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2016年2月6日土曜日

サーバー型プリペイドカード(ID詐取等)の問題

1.電子マネーの詐取、プリカ詐欺

(1)国民生活センターが紹介するプリカ詐欺の事例

[2015年4月15日:公表]
プリカ詐欺に注意!



(2)警察庁の発表資料

特殊詐欺
 平成27年度の認知・検挙件数が警察庁から発表されて、報道でも取り上げられています。
これを伝えるニュースの「見出し」をみると、この統計の「数字」の紹介の仕方に結構な違いが出ている感じです。
たとえば「特殊詐欺全体」の「特殊詐欺の認知状況」でも、次の数字を取り上げるニュースサイト(ツイート)の表現は分かれていました。
整理してみると、こんな感じでしょうか。

(増加)とした部分
認知件数 436件  +3.3%
大阪、岡山、福岡 認知件数
被害額


(減少)とした部分
被害額 総額476.8億円  ▲88.7億円
既遂1件あたりの被害額 273.4万円 ▲81万円
首都圏1都3県 認知件数
被害額



電子マネーのID詐取
 このほか「電子マネーで支払わせる手口への対策」で示された数字も特徴的でした。

警察庁の公表資料では
「有料サイト利用料金等名目の架空請求詐欺等において、コンビニエンスストア等で電子マネー(プリペイドカード)を購入させ、そのIDを教えるよう要求して、カ ードの額面分の金額(利用権)をだまし取る手口」
とされています。

平成26年上半期 平成27年下半期
認知件数 11件 550件
被害額 6600万円 38億9700万円

認知件数、被害額とも、わずか2年の間における跳ね上がり方がすごいです。


2.消費者委員会の建議


★「電子マネーに関する消費者問題についての建議
2015年8月18日
消費者委員会

★「電子マネーに関する消費者問題についての調査報告」2015年8月18日
消費者委員会

※ 電子マネー契約の法的な性質
 上記「調査報告」10頁にて、現在係属中の訴訟における当事者の主張とともに少し紹介されている。

 法的性質についてウェブ上で読める他の資料は下記のものがあった。

(1)「電子マネーの将来とその法的基盤」杉浦 宣彦・片岡 義広(PDF
   金融庁金融研究センター
   「15年度ディスカッションペーパー
   2003年8月28日
  
  この「2-2-4. 前払式証票及び電子マネーの法的性質等」(22頁)にて詳しく紹介されている。

(2)民法(債権関係)の改正に関する論点の検討(12)
   民法(債権関係)部会資料 40
    三面更改について触れている(12頁以下に紹介がある。)。

  ●法制審議会民法(債権関係)部会第48回会議(平成24年6月5日開催)
    上記部会資料40に基づき審議された。


3.金融庁

金融庁 金融審議会

(1)決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ

ア)討議資料(4)(「仮想通貨」に関する論点
イ)討議資料(5)(リテール分野の決済を巡る論点)

●平成27年12月22日 金融庁
 金融審議会「決済業務等の高度化に関するワーキング・グループ」報告の公表について

【追記】
 この報告そのものについては、増島雅和弁護士による解説が始まっている。
よく分かる決済WG報告書(1)


上記の報告には、サーバ型プリペイドカードに関して、「消費者被害」との関係に触れた、下記の記載がある。
第2章 リテール分野 - 金融・IT 融合に対応した決済サービスのイノベーション
4.IT の進展等を踏まえた現行制度の見直し
(1)プリペイドカード関係
 (ホ)サーバ型プリペイドカード発行者の加盟店管理義務等

 本問題については、割賦販売法の見直しの動きも踏まえつつ、消費者被害の実 効的な防止・解決策を講じるとの要請に的確に応えていく必要があるものと考え られる。同時に、イノベーションを徒に阻害しないとの要請にも十分留意してい くことが適切である。

(2)決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ

上記(1)に先だって行われた検討(上記消費者委員会の建議を踏まえている。)は下記

●平成27年4月28日 金融庁
 金融審議会「決済業務等の高度化に関するスタディ・グループ」中間整理の公表について
第7章 法制面に関する課題

法制度のあり方は、それぞれの国・地域の経済状況等を踏まえて考える必要があるが、決済を取り巻く環境が変化する中、我が国においても、以下のような観点に立っての検討が必要と考えられる。

・IT分野の技術革新等の成果を取り込み、決済サービスの高度化を進めるとの要請に応えていくためには、ノンバンク・プレーヤーも含めた多様な主体の事業展開を促していくことは重要な課題である。他方、各種サービスのリスクに応じた適切なルールのあり方を検討することも重要である。

(中略)

・また、銀行その他の業者と利用者等を取り次ぐ窓口機能を提供するサービスや決済に関する情報処理サービスなどが登場しているが、こうした中間的業者にトラブルが生じ、利用者保護上の問題につながることもありうることから、利用者保護上のリスクに応じた適切なルールのあり方を検討することも重要な課題となっている。

(中略)

また、これまで記述した論点に加えて、本スタディ・グループ審議の過程においては、資金決済法に関連して、各種サービスに対する適用関係や資金移動業者の送金限度額、プリペイドカード発行業者の表示義務、供託負担及び事業譲渡手続等、その他 CMS に関連した法制面の適用関係等についても問題提起があった。

第7回 平成26年12月8日(月)の議事録は、参考になる記載が多々あった。 

第9回 平成27年1月21日(水)の議事録は、消費者保護に関する金融庁及び各業界団体の取り組みについての回答と自由討議となっている。

日本代理収納サービス協会の二重払い、不正請求の防止に関わる取り組みなどが報告されている。



【注】
産業構造審議会 商務流通情報分科会 割賦販売小委員会‐報告書
平成27年7月3日
報告書 ~クレジットカード取引システムの健全な発展を通じた消費者利益の向上に向けて~


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