(電気通信事業者等の禁止行為)
第27条の2(新設)
電気通信事業者又は媒介等業務受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。
① 利用者に対し、第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約に関する事項であって、利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為。
② 第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘を受けた者(電気通信事業者である者を除く。)が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為(利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。)
電気通信事業者又は媒介等業務受託者は、次に掲げる行為をしてはならない。
① 利用者に対し、第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約に関する事項であって、利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為。
② 第26条第1項各号に掲げる電気通信役務の提供に関する契約の締結の勧誘を受けた者(電気通信事業者である者を除く。)が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為(利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。)
1.不実告知・事実の不告知
(1)「利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」(1号)
①定義など
禁止行為については、省令に委任している部分がありません。該当性を判断する上で大事な「利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」(1号)とは何か、については、具体的な内容は明らかにされておりません。
②禁止行為違反の効果
禁止行為に違反した場合の民事効に関しても定めがありません。
違反が認められた時に契約はどうなるのか?は残された課題です。
2.不実告知・事実の不告知と取消権の付与
(1) 過去の議論
上記1に示した2つの点に関しては、下記の報告書にて、研究会の考え方が示された部分があります。(プレスリリース)
平成26年12月10日
「ICTサービス安心・安全研究会報告書 ~消費者保護ルールの見直し・充実~~通信サービスの料金その他の提供条件の在り方等~」及び意見募集の結果の公表
●2014年(平成26年)12月
「ICTサービス安心・安全研究会 報告書
~消費者保護ルールの見直し・充実~
~通信サービスの料金その他の提供条件の在り方等~」
(2) 違反に対する取消権の付与の必要性
報告書11頁の「3. 契約関係からの離脱のルールの在り方」 の冒頭で「3.1禁止行為・取消ルール」として「3.1.2. 考え方」の中でと具体的列挙と明確化の必要性、違反により生じた誤認に関する取消権の検討の必要性、が書かれていました。提供条件の説明が必要とされる事項のうち、利用者の契約締結の判断に通常影響を及ぼすべき重要事項を可能な限り具体的に列挙し、明確化を図った上で、これらの事項に関する不実告知又は不利益事実の不告知を禁止することが適当であると考えられる。その上で、事業者による当該禁止行為違反といった一定の行為により利用者が誤認した場合の取消について検討することが適当である。
(3) 取消権の付与の課題
しかし、同時に、脚注20ではとも記され、禁止行為を具体的にすること・取消権を付与することが必ずしも消費者保護とはならない難しさがあることが指摘されていました。電気通信事業法において不実告知等違反に関する取消権を付与する場合には、電気通信サービスの技術革新の進展が早いことにより、契約締結時点には不実告知等に該当したものが、後に不実等ではなくなる場合もあり得ることも踏まえ、検討することが適当である。
内容が短期に容易に変化しうるものは、あまり具体的にしてしまうと、かえって柔軟さを欠いてしまうし、機動性も失ってしまうので、変化に対応できないという別の問題を生んでしまうでしょう。
法律ではもちろん、省令に委任しなかったのは、こうした背景があるからではないかと思われます。
とはいえ、「利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」(1号)の例示や判断要素は必要ですから、ガイドラインその他で一定の例示を行うことが望まれます。
3.動機の扱い
ところで、上記の報告書11頁では、不実告知が「動機」に影響を及ぼす場合についても触れています。脚注21では必ずしも契約対象であるサービスの「内容」や「取引条件」とはならない契約締結に至る動機に関する事項に関しても、販売形態にかかわらず、提供条件の説明時の不実告知を禁止することが適当であると考えられる。その上で、事業者による当該禁止行為違反といった一定の行為により、利用者が誤認した場合の取消について検討することが適当である。
このように、動機に誤認が生じた場合の対処の必要性は認めつつ、動機がどんな場合に取り込まれるのかが課題であること、が示されています。販売勧誘活動時の話法が契約締結に至る動機に関する事項にどのような場合に影響を及ぼすのかといった判断基準等も含め、検討することが適当である。
動機については、消費者契約法でも取り込んでおりませんし、電気通信役務提供契約に固有の定型的な作用のパターンが実証的に認められているわけでもありません。
現状では、動機を取り込まなかったことは当然の帰結だったと言えるでしょう。
ただ、課題ではあるので、動機に作用した事例は蓄積していくべきです。
(2018.12.加除訂正)
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