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2014年8月15日金曜日

広告と消費者契約法4条「勧誘」

(1)以前、次のような記事がネットにありました。

●月刊ネット販売Online(2013年8月27日)無料公開記事

これは第126回 消費者委員会2013年7月16日(火)を念頭においたものと思われます。
議事録(PDF)

取り上げられている調査作業チーム、消費者契約法改正議論のたたき台とされているものが、下記。

消費者契約法に関する調査作業チーム
 消費者委員会では2011年8月26日に「消費者契約法の改正に向けた検討についての提言」を行い、民法(債権関係)改正の議論と連携しつつ、消費者庁に対して早急に消費者契約法の改正の検討作業に着手するよう求めました。
 今後、消費者庁での検討作業が進展することが期待されますが、消費者委員会としても本法の消費者行政における重要性に鑑み、消費者庁における検討作業の進展に合わせて委員会で本格的な調査審議を行いうる体制が整うまでの間、事前の準備作業として、論点の整理や選択肢の検討等を行うための調査作業チームを運営することとしました。
 2011年12月から2013年5月までの期間、計17回の討議を行いました。その検討内容を踏まえ、各論点を整理し報告書として取りまとめました。

2013年8月 消費者委員会

何かメモを作ろうと思っていたのに、そのままになっていたので、改めてメモ。

記事が触れていたネット広告は一項目あります。

第2章-4  インターネット取引における現状と課題(広告について) 」 
担当:山田茂樹
(消費者委員会事務局委嘱調査員/司法書士) 
1.論点
 消費者契約法 4 条の取消しの対象となる事業者の行為として、「インターネット広告」も含める方向で検討してはどうか。
<提案の趣旨>
 インターネット広告については、ターゲティング広告の発達など広告が消費者の意思形成に働きかける影響力が大きく、また、事業者からみてもその対応は個別の「勧誘」と異にする合理的な理由は見いだせない。しかしながら、現行法においては、インターネット広告に関する不当な表示については、専ら景品表示法等に基づく行為規制が課せられているにとどまり、インターネット広告の不当な表示に起因する契約被害に対応する民事規定を欠く状況にある。よって、(1)の提案をする次第である。

(2)議論の経過

消費者契約法4条1項・2項・3項
「事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、」

消費者契約法4条の「勧誘」に「広告」を含まないという立法担当者解説があり、それに従い、ネットの広告も「勧誘」に該当しないとされています。
このあたりの詳細は、各種コンメンタール、立法担当者の解説、上記の論点整理のほか、消費者委員会での議論や資料(下記)が参考になりますので、詳細は省きます。

●第112回 消費者委員会(2013年2月12日)
「3.消費者契約法について」
議事録(PDF)


第9回 消費者契約法に関する調査作業チーム会合 2012年9月21日(金)9:30~12:30
「議題 広告・契約締結過程における論点整理」
議事要旨(HTML)


(3)消費者契約法の運営状況に関する検討会

平成26年3月17日からは「消費者契約法の運用状況に関する検討会」が開催されています。

●平成26年7月18日開催
        (相談事例(インターネット取引における不当勧誘))

●平成26年8月1日開催
委員提出資料2 企業実務からみた考察

 「事業者が採らざるを得ない対応と消費者の負担」という視点から整理されていて、 事業者側の目線を知ることができる資料となっていると思いました。

その他にも不当条項に関連した事項などもありますが、いちおう「勧誘」に関する点に絞ってみました。


【参考】
「消費者契約法の運用状況に関する検討会」が始まりました
 これからのネット取引を考える ECネットワーク Blog [2014年03月24日(Mon)]

このブログで指摘されているように、「勧誘」概念を広げることで解決を探るとしても、どういう「広告」でなければならないか、という点は避けて通れない、避けて通ればスカスカになりそうな気がします。

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