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2013年11月27日水曜日

訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争(続)

今年3月28日に書いた「訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争」という記事で紹介した、東京都消費者被害救済委員会に付託された件ですが、9月にあっせん成立、となっていたようです。

53 訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争
平成25年2月4日付け東京都生活文化局
訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争
報告書が公開されていまして、かなり詳細な記載があります。

●訪問販売によるモバイルデータ通信契約の解除に係る紛争案件 
   報告書 PDF
       (東京都消費者被害救済委員会)
       (平成25年9月 東京都生活文化局)

電気通信事業者が行う電気通信役務の提供が、特定商取引法の適用除外となっていることから、現場で発生している出来事、法的課題、をひととおりまとめた資料、としても、大変便利なものであると思います。

また、特商法の適用除外、具体的には法定のクーリングオフの適用除外を乗り越えるものとして、ハードルは高いものの、消費者契約法に基づく取消、が残されていますが、具体的な事情に基づいて、取消の要件を充たしていることを前提にした、あっせん案であるとの記載があります(報告書7頁「2 あっせん案の考え方」)。
 1に示したとおり、本件契約については、消費者契約法第4条第1項第1号による取消しが可能である。また、申立人の解約通知は取消しの意思表示と解釈することができ、これにより本件契約は遡及的に無効となっている。
取消要件の充足は個別事例によりますから、あらゆる事例で認められるわけではありませんが、問題の現状を把握する資料としてとても有益であると思います。

2013年11月21日木曜日

インターネットを通じた消費者の財産被害対策について(消費者委員会の議論②)

「インターネットを通じた消費者の財産被害対策について」というテーマが取り上げられていた今年11月のものをメモします。
議事録は、本投稿時ではまだ掲載されていませんでした。

第135回 消費者委員会 2013年11月12日(火)16:00~

【資料5】
インターネットによる財産被害対策関連資料(消費者庁提出資料)
(資料5-1)

(資料5-2)は、「決済代行業者登録制度」と「消費者庁越境消費者センター」について説明している資料でした。
前者については、決済代行業者登録制度について紹介されています。
資料は紹介にとどまり、決済代行の課題と解決などについては触れていません。


この回の議事録が公開されてから、いくつか付記したいと思います。

【追記】
議事録が公開されていましたが、特に備忘のために付記したいものがありませんでした。

2013年11月20日水曜日

インターネットを通じた消費者の財産被害対策について(消費者委員会の議論①)

「インターネットを通じた消費者の財産被害対策について」というテーマが3回にわたって取り上げられていました。
テーマは同じですが、内容が異なっていたので、前の2回と後ろの1回を分けてメモします。


【資料6】
インターネット取引被害(詐欺)事案における実務上の問題点 
2013 年8月6日
(報告者)    司法書士  山田  茂樹

この資料では、5つのケースが紹介されています。
●架空請求メール詐欺
●アダルトサイトの延滞金等請求
●ネットショップ詐欺
●パチンコ打ち子バイト詐欺
●海外の(偽)ブランド品ショップサイト詐欺

議事録はHTML版PDF版とが公開されています。

問題意識は重なり合っていると思われますが、委員の指摘にもあるように、議論が噛み合っていないです。
この種の議論では、「現行法・制度の限界をなんとかしろ」という「問題提起」と、「現行法・制度でできることはここまでです」という「現在できる回答」で、堂々巡りになるから仕方ないところだと思います。
根本的には立法的手当をするしかないと思いますが、立法となると抵抗もあるので、早期の根本解決に至るまでは難しいでしょう。



