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2006年3月29日水曜日

菅谷明子「未来をつくる図書館」

梅田望夫「ウェブ進化論」(ちくま新書)が巷で話題になっています。
何かを検索している際にたまたま訪れた梅田氏のブログで読んだ
インターネットの普及がもたらした学習の高速道路と大渋滞
という記事にあった将棋の羽生善治氏の「高速道路」の話に興味を惹かれて、その後時々ブログをみていたので、この本のことも知り、読んでみました。

これまで漠然と感じていたり、わからなかったことに触れられていて、いろいろ参考になることがありました。
「人はネットの世界に住まなくたって、これまで通りのやり方で生きていける。
そう思う人たちがマイノリティになる時代はそう簡単にはやってこない。」(26頁)という記述は、
ネットを良く使う人と使わない人の間で話が噛み合わない理由を端的に示すものでした。

※同書の書評として小飼弾さんの「ウェブ善悪論 - 書評 - ウェブ進化論


ところで、「ウェブ進化論」を読んでいて、「世界中の情報を整理し尽くす」というグーグルの構想(49頁)や「ヤフーとグーグルの競争の背景には、サービスにおける『人間の介在』の意義を巡る発想の違いがある」(96頁)の指摘などがきっかけになって、ふと手元にあるがまだ読んでいなかった本が読みたくなりました。

それは菅谷明子未来をつくる図書館 ―― ニューヨークからの報告 ――」(岩波新書)です。
この本はニューヨーク公共図書館(The New York PublicLibrary)の紹介をとおして、図書館の役割や存在意義について書かれたものです。

以前読もうとして途中で挫折していたのですが、今回は一気に読了しました。

紹介されているニューヨーク公共図書館の社会・経済・地域・芸術などに果たしている役割や機能は凄いと思いましたし、日本の典型的な図書館しかイメージしていなかった頭には大きな刺激になりました。

科学産業ビジネス図書館(SIBL)、舞台芸術図書館などの資料の豊富さと司書をはじめとするスタッフの充実ぶりの紹介は驚きでした。

また、「図書館運営の舞台裏」という章で紹介されている図書館の運営や財源及びその確保方法といった点についても詳細に紹介されています。
財源などの問題は図書館に限らずどんな活動にもついてまわりますが、こういった点の専門家の必要性も改めて認識しました。

同時に、司書など専門スタッフの高い質と確保の重要性の指摘など「人間の介在」の意義について、例えば図書館領域でも上記YとGの両者の考え方はどちらも成り立ちうるし、ただどちらが良いのかは、まだ考えを尽くす余地があるなとも感じました。

※ ちなみに、ニューヨーク公共図書館(The New
York Public Library)のサイトで、日本の言葉で検索したら、結構ヒットしました。


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