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2016年2月11日木曜日

確認措置契約の解除(まだ整理中)

H27電気通信事業法改正(H28.5施行)の目玉の一つ、初期契約解除の例外。
まだ関係する告示等の全てが公表、確定されているわけではありません(2/23現在)ので、不明朗な部分もあるのですが、随時直していくことを前提に、政省令を一箇所にまとめるながら読み直すことも想定して、頭の整理のためのメモとします。

【H28.2.23加除訂正】


電気通信事業法施行規則22条の2の7第1項第5号及び第2項から第6項

1.確認措置契約



 法26条1項1号(移動電気通信サービス)に掲げる電気通信役務のうち、確認措置を電気通信事業者が講じているものであって、その利用者の利益が保護されているものとして、当該電気通信事業者の申請により総務大臣が認定したものの提供に関する契約(施行規則22条の2の7第1項第5号柱書


2.確認措置


(1)定義

 初期契約解除の対象として指定された移動通信役務のうち、契約初期の一定の場合に、端末等の関連契約も含めて契約を解除することができる措置

(2)要件(①~⑤)

★施行規則22条の2の7第1項第5号

①法26条1項1号に掲げる電気通信役務であること

 その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供される電気通信役務であって、その内容、料金その他の提供条件、利用者の範囲及び利用状況を勘案して利用者の利益を保護するため特に必要があるものとして総務大臣が指定するもの

告示(案~パブコメ後の修正)

※次に掲げるもの(その提供に先立って対価の全部を受領するものを除く。)
① 仮想移動電気通信サービス以外の携帯電話端末サービスの役務
② 仮想移動電気通信サービス以外の無線インターネット専用サービスの役務
③ 仮想移動電気通信サービス以外である無線インターネット専用サービスであって、その提供に関する契約に、その変更又は解除することができる期間の制限及びそれに反した場合の違約金(その額がその利用の程度にかかわらず支払を要する一月当たりの料金(付加的な機能の提供に係るものを除く。)の定めがあるもの 

②そもそも初期契約解除が適用されない契約ではないこと
 (法26条の3第1項施行規則22条の2の7第1項第1号乃至4号

規則22条の2の7第1項
  法26条の3第1項の総務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。

第22条の2の4第3項各号に掲げる場合
ⅰ 軽微変更のみがされた場合
ⅱ 電気通信事業者からの申出により利用者に不利でない変更のみがされた場合
ⅲ 付加的な機能の提供に係る役務に係る変更のみがされた場合
ⅳ 前3号のいずれかに掲げる変更のみがされた場合

第22条の2の4第6項第1号に掲げる場合
ⅰ 前条第6項第1号から第3号までに掲げる対象契約が成立した場合
規則22条の2の3第6項
(法人契約)
  法人その他の団体である利用者とその営業のために又はその営業として締結する契約(営利を目的としない法人その他の団体にあっては、その事業のために又はその事業として締結する契約)
(自動締結契約)
  他の電気通信事業者との間に電気通信役務の提供に関する契約が締結されたときは自らが提供する電気通信役務についても契約を締結したこととなる旨の契約約款の規定に基づいて締結する契約
(都度契約)
  公衆電話その他その他の電気通信役務の提供を受けようとする都度、契約を締結することとなる電気通信役務の提供に関する契約

③次の2つの事項を双方とも確認できる措置であること

①その提供を受けることができる場所に関する状況利用場所状況

②利用者利益の保護のための法令等の遵守の状況に関する状況遵守状況 

]乃至[ホ全ての要件を満たす措置であること

[イ] 当該電気通信役務提供開始日(=起算日)から8日以上の間当該確認が可能であること

[ロ] 確認の結果、利用場所状況について十分でないことが判明したときは、関連契約を解除可能であること

【2.23追記】
※「関連契約」(告示案第2項
 ①確認措置契約(電気通信役務提供の契約)、
 ②①の締結に付随して締結(媒介等)した有償継続役務の契約
 ③①の役務提供に付随して締結された契約で、告示されたもの(端末の売買、個別クレジット)

※「有償継続役務(22条の2の4第1項5号)」
   電気通信事業者が有償で継続して提供する役務
 <a>付加的な機能の提供
 <b>対象契約の締結に付随して締結し提供する有償継続役務(商品の継続供給を含む)。