提言ではなく考え方を公表するに至った背景については、山口委員長代理と河上委員長の発言に示されていました。
議事録はHTML版PDF版がありました。
○山口委員長代理
 実はこの考え方について、消費者委員会の提言として総務省に発信することを考えました。そこで総務省と何回もやり取りをしたわけですが、幾つかの論点について総務省から強い異論が出されました。私ども消費者委員会としても、現実にどの程度発信者が判らなくて困っているような事例があるのか、諸外国の運用がどうなっているのか、その他の事情についてなお検討し、それらの検証を踏まえてより説得力のある建議か、提言にした方がよいのではないか。その上で、総務省あるいは消費者庁、関係省庁に改善を求めていくことが望ましいのではないかと考えるに至りまして、あえて第2次の委員会として提言することにこだわらずに、この意見をまとめて、これを対外的にも公表すると同時に、第3次の消費者委員会に引き継いで、より幅広の議論をしていただいて意見を発信していただくことを期待して、現段階でのこの書面をまとめることにいたしました。
○河上委員長
 我々が問題としているタイプの紛争というのは被害額が小さいみたいですね。5万円とか、10万円とか。だから、訴訟で争うということにはなりにくいもので、それだけに、裁判所から命令をもらってプロバイダ責任制限法で情報開示を求めることも、余り期待できないものです。その意味では、このようなタイプの紛争を前提にしてプロバイダ責任制限法を使うことが従来想定されていなかったのでしょう。総務省の方がよく援用されている検討会の報告書、その審議の議事録を私も全部読みましたけれども、ほとんどが名誉毀損とか、著作権侵害とか、そういうケースを想定した議論になっています。その意味では、我々が述べているような被害が実際にあるということをもう少し説得力をもって示さないと、なかなか動いてくれないようです。強引に建議にまで持っていくという手もあるでしょうけれども、やはりちゃんと手順を踏んで、総務省に動いてもらうためにも、ここは次の委員会での追加審議に期待するということかなと思います。よろしいでしょうか。






2013年11月15日金曜日

大阪府警が偽サイトの振込口座を凍結要請

いくつかの報道がなされています。

MSN産経ニュースWEST
中国サーバー経由?「偽サイト」振込先280口座凍結 大阪府警、全国初

日経
通販「偽サイト」、振込先口座を初の凍結 大阪府警
 2013/11/13 2:14


こうした偽サイト根絶のための大きな一歩ですが、既に払ってしまった代金の回収に、即結びつくものではないだけに、有効な被害回復手段の確立、ということは、まだ課題として残っています。

2013年11月14日木曜日

「詐欺サイトの被害実態」発表(ジャドマ通販研究所)

公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が、10月に「ジャドマ通販研究所」というものを開設して、通信販売に関するレポートを発表しているようです。

Internet Watch に次のニュースがありました。

前年同期比680%増! ネット通販トラブル相談件数が急増~
  (2013/11/14 06:00)

@Pressにはプレスリリースが載っていました。

  公益社団法人 日本通信販売協会 2013.11.13 16:00


プレスリリースをみていて、3点ほど目にとまりました。

まず、被害金額の幅の広がりという指摘。
以前は、高級ブランド品を騙るケースが多く見られましたが、最近では被害に遭う当該商品の平均金額が13,000円前後まで下がっており、数百円の日用品から数十万円の高級ブランドバッグなどと、被害金額の幅が広がっています。
次が、支払方法の特徴
相談が寄せられた「ネット通販詐欺サイト」による被害の多くのケースで、「注文時にクレジットカードでの支払いを指定した後に、業者の何らかの都合により銀行振込を促された」「振込先口座名が外国の個人名」という特徴が見られました。
支払方法については、問題の多かった「決済代行」(主に海外)が減少?排除されたので、それを回避するということでしょうか。

3つ目の「偽装」も健在のようです。
被害の多くで、「外国人個人名の振込口座へ入金を促される」という特徴が見られましたが、最近では日本語のサイトや日本人名の振込口座により国内の業者を装うケースや、有名ネット通販店舗のウェブサイトをコピーした偽装サイトを運営するなど、手口が巧妙化しています。
こうした「怪しいサイトの見分け方」も掲載されています。
目新しいものではなく、基本的なことのまとめですが、特効薬を期待するのではなく、こうした基本的な事項や作業を地道に確認していくことが大事です。
「偽装」がうまいとわからないものですが、それでも「値段の付け方」「所在地」「発送方法」「規約」などを根気よくみていくと、おかしなところは出てくるものです。

