応するSIMカードを差し込んだ場合のみに動作するような設定を端末に施さず、又は販売後にこの設定を無効化したものであり、・・・


2013年6月16日日曜日

「人口カバー率」や「実人口カバー率」

景品表示法に基づく措置命令のきっかけともなった「人口カバー率」と「実人口カバー率」という言葉。
イメージで掴んでいるだけで、実は意味を正確に知らなかったりします。
その点に関してマイナビニュースの「 いまさら聞けないスマートフォン用語」の中に用語解説の記事がありました。

http://news.mynavi.jp/articles/2013/05/24/smartphone_word5/index.html

KDDIの発表資料(20頁)にも「実人口カバー率の算出基準について」というものがあり、当然のことながら触れられています。
エリアカバー率の算出方法は事業者により異なります。
今後当社は、総務省における研究会や業界団体における表示方法に関する議論等を踏まえ、対応してまいります。
「人口カバー率」の曖昧さは、これまでも報じられてきました。

例として SankeiBiz 2012年10月18日付け記事
LTE「人口カバー率」に疑問 通信各社で異なる算定方法…利用者困惑?
この記事では総務省の方式として次のように紹介されていました。
 総務省によると、同省が定義する「人口カバー率」は各地の市町村役場や役場支所、出張所の庁舎に電波が届いているかどうかで判断する。市内全庁舎に電波が届けば市全域を「圏内」とし、市の総人口をカバーしたことになる。逆に1つの出張所にでも届かなければ市全域が「圏外」。総人口に占める圏内人口の比率が人口カバー率だ。
この方式は今回変更されることになったようです。

日経(WEB)の2013年5月29日付け記事
携帯の人口カバー率改訂 「99%でも圏外」是正へ  圏内・圏外の判定精密に鍵握る「メッシュ」
では、次のような記事があります。
 携帯電話サービスの利用可能なエリアの広さを示す指標「人口カバー率」の算出方式が変更される。総務省が新たな公式基準を導入することを決め、7月以降に新規割り当て予定の周波数帯に適用する。全国を約500メートル四方のマス目(メッシュ)に区切り、個々のメッシュごとに圏内か圏外かを判定する。従来方式より実際の電波の状態に近い人口カバー率を算出できるのが利点だ。
~(中略)
 個々のメッシュが圏内か圏外かは、メッシュ内の圏内のエリアが面積比で50%超か否かで判断する。50%超ならそのメッシュ全域を「圏内」と見なし、メッシュ内の人口が携帯電話を利用可能と判定する。50%以下なら、全域が「圏外」として携帯電話を利用不能として集計する。電波がどのエリアまで届くかは、通信各社がコンピューターを使ったシミュレーションではじき出す。
~(中略)
 実は総務省が2009~10年に過疎地への携帯電話網の整備について検討した際、圏内・圏外の判定にメッシュ方式を採用した経緯がある。当時は1キロメートル四方だったが、今回の本格導入に際しメッシュを500メートル四方とさらに細分化して、正確性を向上させることを決めた。すでに割り当てられた電波については引き続き市町村事務所方式を使い人口カバー率を検証するが、「今後の電波割り当てでは、原則としてメッシュ方式を採用する」(総務省移動通信課の田原康生課長)
メッシュ」の単位を細分化することが記されています。
この日経の記事では、「メッシュ」の単位につき、過去の資料の存在が紹介されていました。
そこで、「人口カバー率」について触れた資料がウェブ上にないかを調べてみました。

以下では、新しいものから古いものへ遡る形で記していきます。


(1)総務省(平成22年5月21日公表
   「携帯電話エリア整備推進検討会
   ● 報告書(PDF)

この「報告書」に人口カバー率の定義めいたものはありませんでしたが、「整備の現状」の項において、携帯電話サービスエリア外人口を把握する際に「メッシュベースでみると」などメッシュを基本に圏内外の判断をしていること、その「メッシュとは一辺1kmの正方形をいう。」が記されています。(4~5頁)

   ●携帯電話エリア整備推進検討会
    第4回会合(平成21年12月10日)
     (議事要旨

また、上記の会合の議事要旨をみていたら、人口カバー率、面積カバー率、など複数あり、整備の対象や目的、着眼点によって、それぞれの持つ重要度が異なるという指摘がなされています。
2つほど発言内容を。
○ このエリア整備は対象によって性質が違うわけで、ローカルエリアだとセーフティネットという考え方あり、それから利便性の向上ということもあるが、そういう意味で人口カバー率という概念はそろそろやめたほうがいいのではないか。99.9%まで到達して残りコンマ何%と言えば、もうそんなところまでやる必要は無いのではないかと必ず言われる。セーフティネットという考え方で言えば、エリアとしてそこはきちんとカバーすべきで、何%という議論ではないと思う。指標をそろそろ新しく作っていくことが必要。生活圏としてのカバー率だとか、あるいは面積カバー率といったものはまだまだかなり低い。そういうことに対するひとつの長期的な考え方、最終的にどこまでやるのかをやはり考えておく必要がある。
○ 主に人口カバー率ということを議論しているが、現実には面積カバー率という意味ではまだカバーされていない場所が非常に多い。本当の意味でみんなが安全・安心にどこからでも通信できるという意味では面積カバー率も考えていかなければならない。その場合に今やっているような地上で基地局を作っていくという場合には、非常に大きなお金がかかる。
※ 赤字は私が付しました。

