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2014年12月18日木曜日

携帯電話契約の解約金条項(上告関連)

携帯電話の解約金条項について、主要3事業者に対する訴訟がそろって、上告中だったのですが、最近、上告不受理の決定が出たようです。

共同通信ニュースの非公式Botは下記
共同通信は、上記のように「不受理」としていますが、毎日のサイトでは「棄却」と報じられております。
両者は全く異なるので、正確に報じる必要があるのですが。 この点については、町村教授が書いておられます。

 2014/12/17 media:上告が退けられたとの報道が意味不明(Matimulog)

各社の報道を比べながら、記事をまとめられています。



2014年12月1日月曜日

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律第4条

リベンジポルノ防止法が成立」(時事ドットコム)

この法律の正式名称は「私事性画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」とされます。
法文は衆議院のサイトなどでみられます。

(衆議院サイト)
「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律案」の審議経過情報

提出時法律案

この法律の施行時期については、附則に記載があります。

   附 則
 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は公布の日から起算して二十日を経過した日から、第四条の規定は公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。


注目したのは、プロバイダ責任制限法に対する特例の規定の中にあった特徴的な文言です。
「当該撮影対象者が死亡している場合にあっては」という部分です。

(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の特例)

(第4条)
  特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第三条第二項及び第三条の二第一号の場合のほか、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下この条において同じ。)は、特定電気通信(同条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下この条において同じ。)による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者(同条第四号に規定する発信者をいう。以下この条において同じ。)に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれにも該当するときは、賠償の責めに任じない。
一 特定電気通信による情報であって私事性的画像記録に係るものの流通によって自己の名誉又は私生活の平穏(以下この号において「名誉等」という。)を侵害されたとする者(撮影対象者(当該撮影対象者が死亡している場合にあっては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)に限る。)から、当該名誉等を侵害したとする情報(以下この号及び次号において「私事性的画像侵害情報」という。)、名誉等が侵害された旨、名誉等が侵害されたとする理由及び当該私事性的画像侵害情報が私事性的画像記録に係るものである旨(次号において「私事性的画像侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し私事性的画像侵害情報の送信を防止する措置(以下「私事性的画像侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があったとき。
二 当該特定電気通信役務提供者が、当該私事性的画像侵害情報の発信者に対し当該私事性的画像侵害情報等を示して当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会したとき。
三 当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

※ 赤線赤字は、私が付しました。 これについては、遺族固有の削除請求の権利を認めたものなのか?という疑問を招きやすく、問題があるように思われます。

否定的な意見を示している弁護士は、少なくないかもしれません。
たとえば、神田弁護士や中澤弁護士のツイート


神田弁護士↓

中澤弁護士↓


2014年10月31日金曜日

総務省「モバイル創生プラン」の公表

総務省が「モバイル創生プラン」というものを公表しました。

(報道資料)
平成26年10月31日
「モバイル創生プラン」の公表

その基本的な考え方は
(1) 自由に選べるモバイルの推進、
(2) 安くて安心して使えるモバイルの推進、
(3) モバイルの更なる高速化、
(4) 新たなモバイルサービスの創出

だそうです。

上記(1)に関わることですが、「SIMロック解除に関するガイドライン」を今年度中に改正して、「2015年5月以降に新たに発売されるスマホ・タブレット等について、原則無料でSIMロックを解除」とするようです。

また、2年縛りの契約が持っている自動更新条項について運用を改善することが明記されているのは、先日の総務省報告書のとおりです。
運用の改善、にとどまっていて、2年縛りそのものを止めさせる、ということではありません。


なお、このガイドラインでは、海外からの旅行者や輸入携帯・スマホには触れられていないので、技適の問題はのこっています。

2014年10月28日火曜日

不正送金のアルバイト

ネットバンキングを使った不正送金の実作業を担わされるアルバイトの問題がある。

(1)記事(東洋経済オンライン)

浪川 攻 :東洋経済 編集局記者
2014年02月09日

仕組みについては、図解もある。

記事の末尾にある
資金洗浄をしたい犯罪組織にとって、運び屋は使い捨てられる都合のいい存在だ。「海外に送金するだけで高額な報酬を得られる」との甘い文句に誘われて、実際に報酬を手にしたとしても、犯罪組織に口座を貸したという情報は残る。それによりマネーミュールと特定され、結局は罪の代償を払わされることになる。
という部分は、振込詐欺の受け子と同じ。
後述するように、実刑となることも珍しくなく、高い代償である。

(2)警視庁


犯罪収益移転防止法違反として刑事罰の対象となる行為である。

(犯罪収益移転防止法27条)
1 他人になりすまして特定事業者(第2条第2項第1号から第15号まで及び第35号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第2条第2項第1号から第36号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3 業として前2項の罪に当たる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


なお、ヤミ金から貸し付けをしてあげるという話に折れて、ヤミ金から求められて、自らの口座番号や暗証番号を伝えたところ、知らない取引がたくさん記帳されていた、という案件で犯罪収益移転防止法27条違反に問われている事例、について触れている弁護士のブログがあったので、メモ。

●由利弁護士の日記2014年6月14日(由利弁護士の部屋

クレジットカードのスキミング事例でも、振込詐欺の受け子の事例でも、末端の使い捨てにされる人たちに対する刑事裁判では、初犯での実刑も珍しくない。
二十歳そこそこの若い人であっても厳しい対処がされている。、
実際の首謀者にはたどりつくのが困難な類型のせいか、協力者を排除していくこと、収益を絶つ、ということで対処するほかないのかもしれない。

ただ、このブログでも示されているように、厳罰で臨む相手が本来的には異なる感じのする事案があるのは事実であり(全てがそうではない)、悩ましいところではある。


首謀者はおろか中間の人間にたどりつくことすらも困難であることを指摘する最近の記事として下記がある。

産経ニュースWEST(2014.10.8)
中国人犯罪に吸い上げられる日本人のマネー オレオレ詐欺や不正送金事件の背後にちらつく中国人の影 LINEで誘惑「稼ぎたいなら中国に…



2014年10月27日月曜日

インターネット・バンキングと不正払戻・送金

IT Pro(日経コンピュータ)2014/10/22
上半期だけで被害額18億円超、対策急務の不正送金

インターネットバンキング、盗難通帳、偽造・盗難キャッシュカードによる預貯金の不正な払い戻し、不正な送金については、これまでも何度か報道や各機関のプレスリリースなどで内容が公表されている。

不正な払戻し等から預貯金者を保護する法律としては、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(預金者保護法)がある。

同法にいう「預貯金者」とは「金融機関と預貯金等契約(預貯金の預入れ及び引出しに係る契約又はこれらに併せて金銭の借入れに係る事項を含む契約をいう。を締結する個人」と定義されている(法2条2項)。

ただし、インターネット・バンキングは、対象に含まれていない(「カード等」には符号などは含まれてないし、現金自動支払機でもない)ので、別途注意が必要である。

(1)全銀協

「重要なお知らせ」内の「全銀協の対応」では、不正払戻や送金の数値、対応、補償などが掲載されている。

その中で、半期ごとに公表されている

「盗難通帳、インターネット・バンキング、盗難・偽造キャッシュカードによる預金等の不正払戻し件数・金額等に関するアンケート結果および口座不正利用に関するアンケート結果について」

というものをみると、「インターネット・バンキング」における被害件数や被害額の増加率(平成24年度と平成25年度の比較で約10倍)が他の類型に比して、顕著であることがわかる。

また、補償については、預金者保護法が保護の対象を個人に限定していることを踏まえて、個人と法人で異なる対応基準を示しているので、この点に関する資料も大事である。

①個人

預金等の不正な払戻しへの対応」について」(平成20年2月19日)

別紙3 「インターネット・バンキングに係る補償の対象・要件・基準等について」(PDF)

上記のアンケートをみると、補償は平成25年度は99%前後の割合で行われていたようである。

②法人

法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方について」(平成26年7月17日)

個人との相違を前提にする点は変わらないものの、「今後、会員銀行は、インターネット・バンキングの信頼性を高め、お客さまに安心してご利用いただくために、法人のお客さまの被害に対する補償を個別行の経営判断として検討するものとする」というもので、その考え方を示している。