[ハ]総務大臣が別に告示するところにより事業者があらかじめ定めた基準に遵守状況が適合しないときは、利用者が関連契約を解除可能

【2.23追記】
※(告示案第3項
 施行規則第22条の2の7第1項第5号ハの規定により電気通信事業者があらかじめ基準を定める条件は、次に掲げる規定について、その遵守状況を検証等することができる基準を定めること とする。
一 法第26条
二 法第26条の2 

[ニ]上記[ロ][ハ]の解除に伴い、利用者が支払うべき金額が、関連契約により提供された役務の対価及びこれに対する法定利率による遅延損害金を加えた額を超えないこと

  ※「対価
   ⇒ 「通信サービス利用料」+「付随有償継続役務」
   <a> 「工事費用」は請求できない
   <b> 「事務手数料」も請求できない。

  ※「端末」の扱い
   <a> 返還義務
    関連契約としての端末の貸借契約または売買契約の契約解除により利用者には当該端末を返品する義務が通常生じる。
   <b> 価格相当額の弁償
    返品しなかった場合は、事業者は端末の販売価格に相当する額を請求することができる。

[ホ]提供条件の説明(説明義務)により、次の点の説明がされること。
   <a> 当該確認措置を講じていること。
   <b> 当該確認措置の適用条件その他必要な事項。

⑤認定
  当該電気通信事業者の申請により利用者の利益が保護されているとして総務大臣の認定を受けたもの役務であること

 ア)申請 ⇒総務大臣に対する申請書の提出

規則22条の2の7第2項
① 認定を受けようとする電気通信役務の名称及び内容
② 確認措置に関する内容
③ その他その電気通信役務の認定の申請に関し特に必要な事項

規則22条の2の7第6項
 前各項に規定するもののほか、第二項の申請書の様式その他認定に関し必要な事項については、総務大臣が別に告示するところによるものとする。

【2.23追記】
告示案第4項
 施行規則第22条の2の7第6項の規定により告示する申請の様式その他認定に関し必要な事項は、次のとおりとする。
一 施行規則第22条の2の7第1項第5号の規定に基づく申請の様式は、様式第一によること。
二 施行規則第22条の2の7第3項の規定に基づく届出の様式は、様式第二によること。

 イ)認定の基準ガイドライン案62ページ

①確認措置告示(告示案は2/12公表、パブコメ募集中
   「認定に必要な事項については、総務大臣が別に告示するところによる」
    (規則22条の2の7第6項)


電気通信事業法関係審査基準(平成13年総務省訓令第75号の改正案、2/12公表

【2.23追記】
審査基準改正案第11条の2
 施行規則第22条の2の7第1項第5号の規定による確認措置に係る認定は、同条第2項の申請書及び添付書類に記載された 事項について審査し、次の要件に適合していると認める場合に行う。
 (1)から(10)まで


(3)確認措置の確認方法

①認定の有無
  告示規則22条の2の7第5項
  ⇒官報掲載、総務省ウェブサイト掲載(ガイドライン案

 総務大臣は、認定をした時は、その認定を受けた電気通信役務を提供する電気通信事業者の指名又は名称並びに当該電気通信役務の名称及び内容を、第三項の規定による届出(第2項第2号に係るものを除く。)があったとき又は前項の規定により認定を取り消したときはその旨を、それぞれ告示するものとする。

②説明(基本的説明事項
 (規則22条の2の3第1項第12号

12 対象契約が第22条の2の7第1項5号に規定する確認措置契約であるときは、同号に規定する確認措置に関する事項

契約書面の記載事項
 (規則22条の2の4第2項第3号

2 前項各号に掲げる事項の記載は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める基準に適合するものでなければならない。

三 対象契約に係る電気通信役務の提供について第22条の2の7第1項5号に規定する確認措置を講じている場合
   次に掲げる事項が明らかにされていること。
 イ 当該確認措置を講じている旨
 ロ 当該確認措置の適用に関する条件
 ハ 第22条の2の7第1項5号ロ又はハの解除に伴い利用者が支払うべき金額の算定の方法
 ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該確認措置の内容

