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2014年8月13日水曜日

携帯ゲーム機のオンラインショップでゲームソフトを購入した未成年者の契約取消しに係る紛争案件(大阪市消費者保護審議会)

未成年者が、オンラインでゲームソフトを購入した場合における「未成年者取消」に関する、あっせん事例があったのをみつけましたので、メモ。

大阪市消費者保護審議会
  苦情処理部会
「携帯ゲーム機のオンラインショップでゲームソフトを購入した未成年者の契約取消しに係る紛争案件 (平成25年度第1号案件)」
平成25年9月27日~平成26年1月30日
 あっせん成立


「詐術」(民法21条)の成否については、下記のように、留保した形での解決でした。
第3  今後の課題等について
  まず、本案件の解決にあたっては、オンラインショップにおけるクレジットカード決済について、民法第21条の詐術の成否等の法的問題についての判断を留保しつつ、紛争の早期解決を図ることを重視したことを記しておく。
合意による個別案件の解決という手段の中では、訴訟と異なり、留保された問題点を正面から回答してしまうことは難しかったと思います。
ただ、留保された背景は、この報告書の末尾にも記載あるように、保護者側の理解や対応が十分ではなかったことは否めず、実際、その点は申出人側の主張などにも自認されているなど、結構みられました。

・カード管理は結構緩かった(子どもが持ち出せる、パソコンの横に置きっぱなし等)
・未成年の友人(未成年)も、一緒に番号を盗み書きして入力使用
・友達からやり方を聞いた
・ロック機能を知らず、かけてなかった

等々、保護者としては、注意書きに気付かず(読まず)、ゲーム機は子に渡しておいても安心できるものと考えていたようです。

さらに「今後の課題等について」には
・・・まさしく本案件でも、契約者全員が小学生の児童であり、一番幼い7歳の契約者は、求めるゲームソフトを購入するため、保護者である申出人がよく見ていなかった取扱説明書を丹念に読みくだして理解し、成人家族のクレジットカードを無断使用するという消費行動を起こすに至っており、・・・
という記載があります。

ここだけを取り上げれば、例えば未成年者の「詐術」該当性を認めるハードルが下がりそうですが、そう単純な話ではないと考えます。
未成年という領域は、年齢を仮に小学1年生から上に限定しても幅が広く、成熟度、知識、能力、経験、反対動機形成期待可能性、様々な面で、成人との差異や、未成年者相互でも、個別性や相違があります。
課題は「能力の使い方」「使う環境(教育も含む)」でしょう。

どの案件にも通用する、統一的解決を図ることを目的として、抽象的な基準を打ち立てることは、正直困難というか、意味がないように思います。
例えば、未成年といっても、意思能力の有無が議論になる年齢層からほぼ成年と同様の精神的成熟度もある層、小学校、中学校、高校、大学、専門学校、就労者、非常に多岐にわたっています。
少子化といっても、様々な人間の集合体だからです。
また、「買わないと損だ!」と煽るような作りになっていたり、「はまるように」熱中しすぎるような作りになっていれば、大人でも「能力の使い方」を誤ってしまうので、与えられた状況か環境によって様々でしょう。

結局、個々の事例を丁寧に調査し、事例ごとに即した解決を目指すのが合理的であると思います。

その際に「基準」を打ち出すことに力をさくよりも、検討すべき要素にどのようなものがあるのか、について、できるだけ多くの事項を抽出し、整理し、関係者からの事情の聞き取りや問題解決にあたっての参考となるようなものを出すことが必要だし、その方が意味があるとお思います。


(H26.8.25追記)
事業者側の対応として、「未成年が保護者に無断でアプリ内購入する問題」をまとめてみました。




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