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2013年6月27日木曜日

サクラサイトに関する裁判(追記:判例時報2206号83頁)

1.サクラサイトに関する裁判についての最近の報道

(1)「サクラサイト:「詐欺にあたる」と賠償命令…東京高裁
  (毎日新聞 2013年06月19日)

この問題では、業者が「サクラ」であることの立証が最大の課題ですが、原審判決後から高裁判決に至る過程では、弁護団の工夫と努力が積み重ねられ、この結果に結びついたようです。
下記の方々のブログで、その点が紹介されていました。


出会い系サイトで2千万円払った男性が逆転勝訴
 (札幌弁護士会所属 弁護士森越壮史郎のブログ

また、判決内容の特徴として、被害者の過失相殺が認められなかったことを挙げていたブログもありました。

サクラサイト運営業者に対し東京高裁で逆転全面勝訴判決
 (つきのみや法律事務所のブログ)

対象が対象であることからか、過失相殺を安易に肯定しがちな領域ですが、それを否定したことは重要だと思います。




【H26.8.8.追記】

上記東京高判平成25年6月19日の判決文が判例時報に載りましたので、その点の補充と、同裁判例の紹介をするサイトなどを補充します。


判例時報2206号(平成26年2月11日号)83頁
   判決文が掲載されているので、詳細な事実認定と判断を読むことができます。全部を読むべきなのですが、「サクラ」という言葉を使っていたので、そこだけ紹介します。
 したがって、控訴人が本件各サイトにおいてメール交換した本件各相手方等は、一般の会員ではなく、被控訴人が組織的に使用している者(サクラ)であるとみるほかない。


消費生活相談員のための判例紹介(瀬戸和宏 弁護士)

全相協つうしん『JACAS JOURNL』153号 13.09.15掲載
公益社団法人 全国消費生活相談員協会 JACAS判例紹介


(2)サクラサイト:出会い系に賠償請求、一斉提訴
  (毎日新聞 2013年06月24日)

高裁判決後の一斉提訴のニュースです。


2.これまでよく紹介された裁判例

 サクラサイトに対する賠償を認めたものとして、よく紹介されていたのは、下記の裁判例でした。

●さいたま地裁越谷支部平成23年8月8日判決 消費者法ニュース89号231頁

これについてウェブでみられるものは下記のものです。

消費生活相談員のための判例紹介(土屋文博 弁護士)
全相協つうしん『JACAS JOURNL』142号 11.11.15掲載

そこで紹介されているように、立証として、当該業者に関するPIO-NETの情報が使われ、判決の事実認定においても重視されたとのことです。



3.サクラサイトに関しての資料

(1)市民と法No.79(民事法研究会)
  【特集】消費者・個人事業主の被害の現状と最新実務2
   1 インターネット消費者取引被害の現状と課題──サクラサイト商法(詐欺)を中心に──
     司法書士 山田茂樹

(2)原田由里「事例で学ぶインターネット取引 第3回 サクラサイト」(pdf

 ※ 上記②は、消費者庁が調査機関(公益財団法人 日本生産性本部)へ依頼して別途、事例を精査したもので、PIO-NETの記載とは異なるのだそうです。

この(4)②82頁以下には、サクラサイト関係の訴訟事例がいくつか紹介されています。
ただ、そのうち「東京地裁(2010 年提訴)」として掲載されているものは、立証らしい立証をほとんどしてないようで、考察対象から外してよい事例のようです(ちなみに、調べていくと、同じ代理人の担当で、半年後には同じような裁判で、裁判所の再三の釈明に応じず、請求原因が特定されていないとして却下されているものもあります。東京地裁H24.6.18.)。


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