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2014年10月27日月曜日

インターネット・バンキングと不正払戻・送金

IT Pro(日経コンピュータ)2014/10/22
上半期だけで被害額18億円超、対策急務の不正送金

インターネットバンキング、盗難通帳、偽造・盗難キャッシュカードによる預貯金の不正な払い戻し、不正な送金については、これまでも何度か報道や各機関のプレスリリースなどで内容が公表されている。

不正な払戻し等から預貯金者を保護する法律としては、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(預金者保護法)がある。

同法にいう「預貯金者」とは「金融機関と預貯金等契約(預貯金の預入れ及び引出しに係る契約又はこれらに併せて金銭の借入れに係る事項を含む契約をいう。を締結する個人」と定義されている(法2条2項)。

ただし、インターネット・バンキングは、対象に含まれていない(「カード等」には符号などは含まれてないし、現金自動支払機でもない)ので、別途注意が必要である。

(1)全銀協

「重要なお知らせ」内の「全銀協の対応」では、不正払戻や送金の数値、対応、補償などが掲載されている。

その中で、半期ごとに公表されている

「盗難通帳、インターネット・バンキング、盗難・偽造キャッシュカードによる預金等の不正払戻し件数・金額等に関するアンケート結果および口座不正利用に関するアンケート結果について」

というものをみると、「インターネット・バンキング」における被害件数や被害額の増加率(平成24年度と平成25年度の比較で約10倍)が他の類型に比して、顕著であることがわかる。

また、補償については、預金者保護法が保護の対象を個人に限定していることを踏まえて、個人と法人で異なる対応基準を示しているので、この点に関する資料も大事である。

①個人

預金等の不正な払戻しへの対応」について」(平成20年2月19日)

別紙3 「インターネット・バンキングに係る補償の対象・要件・基準等について」(PDF)

上記のアンケートをみると、補償は平成25年度は99%前後の割合で行われていたようである。

②法人

法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方について」(平成26年7月17日)

個人との相違を前提にする点は変わらないものの、「今後、会員銀行は、インターネット・バンキングの信頼性を高め、お客さまに安心してご利用いただくために、法人のお客さまの被害に対する補償を個別行の経営判断として検討するものとする」というもので、その考え方を示している。


(2)参考

上田純
「預貯金不正払戻しと金融機関の注意義務
-窓口払いを中心に近似の裁判例を踏まえて-」
金融法務事情1954号(2012.9.25)38頁

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