(2)参考

上田純
「預貯金不正払戻しと金融機関の注意義務
-窓口払いを中心に近似の裁判例を踏まえて-」
金融法務事情1954号(2012.9.25)38頁

2014年10月26日日曜日

携帯電話の契約と本人確認義務違反

①携帯②名簿③口座、は、ヤミ金、オレオレ詐欺、悪徳商法などの犯罪のための三種の神器。

繰り返し言われてきたことで、ここでも何度か触れている。

詐欺等の犯罪と三種の神器」(2013年7月2日火曜日)
口座開設と本人確認」(2014年7月22日火曜日)
バーチャルオフィスの機能と法規制、電話受付代行業者及び電話転送サービス事業者における疑わしい取引の参考事例(総務省)」(2013年6月19日水曜日)


携帯電話不正利用防止法(携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)では、レンタル業者を含め、本人確認義務が課され、刑事罰も規定されている。

総務省は「携帯電話の犯罪利用の防止」というページを設け、さらに、①レンタル携帯電話事業者のほか、貸し出しサービスを提供することが多い②旅行業関係、③ホテル・旅館業関係、向けのページも用意している。

でもなかなか不正は排除されないようだ。

9月初旬に違反業者に対する捜査の報道があった。

時事ドットコム(2014/09/04-10:42)
レンタル携帯「真っ黒」=捜索業者の契約、全て不正-4796回線を調査・警察庁

毎日jp(毎日新聞 2014年09月04日 東京夕刊)
レンタル携帯:本人確認、全て不備 4796回線、義務化後も−−警察庁・上半期

SIMカードの貸し出しに関しては、こんな報道も。

毎日jp(毎日新聞 2014年09月18日 地方版)
携帯電話不正利用防止法違反:本人確認せずにSIM貸し出し 容疑者逮捕 /東京


ただし、「携帯電話不正利用防止法違反」で記事検索などをすれば、比較的短い間隔で、刑事事件の報道がヒットする。しかも各地で。

犯罪のための三種の神器としての重宝さは、失われてないというか、協力者もいるということか。


こういった刑事事件のほかに、携帯電話不正利用防止法違反に関しては、大手事業者の代理店に対する是正命令が出ている。

平成25年7月5日の是正命令(総務省。通信事業者も対象)

平成26年9月5日の是正命令(北海道総合通信局。元請の代理店と、通信事業者に対しても指導)

(是正命令)
第15条  総務大臣は、携帯音声通信事業者が、その業務に関して第3条第1項、同条第2項若しくは第3項(第5条第2項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第4条第1項(第5条第2項並びに第6条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)若しくは第2項(第5条第2項及び第6条第4項において準用する場合を含む。)、第5条第1項、第7条第2項又は第12条の規定に違反していると認めるときは、当該携帯音声通信事業者に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2  総務大臣は、媒介業者等が、その業務に関して第6条第3項において準用する第3条第1項から第3項までの規定又は第6条第4項において準用する第3条第2項若しくは第3項若しくは第5条第1項の規定に違反していると認めるときは、当該媒介業者等に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。


2014年10月25日土曜日

決済代行業者に関する問題

決済代行業者の問題に対する対処に関して、議論がされている。



産業構造審議会 商務流通情報分科会 割賦販売小委員会

第1回の議事概要が公表されている。

検討事項(案)は、第1回配付資料の資料5として公開されている。

トラブルの状況に関しては、第2回の配付資料が詳しく説明している。


マンスリークリアの適用除外問題や、セキュリティ対策など、テーマは複数設定されているようで、決済代行業者の問題は、横断的な問題と言えるところ。


決済代行業者を巡る問題点の整理に役立つものとして、次の報告書がウェブ(決済代行業者登録制度サイト)で読むことができる。

●平成26年3月 
消費者庁 
受託  公益財団法人 日本生産性本部 

平成25年度調査研究 
クレジットカードに係る決済代行業者登録制度に関する実証調査 報告書(PDF)





2014年10月9日木曜日

情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会 報告書案

(1)ニュース

Tmedia ニュース 2014年10月08日 より
NTTの光回線卸売り・ドコモのセット割を容認 情報通信審議会 SIMロック解除の促進求める

日本経済新聞(nikkei.com)I2014/10/9 0:44
携帯「2年縛り」解消見送り 料金引き下げ道半ば SIMロック15年度解除 総務省最終報告書

IT Pro 2014/10/08
榊原 康=日経コミュニケーション
総務省の基本政策委員会が報告書案、規制改革議論がようやく決着


(2)報告書案

総務省の「情報通信審議会 2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」のサイトにPDFが掲載されていました。

2020 年代に向けた情報通信政策の在り方
-世界最高レベルの情報通信基盤の更なる普及・発展に向けて-
報告書(案)

話題になっている点のうち、消費者に直接関わりそうなテーマを抜き出して、箇条書きで整理してみました。
適宜、追記なり、修正をしますが、とりあげずのメモとして。


①NTTの光回線の卸売サービス(サービス卸)(3.2以下)

NTT 東西がサービス卸を提供する際に適用される現行の電気通信事業法の規律は、事業者の自主性に配慮した一定の規律が適用され、これにより一定の適正性・公平性・透明性が確保されると考えられる。

としつつ、

こうした現行制度の趣旨を踏まえつつ、総務省において、料金その他の提供条件の適正性及び公平性が十分に確保され、一定の透明性が確保される仕組みの導入を検討することが適当、

としている。

サービス卸が市場の競争環境に影響を与え得る要素として、2つの例を挙げています。

(a)  FTTH サービスと移動通信サービスをセットで割り引くこと(セット割引)
 → 携帯電話の過度のキャッシュバック等により、料金の適正性が実質的に損なわれ、
固定通信市場における競争が歪められるおそれ。

(b) (a)を、禁止行為規制を受ける携帯電話事業者が、サービス卸の提供を受けてFTTH サービスと組み合わせて自己のサービスとして行う
 → 「自己の関係事業者のサービスを排他的に組み合わせた割引サービスの提供」 と実質的に同様の行為であると考えられる。

サービス卸は、消費者に対する不必要・不適切な乗り換え勧誘、説明の問題、が今後増える可能性も持っていて、問題の発生に対して注意をする必要はありそうです。

②MVNO(4.2以下。主に4.2.2)

MVNOの推進について、政策的な課題が挙げられています。

MNO のみが運用しているHLR/HSS を MVNO も保有することにより、SIM を独自に発行することが可能となり、MVNO によるサービス設計(音声通話を含む)の自由度も上がる。
 → MVNO が保有する HLR/HSS を MNO の移動通信ネットワークで利用するために必要な機
能を「注視すべき機能」としてガイドライン上位置付けるかどうか検討することが適当である。

③販売奨励金

「現時点においては、これを直接規制することは必ずしも適当ではなく、まずは SIM ロック解除の推進等の競争環境の整備を通じて、事業者による自主的な適正化を促すことが適当であると考えられる。」

④SIMロック解除

事業者側の反論について

「SIM ロックの解除について、事業者から示された懸念については、現時点において、SIM ロック解除に応じないことを正当化する適正性、合理性は認められなかった。」

としている。
この点は、脚注で触れられているように、ICTサービス安心・安全研究会報告書(案)で示されたものが詳しく、それを踏襲しています。
SIMロックは、囲い込みの重要な手段の1つですが、期間拘束との組合せでも威力を発揮していますので、後記の早期解約ルールが確立した後の事後処理(端末)としてSIMロック解除は大事な手当だと思います。

⑤消費者保護ルール(5.以下)

一番の注目は

ア. 契約関係からの離脱に関するルールの在り方 

です。

(a)禁止行為
提供条件説明が必要な事項のうち
・「契約締結判断に通常影響を及ぼす重要事項に係る不実告知及び不利益事実の不告知」
・「契約締結に至る動機に関する事項に係る不実告知」
を禁止することが適当であると、としています。

「動機に至る事項」は、不必要なプロバイダの乗り換え勧誘などの問題として従前から指摘されていたところで、これが禁止行為とすべきと示されたのはとても重要だと思います。
動機の錯誤くらいしか対処方法がない領域に踏み込んでいる点が大事です。


(b)取消
こうした禁止行為については、取消し、を検討することが適当である、としています。
消費者契約法4条による取消が消費者契約一般に関するものとして、電気通信分野特有の問題になかなかうまく適用しづらいものがあり、そこを手当てするものになろうかと思います。


