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2013年7月8日月曜日

子ども、親とネットなどなど

最近目に留まったものを思いつくまま五月雨式にメモ。。。。


1.未成年者のネット利用と法律に関する最近の話題

(1)未成年者の選挙運動

今年の公選法改正により、ネットを通じた選挙運動が7月の参院選から解禁されますが、未成年者が選挙運動をすることは解禁されていません。
このことは、既に関係各所が大きく告知しているところです。
公職選挙法では(禁止)+(違反に対する刑罰)が定められ、次のようになっています。
(未成年者の選挙運動の禁止)
第137条の2
1 年齢満二十年未満の者は、選挙運動をすることができない。
2 何人も、年齢満二十年未満の者を使用して選挙運動をすることができない。但し、選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない。

(事前運動、教育者の地位利用、戸別訪問等の制限違反)
第239条
 次の各号の一に該当する者は、一年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
一  第129条、第137条、第137条の2又は第137条の3の規定に違反して選挙運動をした者
(2)未成年者の「詐術」(民法21条)

 下記でも触れられていますが、未成年者がサービス利用した際に、生年月日や年齢を成人となるようにして入力した場合に「詐術」といえるか、事業者は取消を拒否できるのか、は悩ましい問題です。
 私見ですが、生年月日や年齢を成人となるように入力することは、ある意味で仕方ないことのように思います。そうしないと使えないとわかっているのですから、それでも使いたいという欲望に勝てというのは無理がありそうな気がします。
 準則も、なんだかとっても迷ったような表現になっていますね。

  ●電子商取引及び情報財取引等に関する準則Ⅰ-4
・・・事業者が電子商取引の際に画面上で、申込者の生年月日(または年齢)を入力させるようにしているのに、未成年者が虚偽の生年月日(または年齢)を入力し、その結果、事業者が相手方を成年者と誤信した場合などは、当該未成年者は取消権を失う可能性もあると解される。
 もっとも、詐術を用いたと認められるか否かは、卖に未成年者が成年を装って生年月日(または年齢)を入力したことにより判断されるものではなく、事業者が故意にかかる回答を誘導したのではないかなど、最終的には取引の内容、商品の性質や事業者の設定する画面構成等個別の事情を考慮して、判断されるものと解される。
この点は、田島編「インターネット新時代の法律実務Q&A」の「第9章 子どもとネット」が手短にまとまっていて、親名義のクレジットカード利用と併せて読むと、わかりやすいです。 

(3)オンラインゲームにおける高額課金

 去年話題になったガチャ、コンプガチャ関係でのまとめです。

  ①消費者庁
   ●インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A
   ●オンラインゲームの「コンプガチャ」と景品表示法の景品規制について (H24.5.18.)

  ②一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)
   ●「オンラインゲーム安心安全宣言
   ●「オンラインゲームガイドライン
    
  ③一般社団法人ソーシャルゲーム協会(JASGA)
   ●コンプリートガチャ トガチャ トガチャ トガチャ等に関するガイドライン
   ●ゲーム内表示等に関するガイドライン
   ●リアルマネートレード対策ガイドライン

(4)フィルタリングサービス

 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律第2条10項で「フィルタリングサービス」の定義があります。

 また、同法では「成年」とは異なる「青少年」が定義されています。
第2条 この法律において「青少年」とは十八歳に満たない者をいう。
携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、契約の相手方が青少年であるときに、フィルタリングサービスの提供が義務づけられ、同サービスの利用を条件として役務提供しなければならないとされています(第17条)。

しかしながら、スマートフォンの場合、Wi-Fi接続ができ、Wi-Fi接続の場合、この17条の適用対象外となります。
自宅の無線LANや公衆無線LANで接続する場合は、対象外となるわけです。
また、パソコンでの接続はもちろん、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤー、タブレット(3G機能なし)、を使用したインターネットに接続も、「携帯電話インターネット接続役務」には該当しないので、フィルタリングの利用を条件とせず契約できることになります。

この場合の適用は18条になり、「求められたときは・・・を提供しなければならない。」という形態になり、提供が義務づけられるわけではなくなります。

ということで、親としては、契約時に、こういった点につきショップなどで説明を求め、ある程度の理解を得ておく必要はありますね(フィルタリング設定あれば全部OKというわけではないので)。

なお、法令や解説は下記で一覧できます。
青少年育成(インターネット利用環境整備(関係法令)


【追記】2014.8.22

各地の自治体で、上記の「穴」に関して、対応しようと条例を改正した例が結構あります。
条例の内容は必ずしも同じではありませんが、制定された内容をみていると、
①事業者に対し
  「無線LANに係るフィルタリング等の説明義務」
  「使用者が青少年か否かの確認義務」
②保護者に対し
  「携帯電話事業者が実施する説明を聴く努力義務」
などを課すものが多いようです。

例)たくさんあるようなので、一部のみ。
千葉県青少年保護育成条例23条の6(平成23年改正)
埼玉県青少年健全育成条例21条の4(平成25年改正)


2.最近の特集や書籍

●特集①「いじめ問題と子どもの権利」(自由と正義(64巻2013年4月号)

・竹内和雄「スマホ時代のいじめの現状と対応について


●「特集 親子で考えるネットの上手な利用法」(ウェブ版「国民生活」2012年8月号

・藤川大祐「スマートフォン時代のメディアリテラシー」(pdf

・桑崎 剛「スマホ・SNS時代の賢いネット利用力の育成」(pdf

・永坂武毅「絵本をとおして情報モラルを考える」(pdf


●「保護者のためのあたらしいインターネットの教科書」(中央経済社)

 編著のインターネットユーザー協会の紹介記事

ヘビーユーザーではない保護者をターゲットにしているということで、ウェブでの書評は概ね評判はよいようで、実際に読んでみると、今を知るには、わかりやすい本だと思いました。




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