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2015年9月1日火曜日

電気通信サービスの消費者保護ルールの改正(1)

電気通信サービスの消費者保護ルールについては、問題点の指摘と議論がなされていながら、なかなか法律の整備にたどりつかなかったのですが、電気通信事業法と放送法が改正され、全部ではないですが、「一歩」がようやく踏み出されたようです。

電気通信事業法等の一部を改正する法筒が平成27年5月可決成立し、公布されました。
この改正は「電気通信事業法」、「電波法」、「放送法」の3つの改正を含んでいます。

電波法の改正は、別記事「技適マーク問題(電波法改正)」で触れました。

ここでは、電気通信事業法と放送法の改正の中心にある、消費者保護ルールに関する規定の改正についてみてみます。

施行期日は公布の日(平成27年5月22日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日ですが、まだ未定です。

関係する「政省令」「ガイドライン」の改正、改訂もまだです。

そこで現時点での法文からわかる概要部分だけをなぞっていくという形にとどまります。

【追記】
消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(第15回)

この配付資料に、省令告示の整備スケジュールの想定が書かれており、年内にパブコメまで行ってしまいたいようです。


★記した条項は、下記の法律案を基礎にしています。


●議案審議経過情報

電気通信事業法等の一部を改正する法律案(衆議院のサイト)
●「第189回国会(常会)提出法案」(総務省)


 (書面の交付)

第26条の2(新設)
1 電気通信事業者は、前条第一項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約が成立したときは遅滞なく総務省令で定めるところにより書面作成し、これを利用者(電気通信事業者である者を除く。以下この条及び次条において同じ。)に交付しなければならない。ただし、当該契約の内容その他の事情を勘案し、当該書面を利用者に交付しなくても利用者の利益の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして総務省令で定める場合は、この限りでない。
2 電気通信事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、利用者の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて総務省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該電気通信事業者は、当該書面を交付したものとみなす
3 前項に規定する方法(総務省令で定める方法を除く。)により第一項の規定による書面の交付に代えて行われた当該書面に記載すべき事項の提供は、利用者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該利用者に到達したものとみなす

※赤い字と下線は私が付しました。

契約締結前に行われる提供条件の概要の説明としての書面とは異なり、契約成立後に、遅滞なく、書面を作成して交付することを求める規定です。
もちろん、電気通信役務提供契約を要式行為とするものでもありません。

こうした書面が導入された背景は、「契約を締結した後で自分がどういう契約をしたのか分からない」ことを解消するためです。

ただし、利用者の承諾を条件として、書面記載事項を(所定の)電子的な方法で提供することで「交付」とみなされます。

特徴は第2項の「交付」にみなされる「提供」と、「提供」が利用者に到達したとみなされる場合、について来ている第3項でしょうか。

書面交付が不要とされる場合は、総務省令に委ねられていますし、やはり詳細はそれを待つほかないでしょう。

また、書面の不交付や記載漏れ・不備に関しての民事効の定めもありません。


【追記】H27.9.19.

「書面」に何を記載するのかは、省令告示に委ねられていますが、オプションの扱いなどを巡り、事業者側からはいろいろな意見が出されています。

消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG(第15回)

上記の配付資料を読むと、事業者が負担増と消費者に対する十分な対応などから、記載事項の絞り込みを求めていることがわかります。

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