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2016年2月14日日曜日

食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会

食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会

平成27年12月4日に第1回が開催されていますが、スケジュール案をみると、全部で9回くらい開催し、今年の秋に報告書をまとめる予定とのことです。

既に2回開催されて、第1回の議事録、第2回の議事録が公開されています。

第2回の件には、ツイッター上に、こんなコメントもありました。




(1)懇談会の目的

その開催要領に記載があります。
食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会開催要領

第1 趣旨
 容器包装入りの食品については、平成27年4月1日に食品表示法(平成25年法律第70号)が施行され、表示内容の量・質ともにこれまで以上に充実した食品表示制度が始まったところであるが、購入時に食品自体が遠隔地にある場合、消費者は当該食品を手に取って、その表示を確認することができない。
 しかし、食品表示法は、その目的である食品を摂取する際の安全性の確保及び一般消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保を実現するための施策として食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)を定めて食品関連事業者等に表示義務を課しているため、その趣旨を踏まえれば、食品に表示されている情報が購入時に消費者に提供されることが望ましい。このような、購入時に食品自体が遠隔地にある業態の中で、インターネット販売は、近年急成長してきた業態であり、今後も成長が見込まれる。
 そこで、これらを踏まえ、インターネット販売における情報提供の促進を図っていく観点から、消費者庁において「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」(以下「懇談会」という。)を開催し、消費者に必要な情報の内容及びその提供方法並びに事業者にとって実行可能性のある情報提供の促進のための方策について、幅広く検討することとする。
委員が発言して紹介していますが、もともとは「食品表示一元化検討会」の報告書に基づいています。
食品表示一元化検討会情報(消費者庁)
  「食品表示一元化検討会報告書(平成24年8月9日)

この報告書には次の記載があります(15頁以下)。
3 新たな食品表示制度における適用範囲の考え方
(2)インターネット販売等の取扱い

 食品表示の観点から見れば、インターネットにより販売される食品については、その商品自体にはJAS法等に基づき表示が行われているものの、画面上で同様の表示が行われているわけでは必ずしもない。
(中略)
 インターネット販売における食品の情報提供の在り方については、専門的な検討の場を別途設け、消費者のニーズを踏まえつつ、専門家を交えて検討を重ねることが必要である。
また、第1回懇談会の配付資料【資料2】では「ネットショッピングの支出額に占める食品の支出額の割合」が高いことが示されています。
その数字の参照元が、「家計消費状況調査」(総務省統計局)となっていましたので、参照してみると、ネットショッピングだけでなく、その内訳の調査も開始したとありました。
※ 2015年(平成27年)1月以降の結果を見る際の注意点
 家計消費状況調査では、2014年(平成26年)12月までは「インターネットを利用して購入した財(商品)・サービスの支出総額」を調査していましたが、ネットショッピングによる消費をより詳しく把握するために、2015年(平成27年)1月から、内訳となる22区分の財(商品)・サービスについても調査を開始したところです。
ちなみに、12月の数値をみると、時節柄「贈答品」の比率が高くなっていますね。


(2)懇談会の検討項目

開催要領では淡泊な項目でしたが、第1回の議事録には、その意味するところが記されていました。
 続きまして、第2の検討項目でございます。
 まず、インターネット販売を利用する際に、消費者の方たちがどのような情報を求めているか、必要な情報の内容を検討いただきたいと思っております。
 それから、どのように情報提供いただけば必要な情報が他の情報に埋もれずに消費者の方たちに分かりやすく届くのかという必要な情報についての提供の方法を御議論いただきたいと思っております。
 さらに、情報提供を事業者の方々に進めていただくための方策について御検討いただきたいと思っております。
 この3本柱で議論を進めていただきたいと考えているところでございます。
※赤い色は私が付しました。


(3)懇談会の検討対象・枠組み・進め方

はっきりと打ち出されています(議事録9頁)。
 ただ、本懇談会では、この広告規制の枠組みの中でいかにして食品ラベルに表示された情報を提供いただくかというところを議論していただきたいと考えており、現在の広告規制の枠組みを変えるといった議論をするということではございませんので、この点を御留意いただきたいと思います。
ここは誤解せずに、今後の議論をみていきたいと思います。


(4)その他

第1回の議事録をみていると、各委員からの一言というか、問題意識の開示があって、この分野を考える上で、おそらく先鋭的な対立にはならない大事な点であると同時に、かといって、きれいに解決する「落着点」のなさ、難しさを示していると思いました。

例えば、情報の量。
(13頁・百貨店)
インターネットの特徴としましては、情報量の掲載の制約につきましては際限がございませんが、一方で、受け取る側は際限のない情報を全て受け取るのかということについては、先ほど来、各委員の方、皆さんがおっしゃっていたとおりかと認識をしております。 つまり、載せておけばいいのか、それとも見ていただくためにどうするのかということの両面のバランスをとっていくことが必要かと考えております。
そして、情報の優先順位(重要性の大小、強弱)と見せ方
(11頁・モール)
今回の検討項目で、必要な情報とか、その方法というものがありますけれども、必要なのか、重要なのかというところも結構大きな違いでして、必要、必ずなければいけないというのであれば、インターネットに限らずいろいろな販売方法でそれは見せなければいけないだろうし、重要というのであれば、やはりその重要度が高いものを優先的に見せていく工夫が必要であろうと思いますので、そこの情報の重みといったところも慎重に考えていく必要があると思っています。
(12頁・モール)
知りたいことであったりとか、必要であることを知ることは当然必要であると思っておりますので、それらのさまざまにあるような消費者の皆様のニーズについて、いかにバランスをとって、どう優先順位をつけて、どう満たしていくのかということについて、本懇談会の諸先生方の御意見を伺いながら、私も考えていきたいと思っております。
情報量と優先順位の必要性
(15頁・生協)
 先ほども委員の方からありましたけれども、有用な情報だからといって、何でもぐっしゃり表示されていても、それを丁寧に一つ一つ全部見ろと言われても、なかなか消費者としては厳しい部分がございますので、そういう意味では、必要なもの、重要なものから整理されて表示されることもまた重要かと思っています。
情報を受け取る側の事情
(17頁・学者)
 例えば、パッケージとか今回のインターネット販売における情報ということで考えますと、ポジティブな効果としては、販売促進、これを狙っているだろうと思いますが、ネガティブな効果としては、例えば、何度も買っているものだからということで、余り情報処理しなくなる、情報に対して飽きてしまう、広告分野ではウェアアウトと言うのですが、こんな現象もあるだろうと思っています。
受け取る側の多様性
(14頁・委員)
若年層から高齢者まで、さまざまな年代が利用していくときに、その利用のしやすさと 表示、広告のありようをきちんと考えていくべきではないかと思っております。

どれも重要な点で、決して無視はできないのですが、落としどころとなると、見つからないのが実情でしょう。特に、表示を求める側が「飽きてしまう」ことで、表示がみられていないけど文句は出ない=表示に工夫が施されなくなるという感じがします。

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