(c)初期契約解除ルール

「電気通信サービスの基本的特性を踏まえ、販売形態によらず、初期契約解除ルールを導入することが適当である」
としています。

他方、端末は、

「主要事業者で携帯電話サービスに係る試用サービスが実施される方向であること等を踏まえ、店舗販売の場合における端末等の物品に係る制度化は、現時点では行わないこととし、当面、SIM ロック解除等の推進の事業者の取組状況等を注視することとする」

として、注目されていた「回線契約の解約との連動」つまり制度化は見送られてしまいました。

(d)期間拘束・自動更新付契約(2年縛りの問題)

「提供条件説明や更新月のプッシュ型通知の方法等について改善されることが必要である。この点について、一般社団法人電気通信事業者協会からは、携帯電話事業者が、契約解除料を支払うことなく解約が可能な期間の延長と、更新月が近づいた時点で利用者へのデフォルトでのプッシュ型の通知を行う方向で検討している旨の表明があった。これらの自主的な取組の効果や、初期契約解除ルールの導入の効果等も見ながら、期間拘束・自動更新付契約に関する改善状況をICT サービス安心・安全研究会」等の場で検証し、必要に応じ、更なる対応についての検討を行うことが適当である。 」

とだけ述べるに留められ、何らかの制約を含む見直し、は見送られました。

ちなみに、ICTサービス安心・安全研究会報告書(案)でも、2年縛りが持つ問題点は、多数指摘されてたものの、通知などを工夫するなどにより対処するという方向になっており、制約そのものは入っていませんでした。



 

2014年10月8日水曜日

NTTの光回線卸売り・ドコモのセット割


この記事で紹介されている「報告書」の案は、総務省の委員会のサイトでに掲載されていました。


まだメモのメモみたいな段階なので、追ってまとめるかもという前提で。


電気通信事業法30条

(禁止行為等)
1  総務大臣は、総務省令で定めるところにより、第三十四条第二項に規定する第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者について、当該第二種指定電気通信設備を用いる電気通信役務の提供の業務に係る最近一年間における収益の額の、当該電気通信役務に係る業務区域と同一の区域内におけるすべての同種の電気通信役務の提供の業務に係る当該一年間における収益の額を合算した額に占める割合が総務省令で定める割合を超える場合において、当該割合の推移その他の事情を勘案して他の電気通信事業者との間の適正な競争関係を確保するため必要があると認めるときは、当該第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者を第三項から第五項までの規定の適用を受ける電気通信事業者として指定することができる。
2  総務大臣は、前項の規定による指定の必要がなくなつたと認めるときは、当該指定を解除しなければならない。
3  第一項の規定により指定された電気通信事業者及び第三十三条第二項に規定する第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一  他の電気通信事業者の電気通信設備との接続の業務に関して知り得た当該他の電気通信事業者及びその利用者に関する情報を当該業務の用に供する目的以外の目的のために利用し、又は提供すること。
二  その電気通信業務について、特定の電気通信事業者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えること。
三  他の電気通信事業者(第百六十四条第一項各号に掲げる電気通信事業を営む者を含む。)又は電気通信設備の製造業者若しくは販売業者に対し、その業務について、不当に規律をし、又は干渉をすること。
4  総務大臣は、前項の規定に違反する行為があると認めるときは、第一項の規定により指定された電気通信事業者又は第三十三条第二項に規定する第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができる。
5  第一項の規定により指定された電気通信事業者及び第三十三条第二項に規定する第一種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者は、総務省令で定めるところにより、総務省令で定める勘定科目の分類その他会計に関する手続に従い、その会計を整理し、電気通信役務に関する収支の状況その他その会計に関し総務省令で定める事項を公表しなければならない。

電気通信事業法施行規則22条の3

(禁止行為等の規定の適用を受ける電気通信事業者の指定等)
1  法第三十条第一項 の規定による指定及び同条第二項 の規定による指定の解除は、告示によつてこれを行う。この場合において、総務大臣は、当該指定及び指定の解除を受けることとなる電気通信事業者にその旨を通知するものとする。
2  法第三十条第一項 の総務省令で定める割合は、四分の一とする。この場合において、法第三十四条第二項 に規定する第二種指定電気通信設備を設置する電気通信事業者が設置する当該第二種指定電気通信設備を用いる電気通信役務に係る業務区域(以下この項において「対象業務区域」という。)と同一の区域内におけるすべての同種の電気通信役務の提供の業務に係る収益の額を合算した額は、次に掲げる額の合計額とする。
一  当該電気通信事業者が設置する当該第二種指定電気通信設備を用いる電気通信役務の提供の業務に係る収益の額
二  対象業務区域のうち、都道府県の区域と一致する部分については、その都道府県の区域内において同種の電気通信役務を提供している電気通信事業者(前号の電気通信事業者を除く。)のすべてについてイに掲げる額にロに掲げる割合を乗じた額を計算し、これらを合算した額
イ 当該電気通信事業者の業務区域において当該電気通信事業者が提供する同種の電気通信役務の提供の業務に係る収益の額
ロ 当該電気通信事業者が提供する同種の電気通信役務に係る第二十三条の九の二第二項に規定する特定移動端末設備の、当該電気通信事業者の業務区域における総数に占める当該都道府県における数の割合
三  対象業務区域のうち、都道府県の区域と一致しない部分については、当該部分が属する都道府県の区域内において同種の電気通信役務を提供している電気通信事業者(第一号の電気通信事業者を除く。)のすべてについて前号イに掲げる額に同号ロに掲げる割合と当該都道府県の人口に占める当該部分の人口の割合を乗じた額を計算し、これらを合算した額


●「電気通信事業法第30条第1項の規定に基づく禁止行為等の規定の適用を受ける電気通信
事業者(移動通信分野における市場支配的な電気通信事業者)の指定に当たっての基本的
考え方」 (平成24年4月27日)
 総務省のリリース

●「電気通信事業分野における競争の促進に関する指針」(平成24年4月27日)
 公正取引委員会のサイトにも掲載されています。


2014年9月19日金曜日

電気通信事業法の消費者保護ルールの見直し関連

WGの9月にあった会合に関するニュース。
下記がわかりやすいかと。

IT Proニュース 2014/09/18
堀越 功=日経コミュニケーション

Nikkei BPnet 2014年9月18日


契約の解消手段の名称をクーリングオフではなく、違う名称に変えるのは、記事にもあるようにクーリングオフとは内実も異なるので、変な誤解が拡がることを防ぐ意味でも好ましいです。

9月18日の会議資料は9月19日朝時点では公開されていませんが、9月11日の代理店からのヒアリングに関する資料は、公開されていました。
議事録は、4月24日開催分までで、6月30日の中間とりまとめ案のところも含めてまだのようです。

消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG

9月18日の会合では、中間とりまとめ案などからは、端末に関して(SIMロックに関わらず)、初期の契約解除ルーツから除外することになりそうですが、端末が分割払いであることや、回線契約とは別個なので、回線契約が解消できても、端末契約だけ取り残される課題は、そのままなので、この部分の課題の解決方法としては消化不良の感は強いです。

記事によれば
・・・意見に分かれる中、主査代理である中央大学総合政策学部の平野晋教授が以下のような解決案を提示した。今回、初期契約解除ルールから端末を除外することはキャリアや販売代理店に対する”執行猶予”であるとし、キャリアや代理店各社は自社や業界団体で把握する苦情件数や内容を、全国消費生活保護ネットワークシステム(PIO-NET)以上の頻度や深さで報告する。苦情が減らなければ、執行猶予を外し、端末も初期契約解除ルールに含める、という考え方だ。今回、初期契約解除ルールから端末を除外することはキャリアや販売代理店に対する”執行猶予”であるとし、キャリアや代理店各社は自社や業界団体で把握する苦情件数や内容を、全国消費生活保護ネットワークシステム(PIO-NET)以上の頻度や深さで報告する。苦情が減らなければ、執行猶予を外し、端末も初期契約解除ルールに含める、という考え方だ。・・・
9月11日の会合での販売代理店側の提示した自助努力を加味したようだとも触れていますが、「これまで自主的解決を尊重といってきたが、相談件数が全然減らないので、もう限界ですね」 というところが出発点だっただけに、「あれ?先送り?」という感想がでても間違いではないでしょう。

【追記 9.22.】
9月18日の会議資料が公開されていました。

資料2
ICTサービス安心・安全研究会 報告書(案) 
~消費者保護ルールの見直し・充実~ 
~通信サービスの料金その他の提供条件の在り方等~


2014年9月1日月曜日

子どもとネット規制の歴史に関する記事

ITmedia Mobile の記事 小寺信良「ケータイの力学」に、次の記事がありました。

2014年08月04日 16時40分 更新
小寺信良「ケータイの力学」:子供へのネット規制の歴史(1)