「念入り」は「手軽さ」と離れていく要素ですが、両立するものだと思います。

ジャドマ通販研究所」のサイトは、現場でも意外と気になる事項についてQ&Aが掲載されているようですし、他の調査結果もいろいろおもしろそうです。
引き続き見ていこうと思います。




2013年11月1日金曜日

野洲市が携帯電話等の販売方法の改善に関する要望書を提出

すっかり更新できずにいました。
岡口裁判官が紹介していたもので、目に留まったので、メモ。

検討する時間がないので、関係法令だけ眺める・・・


「スマホ販売トラブル恐れ」 野洲市がKDDIに改善要請
~ 京都新聞【 2013年10月25日 06時30分 】


ここで紹介されている野洲市の発表

PDFはこちら(↓)


消費者安全法2条5項3号
この法律において「消費者事故等」とは、次に掲げる事故又は事態をいう。
三  前二号に掲げるもののほか、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為であって政令で定めるものが事業者により行われた事態

消費者安全法施行令3条
  法第二条第五項第三号 の政令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一  商品等又は役務について、虚偽の又は誇大な広告又は表示をすること。
二  消費者との間の契約(事業として締結するものに限る。以下この条において同じ。)に関し、 その締結について消費者を勧誘するに際して、又は消費者による当該契約の申込みの撤回、 解除若しくは解約を妨げるため、次のイからニまでのいずれかに該当する行為をすること。
 イ 当該契約に関する事項であって、消費者の当該契約を締結するかどうか又は当該契約の   解除若しくは解約をするかどうかについての判断に通常影響を及ぼすものについて、故意に  事実を告げず、又は不実のことを告げること。
 ロ 当該契約の目的となる商品、製品、役務、権利その他のものに関し、将来におけるその価   額、将来において消費者が受け取る金額、その使用等により将来において生ずる効用その   他の事項であって将来における変動が不確実なものについて断定的判断を提供すること。
 ハ 消費者が事業者に対し、消費者の住居又は消費者が業務を行っている場所から退去すべ   き旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
 ニ 消費者が事業者に対し、当該契約の締結について勧誘し、又は消費者が当該契約の申込   みの撤回、解除若しくは解約をしようとしている場所から退去する旨の意思を示したにもか    かわらず、その場所から消費者を退去させないこと。
三  前号に掲げるもののほか、消費者との間の契約の締結若しくは履行又は消費者による当該 契約の申込みの撤回、解除若しくは解約に関し、消費者を欺き、又は威迫して困惑させること。
四  次のイ又はロのいずれかに該当する契約を締結し、又は当該契約の締結について消費者  を勧誘すること。
 イ 消費者契約法 (平成十二年法律第六十一号)第四条第一項 から第三項 までの規定その  他の消費者と事業者との間の契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しに関する法   律の規定であって消費者の利益の保護に係るものとして内閣府令で定めるものによって消費  者が当該契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとされる契約
 ロ 消費者契約法第八条第一項 、第九条又は第十条の規定その他の消費者と事業者との間  の契約の条項の効力に関する法律の規定であって消費者の利益の保護に係るものとして内  閣府令で定めるものによって無効とされる契約の条項を含む契約
五 消費者との間の契約に基づく債務又は当該契約の解除若しくは解約によって生ずる債務の 全部又は一部の履行を正当な理由なく、拒否し、又は著しく遅延させること。
六 不当景品類及び不当表示防止法 (昭和三十七年法律第百三十四号)第三条 の規定に違  反して景品類を提供すること。
七 前各号に掲げるもののほか、消費者との間の契約の締結若しくは履行又は消費者による当 該契約の申込みの撤回、解除若しくは解約に係る事業者の行為の規制に関する法律の規定  であって、消費者の利益の保護に係るものとして内閣府令で定めるものに違反する行為をする こと。