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2017年6月10日土曜日

H29消費者白書(第3章【特集】若者の消費)

2016年の消費者白書が公表され、ニュースでも報じられています。
消費者庁のツイートにもあるように「第3章」で「若者の消費」が取り上げられています。この特集をみてみました。
第1節 若者の消費行動」に書かれていた消費支出の推移や傾向に関しては、これまでも指摘されてきた内容と重複することが多いですが、いろいろな調査を踏まえた記載になっているので、それらをまとめたものとして読むには便利だと感じました。

第2節 若者の消費者トラブル」が本体部分で、若者の相談件数が減少しているという統計上の数字の要因について触れている部分(147ページ以下)で、消費者庁「消費生活に関する意識調査」(2016年度)から、
①トラブルに遭ったとし ても、他の年齢層に比べ、若者にとっては消費生活センター等への相談が解決の選択肢となっていないこと
②商品の購入やサービス利用でトラブルに遭った際、最初にとる行動として「インターネットを検索して参考になる情報を探す」と回答した割合が10歳代後半では70.0%、20歳代前半では63.2%(全体平均では49.0%)となっていること
が挙げられています。

これは別の意味で考えさせられます。
ネット上に氾濫する情報のうち、正しい情報(機関等の紹介も含む)にアクセスできているのか、適切な選択肢を選んで解決に至っているのかは、全世代で既に問題になっています(97ページ)。
検証が必要があるでしょう(法律相談を受けた時に「ネットには●●と書いてあった」と言われることが珍しくないですが、「●●」がそもそも間違っていることも同じ程度ある。)。
実際に、白書でも、ネット検索してトラブル解決をうたう探偵業者等へ慌てて連絡してしまった相談が他の年齢層より比較的多いこと、サイト検索で画面の上位に表示された内容をう呑みにしてしまう傾向が強いこともうかがわれること、が指摘されています(161ページ)。
探偵への依頼を巡るトラブルは二次被害なので、情報にたどりつくための方策が重要です。


また、未成年と成年の境界面つまり成人直後の世代にトラブルが多いという統計と分析は「成人年齢の引き下げ」の議論(消費者保護、未成年取消権等)を考える上で、大変重要で見過ごせないことだと思います。

白書では「自分自身で判断して契約や購入する機会が 増えることに比例して、件数が増加している傾向」があるとして、次の指摘がされています(149ページ)。
①「店舗購入」に関する相談で成年と未成年とでは相談件数に大きな差がある
②成人直後に当たる20歳代前半は前後の年齢層と比べ、 キャッチセールス等の「訪問販売」や、「マルチ取引」に関する相談が多い
③ネット通販に関する相談は、10歳代後半は約9,500件(58.4%)、20歳代前半は約1.3万件(32.7%) と最も多くなっている


SNSでの広告をきっかけにお試し購入したら定期購入になっていた点も紹介されています。
定期購入は、若者特集ではないところでも「最近注目される消費者問題」として取り上げられています(48ページ以下)。

国民生活センターが平成28年6月にも報道発表していた問題です。


白書49ページに掲載されている棒グラフが、ここ1~2年での定期購入トラブルの急激な増加を示しています。




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