2014年08月25日 11時00分 更新
小寺信良「ケータイの力学」:子供へのネット規制の歴史(2) (1/2)

2014年08月25日 11時00分 更新
小寺信良「ケータイの力学」:子供へのネット規制の歴史(2) (2/2)


この記事は、筆者自身が
「もちろん筆者が知っている範囲の事しか書かれていないので、当然漏れはあるだろうが、大まかな流れを把握する上で役に立つだろう。」
と書いているとおりだと思います。

断り書き部分や評価にわたる部分を捨象しても、この15年くらいの、未成年者と情報通信サービスの関係を巡る、社会の反応、規制に対する考え方、規制が議論されるようになった背景、といったものが、どのように生まれて、変遷していったのか、かなり把握できます。

これをきっかけとして、資料を探してあたってみると、自分なりに整理ができそうです。


●「学校における携帯電話の取扱い等について(通知)
  20文科初第1156号
  平成21年1月30日
  文部科学省初等中等教育局長金森 越哉 (印影印刷)


●青少年インターネット環境整備法と「条例」
  たとえば、次のような義務を課すものがありました。
  ①事業者に対し
    「無線LANに係るフィルタリング等の説明義務」
    「使用者が青少年か否かの確認義務」
  ②保護者に対し
  「携帯電話事業者が実施する説明を聴く努力義務」

 (一例)
  千葉県青少年保護育成条例23条の6(平成23年改正)
  埼玉県青少年健全育成条例21条の4(平成25年改正)

●事業者側の反応
 2013.8.26 
  青少年の携帯電話利用について


安心ネットづくり促進協議会
  「ブロッキングによる児童ポルノ対策


この他にも、確認、再確認したいものがあったのですが、とりあえず、この辺で。
また、みつけては、メモしていきたいです。


2014年8月25日月曜日

未成年が保護者に無断でアプリ内購入する問題

未成年が保護者に無断でスマホのアプリ内購入できてしまい、かつ、課金が高額化してしまう問題のニュースについて、メモ。

(1)アマゾン

●Gigazine 2014年07月11日 10時56分10秒
Amazonが無断アプリ内課金の対策不足を指摘されるも改善を断固拒否して法廷闘争へ

FTCのリリースも紹介されています。

●ITmediaエンタープライズ 2014年07月11日 13時06分 更新
Amazon.comをFTCが提訴 子どものゲーム内課金問題で

ここではコイン購入画面も紹介されています。


(2)アップル

●ITmediaニュース 2014年01月16日 07時40分 更新
Apple、子どものアプリ内購入問題でFTCと和解 3250万ドル支払いへ

Apple に関しては、上記記事でも触れられていますが、今年冒頭にFTCとの和解記事があります。

●「企業法務マンサバイバル」に次のような記事がありました。

2014年08月25日08:30
iOSデベロッパー規約の改定 ― 課金まわりの審査がさらに厳しくなる予感

子ども向けアプリの課金について、これを煽る表現が禁止されたようです。
条項を引きながら、解説されています。

これはゲーム周辺の課金問題で頭を悩ませている方々には、大事な改訂かと思います。


【追記】

(3)グーグル

●時事ドットコム(2014/09/05-10:46)
米グーグルも19億円返金=子供の無断購入問題


この部分は、GooglePlayで問題のあるところ(未成年者が自由に使える要因の1つ)と以前から指摘されていたところです。
Google also did not inform consumers that entering the password opened up a 30-minute window in which a password was no longer required, allowing children to rack up unlimited charges during that time.
●Matimulog 2014/09/06(町村教授)
上記ニュースと日本の場合について触れた町村先生の記事です。



なお、以前のメモ
未成年者のネット取引とカード利用
子ども、親とネットなどなど





※ 企業法務マンサバイバルの記事にiOSの記事が掲載されていたので、これについて過去の記事に追記して、再編集して再掲しましたものです。

2014年8月24日日曜日

サイバー攻撃対策と通信の秘密

yomiuriオンラインの記事をみて、記事にあがっていた項目だけ、ウェブ上の所在などを調べて、それだけ取り急ぎメモ。

内容の補足は追って行いたいが。。。

読売オンラインの記事が詳しく、図解もあるので、それを読むだけでも十分かと。


●読売オンライン
「通信の秘密」解釈緩和…総務省転換
2014年08月13日 15時09分
 こうした中、政府は昨年6月、「サイバーセキュリティ戦略」に「通信解析の可能性など、通信の秘密に配慮した関連制度の柔軟な運用の在り方を検討する」との一文を盛り込んだ。総務省も昨年11月、サイバー攻撃対処に関する研究会を設置。今年4月に「第1次」の検討結果を取りまとめ、これを受けて先月末、業界団体の関係ガイドラインが改定された。実施に法令の改正は不要だ。
 総務省では近く第2次取りまとめ作業に入る予定で、昨年、「インターネット時代の通信の秘密」の研究報告書を出した情報セキュリティ大学院大学の田川義博客員研究員は「風穴があいた」と期待する。

(1)総務省

電気通信事業におけるサイバー攻撃への適正な対処の在り方に関する研究会

平成26年4月4日
「電気通信事業におけるサイバー攻撃への適正な対処の在り方に関する研究会第一次とりまとめ」及び意見募集の結果の公表


(2)テレサ協などによる報道発表(TCAサイト内)

電気通信事業者における大量通信等への対処と通信の秘密に関するガイドラインの改定について
2014年7月22日
一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会
一般社団法人電気通信事業者協会
一般社団法人テレコムサービス協会
一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟
一般財団法人日本データ通信協会テレコム・アイザック推進会議

2014年7月22日

2014年8月22日金曜日

技術認証の要件を緩和する方針

3ヶ月ほど前になりますが、海外製スマホの技摘問題に関するニュースがありました。

INTERNET Watch (2014/8/21 12:13)
総務省、訪日客向けに「技適」緩和検討、電波法改正案を来年の国会に提出

産経アプリスタ(2014/08/21)
海外スマホを国内で使えるように 進む技適規制緩和

Sankei Biz 2014.8.21 04:34「“快適通信”で訪日客もてなし 総務省、スマホの技術認証緩和へ


海外製スマホの輸入販売(購入)については、技適マークのない端末の問題がついてまわり、国内での「通信」については、ローミングに限り可能ということをのぞけば、怪しげなままであったといえます。
輸入販売だけでなく、旅行者が持参したものも含まれるのですが、個人が開設しているブログの一部を除けば、正面から議論したものは見当たりませんでした(もしかしたらあるのかもしれませんが)。

上記ニュースは、技適の問題に正面から取り組むのか、興味があります。


ニュースのもとになっているのは、下記のサクサクジャパン。

●総務省プレスリリース
平成26年6月12日

次のようなことを狙いにしているようです。

1.無料 Wi-Fi の整備促進と利用円滑化
2.国内発行 SIM への差替え等によるスマートフォン・携帯電話利用の円滑化
3.国際ローミング料金の低廉化
4.「言葉の壁」をなくす「グローバルコミュニケーション計画」 の推進



この件は、これから調べたり、みつけたら、追記をしていくつもりです。


【参考】
現行制度については、下記が詳しくまとめています。

<総務省電波利用ホームページ>
無線局機器に関する基準認証制度



2014年8月15日金曜日

広告と消費者契約法4条「勧誘」

(1)以前、次のような記事がネットにありました。

●月刊ネット販売Online(2013年8月27日)無料公開記事

これは第126回 消費者委員会2013年7月16日(火)を念頭においたものと思われます。
議事録(PDF)

取り上げられている調査作業チーム、消費者契約法改正議論のたたき台とされているものが、下記。

消費者契約法に関する調査作業チーム
 消費者委員会では2011年8月26日に「消費者契約法の改正に向けた検討についての提言」を行い、民法(債権関係)改正の議論と連携しつつ、消費者庁に対して早急に消費者契約法の改正の検討作業に着手するよう求めました。
 今後、消費者庁での検討作業が進展することが期待されますが、消費者委員会としても本法の消費者行政における重要性に鑑み、消費者庁における検討作業の進展に合わせて委員会で本格的な調査審議を行いうる体制が整うまでの間、事前の準備作業として、論点の整理や選択肢の検討等を行うための調査作業チームを運営することとしました。
 2011年12月から2013年5月までの期間、計17回の討議を行いました。その検討内容を踏まえ、各論点を整理し報告書として取りまとめました。

