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2017年6月27日火曜日

携帯電話不正利用防止法に基づく是正命令

いろいろ報じられていますが、元が共同通信のようなので、共同通信のツイートから。
 見出しとしては「代理店も」入れている毎日新聞のツイートが正確な感じを受けます。。
1.
携帯電話不正利用防止法(正式名称:携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律)に違反する事実があったとして、是正命令がされたというものです。

この法律の概要や簡単な解説は、総務省の「電気通信消費者情報コーナー」内にある「携帯電話の犯罪利用の防止」に資料等とともに掲載されています。

さて、総務省の報道資料には平成29年6月27日付けで、2つありました。
事業者のみ、代理店+事業者、の各1です。
対象期間や対象行為の数も異なり別のものですが、いずれも代理人による契約における。

(1)ソフトバンク株式会社による携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令(平成29年6月27日)

携帯電話不正利用防止法第3条第2項の規定に違反した事実が認められたとして、同法15条1項にもとづく是正を命じたもの。
これは事業者自身の本人確認義務違反ですね。

携帯電話不正利用防止法
第3条2項
  携帯音声通信事業者は、相手方の本人確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために役務提供契約を締結するときその他の当該携帯音声通信事業者との間で現に役務提供契約の締結の任に当たっている自然人が当該相手方と異なるとき(次項に規定する場合を除く。)は、当該相手方の本人確認に加え、当該役務提供契約の締結の任に当たっている自然人(第四項及び第十一条第一号において「代表者等」という。)についても、本人確認を行わなければならない。
第15条1項
  総務大臣は、携帯音声通信事業者が、その業務に関して第3条第1項、同条第2項若しくは第3項(第5条第2項においてこれらの規定を準用する場合を含む。)、第4条第1項(第5条第2項並びに第6条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)若しくは第2項(第5条第2項及び第6条第4項において準用する場合を含む。)、第5条第1項、第7条第2項又は第12条の規定に違反していると認めるときは、当該携帯音声通信事業者に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(2)株式会社ラネットによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(平成29年6月27日)

携帯電話不正利用防止法第6条第3項において読み替えて準用する法第3条第2項の規定に違反した事実が認められたとして、同法第15条第2項の規定にもとづく是正を命じたもの。
同時に、「同社の代理店において法令違反が発生したことに鑑み、媒介業者等に対する監督を徹底するよう指導しました。」とのこと。
携帯電話不正利用防止法
第6条3項
 第3条及び第4条第1項の規定は、第1項の規定により媒介業者等が本人確認を行う場合について準用する。この場合において、第3条中「携帯音声通信事業者」とあるのは「媒介業者等」と、第4条第1項中「本人確認を行ったとき」とあるのは「第6条第1項の規定により媒介業者等が本人確認を行ったとき」と読み替えるものとする。
第15条2項
 総務大臣は、媒介業者等が、その業務に関して第6条第3項において準用する第3条第1項から第3項までの規定又は第6条第4項において準用する第3条第2項若しくは第3項若しくは第5条第1項の規定に違反していると認めるときは、当該媒介業者等に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第12条
 携帯音声通信事業者は、第6条第1項の規定により本人確認又は譲渡時本人確認を媒介業者等に行わせることとした場合には、当該本人確認又は当該譲渡時本人確認が確実に行われるよう、総務省令で定めるところにより、当該媒介業者等に対し必要かつ適切な監督を行わなければならない。

会社名義での契約の場合、代理人による契約の場合、現に契約の締結手続を担っている自然人の本人確認を怠ると、「本人確認」の抜け道を大きく開くこととなってしまい、同法が目指す「携帯電話の不正な利用の防止」は全く実現しなくなります。
代理店の活動にマイナス評価をすべき事象があったときに、事業者が「代理店のことは知らない」で通ってしまうならが、代理店の問題行為は是正されません。
しかし、監督官庁が代理店の全てを直接監督することは非現実的です。
代理店の活動により事業者は契約獲得などの利益を得ているのですから、利益を受ける事業者に監督義務を負わせて代理店の適正な活動へ導くことが必要です。
実際のところ、代理店に対する関与は事業者自身も行っているものであり、昨年施行された電気通信事業法でもみられるところです。

ちなみに、ラネットは、ドコモの契約に関して、契約締結等の業務を再委託していたラネットコミュニケーションズにおいて本人確認義務違反(3条1項違反)があったとして、指導を受けています(ラネットコミュニケーションズに対しては是正命令)。次項参照。
ラネットは同社の会社概要によると、ビックカメラが100%株主とのことですが、こうした大手の量販店は多数の来客があり契約窓口として重要な役割を果たしているので、本人確認義務を果たすことは、その地位と役割からも当然に求められるでしょう。

2.直近の事例

総務省のサイトで「携帯電話不正利用防止法違反」「携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令」というキーワードで検索して、昨年の改正電気通信事業法施行後のリリースを調べてみると、次のようなものが表示されました。

(1)平成29年3月23日
アイ・ティ-・エックス株式会社による携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等
(2)平成29年6月6日
(3)平成28年10月21日
株式会社ピーアップによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(ドコモ)
(4)平成28年10月21日(東北総合通信局)
(5)平成28年10月21日(近畿総合通信局)
株式会社オオサワによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(ドコモ)
(9)平成28年6月10日
株式会社ジェイズによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等(KDDI)
(10)平成28年5月27日(東海総合通信局)
株式会社エディオンコミュニケーションズによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令(ドコモ)
(11)平成28年5月27日(九州総合通信局)
(12)平成28年5月27日(近畿総合通信局)
株式会社関西情報サービスによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等について(ドコモ)
(13)平成28年5月27日(近畿総合通信局)
株式会社カナデンテレシスによる携帯電話不正利用防止法違反に係る是正命令等について(ドコモ)

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