カバー率という場合、一つの物差しで考えると、見落としてしまうことがある、そこを注意しなければならないということでしょう。


(2)総務省(平成19年12月11日公表
  「ユニバーサルサービス制度の将来像に関する研究会
 ● 最終報告書(リンク先は国会図書館アーカイブ)
 ● 資料A(参考資料)(リンク先は国会図書館アーカイブ)

上記「資料A」の中にある「人口カバー率」の説明がありました。
[資料15] 携帯電話サービスの人口カバー率

※人口カバー率:

 1平方キロメートルのメッシュごとにエリアであるか否かを判断し、エリアとされたメッシュ内の居住人口を合計してエリア内人口とし、総人口に占める割合を算出したもの。

(日本の国土面積は38万平方キロメートルであり、38万の1キロメッシュのうち居住地域についてエリア内外を判断したもの)
※ 赤字は私が付しました。

ここでも「メッシュ」が1平方キロメートルの単位とされていることが記されています。
2年半後の上記(1)の報告書に続いています。


(3)総務省(平成15年3月10日公表
   「携帯電話サービスにおけるエリア整備の在り方に関する調査研究会
  ● 報告書(PDF)

  ※(3)のリンク先は国会図書館アーカイブ。

  この時に、エリア整備状況の把握方法が変更されていました。
  「報告書のポイント」と報告書によれば、次のような変更でした。
<従来>
市町村役場及びその支所等、産業団地並びに観光地のすべてがカバーされている場合に、当該市町村全体がカバーされているものとみなして、市町村数ベースの整備率を算定。
一定以上の需要があると見込まれ、かつ、社会資本としての整備効果が高いと考えられる地域を対象として、
①市町村役場及びその支所等の公共施設がある主要地域、
②産業・経済上重要な地域、
③集落等一定以上の居住人口を有する地域
における整備を基本として考える(報告書9頁)。
  ↓↓↓(変更)↓↓↓↓
<今後>
居住地域におけるエリア整備状況を適切に示し得る、夜間人口をベースとしたエリア内人口を基に、整備状況を把握。
 エリア整備を更に推進していくためには多額の経費が必要となることから、今後のエリア整備の対象地域としては、居住地域を基本とした不特定多数の者が日常生活において往来することが想定される地域が中心となるものと考えられ、今後のエリア整備のメルクマールとしては、居住地域におけるエリア整備状況を適切に示し得るものとする必要がある。 (27頁)
この変更については、上記(1)総務省(平成22年5月21日公表)「携帯電話エリア整備推進検討会報告書(PDF)でも触れられています。(2頁)


2013年6月14日金曜日

「ネット回線勧誘トラブル110番」(国民生活センター)

国民生活センターが6/14と15の2日間、電話相談を行うと発表しています。


そこに
本キャンペーンの趣旨に賛同していただけるサイトを管理していましたら、このページへのリンクおよびバナー掲載にご協力ください
とあったので、試しに貼ってみました。

 全国の消費生活センターには、インターネット接続回線、モバイルデータ通信、スマートフォン、携帯電話等の電気通信サービスを契約したという相談が多数寄せられ、年々増加しています。
 そこで、最新の相談を集中的に受け付け、救済に向けた助言、交渉を行う中で、消費者、事業者、業界、行政に関する問題点、課題などを洗い出すため、以下のとおり、「-よくわからないまま契約していませんか?-ネット回線勧誘トラブル110番」を緊急で実施します。
 ■実施日
    平成25年6月14日(金曜)~15日(土曜) 2日間
 ■相談受付時間
    10時~16時(昼休みなし)
 ■相談特設番号
    03-5793-4110(ネット回線勧誘トラブル いつかなくそうよ110番)

この相談が実施される背景、すなわち問題の背景を手っ取り早く知りたい場合は、センターが4月に発表した下記の報告書を読むとよいです。


ただ、この問題は以前から相談センターなどでは繰り返し指摘されてきているところなので、国民生活センターの過去の発表資料にもたびたび取り上げられています。

また、このブログでも、時々取り上げてきました。

訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争(2013年3月28日)

電気通信サービスの営業活動(2012年6月21日)


電気通信サービスと民事効(2012年4月2日)