2013年8月 消費者委員会

何かメモを作ろうと思っていたのに、そのままになっていたので、改めてメモ。

記事が触れていたネット広告は一項目あります。

第2章-4  インターネット取引における現状と課題(広告について) 」 
担当:山田茂樹
(消費者委員会事務局委嘱調査員/司法書士) 
1.論点
 消費者契約法 4 条の取消しの対象となる事業者の行為として、「インターネット広告」も含める方向で検討してはどうか。
<提案の趣旨>
 インターネット広告については、ターゲティング広告の発達など広告が消費者の意思形成に働きかける影響力が大きく、また、事業者からみてもその対応は個別の「勧誘」と異にする合理的な理由は見いだせない。しかしながら、現行法においては、インターネット広告に関する不当な表示については、専ら景品表示法等に基づく行為規制が課せられているにとどまり、インターネット広告の不当な表示に起因する契約被害に対応する民事規定を欠く状況にある。よって、(1)の提案をする次第である。

(2)議論の経過

消費者契約法4条1項・2項・3項
「事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、」

消費者契約法4条の「勧誘」に「広告」を含まないという立法担当者解説があり、それに従い、ネットの広告も「勧誘」に該当しないとされています。
このあたりの詳細は、各種コンメンタール、立法担当者の解説、上記の論点整理のほか、消費者委員会での議論や資料(下記)が参考になりますので、詳細は省きます。

●第112回 消費者委員会(2013年2月12日)
「3.消費者契約法について」
議事録(PDF)


第9回 消費者契約法に関する調査作業チーム会合 2012年9月21日(金)9:30~12:30
「議題 広告・契約締結過程における論点整理」
議事要旨(HTML)


(3)消費者契約法の運営状況に関する検討会

平成26年3月17日からは「消費者契約法の運用状況に関する検討会」が開催されています。

●平成26年7月18日開催
        (相談事例(インターネット取引における不当勧誘))

●平成26年8月1日開催
委員提出資料2 企業実務からみた考察

 「事業者が採らざるを得ない対応と消費者の負担」という視点から整理されていて、 事業者側の目線を知ることができる資料となっていると思いました。

その他にも不当条項に関連した事項などもありますが、いちおう「勧誘」に関する点に絞ってみました。


【参考】
「消費者契約法の運用状況に関する検討会」が始まりました
 これからのネット取引を考える ECネットワーク Blog [2014年03月24日(Mon)]

このブログで指摘されているように、「勧誘」概念を広げることで解決を探るとしても、どういう「広告」でなければならないか、という点は避けて通れない、避けて通ればスカスカになりそうな気がします。

2014年8月14日木曜日

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」の改訂 H26.8.8.公表

(1)電子商取引及び情報材取引等に関する準則の改訂版が公表

●公表日:平成26年8月8日(金)
経済産業省プレスリリース

リリースでは改訂箇所を次のように記載しています。
下記の各論点について、修正・追加を行いました。

○消費者の操作ミスによる錯誤(一部修正)
○未成年者による意思表示(一部修正)
○情報財の取引等に関する論点(一部修正)
 ・デジタルコンテンツ(新規追加)
 ・デジタルコンテンツのインターネットでの提供等における法律問題について(新規追加)
 ・デジタルコンテンツ提供サービス終了後のデジタルコンテンツの利用(新規追加)
 ・電子出版物の再配信を行う義務(新規追加)
 ・オンラインゲームにおけるゲーム内アイテムに関する権利関係(新規追加)

内容をみると、悩みの尽きないとも言われる、未成年者の取消、オンラインゲームに関する記載に少し手が加えられています。
全体からみれば小さな改訂かもしれませんし、結論を決定的に左右する記載がされたわけでもありませんが、なかなか一義的で明快な答えの見当たらない領域です。

オンラインゲームに関する

「Ⅲ-12-4  オンラインゲームにおけるゲーム内アイテムに関する権利関係」

は、読んでおいて損はないでしょう。


【参考】
「準則」改訂検討が進んでいます
これからのネット取引を考える ECネットワーク Blog [2014年04月03日(Thu)]


(2)「電子商取引及び情報財取引等に関する準則改訂案」に対する意見公募の結果

●結果の公示日 2014年08月12日

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則改訂案」 に寄せられた御意見の概要と御意見に対する考え方
(別紙)寄せられた御意見の概要と御意見に対する考え方


いくつか興味をもった記載を2つほど。
○    現在、一般的には、「最終確認画面」が設けられているため、「最終確認画面」が設定されていない場合においては、消費者が「最終確認画面」があるものと考え、内容を確認せずに送信する恐れがあると考えます。入力画面とは別に「最終確認画面」を必須として下さい。
●    本項目の記述の基礎となっている電子契約法第3条は、「確認を求める措置」として、必ずしも「最終確認画面」を求めるものではなく、「最終確認画面」を必須とする旨を記載することは考えておりません。
○  「意思の表明」とは、消費者がその自主的な判断により、自ら積極的に確認措置の提供が必要ではないことを事業者に明らかにするとの趣旨ですが、BtoCの電子契約が健全な取引になるかどうかが危惧されるため反対です。消費者にはリスクの高い「意思の表明」であり、事業者にはかなりのメリットになる「意思の表明」と思われます。このため、事業者は顧客獲得のため、価格の割引やポイントの付与などあの手この手で営業的に「確認措置が不要」へ誘導してくるのではないかと予測されます。消費者は目先の価格割引やポイント制等の勧誘に応じやすく、公正で適切な選択ができにくい環境を与えることになってしまいます。
●  「意思の表明」は、電子契約法第3条ただし書に定められたものであり、準則に記載せず、消費者に周知しないこととなれば、かえって消費者にリスクを負わせる結果となり得るものと考えます。なお、価格の割引やポイントの付与などの手法により、「確認措置が不要」へ誘導した場合に、「確認を求める措置」を要しない旨の意思の表明として有効か否かは、現時点では、そのような実例が見当たらないため、本論点では取り上げておりませんが、今後、仮にそのような事例が生じた場合には、具体的な状況を踏まえて、改めて慎重に判断する必要があると思われます。

2014年8月13日水曜日

携帯ゲーム機のオンラインショップでゲームソフトを購入した未成年者の契約取消しに係る紛争案件(大阪市消費者保護審議会)

未成年者が、オンラインでゲームソフトを購入した場合における「未成年者取消」に関する、あっせん事例があったのをみつけましたので、メモ。

大阪市消費者保護審議会
  苦情処理部会
「携帯ゲーム機のオンラインショップでゲームソフトを購入した未成年者の契約取消しに係る紛争案件 (平成25年度第1号案件)」
平成25年9月27日~平成26年1月30日
 あっせん成立


「詐術」(民法21条)の成否については、下記のように、留保した形での解決でした。
第3  今後の課題等について
  まず、本案件の解決にあたっては、オンラインショップにおけるクレジットカード決済について、民法第21条の詐術の成否等の法的問題についての判断を留保しつつ、紛争の早期解決を図ることを重視したことを記しておく。
合意による個別案件の解決という手段の中では、訴訟と異なり、留保された問題点を正面から回答してしまうことは難しかったと思います。
ただ、留保された背景は、この報告書の末尾にも記載あるように、保護者側の理解や対応が十分ではなかったことは否めず、実際、その点は申出人側の主張などにも自認されているなど、結構みられました。

・カード管理は結構緩かった(子どもが持ち出せる、パソコンの横に置きっぱなし等)
・未成年の友人(未成年)も、一緒に番号を盗み書きして入力使用
・友達からやり方を聞いた
・ロック機能を知らず、かけてなかった

等々、保護者としては、注意書きに気付かず(読まず)、ゲーム機は子に渡しておいても安心できるものと考えていたようです。

さらに「今後の課題等について」には
・・・まさしく本案件でも、契約者全員が小学生の児童であり、一番幼い7歳の契約者は、求めるゲームソフトを購入するため、保護者である申出人がよく見ていなかった取扱説明書を丹念に読みくだして理解し、成人家族のクレジットカードを無断使用するという消費行動を起こすに至っており、・・・
という記載があります。

