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2014年10月28日火曜日

不正送金のアルバイト

ネットバンキングを使った不正送金の実作業を担わされるアルバイトの問題がある。

(1)記事(東洋経済オンライン)

浪川 攻 :東洋経済 編集局記者
2014年02月09日

仕組みについては、図解もある。

記事の末尾にある
資金洗浄をしたい犯罪組織にとって、運び屋は使い捨てられる都合のいい存在だ。「海外に送金するだけで高額な報酬を得られる」との甘い文句に誘われて、実際に報酬を手にしたとしても、犯罪組織に口座を貸したという情報は残る。それによりマネーミュールと特定され、結局は罪の代償を払わされることになる。
という部分は、振込詐欺の受け子と同じ。
後述するように、実刑となることも珍しくなく、高い代償である。

(2)警視庁


犯罪収益移転防止法違反として刑事罰の対象となる行為である。

(犯罪収益移転防止法27条)
1 他人になりすまして特定事業者(第2条第2項第1号から第15号まで及び第35号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第2条第2項第1号から第36号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
3 業として前2項の罪に当たる行為をした者は、3年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


なお、ヤミ金から貸し付けをしてあげるという話に折れて、ヤミ金から求められて、自らの口座番号や暗証番号を伝えたところ、知らない取引がたくさん記帳されていた、という案件で犯罪収益移転防止法27条違反に問われている事例、について触れている弁護士のブログがあったので、メモ。

●由利弁護士の日記2014年6月14日(由利弁護士の部屋

クレジットカードのスキミング事例でも、振込詐欺の受け子の事例でも、末端の使い捨てにされる人たちに対する刑事裁判では、初犯での実刑も珍しくない。
二十歳そこそこの若い人であっても厳しい対処がされている。、
実際の首謀者にはたどりつくのが困難な類型のせいか、協力者を排除していくこと、収益を絶つ、ということで対処するほかないのかもしれない。

ただ、このブログでも示されているように、厳罰で臨む相手が本来的には異なる感じのする事案があるのは事実であり(全てがそうではない)、悩ましいところではある。


首謀者はおろか中間の人間にたどりつくことすらも困難であることを指摘する最近の記事として下記がある。

産経ニュースWEST(2014.10.8)
中国人犯罪に吸い上げられる日本人のマネー オレオレ詐欺や不正送金事件の背後にちらつく中国人の影 LINEで誘惑「稼ぎたいなら中国に…



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