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2008年11月12日水曜日

グラウンド外のレフェリー(ラグビー)

10月30日付け朝日新聞朝刊スポーツ面に「グラウンド外のレフェリー」という署名記事がありました。
それはラグビーにおける出場停止などの処分を決める組織と手順に関する記事です。その中に次のような行があります。

「グラウンド外のレフェリー」と呼ばれるサイティング・コミッショナーとジュディシャル・オフィサー。前者はレフェリー経験者らが担い、試合全体を映像で一から再検証。悪質なものを洗い出して選手らに事情聴取する。報告を受けて処分内容を決めるものが後者。こちらはラグビーに詳しい法律関係者が多い。「初犯」か「常習犯」かといった部分まで精査は及ぶ。


JRFU(日本ラグビーフットボール協会)のサイトにある「IRB競技に関する規定」をみてみると、そこには
17.7.1(v)規律委員会の委員長またはジュディシャル・オフィサーは、少なくとも7年間、法律実務家として高い地位に就いていた者または現役もしくは退役裁判官であるものとし、ラグビーの規律に関する手続きの経験を有する者が望ましい。規律委員会の残りの2名の委員は、ホスト協会が任命するものとし、そのうち1名は著名な元選手とし、他の1名はラグビーの運営において優れていた者または法律家としての資格を有する者とし、ラグビーの規律に関する手続きの経験を有する者が望ましい。
とあります。

※赤字は私が付したものです。


つい先日、このジュディシャル・オフィサーを、知り合いの弁護士が務めていることを知りました。
彼は高校時代に花園に出場し(ただし予選でケガをして本大会には出られなかったと聞いたことがあります)、記憶に間違いがなければ、有名な強豪に抽選負けした世代だったはずです。
彼が話していたのは、IRBの講習会を受けたこと、原則として24時間以内に判断を下さなければならないこと、まだまだ人数が少ないこと、ワールドカップの日本開催に向けて頑張っていること、でした。

その話を聞いた時に「24時間以内の判断は大変だな」と思ったので、改めてJRFUのサイトにある「IRB競技に関する規定」をみると、
17.8.11退場を伴う事件については、実務上可能な限り、プレーヤーが退場を命ぜられた試合終了後24時間以内に判定を下すものとする。
とありました。

法律専門家が関わるとはいえ、かなり大変だ、でも適時の解決という意味では重要だな、と感じました。

ところで、ドーピングの項をみていると、
21.21 アンチ・ドーピング規定違反を扱う規律委員会(Judicial Committeees Dealing with Anti-Doping Rule Violations)
アンチ・ドーピング規定に基づいた制裁措置を含む判例を検討する規律委員会は、通常以下の3人のメンバーで構成されるものとする:
a) 経験豊富な法律実務家で委員長を務める者;
b) スポーツにおけるドーピング及びアンチ・ドーピング規定に詳しい著名な医療実務家;及び
c) 上記の(a)あるいは(b)のカテゴリーに含まれる者あるいは適切な経験と知識を有するラグビー・フットボールの元プレーヤー又は役員
その他、かなり司法手続についての規定が整備されていました。

これを思うと、昨年、ある人気スポーツで起きた選手に対する制裁措置とその取消手続の過程を振りかえると、制裁を加えた側の対応は大変おそまつなもので、制裁を下した組織の人選にも公正さを欠いていた印象は否めません。

参考記事(サポティスタ内)

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