ここだけを取り上げれば、例えば未成年者の「詐術」該当性を認めるハードルが下がりそうですが、そう単純な話ではないと考えます。
未成年という領域は、年齢を仮に小学1年生から上に限定しても幅が広く、成熟度、知識、能力、経験、反対動機形成期待可能性、様々な面で、成人との差異や、未成年者相互でも、個別性や相違があります。
課題は「能力の使い方」「使う環境(教育も含む)」でしょう。

どの案件にも通用する、統一的解決を図ることを目的として、抽象的な基準を打ち立てることは、正直困難というか、意味がないように思います。
例えば、未成年といっても、意思能力の有無が議論になる年齢層からほぼ成年と同様の精神的成熟度もある層、小学校、中学校、高校、大学、専門学校、就労者、非常に多岐にわたっています。
少子化といっても、様々な人間の集合体だからです。
また、「買わないと損だ!」と煽るような作りになっていたり、「はまるように」熱中しすぎるような作りになっていれば、大人でも「能力の使い方」を誤ってしまうので、与えられた状況か環境によって様々でしょう。

結局、個々の事例を丁寧に調査し、事例ごとに即した解決を目指すのが合理的であると思います。

その際に「基準」を打ち出すことに力をさくよりも、検討すべき要素にどのようなものがあるのか、について、できるだけ多くの事項を抽出し、整理し、関係者からの事情の聞き取りや問題解決にあたっての参考となるようなものを出すことが必要だし、その方が意味があるとお思います。


(H26.8.25追記)
事業者側の対応として、「未成年が保護者に無断でアプリ内購入する問題」をまとめてみました。




2014年8月12日火曜日

景品表示法7条2項

川村哲二弁護士のブログ
事業者が講ずべき管理上の措置についての指針(案)【景品表示法】
で紹介されていました。

改正景品表示法は、第186回国会で可決成立(議案審議経過情報)し、平成26年12月1日に施行されるものです。

第7条の部分だけ、改正前後の違いを比べてみました。
結構大きく変わりました。

改正法の全体に関しては、景表法以外の部分も含めた広いものなので、消費者庁の法文紹介を参照してください。


改正前

(都道府県知事の指示)
第7条  都道府県知事は、第3条の規定による制限若しくは禁止又は第4条第1項の規定に違反する行為があると認めるときは、当該事業者に対し、その行為の取りやめ若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を指示することができる。その指示は、当該違反行為が既になくなつている場合においても、することができる。

改正後

(事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置)
第7条  事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の価額の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
2  内閣総理大臣は、前項の規定に基づき事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この条において単に「指針」という。)を定めるものとする。
3  内閣総理大臣は、指針を定めようとするときは、あらかじめ、事業者の事業を所管する大臣及び公正取引委員会に協議するとともに、消費者委員会の意見を聴かなければならない。
4  内閣総理大臣は、指針を定めたときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5  前2項の規定は、指針の変更について準用する。

★消費者庁

平成26年8月8日
不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項に基づく「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針(案)」に関する意見募集の開始について 


景表法が「販売者規制」(景表法4条1項柱書「自己の供給する商品又は役務の取引について」)ですので、単なる広告媒体は含まれず、適用対象外です。
この点は、変わっていません。

ただし、川村先生のブログにも書かれているように、今回の「案」には、内容的に当たり前のことを記載していながら、括弧書きとはいえ、あえて「(広告媒体事業者等)」と書かれている点が、気になります。
実際にも、この点はすぐに目にとまりました。
ステマとかブログとかも網にかける?と、ほんの一瞬勘違いしたくらいです。


●商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼して、口コミサイトの口コミ情報コーナーに、口コミを多数書き込ませるという行為、に関して付記したもの

2014年8月10日日曜日

携帯中途解約金条項(資料)

高裁判決が揃ってから時間も経ちましたし、携帯電話の中途解約金条項に関する論文などを、再整理してみました(ただし中途です)。

(1) NBL1004号・2013年7月1日号17頁

大澤彩
「携帯電話利用契約における解約金条項の有効性に関する一考察
-役務提供契約における商品設計のあり方と民法・消費者法-」

この問題点を考える上で、参考になる論点に関する資料(電話契約に限らない)が整理されているので、その点でも有益です。

携帯電話契約、解約金条項の性質が何かを決めるのは実は簡単ではなく、自分の頭の中でひっかかっていたものが、一つ整理できたように思います。
でも、まだ整理の一態様にすぎないとも思います。

まだまだ考える点は多いです。
あと、きちんと整理して集約して考えないと、携帯電話契約から離れてしまい、散漫になってしまうので注意しようと思います。

(2) 情報通信学会情報通信経済法学研究会
    2012年度第2回研究会(平成25年2月24日)

武智健二
「携帯電話2年定期契約の解約金訴訟(京都地裁判決は何故分かれたか?)」

発表資料のPDFが公開されていました。

(3) Bureau de Saitoh, Avocat (弁護士 齊藤雅俊)

「携帯電話サービス契約の中途解約金条項と消費者契約法」(東海法科大学院論集5号)校正中

齋藤弁護士と鈴木宏昌弁護士が、今秋、発行予定の「東海法科大学院論集」第5号に「携帯電話サービス契約の中途解約金条項と消費者契約法――消費者契約法9条1号を中心として――」を掲載するということで、その概要が紹介されています。


(4) 丸山絵美子

2014年7月22日火曜日

口座開設と本人確認

悪徳商法や振り込め詐欺の際の、悪い人たちにとっての「三種の神器」といわれる、①他人名義の預金口座、②他人名義の携帯電話、③名簿については、ちょうど1年ほど前に、ここでも少し触れた。

詐欺等の犯罪と三種の神器」(2013年7月2日火曜日)


このうち、①預金口座に関連する記事が、最近の日経のサイトに載っていた。



ここで紹介されている「マネーロンダリング(資金洗浄)対策を話し合う警察庁の有識者懇談会」の報告書が警察庁のサイトに掲載されていたので、メモ。

JAFIC


犯罪収益移転防止法の解説、パブコメの結果なども掲載され、一覧できる。




2014年7月1日火曜日

電気通信サービスと消費者保護ルール

ICTサービス安心・安全研究会

平成26年2月28日に第1回が開かれ、かなり短期間に集中して開催されているようです。
(平成26年6月30日が第7回)

アドホック会合も平成26年5月に2度開催されています。

消費者保護ルールの見直し・充実に関するWGの議事録は、まだ2回分しか掲載されていませんが、6月30日開催の第7回の配布資料には、「中間取りまとめ案」が掲載されて公開されています。

クーリングオフの導入の方向がニュースなどで取り上げられていますが、この「中間とりまとめ案」は、方向性だけでなく、これまで検討されていた個別論点についても横断的にまとめていますので、参考になる資料でしょう。

この中にあって、おそらく各種報道で取り上げられている箇所を切り取ると

「販売形態によらず、クーリングオフを導入することは適当である。」

というところでしょうか。

ただ、導入した場合の論点、もしっかり考えないと、実際には、そのところが一番大事なところになりますので。

「中間取りまとめ案」では

「クーリングオフに伴う端末等の物品の取扱い」
「クーリングオフに伴うオプションサービスの取り扱い」

といった項目がとりあえずみておきたいところです(それ以外にも大事なところは結構あります)


議事録の公開がまだ追いついていないので、ニュース記事も参照するとよいかもしれません。

比較的詳しい記事は、ITPro by 日経コンピュータ に多く、その記事だけでも数本あります。

総務省、2020年代に向けた規制改革へ 焦点はスマホ料金や禁止行為規制
2014/04/09
白井 良=日経コミュニケーション


携帯電話販売にクーリングオフ、総務省の議論に業界が戦々恐々
2014/06/11
榊原 康=日経コミュニケーション

クーリングオフもSIMロック解除も義務化へ、総務省の消費者保護WG
2014/06/30
堀越 功=日経コミュニケーション


過去の経緯もまとまったものを、一つの記事でまとめて読みたい、という場合は、下記の記事は、比較的良いかもしれません。ただし5月末の記事です。


【7.28追記】

一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)のサイトにある、沖縄ICTフォーラム2014 in 久米島のページに、森亮二弁護士のレジュメ(「個人情報保護法」と「電気通信事業法」の改正 これらの改正がインターネット関連事業者に与える影響についての解説)が、PDFで公開されていました。

一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)



【参考】

消費者基本計画のうち電気通信分野に関して

消費者基本計画
平成22年3月30日閣議決定
(平成23年7月8日一部改定)
(平成24年7月20日一部改定)

