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2012年4月22日日曜日

発信者情報の範囲(メモ)

最近の記事等々。

(1)発信者情報とiモードID追記あり

(読売オンライン2012年4月13日)

「発信者情報開示を命令」
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/news/20120413-OYT8T00092.htm

男性の代理人弁護士やドコモによると、ドコモのiモードサービスの契約者に与えられる「iモードID」により、特定した情報を「発信者情報」として開示を認めた判決は国内で初めてという。
判決は3月27日。双方が控訴せず、12日に確定した。

追記
金沢地判平成24年3月27日:判例時報2152号62頁に掲載)

iモードIDによって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所が「発信者情報」に該当するかにつき、肯定した。
主文で開示を命じられた部分は
「投稿に使用された電気通信回線にかかる識別番号(iモードID:●●)によって特定される電話番号の契約者の氏名又は名称及び住所」
とされている。


(2) 開示する発信者情報の範囲(省令の改正)

●平成23年7月
  総務省 「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」

 「プロバイダ責任制限法検証に関する提言」(報道資料)

 提言本体→(PDF)  同30頁「(2)開示する発信者情報の範囲」以下
ア 概要
 開示する発信者情報の範囲については、現在、総務省令により 5 点の発信者情報が限定列挙されているところ、このような限定列挙とする方式ではなく、包括的に規定すべきとの主張や、現在列挙されている発信者情報以外にも盛り込むべき発信者情報があるのではないかとの主張がある。
イ 包括的な規定の是非

 まず、開示する発信者情報について、そもそも総務省令で限定列挙するのではなく、包括的に規定すべきとの主張について検討する。

(~中略~)

 このような観点から、プロバイダ責任制限法は、総務省令で発信者情報を限定列挙することとしたのであり、総務省令により柔軟に対応することが不可能であるという状況も認められないことから、開示の対象となる発信者情報について、総務省令で限定列挙することには、現在においても合理的理由がある。よって包括的に規定することは適当ではないと考えられる。
ウ 個別の情報の追加の是非
 次に、総務省令に現在規定されている 5 点の発信者情報に加え、新たに規定するものがあるかについて、検討する。
(~中略~)
 個体識別番号は、当該情報の流通に関与したプロバイダ等である携帯電話事業者が発信者を特定するための情報である。
 また、個体識別番号は、氏名や住所と比較して、それ自体が秘匿性の高い情報とまではいえないため、発信者情報として開示することが一般的に相当ではないとまではいえない。
 そして、携帯電話による通信の場合、IP アドレスは極めて短時間(秒よりも短い時間)のうちに次々に異なる携帯電話に用いられるため、IP アドレスとタイムスタンプによる発信者の特定が困難な場合がある。その場合であっても、携帯電話による通信においては、個体識別番号があれば発信者を特定できる場合がある。
 以上の理由から、これらの個体識別番号について、開示の対象となる発信者情報に追加することを検討すべきである

※ 赤字と下線は私が付しました。


●平成23年7月25日
 省令の一部を改正する省令案に対するパブコメ募集(報道資料)

※上記提言を踏まえたもの。
【Ⅱ 概要】
 プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報の開示請求の対象を追加
 携帯電話端末等からのインターネット接続サービス利用者識別符号(改正省令案第5号)、SIMカード識別番号(改正省令案第6号)及びそれらのタイムスタンプ(改正省令案第7号)を、開示の対象となる発信者情報に追加する。

※ 赤字、下線、文字強調は私が付しました。

●平成23年9月2日
 パブコメの結果の公表(報道資料)




 この提言には、プロバイダ責任制限法に関する個々の論点につき、現場で悩ましいことなど、検討が加えられているので、別途整理してみようと思います。



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