電話勧誘による契約で揉めることが多いところ、電話勧誘では説明関係書類の同時交付が求めれていません。
ところが、情報通信サービスには特定商取引法の適用除外となっており(法26条1項8号ニ、同施行令5条別表第二。「電気通信事業者が行う電気通信役務の提供」)、クーリングオフもできず、なかなか良い解決策(決定的で有効なもの)が見つからず、個別解決に委ねられているのが現状のようです。

2013年6月11日火曜日

通信障害と使用不能に対する金銭的評価

マイナビニュースから。


先日発生したKDDIの通信障害は、一部では音声通話にも障害出ていたという大規模で長時間になってしまいましたが、その件に関して、全く使用不能になったユーザに対して料金を700円減算するというニュースがありました。

http://news.mynavi.jp/news/2013/06/10/111/index.html

●KDDIの発表(2013年6月10日)
一連のLTE通信障害の原因と対策について


上記発表資料(PDF)の15頁に次の記載があります。

お客さまへのお詫びについて

一連のLTE通信障害に伴い、データ通信および音声通信を ご利用いただけなかったお客さまにつきまして、お詫びとして次のとおりご対応させていただきます。

■ 対象のお客さま;
一連の通信障害時のいずれかの時間帯において、LTEデータ通信を全くご利用いただけなかったお客さま、もしくは5月29日の障害発生時間帯において音声通信をご利用いただけなかったお客さま *1
■対応内容:
対象のお客さまに対して、通信料金のご請求時に、ご請求額から 700円(税抜)を減算 *2 させていただきます。

*1:対象のお客さまには、6月末までに「重要なお知らせ」メール等にてご連絡させて頂きます。
*2:LTEご加入者の基本使用料、ISP利用料、LTEパケット定額料の3日分相当を勘案して算出した額。
 なお、料金の減算は、7月以降のご請求にて、準備が整い次第実施します。


使用不能になった利用者に対する700円の減算という具体的な数字は、ここで出ています。
700円という金額の根拠については、上記の発表では、LTEの「基本使用料、ISP利用料、LTEパケット定額料の3日分相当を勘案して算出した額」であるとされています。


2013年6月9日日曜日

景品表示法に基づく措置命令(総務書の指導も)

マイナビニュースから

5月21日、KDDIの「au 4G LTE」の表示に対して、消費者庁が景品表示法に基づく措置命令を出しました。
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/21/218/index.html

消費者庁の発表は下記のPDFでみられます、

●平成25年5月21日
KDDI株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について


ところで、今回対象となったauのLTEは昨年秋に始まったものですが、そのサービス提供開始の発表につき、マイナビニュースに昨年10月の記事がありました。


http://news.mynavi.jp/articles/2012/10/17/au_4g_lte/index.html

記事の中で、LTEの「エリアの広がり」に関する社長の意気込みが次のように紹介されていました。
3つの"本気"の1つ目が「エリアの広がり」で、スタート当初から、全国で下り最大75Mbpsの高速通信をサポート。実人口カバー率は来年3月の時点で96%が目標で、サービス開始直前の10月末の時点でも84%に達し、田中社長は「日本のどのキャリアよりもナンバー1の(エリアの)広がりを見せていきたい」と意気込む。


ちなみに、措置命令に先立つこと5月10日には、既にLTEの広告に関して問題があるとして、KDDIに対して、総務省の指導も行われていたことが、やはりマイナビニュースで紹介されていました。
http://news.mynavi.jp/news/2013/05/11/133/index.html

総務省の発表は下記でみられます。

●平成25年5月10日
KDDI株式会社に対するデータ通信サービスの通信速度等に関する広告表示に係る措置(指導)


消費者庁の措置命令をみると、
イ 実際
 対象役務の提供を開始した時点において、iPhone5を使用した場合に75Mbpsサービスを利用できる地域は極めて限られていた。
 また、前記アの表示をした時点において、平成25年3月末日までに全国のほとんどの地域において75Mbpsサービスを提供する計画があったのは、Android搭載スマートフォンが送受信できる対象役務に係る電波の周波数帯域に限られており、iPhone5が送受信できる対象役務に係る電波の周波数帯域については平成25年3月末日までに全国のほとんどの地域において75Mbpsサービスを提供する計画はなかった。このため、平成25年3月末日時点において、iPhone5を使用した場合に75Mbpsサービスを利用できる地域は、実人口カバー率14パーセントの地域であった。
※ 下線と赤字は私が付しました。


措置命令に関しては、KDDIもコメントを出しています。

●KDDIの発表(平成25年5月22日)
〈重要〉 2013年5月22日 消費者庁措置命令に基づくお詫びとお知らせ


情報通信サービスの契約に関しては、契約内容の説明のあり方を巡る事業者(対策はいろいろ講じている)と消費者側(よくわからないまま契約させられる)のギャップが埋まらず、明快な解決策が見いだせているとは言い難い状況です。

そんな中で、上記の実態(赤字下線部部分)でありながら、あえて表示したとしたなら、「ギャップ」を埋めるどころか、さらに拡げてしまった、と言えるのではないでしょうか。