第2  消費者政策の基本的方向
  1 消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援
   (2)消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保
     イ  表示・規格・計量の適正化を図るための施策を着実に推進します。
84 電気通信サービスの広告表示に関して、電気通信サービス向上推進協議会が策定した「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準・ガイドライン」の実施状況、不適切な広告表示に対する取組状況を注視するとともに、利用者に分かりやすいものとするため、更なる検討を促します。
    3  経済社会の発展への対応
   (2)高度情報通信社会の進展への的確な対応
160 電気通信分野において、本人からの求めに応じて自主的に事業者が勧誘を行わないようにするなど、勧誘の適正化を図ります。
    また、ガイドラインに基づき、電気通信分野において、適合性の原則を踏まえて勧誘の適正化を図ります。
161 消費者に対する情報提供義務を定めている法令、ガイドライン等に基づき、電気通信分野において、消費者取引における情報提供の適正化を図ります。

2014年6月26日木曜日

未成年者のネット取引とカード利用

未成年者の取消権(民法5条2項)については、オンラインゲームなどで、子どもが利用した場合の高額請求(親名義のクレジットカード)をめぐって議論がなされています。
現場では、消費者と事業者の双方が、それぞれの立場で、解決の難しい課題を抱えて、頭を悩ませているようです。
ネットでみられる議論や論文などをまとめてみました。

(1)ブログ等

弁護士山下敏雅
親のクレジットカードを無断で使ったら
どうなってるんだろう? 子どもの法律
弁護士山下敏雅から子どものみなさんへ (毎月1日に更新します)
2014年3月 1日 (土)

 柔らかい感じで書かれていますが、関連項目も含め、内容は詳しいです(ブラウザの関係かもしれませんが、少しフォントが読みにくいものとなっているのが勿体ないです。)。
 関連する項目を知ったり、調べたりするきっかけとして、とても読みやすいと思いました。

(2)記事

弁護士蒲俊郎
ネットでなりすまし被害 カード利用の代金を支払わなければならない?
ヨミウリオンライン 2012年11月28日 09時00分


(3)論文(ウェブでみられるもの)


 オンラインゲームでのアイテム購入などについて触れられています。副題にあるように、インターネット取引に関する未成年者取消の問題、特にゲーム関係、会社側の対応、解決の方向性、といった点に触れられているのが特徴です。
 裁判例や文献も広く取り上げられています。

②岡林伸幸
カードの会員外利用と会員の保護
千葉大学法学論集 第25巻第4号1頁 (2011-03)
千葉大学学術成果リポジトリ

 長崎地方裁判所佐世保支部平成20年4月24日判決(金商1300号71頁)の紹介と検討をしているものです。


 長崎地方裁判所佐世保支部平成20年4月24日判決(金商1300号71頁)については「脱稿後に出たので別稿で触れる」とされておられますが、それを抜きにしても、「家族とクレジットカード利用」という点では、詳細に触れられていて参考になります。


 民法の立法当初の未成年者に関する規定の立法経過や議論、学説を紹介しているものです。起草の当初は「未成年者にとって必要な行為については法定代理人の同意を不要とすべきである」との意見が採用されたものの、その範囲の確定・認定の困難さ、立法主義の相違などから、削除されたのだそうです。
 この論文を読んでみると、立法当時はもちろん、論文が書かれたのも20年前ですから、時代の違いは感じるものの、「生活に必要不可欠とは言えないものに関する未成年者の契約と代金の支払」をめぐる問題を考えていく上で参考になる記述があるとは思いました。
 論文の末尾でも「以上の他にも様々な問題が考えられるが、民法典制定過程の議論をふりかえってみると、当時とは大きく社会・経済状況が異なっているにもかかわらず、そこで論じられたことはかなりの程度まで現在についても妥当すると言えるのではないだろうか。」と記されています。


未成年者については取消権(民法5条)の行使の可否、効果につき、具体的な状況において、様々な問題があります。
悩ましい問題です。



2014年5月26日月曜日

VoLTE に関するいくつかの記事

NTTドコモの VoLTE についての記事は以前「新しい携帯料金制度、VoLTEなど」で書きましたが、マイナビニュースに、VoLTE の解説記事をあって、わかりやすかったのでメモ。

マイナビニュースから数本。

http://news.mynavi.jp/news/2014/05/21/586/index.html

 最初の記事でわかりやすいのは、Skype や LINE などの通話アプリとの相違が端的に書かれている点です。
音声通話アプリよりも安定した通話品質の確保 「それならLTEでSkypeやLINEの音声通話を使えばいいのでは?」と思った方もいると思います。確かにSkypeやLINEなど各種通話アプリの音声通話はデータ通信を利用しているので、理屈上は同じです。しかし、VoLTEはキャリアが音声通話用の帯域を確保し、優先度の高いクラスで運用される点が大きく異なります。つまり通話アプリでは音声が途切れたり、聞こえづらくなるような状況でも、VoLTEなら安定して高品位な音声通話が行えるのです。そのほか、110番や119番などの緊急通話に対応するのもポイントといえます。

http://news.mynavi.jp/articles/2014/05/25/volte/index.html

 2つめの記事は、、気になる点、注意点を、利用可能な端末、キャリア間通話、電話番号、緊急通報など、箇条書きにしていて、読みやすく、また、従来の電話の延長で気がつきがちな点を中心に触れていることもわかりやすいです。

http://news.mynavi.jp/articles/2014/05/12/volte/index.html

3つめの記事では、これまでデータ通信を使って音声通話をしていた際に課題になっていた点について触れています。
低遅延もVoLTEのメリットといえる。LTEにはQoS(Quality of Service)制御機構があり、そのパラメータ(QCI)には帯域制御の有無や遅延許容時間などに応じて9段階の優先度が設けられているが、VoLTEではそのうち遅延許容値が100msかつ帯域保障型の通信が行われる。LINEなど一般のIP通信として扱われる音声通話は遅延が200~400ms前後とバラつきがちで、帯域保障がないうえ時間帯など条件に左右されることから、VoLTEのほうが有利だ。

また、データ通信と従来の音声通話(回線交換方式)の最大の違いは、利用者が回線を専有してしまうか否かでしたが、その点についても触れていました。
キャリア側には、電波の利用効率アップというメリットがある。3Gに切り替えるCSフォールバックでは通話先までの伝送路が通話中占有されてしまうが、パケット通信で音声データをやり取りするVoLTEでは効率よく周波数帯域を利用できる。そしてVoLTEへの移行が進めば、3Gの回線設備を維持し続けるコストを減らすことができ、回線に余裕が生じれば現在3Gが使用している周波数帯域をLTEに割り当てることも視野に入るというわけだ。
パケット通信と同様になるということがわかります。

2014年5月25日日曜日

未成年者とスマホ

未成年者をめぐる問題は、いつの世でもあると思いますが、今は、ネット、端末に関わる問題が中心的課題の1つと言えるでしょうか。

千葉大の藤川大祐教授のインタビュー記事が、ヨミウリオンラインに載っていましたので、メモ。


藤川大祐・千葉大教授が語る<1>
子どもとスマホ…繁華街を一人で歩ければ持たせてOK」 2014年05月12日 08時00分

藤川大祐・千葉大教授が語る<2>
小学生とスマホ…スマホ以前にもあった性的被害」 2014年05月13日 08時30分

藤川大祐・千葉大教授が語る<3>

藤川大祐・千葉大教授が語る<4>
大学生とスマホ…懸念されるリベンジポルノ被害」 2014年05月15日 08時30分

藤川大祐・千葉大教授が語る<5>
おとなとスマホ…求められる教育観の転換」 2014年05月16日 08時30分


この領域については、ともすると自分の経験とか歩いてきた道を「基準」に考えてしまいがちです。

でも、テレビのない時代に育った親の子にはテレビが当然のようにあり、ゲームがない時代に育った親の子にはゲームが当然のようにあり、SNSがない時代に育った親の子にはSNSが当然のようにあり、と自分の経験が直接役立つわけでもなく(自分とは違う環境に置かれているということは共通)、上記の記事にもあるように、今の子どもが大人になる過程で、どんな変化が起きていくかわかりません。