※実際の対応(予想)
 利用者が交付を受けた契約書面をみて、契約した電気通信役務の種類を特定し、書面解除(初期契約解除)なのか、確認措置による解除なのか、どちらの場合でも(特に確認措置の場合は)解除する場合の条件などを、記載内容から判断していくことになるでしょう。
 その上で、記載内容の不備や漏れがあれば、遵守状況の判断に大きく影響するでしょうし、確認措置そのものや、その後の監督官庁による処分にも影響があるでしょう。


3.確認措置による解除

(1)利用者からの申し出

利用者自身は、解除の申出をする前に、次の確認をした上で意思表示をする、となるでしょう。
交付された「契約書面」をまず読むことから始まると言えます。

①確認措置の存在の確認(⇒契約書面、告示)

契約書面に記載された「確認措置を講じている旨」(規則22条の2の4第2項3号イ)を読む。
・確認措置の認定が実際にされているか否か「告示」を確認(ウェブサイト等?)

②確認措置の適用条件の確認(⇒契約書面)

契約書面に記載された「確認措置の適用に関する条件」(22条の2の4第2項3号ロ)を読む。
・支払うべき金銭についても、契約書面に記載されている「第22条の2の7第1項5号ロ又はハの解除に伴い利用者が支払うべき金額の算定の方法」22条の2の4第2項3号ハ)を読む。

③利用場所状況の確認

その提供を受けることができる場所に関する状況が十分でないことの確認、なのですが、実際に、誰が、どんな方法で、どんな基準に基づき判断するのかは、まだわかりません。

 パブリックコメントに寄せられた意見(公益社団法人全国消費生活相談員協会等)に次のようなものがありました。

・・・利用できる場所状況が十分でないときについて、具体的に示していただきたい。
また、契約解除に伴い付随する有償継続役務の契約と端末の契約も解除となりますが、有償継続役務と端末についても事例を挙げて説明していただきたい。

 ただ、これに対する「総務省の考え方」は、

別途告示又は審査基準により定めることとなるため、今後の参考として承ります

とされ、今後の確認措置の告示及び審査基準の公表待ち、となっていました。

④遵守状況の確認

 事業者があらかじめ定めた基準に当該遵守状況が適合しないことの確認

※ この点に関しては、解除の申出をうけた事業者側の対応と共通する疑問点があります

(2)事業者側の対応

①申出事項(解除要件の具備)の審査

(ア)利用場所状況の確認

(イ)自らが予め定めた基準と申し出のあった法令遵守状況との適合、不適合の調査

②判断(対応の決定)

【2.23追記】
検証すべき遵守状況の対象は、「法26条(提供条件の説明) 」と「法26条の2(契約書面の交付)」となっています。
法27条の2(禁止行為)、30条2項などは対象とされていません。

告示案第3項
 法26条(提供条件の説明) 施行規則第22条の2の7第1項第5号ハの規定により電気通信事業者があらかじめ基準を定める条件は、次に掲げる規定について、その遵守状況を検証等することができる基準を定めること とする。
一 法第26条
二 法第26条の2

ただ、法26条の説明の「方法」は、施行規則22条の2の3第3項や4項(適合性原則)に規定されていますから、その点の検証ができる基準となっているか、そのあたりが重要な点になりそうです。


想定される課題については、パブリックコメントに寄せられた意見とそれに対する考え方が参考になると思います。

※ 平成28年1月26日電気通信事業法等の一部を改正する法律の施行等に伴う電気通信事業の利用者保護に関する省令等の整備案に係る意見募集の結果及び情報通信行政・郵政行政審議会からの答申(総務省)

(その1)
「自らが作った基準で判断するから、解除の認められる余地が狭くできるのではないか?」

 同じような疑問は、パブリックコメントに寄せられた意見(個人)に次のようなものがありました。

「確認措置」における「遵守状況が適合しなかった」という理由について、遵守状況が適合しなかったかどうかは,事業者があらかじめ定めた基準と照合して判断するにすぎない。すなわち,事業者の自主性に任されているのであり,国ないし監督官庁が一定の基準を定めてその基準を満たしているかを判定するといったような外部のコントロールが及んでおらず,抑止力として極めて不十分である。

