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2013年11月20日水曜日

インターネットを通じた消費者の財産被害対策について(消費者委員会の議論①)

「インターネットを通じた消費者の財産被害対策について」というテーマが3回にわたって取り上げられていました。
テーマは同じですが、内容が異なっていたので、前の2回と後ろの1回を分けてメモします。


【資料6】
インターネット取引被害(詐欺)事案における実務上の問題点 
2013 年8月6日
(報告者)    司法書士  山田  茂樹

この資料では、5つのケースが紹介されています。
●架空請求メール詐欺
●アダルトサイトの延滞金等請求
●ネットショップ詐欺
●パチンコ打ち子バイト詐欺
●海外の(偽)ブランド品ショップサイト詐欺

議事録はHTML版PDF版とが公開されています。

問題意識は重なり合っていると思われますが、委員の指摘にもあるように、議論が噛み合っていないです。
この種の議論では、「現行法・制度の限界をなんとかしろ」という「問題提起」と、「現行法・制度でできることはここまでです」という「現在できる回答」で、堂々巡りになるから仕方ないところだと思います。
根本的には立法的手当をするしかないと思いますが、立法となると抵抗もあるので、早期の根本解決に至るまでは難しいでしょう。



提言ではなく考え方を公表するに至った背景については、山口委員長代理と河上委員長の発言に示されていました。
議事録はHTML版PDF版がありました。
○山口委員長代理
 実はこの考え方について、消費者委員会の提言として総務省に発信することを考えました。そこで総務省と何回もやり取りをしたわけですが、幾つかの論点について総務省から強い異論が出されました。私ども消費者委員会としても、現実にどの程度発信者が判らなくて困っているような事例があるのか、諸外国の運用がどうなっているのか、その他の事情についてなお検討し、それらの検証を踏まえてより説得力のある建議か、提言にした方がよいのではないか。その上で、総務省あるいは消費者庁、関係省庁に改善を求めていくことが望ましいのではないかと考えるに至りまして、あえて第2次の委員会として提言することにこだわらずに、この意見をまとめて、これを対外的にも公表すると同時に、第3次の消費者委員会に引き継いで、より幅広の議論をしていただいて意見を発信していただくことを期待して、現段階でのこの書面をまとめることにいたしました。
○河上委員長
 我々が問題としているタイプの紛争というのは被害額が小さいみたいですね。5万円とか、10万円とか。だから、訴訟で争うということにはなりにくいもので、それだけに、裁判所から命令をもらってプロバイダ責任制限法で情報開示を求めることも、余り期待できないものです。その意味では、このようなタイプの紛争を前提にしてプロバイダ責任制限法を使うことが従来想定されていなかったのでしょう。総務省の方がよく援用されている検討会の報告書、その審議の議事録を私も全部読みましたけれども、ほとんどが名誉毀損とか、著作権侵害とか、そういうケースを想定した議論になっています。その意味では、我々が述べているような被害が実際にあるということをもう少し説得力をもって示さないと、なかなか動いてくれないようです。強引に建議にまで持っていくという手もあるでしょうけれども、やはりちゃんと手順を踏んで、総務省に動いてもらうためにも、ここは次の委員会での追加審議に期待するということかなと思います。よろしいでしょうか。






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