いろいろな角度から、いろいろな意見をみながら、感じ、考えてみる、ということが大事だと思います。

2014年4月19日土曜日

電気通信サービスとクーリングオフ

MSN産経ニュース 2014.4.8 08:30
通信サービスの相談が最多 国民生活センター

減らないようです。何度か指摘されてきましたが。

したがって、下記の動き(法律案の提出)は、今度こそ、本物かなぁ。

消費者側にも、事業者側にも、これを導入するか否か、懸案だった点ですけど、なかなか事態が変わらず、議論もかみあっていない状態が続いていたんですけどね。
このあたりは、総務省の研究会などの議事録をみると、よくわかります。


MSN産経ニュース 2014.4.19 09:30
「スマホ契約にクーリングオフ 総務省、来年度にも導入方針」
 総務省は、スマートフォン(高機能携帯電話)や光回線といった通信サービスの販売について、クーリングオフ制度を導入する方針を固めた。販売競争が過熱するスマホや光回線などの契約をめぐりトラブル相談が増えているためだ。平成27年の通常国会に電気通信事業法改正案を提出し、同年度中の導入を目指す。

以前の記事「訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争」でも紹介しましたが、2012年12月11日に公表された「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」の中でも、こうした点の指摘がありました。

この提言の後でも、

●平成25年10月24日 野洲市
KDDI株式会社へ要望書を提出しました

●平成25年9月3日 東京都生活文化局
~東京都消費者被害救済委員会 報告~
「訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争」あっせん解決
  報告書 PDF
などがありました。

消費生活相談の現場では、まだまだ相談はおさまらない、特商法の適用除外、その他の法令にも民事効に関する規定がない、などが大きな壁になっているという話もよく聞きました。

今回は、どうでしょうか。。。


【H26.8.12追記】



プロバイダや回線事業者の乗換に関する電話営業のトラブルが多いですが、実際は代理店にすぎないのに、いかに事業者本体と錯覚させるか、大変手の込んだ方法があるものだという一例。

代理店だと名乗らず、受電者の氏名を間違えずに告げた上で、契約しているプロバイダ名を出して一部門からの電話であるかのような印象を受け手に与え(不意打ちだから仕方ない)、不在だと、
「ご契約内容に関して連絡事項があるので折り返しご連絡ください」とフリーダイヤルの電話番号を留守番電話に入れていたケース。

http://www.jpnumber.com/freedial/numberinfo_0120_992_073.html

受電者は錯覚しますね、不意打ちだと。

2014年4月18日金曜日

新しい携帯料金制度、VoLTEなど

BUZZAP 2014年4月18日 の次の記事。

NTTドコモが2014年夏モデルをまもなく発表へ、ほぼ全機種が「VoLTE」対応に

最初は単なる料金のニュースと思っていましたが、次の部分に目がとまりました。
なお、現在音声通話に用いられている3Gネットワークを使った「回線交換方式」では、通話している間、相手までの伝送路が占有されてしまうため、「電波が有効活用できない」「音質が頭打ち」という問題がありましたが、VoLTEでは同じ電波資源で、より多くのユーザーが高音質かつ低遅延で通話できることに。
この記事内にある「VOLTE概要」という「図解」や、BUZZAP にある関連する記事数本と読み合わせると、ある程度、今回のニュースの意味がわかってきました。
データ通信で音声通話ということなら、Skype とかLINE電話と同じですね。
ただ、品質が違うようです。
そのあたりの解説をしている記事は、別記事でみつけ次第、メモすることにします。

この VoLTE と新料金の体系ですが、
「何が得なのか、得じゃないのか」
「利用する側にとって理解しやすいのか」
「表示の仕方はどうすべきか」
「問題のある表示や売り方はなにか」
といったことが、また複雑になりそうで、そこにたどり着くまでに疲弊しそう。。。

●携帯各社の次世代通話サービス「VoLTE」はどれだけすごいのか
2014年2月1日
http://buzzap.jp/news/20140201-volte-docomo/

●KDDI(au)が年内に「LTE-Advanced」「VoLTE」開始へ、新定額サービスも
2014年3月26日
http://buzzap.jp/news/20140326-kddi-lte-advanced-volte/

●ドコモとソフトバンクが新料金で激突、「カケホーダイ&パケあえる」「スマ放題」を徹底比較してみた
2014年4月10日
http://buzzap.jp/news/20140410-mobile-new-plan-comparison/


こちらの記事はドコモの発表を紹介したもの。

Sankei Biz 2014.4.18 06:00
ドコモ、LTE通話を6月開始 スマホ夏モデルで対応、新料金プランも
ボルテの導入効果について、加藤社長は「設備負担の軽減だけでなく、トラフィック(通信量)が3分の1になり、音声の伝送効率も高まる。音質はクリアで(相手に着信するまでの)呼び出し時間も短縮され、(現在は0.3秒の)通話の遅延時間(タイムラグ)を2分の1に改善できる」と説明した。
これが実際にもそうなるのかは気になるところ。
音声通話をつなぎっぱなしにする使い方もある(生中継的にとか)ので、データ通信が遅延することと同じ現象はおきるのではないかと思っていたら、すぐ下に次のコメントも紹介されていた。
一方、新料金プランで国内では24時間話し放題となる定額通話プランについて、長時間の回線占有による弊害を避けるため「(10時間以上の)一定の時間で回線の切断は必要になる」との考えを示した。ドコモは10日の発表時には通話回数や時間に制限を設けないとしていた。
今後どういう使われ方をされていくのかは、正直わからないから、思惑通りに進むのか否かは、結局やってみないとわからない(その意味で興味深い)でしょうね。

2014年4月8日火曜日

携帯端末代金の分割払い

スマートフォンを中心にした携帯電話端末、パソコンにも、実質0円とか実質100円とか、ごく普通に広告宣伝がありふれています。
でも「実質」なだけで、無料ではない・・・。

「実質0円・端末代金の分割払いに注意」、内閣府が呼びかけ
Internet Watch ニュース(2014/4/8 13:03)

これは政府広報オンラインに載っている下記のものです。

政府広報オンライン
「暮らしのお役立ち情報」

平成25年1月28日
携帯端末代を分割で支払っている場合の滞納にご注意くださいあなたの信用情報に傷がつくおそれがあります

この広報は、携帯端末の分割払いと与信に関する問題のイメージを掴む上で、とてもわかりやすいです。

自分でSIMフリー端末や中古端末を買って、MVNOなどのSIMカードを別に調達する人には、端末と通話・通信契約は別物だということが、すんなり頭に入ってくると思います。
しかも、端末は「それなりの値段がする」ことも、売場(ネットを含む)で目に見えるので、とてもわかりやすいでしょう。
かつては、パソコンも、ネットに繋がないものが普通にあったので、端末と通信は別物という点を意識することはさほど難しいことではなかったです。

これに対して、電話は「通話できない端末」なんかを持っていても全く意味がないし、わざわざ「通話できない端末(電話機)を買っておしまい」という発想自体が起きないでしょう。
また、SIMフリーとはなんぞや?とか、SIMカードを入れ替えて使い分けるとか、電話会社を変えるといった発想も持ちにくかったのも事実です。
その意味では、携帯電話端末の購入と通話・通信契約は、利用者からすれば、常に一体的なものです。

なので、毎月払うものがいくらか、だけ注意して、内訳に対する意識が希薄になるのかもしれません。
でも、契約の際にサインしている書類には、しっかりと個別クレジットの契約書も含まれています。

端末の購入契約」は、割引が(あまり)なく、しっかりとし代金で買わされている一方で、「通話通信契約」が、一定期間割引され、その割引額の合計が携帯端末の代金(総支払額)と同じになっているだけなのです。

おおざっぱにいれば、そういうことです。

それに割引された後でも、毎月の支払額は結構大きいので、トクしたと思っても、負担感は大きく、支払が滞ることは散見されます。

気をつけなければならないものです。





2014年3月17日月曜日

ネット通販と前払い

WooRis から。

2014/01/13 19:00
 
前払いの場合、商品不達の時、丸々損することになるので、ショップが信用できるか否かは、ある種の賭け、に成る場合もあります。
偽物(海賊版など)が送られてくるときも同じです。
 
この問題は、古くて新しいというか、ネットだからでもなく、そして、解決の妙手がない、結局、買い手が、利便性を少し捨てて、慎重になり、自らいろいろ情報を集めて吟味して、自分で判断する、しかない部分です。
 
でも、自分で調べたり、いろいろやっても、結局、自分一人で考えがちになるうえ、時間をかけると、買わないという結果になり、それを繰り返していくうちに、焦りからか、意外と冷静さを欠くかもしれません。
そこが怖いところ。