 これに対する「総務省の考え方」は、

・・・改正後の施行規則の規定に基づき確認措置の認定の申請を受けた際には、その内容について厳正に審査していくことが重要である・・・

とされています。

この考え方にあるとおり、そもそも確認措置は、事業者からの申請(規則22条の2の7第2項)と総務大臣の認定を必要としますし、その認定は「利用者の利益が保護されている」ことを要する(規則22条の2の7第1項5号柱書)ので、単純な届出制のように、自主的に決めた基準がそのまま認定されるわけではありません。

ただ、現時点では、認定基準が明らかではないので、そういった疑問が出るのは致し方ないと思います。

(その2)
「事業者が自らが作った基準を判断基準にするから、「法令遵守」の基準について事業者ごとにバラツキがでてしまうのではないか?」

 パブリックコメントに寄せられた意見(公益社団法人全国消費生活相談員協会等)に次のようなものがありました。

②事業者が定めた基準の遵守状況が適合しないときは、関連契約を解除とありますが、事業者が定めるべき基準については、事業者により違いが生じないよう一定の基準を示していただきたい。 携帯電話・スマートフォン等の店舗販売については、抱き合わせによる無理な販売や高齢者等に必要のないセット販売が行われる等の問題があります。これらは適合性の原則を遵守することで解決できると思われますので、遵守すべき基準に含めていただきたい。

 これに対する「総務省の考え方」は、

②の御指摘については、別途告示又は審査基準により定めることとなるため、今後の参考として承ります。

とされています。

少し期待してしまうのは、認定・審査の基準作成にあたって、適合性原則(規則22条の2の3第4項)に違反する具体的で細目的な要素を示した基準ができるのかな?という点です。
適合性原則は、個別的・具体的事案ごとに判断される性格のものですから、具体的であれば使いやすいかと言われると、必ずしもそうではないでしょう。
むしろ「関連契約」など、解除の効果の及ぶ範囲や内容に関しては、具体的で明確である(そしてわかりやすい)ものをクリアしなければ、認定されないという仕組みが望ましいと思います。

ただ、現時点では、認定基準が明らかではないので、それを待つほかありません。

(3)解除の効力


①対象=「関連契約」(総務大臣に申請して認定を受け告示されたもの)

 (規則22条の2の7第1項5号ロ・ハ、告示案第2項、ガイドライン案61頁

 ア)確認措置契約(電気通信役務提供の契約)

 イ)ア)の締結に付随して締結(媒介等)した有償継続役務の契約
 ウ)ア)の役務提供に付随して締結された契約で、告示されたもの

【2.23追記】

告示案第2項
① 施行規則第22条の2の7第1項第5号に規定する確認措置契約の締結に付随して、電気通信事業者又は当該締結の媒介等をした媒介等業務受託者により締結された移動端末設備(当該確認措置契約を締結した利用者のものに限る。)に係る売買契約(割賦販売(割賦販売法(昭和三十六年法律第五百九号)第二条第一項に規定するものをいう。)の方法により販売する契約及び個別信用購入あつせん関係販売契約(同法第三十五条の三の五第一項に規定するものをいう。)を含む。)であって、次のいずれかの要件を満たすもの。
イ 当該移動端末設備が当該確認措置契約に係る電気通信役務の提供に用いられる端末系伝送路設備の一端に接続されること。
ロ 当該売買契約の締結が当該電気通信役務に関する料金その他の提供条件と関連すること。

② 前号の売買契約の締結に伴い締結される個別信用購入あつせん関係受領契約(割賦販売法第三十五条の三の三に規定するものをいう。)その他の契約の代金に相当する額の支払に関す契約

③ 当該確認措置契約又は前二号の契約のいずれかの解除に伴いその提供が中止される有償継続役務に関する契約であって、当該確認措置契約の締結に付随して電気通信事業者が締結又はその媒介等をしたもの

1号と2号は、端末の売買契約とその代金の支払に関する契約(割賦販売、個別クレジット契約)のことです。


②金銭支払債務(総務大臣に申請して認定を受け告示されたもの)

⇒ 「通信サービス利用料」+「付随有償継続役務」
   <a> 「工事費用」は支払不要
   <b> 「事務手数料」も支払不要

  ※「端末」の扱い
   <a> 返還義務
    関連契約としての端末の貸借契約または売買契約の契約解除により利用者には当該端末を返品する義務が通常生じる。
   <b> 価格相当額の弁償
    返品しなかった場合は、事業者は端末の販売価格に相当する額を請求することができる。

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