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2017年8月3日木曜日

電子マネーの不正利用

今年初めにNHKのニュースツイートにあった判決のニュースについて書いた「電子マネー関係の判決」に関して、「銀行法務21」に判例紹介に載っていたので、改めて関連するものをチェックしなおしてみました。

●プリペイド型電子マネーの発行業者の顧客に対する周知義務違反が認められた事例(確定)東京高裁平成29/1/18金融法務事情2069号74頁
(浅井弘章 銀行法務21 no.817-8月号66頁)


「おサイフケータイ」については、機種変更、解約時にICチップの記録を消さずに下取りに出してしまい、新所有者が旧所有者の記録を利用できてしまうという事例がありました。
この点に触れるものとして、

「おサイフケータイ方式」の 決済サービスに関する注意事項(山本正行「キャッシュレス決済入門 第7回 多様化する“キャッシュレス決済”(4) 携帯端末で決済ができる!?2016.2 ウェブ版月刊国民生活31頁
機種変更、解約などの手続きを行う際には、携帯端末の初期化に加え、ICチップ(FeliCa)に記録された内容を別途消去しなければならないので、注意が必要です。
これを行わない状態で携帯端末が下取りされるなどして別の利用者の手に渡った場合、IC チップ(FeliCa)内の残高情報がそのまま新しい利用者に継承されてしまいます。それを悪用し、 新しい利用者が以前の利用者になりすまして決済サービスを継続して利用するトラブルが報告されています。
平成22年3月と少し前のものですが、電気通信消費者支援連絡会でも議論がされていました。

第21回電気通信消費者支援連絡会 議事要旨(平成22年3月29日)
齋藤委員
 携帯電話の中に一財産入るということでしょうか。また、そのお金のデータは、SIMのチップに記録されるのでしょうか。
NTTドコモ
 SIMとは別に、FeliCa用のチップが入っています。
齋藤委員
 では、SIMフリーとなった場合、SIMを差し替えてもお金のデータは移行しないのですか。
NTTドコモ
 携帯電話にチップとして埋め込まれているものなので、SIMが変わっても携帯電話のみで利用することができます。ただし、NTTドコモでは、携帯電話を紛失した場合、ネットワークによりおサイフケータイのサービスを止めることができます。また、携帯電話を拾った人が、SIMを差し替えて利用することを防ぐため、SIMを差し替えた場合は利用できないようにしています。SIMフリーとなった場合は、このあたりの仕組みは見直しが必要かと思います。