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2017年6月23日金曜日

消費者保護ルールの実施状況に関する資料

各社が報じていますが、産経ニュースのツイートから。
報じられている会合と資料は、下記のもので、公表されています。

総務省
消費者保護ルール実施状況のモニタリング定期会合(第3回)

報じられている問題は、「消費者保護ルールの実施状況に関する定期調査及び苦情等傾向分析の実施方法」(平成28年10月21日)に基づく調査の結果で、上記会合の配付資料公開されています。

★資料3-6 実地調査(覆面調査・利用者アンケート)の主な結果(事務局)

「覆面調査結果の分布について」(28ページ)には
全体としてみれば、特定の事業者又は代理店に良い結果又は悪い結果が偏在していることはない。
とありますが、当該ページの下部は「構成員限り」として非公開になっています。
また、ごく一部にしか問題がないという意味ではない、特定の事業者などに偏在しているのではなく全体に問題が存在していることには注意が必要でしょう。
期間拘束、費用、解約、追加端末等々細かく分けられた項目ごとにみていくと「説明が十分になされてない」との報告がほぼ全ての項目にあてはまっています(例外は「適切な通信容量の料金プランの紹介」(20ページ)くらいでしょうか)。

他方で、説明が増えると手続を含めた全体の所要時間も要しますが、その点に関しては「所要時間の状況」(25ページ以下)で記載されています。
全体として30分から90分の間に収まっているようですが、利用者アンケートでは「とても長かった又は長かったという回答が44%」とあります。

こうしたバランスをうまくとることの難しさが示されています。

★資料3-7 「確認措置の運用状況に関する検証結果について」(事務局)

資料3-7では、ドコモにつき確認措置の運用状況に関して次の点が指摘されています。
(1) 新規契約のうち確認措置適用の申出が利用者からあった比率でみると、(株)NTTドコモのみ、他2社の1/100~1/60程度。
(2) 申出を受けてどの程度が実際に契約解除に至ったかの比率(解約比率)でみると、(株)NTTドコモの解約比率が他2社の半分以下。 (他2社は申出の大半が契約解除に至っている)。
(3) 契約初期に契約解除を要望する苦情等は他2社に限らず同社についても一定比率(他2社より高い比率)で生じているにもかかわらず、 同社が確認措置により契約解除に応じた数が、著しく少ない(他2社に比べても著しく少ない)。
ドコモだけ少ないという点を踏まえて同社から確認したところ下記の2点を確認、「抜本的な改善が必要」と厳しい指摘がなされています。
① 8日間以内に、帳票(契約書面)に記載された確認措置の記載に基づき申し出る旨利用者から表明があった場合に、確認措置の申出として把握。 (単に説明不足等を理由に解約したいと申し出た場合は、確認措置の申出としては取り扱っていない。)
    (中略)
② 確認措置の申出として受け付けても解約に応じない場合があるが、その判断は本社で策定した基準に基づき店舗で行っており、 クレームになった場合は、本社で事実確認の上、解約を判断。
報道で大きく取り上げられているのは2番目の点ですね。。。

ちなみに、資料3-8 平成28年度消費者保護ルール実施状況のモニタリング(評価・総括)(案)(事務局)をみていると、「優良な点」も紹介されています。

説明をめぐる問題を解消する簡単な決め手はないだけに、どういう施策がとられ、また、効果をあげ、あるいは効果が期待できるのか、それを検証し参考にしていくことも重要です。
資料にあるように苦情の絶対数は高い水準にある以上、問題をどう改善・解消していくかの知恵を共有することは大事です。

「優良な事例」としてMNOの運用面で下記が掲げられています。
・動画による事前説明(NTTドコモ)、
・簡易な帳票の交付(ソフトバンク)、
・販売員に対する毎日のテスト(ソフトバンク)
また、MNOに関する覆面調査では、説明が分かりやすかった、応対態度に好感が持てた等の肯定的なコメント(調査員の自由記述)が付された例が4~5割、利用者アンケートでも応対態度がとても親切又は親切だったという回答が約半数(あまり親切ではない/不親切合計で約1割) という紹介もあります。

FTTHの運用面では下記が掲げられています。
・利用者との対応における特記事項について履歴を残し、再度の対応においては、当該履歴を基に個々の利用者に合わせた対応を実施。(NTTコミュニケーションズ)
・代理店が電話勧誘を行うにあたり、まず電話で利用者の関心度合いを見た上で、関心を持った利用者に対し説明書面を郵送して(又はダウンロードさせて)、日をおいて、再度、説明書面を手元に置いた状態で電話説明を行う。(昨年11月より 開始)(Hi-Bit)
FTTHの販売現場での説明・応対の実態に関する覆面調査では、MNOと同じような結果が出ています。
しかし、従前から課題の多かった電話勧誘・訪問販売での契約者に絞ると、「あまり分かりやすくない説明だった又は分かりにくい説明だったという回答の比率が とても分かりやすい説明だった又は分かりやすい説明だったという回答の比率を上回っており、こうした販売形態については、良好な印象を得ているとは必ずしも評価できない部分がある。」との指摘があります。


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